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『映画クレヨンしんちゃん』ぶりぶりざえもん役・神谷浩史さんインタビュー

ぶりぶりざえもん役・神谷浩史さんインタビュー|『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』は「最初から最後まで期待を裏切ることがいっさいない、ずっと面白い作品」

新型コロナウィルス感染症による影響により、公開を延期していた『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』が、ついに9月11日(金)に全国公開されます!

第28作目となる本作のテーマはラクガキ。選ばれし勇者のみが使えるラクガキングダムの秘宝ミラクルクレヨンで描いたしんちゃんのラクガキたちは、救いのヒーロー・ぶりぶりざえもん、二日目のおパンツ・ブリーフ、本物そっくり?・ニセななこ。選ばれちゃった園児・しんちゃんと彼らという、ほぼ四人の勇者が活躍し、クレヨンで世界を救います。

映画の公開を記念して、ほぼ四人の勇者のメンバー・ぶりぶりざえもん役の神谷浩史さんにインタビュー! 作品の見どころやキャラクターについてはもちろん、ぶりぶりざえもんの役作りから現在の思いまで、たっぷりとお話を語っていただきました。

 

今までにないストーリー展開にビックリ

――今作の『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』へ出演が決まった時のお気持ちや、最初に台本を読んだ感想をお聞かせください。

神谷浩史さん(ぶりぶりざえもん役/以下、神谷): 僕がぶりぶりざえもんの役を任せていただいてから、「そのうち劇場版にもお声がかかるかな」と期待はしていました。

ただ、ぶりぶりざえもんというキャラクターの特性上、お声がかかるからには「きっと何かいいタイミングで、いい役をご用意していただけるんだろうな」と思っていたので、出演のお話をいただいた時は「ついに、ぶりぶりざえもんが『クレヨンしんちゃん』の劇場版に出演させていただける時が来たんだ!」と感慨深いものがありました。

それで、キービジュアルを見たら、ぶりぶりざえもんが大きく描いてあったので、「うわぁ~、これはけっこうメインで出てくるんじゃないの?」と思いましたね(笑)。

 

 
ぶりぶりざえもんは、しんちゃん(作品の主人公・野原しんのすけ。CV:小林由美子)が描いたラクガキから発生しているものなので、他のキャラクターとあまり絡めないんですよ。基本はしんちゃんとしか絡めない役だし、しんちゃんたちのいる現実世界に出てきてしまうと、よくわからないことになってしまいます。

だから、出てくる時はぶりぶりざえもんの話になってしまうことが多いんですけど、今回の作品は、きちんと意味のある形で現実世界に登場していて、しんちゃん以外のキャラクターとも遭遇するという、今までにない展開の台本だったので、けっこうビックリしました。

――今作について、印象や感想をお聞かせください。

神谷:今回の作品は、ものすごく面白いと思っているんです。最初に台本を読んだ時点で「このシーンは良いシーンだな。泣いちゃうな」と感じて、アフレコ収録の現場で「やっぱり、これはすごく良いシーンだな」と思いながら演じて、実際に完成した作品を見た時に「思った通り、この作品は面白いな」という印象でした(笑)。

実は「台本では面白かったのに」とか、「アフレコでは面白かったのに」ということは、けっこうあるんですよ。特にギャグ作品は、そういうことに陥りやすい。台本はすごく面白いのに、ちょっと画の方が頑張り切れていなかったり、アフレコでかなり頑張って面白くしたはずなのに、画を通じて見ると、アフレコの雰囲気がいまいち伝わっていなかったりすることがある。それは画のせいではなくて、トータルバランスだと思うんですけど、要はどこかが頑張りすぎていても、空回りしてしまうんですよね。

でも、今回の作品に関しては、全てがうまいこと組み合わさっているんです。今作はいわゆる王道というか、最初から最後までのお話がだいたい想像がついてしまって、意外性というのはあんまりないんですよ。でも、ずっと面白いんですよね。やっぱり王道を真正面からとらえて、伝えることがいいんだろうなと思いました。

みんなが見たいものを見せてくれて、期待を裏切ることがいっさいないんですよ。もちろん、途中で意外性だったり、お約束もあったりするんですけど、それが無理のない形できちんと入っていて、最初から最後まで見ていて、とても気持ちのいい作品です。

