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『FGO -終局特異点 冠位時間神殿ソロモン-』鈴村健一×杉田智和 インタビュー

『Fate/Grand Order -終局特異点 冠位時間神殿ソロモン-』鈴村健一さん×杉田智和さんインタビュー 表裏一体のソロモンとゲーティアの在り方

藤丸は人を超越した存在!?

――では、本作の主人公である藤丸について、『FGOソロモン』で描かれた彼の印象を教えて下さい。

杉田:藤丸はゲーティアにとって、「新しい答え」を授けてくれた人だったように思います。別れは寂しくて辛くて、悲しいだけのものじゃない。それを最後に拳で教えてくれたのが藤丸だったなと。

鈴村:藤丸ってホントいいやつだよね。あれこれ策を弄したりしないで、常に真正面から向き合おうとする。……というか、真正面から向き合うというやり方しか知らないのかな。それがいつもうまくいくとは限らないけれど。

杉田:名だたる神や英雄といった存在が手を差し伸べるのは、藤丸がそういう人間だからなんでしょう。ただ、僕は藤丸から「欲望」というものを感じたことがないんですよ。人類が絶対に捨てられないもののはずなのに、藤丸の個人的な欲望や悩み、弱さといった「人間らしさ」が作中で表立って描かれていないんです。彼がもともとそういうものを表に出さない人間だからかもしれないけれど……。

戦うにしても、いつも誰かのため、愛する人のため。滅びるかもしれない世界を救うため、最後まで絶対にあきらめない。それで、最初は藤丸が「普通の人」に見えなかったんです。

鈴村:本当に不思議なやつだよね。ごく平凡な人間のはずなのに、その感覚や考え方は一番人間離れしている。ボロボロになっても泣き言ひとつ言わず、何度も立ち上がる姿には神々しさすら感じる。そのせいか、主人公なんだけど、ある意味共感しにくいとすら思ってしまう。すべてを受け入れられるところは「超人の器」と言えるんじゃないかな。

――それでは、お二人が特に印象に残ったシーンについて教えて下さい。

杉田:最後にゲーティアが藤丸と拳で語り合ったシーンです。力を失って、放っておいても消えてしまうという時に、最後まで藤丸の前に立ちふさがろうとした。藤丸の方もその思いを正面から受け止めて「最後に俺と『スクライド』(※1)しようぜ!」と付き合ってくれて。ゲーティアも「そうか。俺は友達が欲しかったのか。やっぱり男友達って最高だよな!」と思ったのかも。

鈴村:たしかに、最後の藤丸とゲーティアの殴り合いは「仮面ライダークウガ」の最終回っぽかったよね(笑)。僕は絶望的な状況の中でロマニがフラッとやってくるシーンです。主人公のピンチに駆けつけるシーンというのは、やっぱり憧れますよね。いつか自分の人生でも、高いところから「待てーい!」と言いながら登場してみたいんですが、なかなかそういうチャンスにはお目にかかれないので(笑)。物語の中だけでも演じさせていただけてありがたかったです。

――実生活でもチャンスがあればやってみたいと。

鈴村:やってみたいですね。あとは「覚えてろ!」と言いながら去っていくのもやってみたいですけど、これも実生活ではなかなか使わないですよね。これもどこかの誰かが最初に使ったと思うんだけど、何の作品なんだろう。

杉田:もう当たり前のように根付いていますけど、時代劇なのか、はたまたヒーローものなのか。元祖は何なんでしょうね。

鈴村:人類史において最初に「覚えてろ!」という言葉を使った人は偉大ですね。……何の話をしているんだ、僕らは(笑)。

――それでは、最後に『FGOソロモン』を最後まで見届けてくれた方々に向けてメッセージをお願いします。

鈴村:僕らの業界でも『FGO』ファンは多くて。かつて僕がロマニを演じることが決まった時に、彼らに「鈴村さん、今度ロマニをやるんですって?」「ああ、尊い……」と拝まれたことが何度かありました。当時は「これはいったい何なんだろう」と思っていましたが、今に至って彼らの思いをようやく理解できた気がします。

