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映画『シドニアの騎士 あいつむぐほし』吉平監督インタビュー

映画『シドニアの騎士 あいつむぐほし』吉平 "Tady" 直弘監督インタビュー | 『シドニアの騎士』が、アニメ監督を志すきっかけに

2021年6月4日(金)より全国ロードショーとなる映画『シドニアの騎士 あいつむぐほし』。月刊アフタヌーンで連載されていた、弐瓶勉先生によるコミックを原作としたアニメシリーズの完結編にあたる作品です。

今回は、本作の監督を務める吉平 "Tady" 直弘監督を直撃。TVシリーズ第1期では編集、第2期では副監督と様々な立場から『シドニアの騎士』(以下、シドニア)に関わってきた吉平監督の視点から見た、本作の魅力を語っていただいたインタビューの模様をお届けしていきます。

 

長道とつむぎのラブストーリーが、劇場版の本質

――映画も完成し、公開も迫る中の心境をお願いします。

吉平 "Tady" 直弘監督(以下、吉平):今はなんとか無事に完結を迎えることができたという、安堵感で感無量ですね。『シドニア』は自分にとってすごく大事な作品なので、その完結作で監督を任せられた喜びと共に、すごい重圧も感じていました。

プロダクションとしても完成までギリギリの戦いをしていましたから、試写会で皆さんからのリアクションを聞かせていただいて、ようやく6年越しに『シドニア』の完結編ををお届けすることができたんだと実感できるようになりました。

――制作にコロナウィルスの影響というのはあったのでしょうか?

吉平:まさに制作の佳境の時期にコロナウィルスの発生や緊急事態宣言の発令がありまして、リモートワークへの切り替え、手探りで制作を進めざるを得なくなる中、TVシリーズから『シドニア』の制作に関わってくれたスタッフたちの情熱にすごく助けられましたね。

顔を直接合わせることができない、働きにくい環境の中でも、「もっといいものを」という熱意を絶やさずにチャレンジを続けてくれたみんなの姿には、今思い返しても涙が出そうになる想いです。

先行きに対する不安は誰もが抱いていたであろう情勢の中、毎日上がってくる映像からはアーティストの皆さんの信念のようなものも感じられて。自分自身も、それに少しでも答えようと必死で、カットの修正などにもメッセージを書いたり、出来得る限り最大のコミュニケーションを取ろうと心がけていました。

それにアーティストの皆さんが応えてくれたことで、素晴らしいクライマックスを作り上げることができたのかなと感じています。

――劇場版を制作するにあたって、どんなことを意識されていたのでしょうか?

吉平:まず原作での完結までの内容が、 TVシリーズとして考えても十分な量のエピソードがあるので、それを脚本段階で劇場用の尺にまとめなければならないというボリュームとの戦いがありました。ただ簡略化するのではなく、原作ファンの期待を裏切らないようにストーリーを再構築しなければならず、これは非常に難しいチャレンジでした。

その上で、前のTVシリーズから6年の間隔を開けて続編を劇場用に作ることの難しさもあって、以前にTVシリーズを観てくださった人も内容を忘れているかもしれないし、初見の方が物語についていけない状況も避けなければいけない。

単体の映画としても観られるように構成しつつ、今までのファンの方へのアンサー的な内容にもなるように、両面のアプローチから脚本を練り上げていった形です。

 

 

――本作は谷風長道や小林の過去であったり、描かなければならない内容が多いので、まとめるのが大変そうだと考えていたのですが、実際に作品を観させていただいて、すべて杞憂に終わったと感じました。

吉平:実際に、最初に脚本が上がってきた時は、140ページ超えみたいな分量になっていまして(笑)、このままでは絶対に2時間に収まらないぞという状態でしたね。そこから『シドニア』のエッセンスであったり、初めて観る人がどう感じるかということを考えながら、絵コンテも含めて何度も再構築を重ねていきました。正直なところ、「逆に深く考えすぎていないだろうか?」と改稿を重ねたことに対しての不安もあったので、試写会での反応はとてもありがたかったです。

――本作には様々な要素がある中で、長道とつむぎのラブストーリーの決着を、納得のいく形で描けた実感はありますか?

吉平:本作の物語のプロットを作るにあたっては、初めて『シドニア』を観る方への導入と、ガウナと人類の戦い、小林たちの世代のドラマといった要素と一緒に、長道とつむぎのラブストーリーをしっかりと描かなければならないという、多くの要素を編みあげる複雑かつ困難な脚本の製作が求められていました。

その中で自分が言ってきたのが、本作のコアは派手な戦争アニメではなくラブストーリーだということです。ラブストーリーとしては、つむぎのかわいいシーンをもっと入れたかったという気持ちもあるのですが、先程言った全ての要素を完結させる『シドニア』の結末として、今回は最高のストーリーが出来上がったという手応えは感じています。

――『シドニアの騎士』は、TVシリーズ第1期から非常にハイレベルなGG表現を実現していましたが、そこから時間が経過し、劇場版となったことで、当時はできなかった表現が可能になった部分もあったのでしょうか?

吉平: 本作の製作にあたって、2021年の劇場版になったからこそできるようになったことは「とくにない」とも言えるし、「すべてにおいて新しい技術が適応され、最高レベルの映像になっている」ともお答えできます。というのも、我々としては、2014・15年の頃の映像クオリティーのままでは、2021年にリリースするものとしては絵として古くなってしまうと感じていたんです。

ポリゴン・ピクチュアズが6年間開発し続けてきたセルルックCG表現の進歩、さらに本作のために新たに開発された技術に加えて、アーティスト・スタッフ自身がこれまで積み上げてきた表現力の成長といった全ての要素の結晶が本作のクオリティーになっていると思います。

 

(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工重力祭運営局
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