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『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』山口 晋監督インタビュー

『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』山口 晋監督インタビュー|ミニチュアの実写を2Dと合成しているのが注目ポイントの1つ、そしてゲスト声優の香川照之さんに送った手紙とは?

監督が好きな『ドラえもん』エピソードと、『ドラえもん』の魅力とは?

――『ドラえもん』の中でお気に入りのエピソードや作品を挙げていただけますか?

山口:「天井うらの宇宙戦争」と「ガンファイターのび太」で、「ぜひこれを30分ものでやりたい」と思っていましたが、それをやらせていただけたことはすごく嬉しかったですし、ラッキーだなと思いました。あと定番になりますが、「ゆうれい城へ引っこし」とか。広げるとそのまま長編にできそうな世界観の広がりがあって、通常のシリーズでそういうエピソードがあるとワクワクしたし、好きでした。

――『ドラえもん』という作品に感じる魅力や長く愛されている理由とは?

山口:『ドラえもん』で描かれていたことがスマホやゲームで疑似体験できたり、科学の進歩によって既に実用化されているものもありますが、子供たちやその延長の大人たちが「こうだったらいいな」ということをF先生が最初からずっと描き続けてきたことじゃないでしょうか。

「ドラえもんのうた」で「そらをじゆうにとびたいな」などみんなの夢や願望を歌っていますが、『ドラえもん』を見て育った子供たちが大人になって夢を実現することが出来たら素晴らしいなと思っています。

――「ドラえもんがいたらいいのにな」という夢は20年前の子供も今の子供も変わりませんよね。

山口:そうですね。時代が変わっても。今ヒットしているアニメの主人公はカッコいい人たちがカッコよく戦って、悪を倒す、みたいな作品が多いんですが、ドラえもんはかわいいけど、カッコよくはないですよね。

同じ丸メガネの子供キャラという点で、ハリーポッターになりたいという人はいても、のび太くんになりたいという人はたぶんあまりいないんじゃないかな? そういう子が主人公であることが希少なのに、これほど子供たちに支持されていることは素晴らしいですし、なくなってもらっては困る作品だなと思います。

――あまりに美男美女で優秀すぎる主人公だと、身近に感じたり、感情移入したりすることは難しいかもしれませんね。

山口:アニメやマンガの主人公に憧れて、その延長線上でスポーツ選手になったり、役者になるのはもちろん素晴らしいことですが、そうではない方向もF先生はちゃんと提示してくれている気がします。

『映画ドラえもん』の監督にという夢が実現。今回、名作のリメイクすることになった経緯は?

――監督は2011年の『映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』から『ドラえもん』のアニメに関われていますが、今回『映画ドラえもん』の初監督のオファーが届いた時の感想をお聞かせください。

山口:この仕事をしている間に1回は『ドラえもん』の映画をやれればいいなというのが僕の夢の1つでしたし、自分の中で5カ年計画を立てて、その間に実現できればと思っていました。最初は作画から始まって、TVシリーズの演出もやらせてくださいと申し出て、徐々にTVシリーズのコンテ・演出をするようになって、映画版のお手伝いもさせていただくようになり、「じゃあ映画をやっていいよ」と言われて、ここまでたどり着けました。

――子供の頃から好きだった作品のアニメを、自分が作るという夢を実現されたわけですね。

山口:普通は50年も現役で作品が読まれていたり、アニメが続いていること自体、珍しいことなので、『ドラえもん』とそのファンのおかげです。そして、それだけの魅力やパワーを持っている作品という証拠だと思います。

――今作は1985年に上映された『のび太の宇宙小戦争』のリメイク作品ですが、どんな経緯で題材が決まったのでしょうか?

山口:監督をさせていただくことが決まった後、原作でやりたいものを聞かれたので、「『のび太の宇宙小戦争』をやらせてください」と提案させていただきました。僕は宇宙が背景にあったり、メカがビームを発したり、爆発シーンなどが好きな人間だったこともあるし、オリジナルが公開された時には高校生になっていて、その当時から好きだった原作から選ばせていただきました。

オリジナルが公開されたのが35年以上前ということで、「今の時代的にどうだろう?」とか「今風にアップデートしたほうがいいのでは?」という意見もありました。でも手を加えすぎて別物になるのは嫌でしたし、例え時代錯誤だったとしても提示することに意味があると思っていたら、世界情勢が変化したことで、思わぬ形でタイムリーになってしまって。

――意図したわけではなく、世界情勢がそうなってしまったと?

山口:『ドラえもん』は、社会や政治的なメッセージを伝える作品ではありませんから。F先生のメッセージは受け取りつつも、まずはたくさんの方に楽しんでいただける娯楽作品として制作していますし、そのための設定や道具としてピリカ星の反乱軍「PCIA」や独裁者のギルモアなどがいるだけで。

あくまで原作に寄り添いながら制作しましたが、ピリカ星に女性がメインキャラも含めて1人はいてほしいなと思って、またパピくんはのび太たちと同じ年ごろなのに星の大統領というのも現実的ではない気がして、説得力を持たせたくて、今回新たにピイナというキャラを作りました。僕たちなりに今風にやらなくてはいけないかなと思ったところは少しアレンジを加えていますが、極力、原作から変えないように作りました。

 

(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2021
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