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劇場アニメ『海辺のエトランゼ』村田太志&松岡禎丞インタビュー

劇場アニメ『海辺のエトランゼ』村田太志さん&松岡禎丞さんインタビュー|原作者や監督らが作り上げた丁寧で繊細な映像・世界観に寄り添うよう、朝から晩まで収録に臨み続ける!?

2人の印象に残った何気なく口にした深いセリフや、リアルなやり取りが感じられるシーンとは?

――では、ご自身が演じるキャラの力を入れたシーン、セリフなどがあれば教えてください。

村田:最初の方で同居人の絵理という女の子と話しているシーンで、同じ同性が好きというだけで、どうしてこんなにうまくいかないんだろうと、絵理に言うでもなく自分に言うでもなく、何となくポツリと口にした言葉が深いなと。

見る人にとってはなんでもないセリフかもしれませんが、その問題が常に駿の根底にあるんだなと思うと、やはり駿を守ってあげたくなるというか、何とかしてあげたくなるという意味で印象に残っています。

松岡:実央が「は、何言ってんの?」というシーンが、好きですね。

駿のある言葉に対して、勝手知ったる仲でも言ってはいけないことって存在するのに、どうしてそんなことが言えるのかと。実央はこんなに頑張ってきたのに、それはキレるよなと思って心にきました。

村田:あそこはリアルでしたね。

――ぜひ、注目して見てほしいですね。。次はご自身についての質問なのですが、沖縄の離島が舞台ということで、お2人だったら、海辺のシチュエーションでどんな出会いがあると思いますか? 「こんな出会いがしたい!」みたいな妄想でも構いません。

 

 
松岡:太志さんが朝の散歩に出ている時に、僕が浜に流れついているとか。

村田:どういうこと!? まさか、僕が拾うんですか?

松岡:そうです。

――そこから恋が、(村田さんと松岡さんが顔を見合わせ)……始まらなさそうですね。

一同:(笑)

村田:恋、ではないですね(笑)。普通に人命救助をすると思います。……松岡さんが海から上がってくるのかぁ。

松岡:たぶん、船が座礁したんです。

村田:確かに、松岡さんとは普通の出会い方はしないでしょうね。

松岡:しないでしょうね。あとは、ジェットスキーで突っ込んでくるかもしれない。

村田:松岡さんとの出会いじゃなくても良いんですよね?(笑)

――村田さんと松岡さんとの出会いじゃなくても良いんですけど、お2人の方が面白そうかも(笑)。

村田:う~ん。人がはしゃいでいるのを見るのが好きなので、僕が出会うというより、松岡さんと(島﨑)信長くんとかが波打ち際でキャッキャ遊んでいる風景を、「大人でも、そういうことやっちゃうよね」とほほ笑ましく見ていると思います。

松岡:波しぶきでですか!?(笑)

村田:僕が当事者になったら、「劇的な出会いが待ってるかも!?」と変に身構えてしまうと思うので(笑)。

僕はそれほど劇的な出会いをしたくないというか、自然な成り行きで出会った方が、結果的に良い運命だったのかなと思えるだろうけど、「漫画的!」と思った瞬間に、仲間内でのオモシロ映像でも撮っているのかと隠しカメラをキョロキョロ探して、勘繰っちゃうと思います。

――なるほど。村田さんが自然な出会い方だとしたら、松岡さんは劇的な出会い方ですね。

村田:そうですね。でも、もし(松岡さんが)流れ着いたら人命救助を優先します(笑)。

松岡:(淡々と)もしくは、海の遠くの方から来るかも。

村田:え、どういうトーンなの。どういうこと?

