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冬アニメ『恋アス』桜井美景役・東山奈央 声優インタビュー

きらら作品は第2,第3の青春を経験できる場所――冬アニメ『恋する小惑星』桜井美景役・東山奈央インタビュー【連載第3回】

桜なりの激励の「自分の夢を、遠慮なんてしないでよね」

――改めて桜の第一印象についてお聞かせください。

東山:ツンデレではありますが最初はデレの要素があまりないので、自分が演じるときにはそのツンツンさを可愛いと思っていただけるようなお芝居にしていきたいと思っていました。でも最初のアフレコでは、もっと厳しく、はっきりとツンツンしてほしいとディレクションをいただいてしまって。

個人的には、もしかしたら視聴者の方にキツく聞こえちゃうんじゃないのかな、かわいいみんなの中で浮いてしまわないかなという不安がありました。でも「桜は1話で掴むようなキャラクターではなく、長く見せていくキャラクターだから、結論を急がないでほしい」というディレクションをいただいて納得しました。

やっぱり自分の演じるキャラクターはたくさんの人に愛されてほしいので、その気持ちが自然とにじみ出てしまっていたみたいで。キャラクターが愛されるように可愛く見えるように無意識に演じてしまったのかもしれません。でも桜に関しては、視聴者のみなさんに苦手かもと思われたイメージをぐるっと変えられるように演じていくことを目指した方がいいんだなと気が付きましたし、これがきっかけで桜の魅力をもっと理解することができたんじゃないかと思いました。

――短いスパンで変化を見せるのではなく、一連のエピソードを通して長い目で変化を見せられるように、と。

東山:でも思いのほかデレの部分が早く出てきたような気もします(笑)。最初は人見知りをしていて……そもそも人見知りっていろんなタイプがあると思うんです。人見知りをした時に、オドオドしちゃう人がいれば、パニックになっちゃう人もいて、きっと桜みたいに距離を置いてツンツンしてしまう人も。

でも距離が縮まって、ようやく可愛いところが見えてくると、どこか特別感のようなものがある気がして、むしろその方が可愛いじゃん!って、なにかに目覚めました(笑)。この表情を見せてくれるのは自分に心を開いてくれているからなんだと思ったら、可愛いと思う感情に嬉しさも加わりましたし、ツンデレキャラの良いところだと実感しました!

イノみたいに、桜のことを理解してくれている子からすると、そのデレが出てきたときに、たまらなく可愛く見えるんだろうなと。受け取る相手によって見え方が変わってくるキャラクターだと思います。きっと視聴者のみなさんには分かっていただけているかと思います(笑)。

――指出さんも、桜とイノが第1話で一緒に帰るシーンでは、イノだけに見せてくれる表情から優越感を感じていたとおっしゃっていました。

東山:そうですね。イノには心を開いていますし、可愛さが見えたときに、相手に嬉しいと感じてもらえたらいいなと思って演じてきました。

――ちなみに、指出さんは桜と掛け合いをするときは他のキャラクターと接し方が異なると伺っていますが、東山さんはイノとの掛け合いで意識することはありますか?

東山:桜としてはアプローチを変えることはないですね。多分、イノが桜に語りかけるときって、どうやったら桜に届く言葉になるのかなって考えているのかなと。シーンによってはやっぱり桜は意固地になるときがあって、彼女が素直になって一番良いルートを辿るためには、どんなタイミングでどんな言葉をかければいいのかを導いてくれるキャラクターだと個人的に思っています。

最初のころは、みらやあおにツンツンしていたのもあって、イノに対しては本当に素直に話しているように見えたと思います(笑)。基本的に、心根は素直な子なんですよね、桜って。自分が本当に感謝していたら、周りが驚くくらい素直に「ありがとう」って言葉が出てきますし、ツンツンしちゃうときも自分の中にそうしたくなっちゃう理由があるので。だから相手によってアプローチを変えることはなく、距離感だけなのかなって思いました。

