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『すずめの戸締まり』感想レビュー|鈴芽の“アクション”について、「戸締まり」とは?、僕らはこれからどう生きる?

『すずめの戸締まり』草太世代ライターの最速レビュー、感想!|鈴芽の"アクション"について、「戸締まり」とは?、僕らはこれからどう生きる?

 

ネタバレ注意

『すずめの戸締まり』は今を描いた映画

本作は鈴芽と草太の恋愛や、扉を閉じるために奔走する彼女たちの冒険が描かれた作品ですが、私達が生きる現代社会を表現したものでもあります。

入場者プレゼントである「新海誠本」には東日本大震災をテーマに描いた作品であり、震災が日常に張り付いたような世界だと新海監督自身も明言しています。

それぞれのキャラクター達が現実の私達を表しているのではないかと思います。ここでは、草太、鈴芽のについて考えてみたいと思います。

  

呪いを受けた草太

彼は大学の卒業を控える学生でありながら家業として、地震の原因となる扉をしめる閉じ師としても活動しています。

彼はまさに現実の「震災を目の当たりにした若者」だと解釈しました。当時まだ12歳ほどで、直接被災していないものの、歳を重ね社会を理解していく中で、起こった出来事の重大さを感じていく世代です。

 
彼は劇中でイスの姿に変えられてしまいます。「新海本」では彼の呪いを「不自由な時代や場所に縛られた」と言及されていましたが、その不自由さ、呪いの中に、震災から時間が立つほどに感じる恐怖や不安も含まれているのではないかと思います。

筆者が自分に重ねすぎているだけかもしれないのですが、私は鈴芽のいる九州の出身なのでそのような意識が強くあります。草太はきっと自由に生きたかったと思うんですが、閉じ師として地震と向き合って生きるしかないんですよね。

草太の姿は東日本大震災の後に思春期を過ごし、大人になっていく世代にとってすごく共感できるものだと思います。

  

忘却の鈴芽

物語後半で鈴芽が12年前の震災で母親を失っていた事が明かされます。

彼女の思い切りの良さや、印象的だったセリフ「生死は運だ」、「死ぬのは怖くない」というものからなんとなく予想が付いていましたが、小さい頃に常世に迷い込んだのは被災した時だったんですね。

本稿でも取り上げたすずめの飛び越えるアクションですが、それも彼女の体験から来る行動だと筆者は思います。自分の体や命を戸締まりの為に簡単に投げ出す彼女を表現しているのが飛び越えるアクションだと思います。

 
鈴芽は「記憶の曖昧な頃に被災した人物」になっていますが、それが現実に置いても直接的な比喩になっているとはあえて書きません。しかし彼女の態度に共感したり、もしかすると傷ついてしまう方もいるはず。

何が起こっても日常は淡々と進んでいき、生活を重ねる中で忘れたり慣れたりしながら生きていたのが鈴芽です。新海監督も言及していましたが、この規模でアニメーション映画でここまで描いたという事だけでも、相当な覚悟が必要で、本気で作品と向き合ったのが伝わってきます。

 

鈴芽と草太と災い

本作の見所を紹介する下記の記事でも触れたのですが、『君の名は。』『天気の子』と連続したテーマとして、「災いとの向き合い方」が描かれているかと思います。

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『君の名は。』では彗星(隕石)、『天気の子』では異常気象による長雨。そして今作『すずめの戸締まり』では震災が描かれています。作品を重ねる毎によってより災害としての現実度が上がっていますよね。

 
『君の名は。』では災いを防ぎ、『天気の子』では災いを受け入れた。では『すずめの戸締まり』はどうでしょう。前2作と違う点として、物語の始まる前に大きな災害によって甚大な影響が出ているという点が挙げられます。

東北での震災を踏まえて、全国で地震が起きていく。この時点で本作は「災いと共に生きる」という答えが描かれています。

そして今回重要なのは、「どんな気持ちで災いと生きるのか」ということも描かれているということです。

 

鮮烈なラストシーン

それを描いているのはやはりラストシーン。草太は自分の運命や、ダイジンの代わりに受け継いだ役割と向き合った上で「死ぬのは怖い、生死はいつでも隣り合わせだけれど、光の中で生きたいと願う」とミミズやダイジンたちに宣言していました。

鈴芽も自らの生きたいという思いを理解しました。そして幼い頃、不安や悲しみに打ちひしがれていた自分を救ったのは、「日々を一生懸命に生きてきた未来の自分」だったということが分かります。

「私は、あなたの明日!」というセリフは凄く印象的でしたよね。彼らの最後は新海監督からの私達へのメッセージだと私は思います。特に筆者は草太にすごく感情移入していたので、社会や震災、様々な出来事とちゃんと向き合いながら希望を持って生きたいと思いました。

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皆さんはそれぞれ本作から何を受け取りましたか? 友達や家族、大切な人とちょっぴり真剣に感想を語り合うのも素敵な時間だと思います!

 

この記事をかいた人

タイラ
99年生まれ、沖縄県出身。「京都アニメーション」「サイエンスSARU」「スタジオジブリ」系の作品が好きです。
(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会
(C) 2016「君の名は。」製作委員会
(C)2019「天気の子」製作委員会
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