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アニメ『平家物語』がもっと楽しくなる!? 情報まとめ

アニメ『平家物語』がもっと楽しくなる!? これを知ればもっと詳しくなる! こぼれ話や豆知識、公式からの情報などをご紹介!

3月23日(水)に最終話の放送を迎えた冬アニメ『平家物語』。昨年FODにて先行配信されてから徐々に話題を呼び始め、地上波放送が開始してからは原作の存在感と豪華声優陣なども相まって盛り上がりを見せています。

しかし「平家物語」は国語の教科書に掲載されるほどの歴史的大作で、どうしても「学校で習うもの」や「勉強するもの」としてイメージしたり、登場人物の多さや固有名詞、当時の言葉遣いに翻弄されて難しい印象がある読者のみなさんも多いかも知れません。

アニメ『平家物語』ではそのようなイメージを払拭するようなポップな演出や過不足無い脚本で見やすくなっていますが、それでも地名や人名などに意識を持っていかれて、肝心なストーリーを楽しめない……。という声もちらほら見かけます。

そういうこともあり、そもそもの苦手意識があって、面白そうだけど手が出せないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

本稿ではそんなあなたの背中を押すべく、「『平家物語』をもっと楽しむための記事」となっております!

私はアニメを視聴して興味が湧いたので、本作の原作である『平家物語(訳:古川日出男)』を読んでみたのですが、今回映像化されていない部分にも面白い挿話がたくさん書かれており、さらに『平家物語』という作品が好きになりました。

そんな原作の中から物語がもっと楽しくなるようなこぼれ話やエピソードをご紹介!

また『平家物語』は公式サイトやTwitterからの物語の周辺情報のサポートも手厚くなっているので、その辺りもご紹介!

アニメを見終わって「平家熱」が上がっている方も、これから見てみたい方も一緒に『平家物語』をとことん味わっていきましょう。

※「平家物語」は史実を元にしたフィクション作品です。以下の挿話やエピソードは一部史実と異なります。

 

清盛の父・平忠盛って?

本作の重要人物、「平清盛(たいらのきよもり)」の父親であり平家が栄えるきっかけを作った人物です。

朝廷から派遣された、現在で言う岡山県の地方公務員的ポジションの人物です。平家は下級貴族として性を受けた一族でしたが、忠盛は貿易などのビジネスで活躍したり、所持していた仏像を寄付したりして目立つ存在となっていったようです。

 

芸と“用意周到”さを持った忠盛

彼はその実力で出世を繰り返しますが、それをよく思わない者もいます。

周りの役人は忠盛を誹謗中傷していましたが、忠盛は耐え忍びます。そこで役人たちは「忠盛を闇討ちする」という計画を立てるのです。

それを聞きつけた忠盛はその計画が行われる当日、一人の家来を武装させて宮中に待機させ、自身も刀を目立つように所持していたのです。

もちろん闇討ちは失敗しますが、役人たちは宮中に刀を持って入ってくること、武装した家来を入れることが法律違反だとして上皇に訴えるのでした。

そこで罪を問われた忠盛は「部下には何も指示しておらず、自分の身の危険を聞きつけて無礼を承知でやってきた。彼のような主人を大切にする部下に恵まれているのが私である。そして闇討ちに対して牽制するために木刀に銀箔を塗って持ってきていたのです」と発言。

家来も話を合わせ、刀も本当に木刀だったので罰するつもりでいた上皇は「用意周到な男だ!」と逆に褒め称えたそうです。

彼のたくましさが伝わるエピソードですよね。また忠盛は「歌(今で言う俳句やラップみたいなもの)」の実力も優れており様々な歌集に残されているほど。現代を生きる私が読んでみても、思わず「イエーイ!」と叫びたくなるほど上手い事言ってました。

武にも精通していて頭も切れる、それでいて芸達者であるという魅力的な人物だったようです。

 

平清盛ってどんな人?