しかし、ゲーティアの視点から考えると、果たしてロマニは拝まれるべき存在なのかという気持ちも生まれてしまって。『FGO』はやっぱり深いなと。

『FGOソロモン』はエンタメ作品ではありますが、見方によっていろいろなとらえ方ができる作品です。ぜひ最後までご覧いただき、原作ゲームの方も愛し続けていただけると嬉しいです。

杉田:最後に待っている結論と、原動力となっている思想。それを他者が侵すということだけはしてほしくないなと。あなたの隣で苦しんでいる人、あなたと違う考えを持っている人、みんな普通の男の子であり、女の子なのだとゲーティアはそっと言ってくれているはずです。

――ありがとうございました。

※1:スクライド
2001年7月~12月に放映されたTVアニメ。「アルター能力」と呼ばれる特殊能力を持つ者たちの熱きドラマが描かれる。アルター使いの主人公・カズマと、そのライバルである劉鳳が拳で語り合うシーンが人気を呼んだ。

アニメ映画『Fate/Grand Order -冠位時間神殿ソロモン-』作品情報

全国の劇場にて絶賛特別上映中

イントロダクション

2019年10月より2クールに渡り放送され紀元前の古代メソポタミアを舞台に、人と神の壮大な闘いをTVアニメーションとして圧倒的なスケールで映像化し、大好評を博したTVアニメシリーズ『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』。焼却された人類史を存続させるため、歴史上の特異点を修復すべく日夜活動を続けている人理継続保障機関・カルデア。マスター・藤丸立香と、そのデミ・サーヴァントであるマシュ・キリエライトは、カルデアの仲間たちに支えられながら、いよいよ最終決戦・終局特異点に立ち向かう――。

『バビロニア』に引き続き、CloverWorksが制作を担当、赤井俊文が監督を務め、大胆に繊細に映像化。ゲーム『FGO』リリース6周年となる記念すべき日(=7月30日)から劇場特別上映が決定。各章から様々なサーヴァントも参戦する第一部完結の物語。未来を取り戻す、その運命の戦いの結末とは――。

あらすじ

七つの特異点での戦いを遂行し、ついに聖杯探索グランドオーダーの最終地点――終局特異点、冠位時間神殿ソロモンへと到達した人理継続保障機関・カルデア。

全ての元凶である魔術王ソロモンを倒し、未来を取り戻す。そのときを間近に控えた一行は、それぞれの時間を過ごしていた。

ロマニ・アーキマンは自分がこれから行うであろう選択に、マシュは限りのある命に、思いを馳せる。そして最後の作戦を控えた藤丸は、新たな礼装に身を包もうとしていた。

これまでに得た多くの出会い、そして多くの未来を賭け、藤丸とマシュはついに最後の作戦へと赴く……。

STAFF

原作:奈須きのこ/TYPE-MOON
リードキャラクターデザイナー:武内崇
監督:赤井俊文
脚本原作:奈須きのこ
キャラクターデザイン:高瀬智章
サブキャラクターデザイン:岩崎将大・滝山真哲・川上大志
総作画監督:浜友里恵
クリーチャーデザイン:浅賀和行
プロップデザイン:道下康太・竹内志保
コンセプトアート:幸田和磨
テクニカルディレクター:宮原洋平
美術監督:薄井久代・平柳悟・臼井みなみ・合六弘(マカリア)
美術設定:塩澤良憲・竹内志保
色彩設計:中島和子
撮影監督:松井伸哉・佐久間悠也
3DCG:株式会社白組
3Dディレクター:吉田裕行
編集:三嶋章紀
音楽:芳賀敬太・川﨑龍
音響監督:岩浪美和
エンディングテーマ:愛弓「Eternity Blue」
制作:CloverWorks
配給:アニプレックス

CAST

藤丸立香:島﨑信長
マシュ・キリエライト:高橋李依
フォウ:川澄綾子
ロマニ・アーキマン:鈴村健一
レオナルド・ダ・ヴィンチ:坂本真綾
ソロモン:杉田智和

公式サイト
公式ツイッター

(C)TYPE-MOON / FGO7 ANIME PROJECT
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