
少しずつ近づく高木さんと西片。でも、大事なのは「如何に上手にからかわれるか」――冬アニメ『からかい上手の高木さん3』高橋李依さん&梶裕貴さんインタビュー
アフレコは卓球と将棋を同時にやっているようなイメージ。おふたりの共通認識である“高木感覚”とは
――改めて、ご自身のキャラクターを演じる上で大切にしているポイントなど、演技面でのお話をお聞かせください。
梶:技術的な面でいうと、西片はけっこう難しい役だなと感じています。まずセリフとモノローグ、つまりは、表面的な部分と内面的な部分の切り替えが入り乱れていて。加えて、テンションの高低、喜怒哀楽がものすごいスピードで変化する子なんですよ。それに対応しながら瞬時に頭と心を動かしていくのが、かなりハード(笑)。
僕、声優の仕事って、どこか短距離走に似ている気がしていて。ひとつの作品につきAパートBパートそれぞれを全力で走って、少しの休憩と移動を挟んで、次のレースがある。その現場ごとにリセットして、新しく勝負をはじめる感覚があるので、持久力以上に瞬発力が大事な気がするんです。
同時に、アフレコって卓球と将棋を一緒にやっているようなイメージもあって(笑)。お芝居のラリーを続ける中で、当然、自分が思った球とは違うものが来たりもするわけです。でも、それをただ返すだけじゃなく、瞬時にどの方向に攻めようかなとコースを狙って駆け引きをしなくちゃ面白くないんですよね。
そして、そこからさらに、次の戦術を組み立てていく必要があるので、先の手を自分で予想しておかなきゃいけない。他の作品と比べて『高木さん』では、それを2、3倍速でやっているみたいな印象なので……そこに割くべき集中力やエネルギーは、相当なものがあると思います。
高橋:私も今の梶さんのお話を聞いて「確かに」と思うほどに、この作品には技術として集中しなくちゃいけないパートが多いなと思います。パート数もA,B,Cパート、たまにDパートと数も多い分、短距離走という言葉がピッタリで、頭と体力も使います。
梶:この作品は、本当に体力も精神力も使うよね……(笑)。基本的には、ずっと2人で喋っているわけだし。
高橋:そうなんですよね! 終わったあとは、「アフレコした~!」といった感覚になります。かなり頑張らないと完成しない作品だと思っているので、心も大事にしつつ、声優としての技術力といった部分も、シリーズを重ねるごとにこうしたほうが良くなるんだなという“高木感覚”みたいなものを研ぎ澄ませているような(笑)。アフレコが始まったときも、高木さんのアフレコが戻ってきたね、みたいな話をしましたよね。
梶:そう、俺も今聞いて思い出した! 1,2話の収録のときに「『高木さん』の収録って、こんなに疲れたっけ?」って話したよね。第2期からそれなりに期間は空いていたし、自分自身の老いのせいもあるとは思うけど…とにかく、すごく疲れました(笑)。
高橋:これですよ、“高木感覚”! 独特なアフレコなので、体力を使うんですよね。
梶:他の作品とは比にならないくらいセリフの文量が多いんです。
高橋:台本が分厚いですよね。
梶:まあ、にしても西片はちょっと異常な気もするけど……。
高橋:西片は、セリフとモノローグを連続で喋るセリフがありますが、あまり別にしたりすることが少ないですよね。
梶:そうだね。物理的に、会話とモノローグを同時に喋っていたりするときは流石に別で収録しますが、基本的には流れのまま収録しています。すごく難しいですけど、それが楽しくもありますね。
高橋:楽しいですね。それにアフレコ現場では西片のモノローグが丸聞こえなので、高木さんとして西片はこう思っているだろうなとイメージできて、とても演じやすいです(笑)。
梶:実際に高木さんも、西片の表情を見ただけで「今こう考えているんだろうな」ってわかっちゃうんだろうね。
高橋:とても丁寧なガイドといいますか、演じる上でもやりやすかったですね。
――収録はご一緒に?
梶:はい。コロナ禍ではありますが、基本的に僕たち2人は一緒に収録させていただくことができました。やっぱり、同じ場所で心を共有できているかどうかって、お芝居に大きく影響してくるので。
高橋:ただちょっと距離感が違うと、なんだか大人びて聞こえちゃったり。
梶:そう、わからなくなっちゃうよね。感染症対策を万全にし、収録の準備をしてくださった音響スタッフさんやスタジオの皆さんに感謝です。




































