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夏アニメ『ピーチボーイリバーサイド』白石晴香×東山奈央インタビュー

鬼側の視点も描かれた“私たちの知る「桃太郎」ではない”ダークファンタジー『ピーチボーイリバーサイド』白石晴香さん×東山奈央さんインタビュー

2021年7月から放送中のテレビアニメ『ピーチボーイリバーサイド』。桃太郎伝説をモチーフにしたファンタジー作品で、原作とは異なる数々の仕掛けが話題の注目作だ。

今回の記事では、前回の上田繁監督のインタビュー記事に引き続き、主役のサリーを演じる声優・白石晴香さんと、ミコトを演じる東山奈央さんのロングインタビューをお届けする。活発なお姫様サリーと、圧倒的強者ミコトを演じるお二人に、作品の魅力をたっぷり語っていただいた。

外の世界が見たいお姫様「サリー」の名前に隠された意味とは!?

――ご自身が演じるキャラクターの紹介をお願いします。

白石晴香さん(以下、白石):「サリー」はとても芯の強いお姫様です。ずっと外の世界が見たいと思っていたのに、旅に出るきっかけがないまま暮らしていました。しかし「ミコト」と出会ったのをきっかけに、旅に出る決意をしました。実際に旅に出てからは、多くの人々や種族と出会いながら、たくさんの経験を積んでいきます。いままで世間知らずのお嬢様だったのに、ショッキングな出来事や人との出会いを経て、様々な真実を目の当たりにするヒロインです。

東山奈央さん(以下、東山):私が演じる「ミコト」は、一見すると好青年なのですが、鬼を目の前にすると豹変します。原作では女の子と間違われるシーンがあるくらい、外見は女の子です。温厚で優しそうな雰囲気を漂わせているのにもかかわらず、鬼の前では打って変わって残酷な手段もいとわない戦い方をします。

――おふたりは演じるキャラクターの好きなところや、似ている部分はありますか?

白石:サリーはお姫様だけど活発で、安全な国内にとどまっていない子です。外の世界を見てみたい探究心を持っている、とても活発な女の子です。前のめりな性格は、いい意味でお姫様っぽくありません。そういう一面が好きです。

私と似ているところですが、考え方は共感できることが多かったです。特にサリーが他種族と出会ったときに感じる心境は、「私もサリーの立場だったら、そう思うかもしれない」と思いました。

――東山さんが演じるミコトは残忍なので、さすがに似ている部分は少ないですね?

東山:はい、似ているところは、あまりないと思います(笑)。まったく異なる人物を演じることができるのはお芝居の醍醐味ですね。

――性格が違うと演じるのは難しいのでは?

東山:いえ、イメージは原作を読ませていただいて、すぐに湧いてきました。ただ、ミコトは少年ではなくて、青年なんですよね。人当たりはいいけれど掴みどころがない感じで、心の奥底が見えない、とても奥行きのある男性で。初めて演じるタイプのキャラクターではありましたが、ミコトのセリフに触れたり、過去のエピソードを知っていくうちに、どんどんと頭の中で彼が生き始めていってくれました。迷いなく演じることができたのではと思っています。

そうそう! 白石ちゃんが演じる「サリー」の本名は、「サルトリーヌ」と言うんです。私はあるとき気づいちゃったんです! なんと名前の中に「猿」と「鳥」、「犬」が含まれているんです!!

――そうですね!

東山:あら、ご存知でしたか?(笑) 私はアフレコが半分くらい過ぎてから気づいたのですが、発見したときにあまりにも嬉しくて、喜々として「ねぇねぇ! 白石ちゃんは知ってた~?」って教えてあげようとしたんです。そうしたら白石ちゃんも、とっくに気づいてたみたいで(笑)。

白石:あのときは、「あっ、どうしよう……その、えーっと、あっ、はい……」と答えました。

一同:(笑)

東山:私がすっごく喜んで、「ねぇねぇねぇねぇ! 知ってた?」とか言っちゃったものだから、「知ってた」とは言いにくいよねぇ(笑)。

白石:東山さんが、眼をすっごく輝かせてたから、「はい、知ってました」とは言えずに、数秒固まってしまいました(笑)。

東山:あはははは! そこで「知らなかった」とか話を合わせてくれても、それはそれで悲しいです!

桃太郎がモチーフのファンタジー!メッセージ性は強いが肩の力を抜いて見られるアニメ

――『ピーチボーイリバーサイド』は「桃太郎伝説」がモチーフの作品です。お二人が初めて物語を見たときの感想は?

白石:「桃太郎」のお話ですが、私たちが昔から知っている桃太郎とはかなりイメージが違います。

東山:だいぶ違いますね! 鬼を退治するという主軸は同じですけど。

白石:鬼側に視点を向けたお話もあって、鬼の考え方も描かれています。鬼は悪者のように見えてしまうけど、その行動にはしっかりとした理由があります。

東山:桃太郎の鬼と言うと、虎柄のパンツをはいて金棒を振り回している姿が連想されると思いますが、この作品に登場する鬼は、見た目も性格もさまざまです。勧善懲悪の童話のようにはいかない、ダークファンタジーのようなお話です。

――サリーとミコトは、一緒に冒険するのでしょうか?

東山:あまり一緒に行動しません。考え方の異なるふたりの少年・少女がそれぞれ行動するので、お互いの旅のなかでどのように影響し合っていくのかが『ピーチボーイリバーサイド』の注目ポイントのひとつです。

――ふたりの主人公の考え方の違いや、鬼側の主張を描いた、メッセージ性の強い作品なのでしょうか?

東山:もちろんメッセージ性はあるんですけど、教科書のような作品なんだとは思ってほしくなくて。それはエンターテインメントとしてはちょっと重いなって。なので、純粋にお話を楽しみながら見てくださると、スッと入ってくると思います。

白石:そうですね。お話のスピード感がとても心地よい作品です。アニメとしての仕掛けがあるので、原作ファンのみなさんにも楽しんでいただけるはずです。『ピーチボーイリバーサイド』は人間と鬼だけじゃなく、亜人やエルフなど、いろいろな種族が暮らしている世界のお話です。どの視点で見るかによって、作品の見方が変わると思います。

――『桃太郎伝説』のお話とは、かなり違う作品なのですね。

東山:ファンタジー作品ではありますが、他人事じゃないのかもって思うこともあります。例えば悪意のない一言でも、別の立場になってみると傷ついてしまったり。いろいろ考えさせられるエピソードがありますが、あまり重く構えすぎずに観ていただきたいです。

白石:そうですね! バトルシーンは激しいけど、日常シーンはサリーもギャグ寄りです。日常と戦闘が、とてもいいバランスの作品です。

東山:戦うときはかっこいいし、日常シーンはほのぼのしています。

 

(C)クール教信者・ヨハネ/講談社/「ピーチボーイリバーサイド」製作委員会
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