――今作では、しんちゃん、ぶりぶりざえもん、ブリーフ、ニセななこといった、ほぼ四人の勇者たちが大活躍しますが、キャラクターの印象をお聞かせください。

神谷:しんちゃんがいろんなことを無責任に「ほいほ~い」と言いながらやる感じを見て、「なんでしんちゃんはいつも怒られないんだろう?」と思うんですけど、意外と怒られないんですよね(笑)。それはしんちゃんというキャラクターがみんなの中に根付いていて、こういう人だって、許されているからなんですよね。いいキャラクターだなと思っています。

ブリーフ(CV:富永みーな)に関しては……、しんちゃんが最初に描いたのは、ひろし(しんのすけの父・野原ひろし。CV:森川智之)の靴下ですけど、子どもは靴下とかパンツとかを描いちゃうんですね。僕、そこは全くわかんないです(笑)。ブリーフは、2日目の洗っていない汚いやつかもしれないけど、心は正義だし、使命感を持ったとてもいいやつですよね。みーなさんが演じていらして、すごくまっすぐな素敵な役だなと思って見ていました。

ニセななこ(CV:伊藤静)に関しては……、しんちゃんが頑張って描いたななこ(大原ななこ。CV:伊藤静)ですけど、本当にいいキャラクターですよね。名前がニセななこですし、見た目はあんなだし、ちょっとドスの効いた声で「しんちゃん、好きよ~」しか言わないんですけど、言葉通り、しんちゃんのことを思っていて、しんちゃんを守る存在です。誕生の意外性から、最後の最後まで彼女は目が離せないキャラクターですね。

 

 

ぶりぶりざえもんを演じる上で大切にしていること

――ストーリーについてはどのように感じられていますか?

神谷:劇場版は家族の絆、カスカベ防衛隊や劇場版キャラクターとの友情といったところにけっこうスポットを当てられたりしますけど、今回は意外とそうでもないんですよ。

しんちゃんがいつもの通りの行動をしていて、勝手気ままに動いているけど、それが勇者として、結果的にラクガキングダムを救うことにつながっていく。いつものお気楽な感じなのに、それがなぜか感動的に見えるという不思議な結実の仕方をしていると思いました。

――今作の中で、お好きなシーンを教えてください。

神谷:僕が好きなシーンは、マサオくん(CV:一龍斎貞友)が眠らないように、神輿みたいなものに乗せられて、ラクガキを強制させられているところです。そんな中で、ブリーフが出てきて、何も知らないマサオくんが「変なものが見えてきちゃったよ~!」というところは、相当面白かったですね。あのシーンは、カオスすぎて王道でも何でもないし、意味がわかんないけど、すごく好きでした(笑)。

――ぶりぶりざえもんの好きなシーンも教えてください。

神谷:ぶりぶりざえもんは、本当にクズを絵に描いたようなキャラクターですね(笑)。基本嫌なやつで、せこいし、長いものには巻かれるし、お金好きだし、お姉さん好きだし、いいところが1つもないんですよ。

 

 
だけど、1箇所だけ本当にいいところがあって、そこが僕はすごく好きですね。ぶりぶりざえもんは、本当にヒーローなんだなというところが見えるシーンなので、ぜひ劇場版をご覧になって、ご確認いただければと思います。

――ぶりぶりざえもんは、今作のストーリーを進めていく重要なキャラクターですが、プレッシャーは感じましたか?

神谷:プレッシャーはいつでもありますよ。どんな作品でも、どんな現場でも。もちろん、しんちゃんの現場もそういったプレッシャーはありますけど、アフレコ収録じたいは楽しかったですね。

――アフレコ収録現場はどんな雰囲気でしたか?

神谷:以前、僕は『映画クレヨンしんちゃん バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』という作品に、ゲスト(トリュフ役)として参加したことがあったんですけど、その時はゲストパートとして1日だけの収録でした。

今回はぶりぶりざえもん役として、2日間とも参加させていただくことになって、収録自体は2月に、2日間に分けて、新人からベテランまで30人ぐらい集まって、行われました。収録初日が終わり、後半の部分は翌日に収録することになって、帰る時に「また明日~」と言いながら帰っていくのがすごく嬉しくて、「また明日も、このスタジオに来られるんだな~」と思いながら、初日を後にしたのが印象的でした。

――ご自身の収録はいかがでしたか?