そんな忠盛の長男。平家をさらに発展させ、また衰退させた人物です。

当時の勢力の中心だった「天皇家」、摂関をしていた「貴族」、武力を持ち独立していた「お寺や坊さんたち」の中間地点にたち大仏や寺社を寄進、身内を婚姻させることで良好な関係を築き平家を導いて行ったようです。後に「太政大臣」という平家では到底ありえないとされていたポジションまで出世を果たしています。

アニメでは「おもしろかろう?」と子供のように笑う清盛が印象的ですが、彼が大出世を果たした要因?とも言われている逸話が原作で描かれています。

清盛がとある場所に船で参詣しに行く道中で、一向の船に大きな魚(スズキ)が飛び込んできたそうです。その時ともに行動していた人物が「スズキを食べろ」というのです。

当時、参詣をする場合はできるだけ身を清めて向かう事がルールとされていて、参詣中の殺生や肉や魚を食べることがタブーだったです。清盛は「確か中国の王も同じような経験をしていたと読んだことがある!」と言って調理し家来などに食べさせたそうです。

当時は今と違って、神仏に対する信仰が厚く、政治面においても信仰を意識したものが多くありました。その中でのこの行動です。

そこからというもの、清盛のみならず平家の人間は異常な速さで出世をしたそうです。なんとも清盛らしい派手な挿話ですよね。

 

女性に対しても傍若無人な清盛

作中でもその破天荒な性格を見せつける清盛ですが、女性に関しても面白い、というか悲しいエピソードが書かれています。

アニメにも登場する白拍子(しらびょうし、芸者や踊り子のような女性たち)の祇王(ぎおう)と仏御前(ほとけごぜん)という女性と清盛の挿話です。びわの母親も白拍子であったし、祇王はびわとのコラボ演奏もしていましたね。

祇王は美しく踊りが上手いので、清盛に気に入られその妹や母親にもお米やお金を送るなどすごくかわいがっていたそうです。羨ましすぎて「祇」という字を名前に使い始める白拍子たちも多くいたとか。

 
その数年後にまたもや天才的な白拍子が現れます。それが仏御前です。若く美しく自信があった彼女は自ら清盛のもとに行き、営業をかけます。清盛は一度は無礼だと断りますが、祇王が「白拍子は自分で営業かけるものよ」と説得。踊りを見ることに。

すると清盛は仏御前を大変気に入り、祇王とチェンジしてしまうのです。

仏御前は実力を認めて欲しかったものの、こうなることは予想できず祇王を追い出した罪悪感で滅入ってしまいます。祇王も自分の良心のおかげで生活は一変。清盛の補助もなくなるわ、捨てられた屈辱もあって落ち込んでしまいます。

ここで清盛の自己中が爆発。

仏御前が元気を出さないので、祇王に励ましの踊りをしに来てくれ。となんの嫌味もなく手紙を出したのです。元カノに今カノを元気づけてくれ! と言うことです。しかも逆NTRみたいになっているのに! 何度断っても複数回に渡って、脅迫も交えながら呼んでいたそう。

家族の説得もあって嫌々清盛の元にやってきた祇王。試しに歌を詠んで見ろと言われた祇王が1つ詠むと清盛は「やっぱ祇王すごい! でも今日はやっぱり用事で踊りは見れないけどいつでも来て仏を元気づけてやってな!」と言い放ったそうです。

アニメでは徳子がこのお話をびわにかいつまんで話して聞かせていましたね。祇王と仏御前が登場して気まずそうにするシーン描かれていました。祇王と仏御前のその後やアニメよりも物悲しく、リアルな心境などはぜひ原作で楽しんでみてください。

資盛(すけもり)の鷹狩り事件

「世の乱れはじめる根本」と記されているほど、ターニングポイントの1つとなったこの事件。アニメではぽっちゃりとしてかわいい清盛の孫・資盛が当時の摂政(幼い天皇などのかわりに政治をする役職)・藤原基房(ふじわらのもとふさ)一向にボコボコにされてしまって、かわいそうに思った方もいらしたのではないでしょうか。

原作ではあの事件がもう少し細かく書かれています。当時13歳だった資盛、その部下たちも20歳そこらの若者であり平家の勢いも相まって礼儀を軽んじていたようです。

また夕暮れで薄暗いこともあり基房たちも無礼を働いたのが資盛だとは気づかず(中には知らないフリをしているものもいたためやはり一定数には嫌われていた様子)に馬から引きずりおろしたのでした。

その後は重盛の提案も無視され清盛は仕返しを決行します。基房たちを襲って大夫である藤原隆教ちょんまげを刈り取る際に「これはお前の主人のそれだと思え!」という超無礼なセリフを吐いた者もいて、どうみても悪党ですよね。

その他にも車を破壊したり牛についた装備を壊したりと好き放題。重盛は呆れて資盛を謹慎させますが、この事件をきっかけに後白河法皇は平家や清盛を問題視するようになりました。

そして鹿ヶ谷の陰謀へと繋がります。

  