――なるほど。ではお気に入りのエピソードや印象的なシーンについてお聞かせください。

東山:オーディションの原稿にもあった「自分の夢を、遠慮なんてしないでよね」という、第4話の合宿の夜にモンローに言ったセリフは印象的でした。桜なりの激励なんですよね。私もオーディションでは、不思議と「別に桜は怒ってるわけじゃないよね~、でも他の人には怒っているように見えることもあるんだ」と思いながら読んでいて、そういう意味では桜と私に通じるものがあるんだと初めてシンパシーを感じた思い出があります。

そんな桜の激励のあとに、イノが思い立って国土地理院に行きたいと言った瞬間、ちょっとだけ桜が切なそうな顔をするんですよね。すずも含めて、みんなそれぞれに夢があるのに、自分には好きなことはあっても、将来やりたいことや夢はなくて。焦ってしまう気持ちや、どこか自分の力を信じきれないところが出てきてしまうんですよね。

そういったことが少しずつ積み重なっていく中、文化祭に向けての準備のシーンで、先生が「少なくとも、アタシはアンタが何を調べてどう思ったのか、知りたいぞ」と言ってくれたあの後押しが、個人的にすごく嬉しく感じました!

――それまで将来の夢や目標がなく、思いつめる場面もありましたからね。

東山:桜ってやっぱり真面目なんですよね。だから1年前の文化祭の展示の仕方もそうですし、お金に関してもしっかりしていて現実的で。

私自身も学生時代、部活の副部長だったので共感できます。部長がしっかりしなくちゃいけないイメージがあるかと思いますが、どちらかと言えば部長は愛されなきゃいけないと私は思っていて。個人的な考えになりますが、副部長は嫌われてもいいと思うんです。でも部長は部を引っ張っていくために絶対に嫌われちゃいけないんですよね。

というのはちょっと余談ですが、そんなこんなで、私も副部長をしていたときはしっかりしなくちゃという意識があったので、桜が堅実に頑張っているのは共感できましたし、だからこそ大きな夢を抱えづらいと言いますか。遠慮しているわけではないと思いますが、何をしたいかが見つかってない分、どう踏み出したらいいのか、夢にいても真面目に考えちゃうんでしょうね。

――たしかに。現実的に考えてしまうからこそ、躊躇するところがあるのかもしれません。

東山:ボーリングもすごくお金がかかるし大掛かりな作業になってしまうので、人に夢を遠慮するなと言っておきながら、そのときは遠慮しちゃった自分がいたのかもしれませんね。でも、それ乗り越えたのは桜の自信になったはずなので、後々の人生を振り返ったときに「あのとき、やっぱり一歩踏み出して良かった」と思える経験になったのかなと。

あと個人的に「おおっ!」と思ったのが、ボーリングをしたときに、野球部員の男の子たちに助けてもらったシーンで、きらら作品にしては珍しく男子が出てるという(笑)。その後の文化祭にも遊びに来てくれて、今までに見たことのない桜の表情が出てきたのは可愛かったです! しかもジャージに着替えていて、あの恥ずかしがり方はすごく可愛いなって(笑)。

それに、みらやあおにしていた人見知りの接し方ではなく、手伝ってくれてありがとうという気持ちが根底にあるので、まだぎこちないんだけれども、なんとか打ち解けて頑張って話そうとしている桜がまた可愛くて! ジオカフェの展示について一生懸命に説明したり、質問してくれた男の子に対してちゃんと相槌を打つところとか、ちゃんと話そうとしているんですよね。そこがまたいじらしくて、桜の人に対する接し方というか、関わり方のようなものが変わろうとしているのかなと考えると微笑ましいシーンでした。

――ちなみに他のキャラクターでお気に入りを挙げるなら?

東山:やっぱりイノでしょうか。純粋に可愛いですよね(笑)。こういう子がひとり部員にいてくれると助かるな〜って。みんなの気持ちをちゃんと理解してくれて、ちゃんとうまく回るように考えて発言したり立ち回ってくれるありがたい存在だと思います。

それに第1話の反復横跳びみたいな可愛い動きもありますし、第3話で宝探しの地図を書いてくれたときに、宝物がみんなで撮った写真に行き着くところも本当に可愛くて、きゅ〜んってしました! 温かくて、優しくて、可愛くて、多幸感に溢れる素敵なシーンで癒やされました。

(C)Quro・芳文社/星咲高校地学部
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