見せる覚悟と見る覚悟。『ベルセルク』はものすごい力を持った作品――『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』編集・重村建吾さん＆TVシリーズ監督・佐野雄太さんインタビュー（前編）

映画三部作『ベルセルク 黄金時代篇』の公開から10年。TVシリーズ『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』として、鷹の団の輝かしい時代が再び語られ、そして、その終焉がまた彼らを蹂躙する──。

原作は言わずとしれた三浦建太郎による同名コミック。2022年6月時点で全世界累計発行部数5,500万部（紙+電子）突破する、世界で愛され続けるダークファンタジーが、STUDIO4℃による鮮烈な映像表現でアニメーションとして描き出される。メモリアル・エディションでは映画版では描かれなかった「夢のかがり火」など原作珠玉の名シーンを追加。毎週土曜日24:30～好評放送中だ。

アニメイトタイムズでは、かつての制作秘話、新規シーンへのこだわりなど作品に込めた想いをスタッフ＆キャストが語り明かす連載インタビューを実施。第13回は、映画三部作制作時にはプリプロダクションから現場に入ってフィルムの軸を定めてきた編集の重村建吾さんとTVシリーズ監督を担った佐野雄太さんの対談（前編）をお届けする。

「いよいよアレが来ますよ」

――放送も大詰めです。みなさんからの反響をどのように受けとめられていますか？

佐野：毎話、良い反応をいただけていてうれしいです。配信もあるので、より多くの方に見ていただけたらいいなと思います。

重村：（取材時、第9話放送前）ある意味、ここからが黄金時代篇の山場というか、佳境なので、みなさんの感想がさらに楽しみになってきますね。

佐野：ここで見たくなくなる人もいるでしょうけど（笑）。

重村：見たいけど見たくないという。ここまでの積み上げがあってこその展開なので、原作からのファンの方々は楽しみにしてくださっていると思いますが、それでもみなさん、ある種の覚悟を持って見てくださっている感じですね。

佐野：毎話のEDムービーの効果もあって、TVシリーズを通して輝かしい時代をより輝いていたものとして見つめている感覚があって、それが崩れていく悲しみというのが増している感じがします。

――お二人ともSNSなどで感想を検索されて？

重村：僕は毎週リアタイしているので、スマホでツイッターを読みながら観ていますよ。

佐野：僕は普段はSNSをやらないんですが、今回はもちろん読ませていただいてます。けっこう初見という方もいて、ワクワクしながら観てくださっているので、それが最終的にどんな感想になるのだろうかと気になりますね。

重村：まあ、トラウマは植えつけられる……だろうね。それが黄金時代であり、それがベルセルクである、と。

佐野：心して見ていただければと思います。

重村：その一方で、原作もこれまでのアニメもすべて網羅して、すべてを知った状態で楽しまれている方も少なくないので、そこが面白いですよね。第10話の終わりにイレギュラーで第11話の「蝕」の予告を入れたのも、そういう方々宛ての「いよいよアレが来ますよ」という振りでした。

佐野：あれ、いいですよね。よくパニックムービーでトロッコに乗ったりすると、絶対に「この先、危険！」っていう看板をぶっ壊していくじゃないですか。ああいう感じがあって黄金時代好きです（笑）。やっぱり蝕って相当ヤバいんだな、という。