神谷:楽しかったですね。最初にぶりぶりざえもんを任せていただいた時は、プレッシャーがひどすぎて、何にも楽しくなかったんですけど(笑)。

16年間、一言もしゃべらなかった、しゃべらせなかったということに対して、みんながそういうものだと思いこんでいましたし、そんなぶりぶりざえもんが急にしゃべり始めることになって、「どういうふうに演じたらいいんだろう?」という気持ちもありましたし、事務所の大先輩である塩沢兼人さん(初代ぶりぶりざえもん役)が担っていた部分を僕に任せていただけるのはありがたいけど、「どうアプローチすればいいんだろう?」という気持ちもありました。

でも、「昔ぶりぶりざえもんが好きで、ぶりぶりざえもんは兼人さんでないと嫌だ」という思い込みよりも、今しんちゃんを楽しんでくれている子どもたちにしてみれば、僕のぶりぶりざえもんがスタンダードなぶりぶりざえもんになるのは間違いないし、僕が悩みながら演じていても仕方ないと思うようになりました。

――神谷さんがぶりぶりざえもんというキャラクターを演じる上で、大切にしていることをお聞かせください。

神谷:1番は、自分が楽しむことだと思っていますね。自分が辛いなと思いながら演じていれば、その辛さがどこかに出てしまう気がするので、自分が楽しいなと思いながら、やれることが一番かなと思っています。

あとは、何と言っても、しんちゃんが描いて出てきているキャラクターなので、しんちゃんの分身であり、しんちゃんの相棒であるということは心がけています。そこがベースになるとは思っています。

――ぶりぶりざえもんとは、どんなキャラクターだと思われますか?

神谷:基本的にぶりぶりざえもんはかっこいい役なんです。みなさん、いろいろ勘違いされている部分というのはあると思いますけど、ぶりぶりざえもんの中身はとてもかっこいい、ハンサムな貴族出身の品の良いキャラクター。だけど、見た目はブタという(笑)。

 

 
だって、上半身裸でタイツで千歳飴を腰に下げているようなやつなんですよ。僕は本当に何でこういう役作りになったのか、全くわからないんです。ベーシックなところは、兼人さんがやっているので、何でこういう役作りになったのかわからないんですよね。「兼人さん、何でこういう役作りしたんですか?」と本当に聞きたいですもん(笑)。

――ぶりぶりざえもんの役作りはどのようにされたのでしょうか。

神谷:ぶりぶりざえもんのオーディションを受ける前に、ぶりぶりざえもんが出ているセレクションのDVDを購入して見ました。ムトウユージ監督からは「過去の作品は見なくていいよ。神谷くんが楽しくやればいいから」と言われていたので、その意見を尊重しようと思いました。作品は監督のものなので、監督が僕に任せている以上、僕がぶりぶりざえもんを新しく作りなさいという意味だと思ったんです。

でも、僕はいろいろなめぐり合わせで、ぶりぶりざえもんにたどり着いたと思っているので、僕の中にはオリジナルを大切にしたいという気持ちがあるんです。

同じ事務所の先輩でもありますし、僕も兼人さんがすごく好きなんですけど、ただ真似しようと思っても、おいそれと真似できるものでもないんですよ。兼人さんと僕では元々の声質が全然違いますし、兼人さんのようなあんな楽器(声)の人は、この世の中いないでしょう。だから、それを真似することは全然できないけど、しゃべるリズムだったり、ニュアンスだったりをエッセンスとして取り入れることはできる。

兼人さんが演じていらして、それを見たり、聞いたりしていたから、オーディションに参加させていただいた時に、それを踏襲する形でアプローチして、そこにプラスアルファとして、僕が演じるからにはこういうものを足していこうと思いがあって、今の役作りになっています。

それでも、僕も悩む時があって、今までのぶりぶりざえもんのいわゆる文法に当てはめてしゃべろうとすると、ちょっとわからないところも出てきてしまうんですよね。そこは自分で創作していくしかないじゃないですか。

「救いのヒーローぶりぶりざえもん、参上!」といった決めセリフは、兼人さんが作った節回しみたいなものがあるから、そのリズムを自分なりに取り入れながら表現できるんですけど、そうじゃないところもたくさんあります。

例えば、「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」というセリフは、兼人さんが言っていないので、そのまんま兼人さんのリズムでやろうとすると、わからなくて、バグっちゃうわけですよ。でも、バグらないようにするためには、オリジナルを足していく。自分で創作するしかないんです。

そうやって少しずつ創作の部分が増えていって、認知してもらった上で、キャラクターがみんなの中に伝聞していくと思っています。それが積み重なっていけばいくほど、僕は兼人さんに胸を張って「ぶりぶりざえもんをやっていますよ」と言えるようになるかなと思っています。

 

(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2020
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