鹿ヶ谷の陰謀と重盛の諌め

平家昇進への不満や横暴な清盛の態度を嫌がったのは後白河法王(ごしらかわほうおう)だけではなく、重盛に命を助けられた恩のある藤原成親(ふじわらのなりちか)もそうでした。

彼や法皇(出家した上皇)、西光法師(さいこうほうし)、僧である俊寛僧都(しゅんかんそうず)や複数名の武士たちで平家を滅ぼそうと企てたのが鹿ヶ谷での陰謀です。

 
この俊寛の別荘で行われたこの密談は大いに盛り上がり、平家を倒す見苦しい寸劇まで繰り広げられたそうです。

結局この企みはバレてしまい首謀者で重盛に救われた過去を持つ藤原成親は、清盛に幽閉されてしまいます。閉じ込めた部屋に清盛が現れ成親に「恩を知るのが人間であり、知らぬは畜生である」と言い放つのも清盛らしい文句です。

あの清盛なので徹底的に仕返しをする計画を立てるのですが、そこでも父親の暴走を止めるのは重盛です。重盛の妻は成親の妹でもあったし平家のメンツや、成親の功績などを思っての重盛の行動なのでした。重盛の名演説があるも清盛は全く納得いかない様子です。

また成親の息子・藤原成経(ふじわらのなりつね)に対しても清盛は怒り、命まで奪おうと考えています。成経が成親を思い涙するエピソードも印象的です。

 

重盛、涙の説得

成親の首を跳ねることをやめた清盛の怒りは法皇へと向けられます。侍を集め法皇のもとへ攻めさせて強制的に別の宮殿に移してしまおうと言うのでした。

なので重盛は父の元へと急いで向かい説得します。アニメでも重盛が清盛に「首をはねろ」と宣言するのが印象的でしたね。

重盛は理路整然と父親の行為がいかに間違ったものであるかを説明します。そのセリフから重盛の教養の深さが感じられます。中には聖徳太子の十七条憲法を引用したセリフもありました。

「人はみなお互いに賢く愚かであるからこそ、嫌なことがあったら自分に過失があるかもしれないと考えなさい。そう書いてあったでしょう」と清盛に正面切って言ったそうです。

そして重盛は、「父親に背いて法皇を守ることも言うことを聞いて攻めることもできないように首をはねてください」と涙ながらに訴えるのでした。

ほかにも重盛のセリフや態度は金言の宝庫で現代にも通ずる姿勢とも言えるでしょう。

 

壮絶な清盛の死

アニメでもインパクトのあった清盛の死。同室にいる家来まで暑がったり、かけた水がたちまち蒸発してしまうような熱を出して清盛は死にました。

これは往生要集(おうじょうようしゅう)と呼ばれる仏教書にも似た記載があるそうです。悪い人間は体からありえないほどの熱が出て死ぬ。それを回避したければ念仏を唱えるほかないとのこと。

しかし清盛は念仏なんて唱えませんでしたよね。死ぬ間際まで「頼朝の首を……」と復讐に心を奪われていました。なので地獄に行くことが決まってしまい、時子まで閻魔の使いである不気味な牛を見たのではないでしょうか?

当時の当たり前の価値観である「仏教」の教えまで超越した清盛のパワーを感じるエピソードになっています。

 

『平家物語』は公式からのフォローも手厚い!

ここまでは「平家物語」の前半部におけるみどころのこぼれ話やプチ情報を原作からご紹介しました。興味が湧いた方はぜひ原作小説もおすすめです!

そして、アニメ『平家物語』は原作だけではなく公式サイドからの情報も手厚く、上記にもあるような物語をさらに楽しめる用語解説や専門家による解釈・解説がHPやTwitterで公開されている他、山田尚子監督の雑記やキャラクター設定などが掲載された書籍なども発売中です。

『平家物語』公式サイト 解説コラム

 

 
アニメイトタイムズでも場面カットや楽曲・物語へのレビュー記事を多数掲載しておりますのでそちらも是非チェックしてみてください!