松岡:(村田さんが)「あれ、サメの尾びれじゃない?」と気付いて、それが近づいてきたら実は、サメ型のブイを背負った自分(松岡さん)だったみたいな。

――有名サメ映画みたいに襲われるのかと思ったんですけど、違うんですね。良かった(笑)。

村田:人命救助するより大変なことになるのかと思った。

松岡:潜水で近づいて、(村田さんの)目の前で何も言わずにザバーッと姿を現すと、「あれっ、太志さん? 太志さんですよね?」と。

村田:あ、知り合いなんだ。なら、ちゃんとノリますよ(笑)。もし知らない人だったら、とりあえずスルーします。

松岡:僕もそうですね、さすがに危ない人には近づきたくないです。

一同:(笑)。

キレイな映像や当たり前の風景の中で描かれるキャラたちが心穏やかにしてくれる作品

――松岡さんとは劇的な出会いが待っているということで、ふとした時にもいろいろな演出を考えて、楽しませてくれそうですね(笑)。最後に、作品に込めた思いや、ファンの方に届けたいメッセージなどがあればお願いします。

村田:特別な大恋愛じゃなくても、人が人を大事に思うこと、当たり前のようでなかなかできないかもしれないけど、シンプルに、そういうことが大事なんじゃないかなと。

それを伝えるのに、沖縄の風景やネコ、駿や実央にとって欠かせない周りを取り巻く人たちが彩ってくれて、人が人を思うことを気付かせてくれるには、すごく良い環境で、この作品を送り出してくれているのではないかと思います。

何か心に我慢できないイライラだったり、モヤモヤを抱えている人がいらっしゃいましたら、間違いなく払拭してくれるので、ぜひ見ていただきたいです。

松岡:後悔するくらいなら好きと言ってしまった方が良いと実央の真っすぐな生き様が、背中を押してくれる作品だと思います。

それと、こういう世界に行ってみたいと思わせてくれる作品でもあるんですよね。すごく海もキレイですし、映像の中で如実に風の動きがわかるくらい、すごく丁寧に作っているなと驚かされます。

終わった後には、「(元気に)あー良かった!」とスッキリするというより、すごく静かに「(かみ締めるように)良かった」と言ってもらえる作品になっていると思いますので、見ていただけたらなと思います。

 

 
[取材・文/小澤めぐみ 撮影/塚越淳一]

 

営業職を経験後、記者・編集業務に携わりフリーへ。男性声優を中心に、漫画、アニメ、外ドラ、BLなど浅く広く好奇心は一人前。飲食、旅行、音楽、(ヘタだが)写真撮影、話を聞くことも好きで、近年の自粛生活は苦痛。最近のお気に入りは『薬屋のひとりごと』『異世界でもふもふなでなでするためにがんばってます。』。王道モノから西東問わず歴史モノなど“ファンタジー”や“ミステリー”が好物。今はもっぱら藤沢朗読劇中毒

この記事をかいた人

小澤めぐみ
営業職を経験後、記者業務に携わりフリーへ。主に男性声優、漫画、アニメなど浅く広く…今はもっぱら藤沢朗読劇中毒

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作品情報

『海辺のエトランゼ』 9月11日(金)より全国公開 配給:松竹ODS事業室

CAST

橋本駿:村田太志
知花実央:松岡禎丞
桜子:嶋村 侑
絵理:伊藤かな恵
鈴:仲谷明香
おばちゃん:佐藤はな

STAFF

原作 紀伊カンナ 「海辺のエトランゼ」(祥伝社on BLUE comics)
監督・脚本・コンテ 大橋明代
キャラクターデザイン・監修 紀伊カンナ
総作画監督 渡辺真由美
エフェクト作画監督 橋本敬史
美術監督 空閑由美子(STUDIOじゃっく)
色彩設計 柳澤久美子

音響監督 藤田亜紀子
音響効果 森川永子
録音調整 林淑恭
音響制作 HALF H・P STUDIO
アニメーション制作 スタジオ雲雀
配給 松竹ODS事業室
製作 海辺のエトランゼ製作委員会

撮影監督 美濃部朋子
編集 坂本雅紀(森田編集室)
音楽 窪田ミナ
音楽制作 松竹音楽出版
主題歌 「ゾッコン」MONO NO AWARE(SPACE SHOWER MUSIC)

公式サイト
公式Twitter(@etranger_anime)

(C)紀伊カンナ/祥伝社・海辺のエトランゼ製作委員会
(C)紀伊カンナ/祥伝社 on BLUE comics
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