画像文字平家の傲慢すぎるがゆえに乱立する滅亡フラグは回避できるのか……?滅亡という結末を知っている我々視聴者という新たな視点が生まれた画期的なアニメ『平家物語』の魅力を考えてみた

 

画像文字平家の人々を見続けてきた主人公のびわが、琵琶を奏でながら何を語り継いでいくのか。そして時代が過ぎていっても容姿が変わらないびわの未来がどうなっていくのか……第四話を終えた時点で気になる点がいくつもある本作の魅力に迫りつつ、アニメに寄り添って作られたOPテーマ「光るとき」について考えていく。

現代、そしてこれから先まで永遠に語り継がれていく平家の盛者必衰の物語。その中にアニメ『平家物語』もしっかりと刻み込まれていきます。

このような時代だからこそ学ぶことも、感動することもある本作品の魅力はきっと限定的なものではなくどんな時代でも刺さる普遍的なものになるでしょう。

ぜひあなたもその語りべの一人になってみませんか?

アニメ『平家物語』作品情報

 

イントロダクション

《祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり 娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす》

平安末期。平家一門は、権力・武力・財力あらゆる面で栄華を極めようとしていた。

亡者が見える目を持つ男・平重盛は、未来(さき)が見える目を持つ琵琶法師の少女・びわに出会い、「お前たちはじき滅びる」と予言される。

貴族社会から武家社会へ―― 日本が歴史的転換を果たす、激動の15年が幕を開ける。

 

放送・配信情報

フジテレビ「+Ultra」ほかにて2022年1月12日(水)24:55~より放送開始
9月15日(水)24時よりFODにて先行独占配信

※放送、配信日時は都合により変更となる可能性があります。

 
■テレビ放送
フジテレビ:毎週水曜 24:55
関西テレビ:毎週木曜 25:55
東海テレビ:毎週土曜 25:45
北海道文化放送:毎週日曜 25:10
テレビ西日本:毎週水曜 25:55
BSフジ:毎週水曜 24:00(※初回放送1月19日)

※放送時間は予告なく変更になる可能性がございます。

 
<初回放送>
フジテレビ:1月12日(水)25:05
関西テレビ:1月13日(木)25:55
東海テレ:1月15日(土)26:15
北海道文化放送:1月16日(日)25:20
テレビ西日本:1月12日(水)26:25
BSフジ:1月19日(水)24:00

 
■見放題サービス<毎週各話更新>
FOD:全話配信中
Netflix:毎週木曜
Amazon Prime Video:毎週木曜 12:00
アニメカ:毎週木曜 12:00
J:COMオンデマンド:毎週金曜 0:00
milplus:毎週金曜 0:00
ひかりTV:毎週木曜 12:00
dアニメストア:毎週木曜 12:00
U-NEXT:毎週木曜 12:00
アニメ放題:毎週木曜 12:00
dTV:毎週木曜 12:00
バンダイチャンネル:毎週木曜 12:00

 
■都度課金サービス<毎週各話更新>
ビデオマーケット:毎週木曜 12:00
music.jp:毎週木曜 12:00
DMM動画:毎週木曜 12:00
GYAO!ストア:毎週木曜 12:00
Rakuten TV:毎週木曜 12:00
TSUTAYA TV:毎週木曜 19:00
ムービーフルPlus:毎週木曜 12:00
HAPPY!動画:毎週木曜 12:00
Google Play:毎週木曜 12:00

 

スタッフ

原作:古川日出男訳『池澤夏樹=個人編集 日本文学全集09 平家物語』河出書房新社刊
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
キャラクター原案:高野文子
音楽:牛尾憲輔
アニメーション制作:サイエンスSARU
キャラクターデザイン:小島崇史
美術監督:久保友孝(でほぎゃらりー)
動画監督:今井翔太郎
色彩設計:橋本賢
撮影監督:出水田和人
編集:廣瀬清志
音響監督:木村絵理子
音響効果:倉橋裕宗(Otonarium)
歴史監修:佐多芳彦
琵琶監修:後藤幸浩

オープニング・テーマ:羊文学「光るとき」
エンディング・テーマ:agraph feat. ANI(スチャダラパー)「unified perspective 」

 

キャスト

びわ:悠木碧
平重盛:櫻井孝宏
平徳子:早見沙織
平清盛:玄田哲章
後白河法皇:千葉繁
平時子:井上喜久子
平維盛:入野自由
平維盛(幼少期):小林由美子
平資盛:岡本信彦
平清経:花江夏樹
平敦盛:村瀬歩
高倉天皇:西山宏太朗
平宗盛:檜山修之
平知盛:木村昴
平重衡:宮崎遊
静御前:水瀬いのり
源頼朝:杉田智和
源義経:梶裕貴

 
公式サイト
公式Twitter(@heike_anime)

(C)「平家物語」製作委員会
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