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『LUPIN ZERO』監督・酒向大輔&シリーズ構成・大河内一楼インタビュー

「自分らしく作れば自然と『ルパン三世』になる」│ルパンと次元の少年時代を描いたアニメ『LUPIN ZERO』監督・酒向大輔さん&シリーズ構成・大河内一楼さんインタビュー

もし本作の続きを作るとしたら?

――全6話の脚本を見るとルパンの今後や人格形成に影響を及ぼすようなシーンやエピソードもあったので、かなり責任重大だったのでは?

大河内:僕は『ルパン』という作品の魅力はバラエティだと思っているので、色々な『ルパン』があった方がいいと思ってるんです。これが好評だったり、もしくは不評だったら、別の人が少年時代の『ルパン』を作ればいいでしょって。どちらかというと6本で面白くしなければという責任の方が重大でしたね。『ルパン』っぽくなるかどうかは、その次というか。

酒向:あとは『ルパン』にするのは僕の役目なので。

大河内:「PART5」の時にテレコムさんと初めてお仕事したし、脚本を書くのも初めてでしたが、酒向さんたちスタッフやあの役者さんたちですし、映像を見たら間違いなく『ルパン』になっていて。その時の信頼関係もあったので、そこは何の不安もありませんでした。

酒向:もし『ルパン』じゃなくなったら僕自身、違和感を感じると思います。違和感を一つひとつつぶしていけば『ルパン』になる。それが僕の作り方です。

――子供時代を見てみたいと思われた方も多かったと思うので、監督には改めて感謝しています。

酒向:僕もお話をいただいた時は意外すぎて。「え~!?  これやんの?」と思いましたけど(笑)。

大河内:最初は否定派だったんですね。そこは見せないからいいんだよ、という。

酒向:でも断っても企画はなくならないんです。僕が知らない誰かがテキトーなものを作るくらいだったら俺が作ると。少なくとも自分なら大丈夫かなと思ったし、今の座組だったらやらせてもらいたいなと思いました。でも「えっ!?」と思っている人も絶対ニヤリとするポイントがいっぱいありますから気にはなると思います。そういう意味でも自信はあります。そしてサントラは必ず買うと思います(笑)。

大河内:オーディオコメンタリーが楽しみですね(笑)。

――このシリーズが終わった後、ちょっと成長したルパンや次元も見てみたい気がします。

酒向:『LUPIN ZERO』は何十年か経って、別の方が作ればいいと思っていますし、今作は可能性の1つでしかありません。『スパイダーマン』が何度も作られているように。もし僕が『LUPIN ZERO』の世界観で作るとしたら、ずっと中学一年生でやりたいです。

高校生になるといろいろなことを知るし、思春期のぐちゃっとした感情は苦手なので。それは誰かがいつかやってくれるのではないでしょうか。でもその礎が必要だと思うし、短歌でいえば上の句がないと下の句が出てきませんから。僕はその基礎を作る人で、その後は若い人に作ってもらえたらいいなと思っています。

今まで描かれなかったルパンと次元の始まりをぜひ本作で。『ルパン三世』シリーズの入口にもオススメ!

――『ルパン三世』がアニメ化50周年を迎えましたが、ここまでたくさんの方に長く愛される理由や魅力はどこにあると思われますか?

酒向:ルパン三世という男がいるからじゃないですか。彼の才能やオリジナリティ、人物そのものが魅力なのだと思います。だからみんな彼を見たくて、TVを見たり、劇場に足を運んでいるわけで、それがアニメで50年、原作だとそれ以上続いてきて。それでもまだ描き切れないし、見きれないほど、彼は深いし、謎なんです。だから飽きないし、底が知れないところが人気の秘密じゃないかなと思います。

大河内:先ほども言いましたが、僕は『ルパン三世』の魅力はバラエティだと思っているんです。ギャグもあればシリアスもある、SFになったり、ラブロマンスになったり、見る度に顔を変えて楽しませてくれる。色々あるからあれが好きこれは嫌いというファンもいて、それすらも僕は『ルパン三世』のエンタメなんじゃないかって。

長い間、これだけのバラエティをもって作り続けられてきた『ルパン三世』だからこその懐の深さと言いますか。今回、そのバラエティの中に、新しい色を足すことができればとても嬉しいです。

――皆さんへ見どころやメッセージをお願いします。

酒向:まだ『ルパン三世』に触れたことがない方や詳しくない方には、次の全部のシリーズへの橋渡しのつもりで作っていますから、『ルパン三世』の入口として入りやすいと思います。またおもしろい映像作品を探している方にも、いちアニメとしておもしろいと思いますので、 ぜひ触れていただければと思います。

大河内:『ルパン三世』をご存じの方には、ルパンと次元の始まりって見てみたいと思いませんか?と。『ルパン三世』を見たことない方には、これは始まりの物語なので前知識ゼロでも楽しめるのでまずは1話を見てください。そして興味が湧いたら続きも見てください。

――ルパンと次元の友情も見られるところも注目ですね。

酒向:彼らの間に友情があるのかはわかりません。相棒なのは間違いないけど、本人たちがどう思っているのかは不明で。皆さんそれぞれが想像して楽しんでもらえたら。

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1971年より何度もアニメ化されてきた『ルパン三世』(モンキー・パンチさん原作)の新作スピンオフアニメ『LUPINZERO』が2022年12月16日よりDMMTVにて独占配信中!『LUPINZERO』は戦後の東京を舞台に、中学生だった頃のルパンと次元の出会いを描いたオリジナルストーリーです。映像のざら付きや作中に流れるBGM、そしてOPとEDなど『ルパン三世PART1』をオマージュし、時代背景も『PART1』が放送されていた時代と、『ルパン三世』ファンにはたまらない作品になっています。少年期のルパンを演じるのは畠中祐さん、相棒の次元役を武内駿輔さんが担当。毎回登場するゲストキャラも人気と実力を兼ね備えた声優陣ばかり。そんな『LUPINZERO』の配信開始を祝して、畠中さんと武内さんの対談が実現! お二人のルパン愛があふれ出る熱い想いを感じてください。ルパン役を演じることへの葛藤。武内さんは「ルパンは祐しかいない」と確信――これまでにアニメ『ルパン三世』シリーズをご覧になったことはありますか?ルパン役・畠中祐さん(以下、畠中):もちろんオーディションを受ける前から知っていましたし、劇場版も『ルパンVS複製人間』や『カリオストロの城』などTVで何度も流れていましたから。次元役...

アニメ『LUPIN ZERO』作品情報 

2022年12月16日(金)よりDMM TVにて独占配信開始

作品概要

少年は、如何にして“ルパン三世”となったのか?

1967年に連載を開始した、モンキー・パンチの人気漫画『ルパン三世』。その後さまざまなメディアで、世界を股にかけて活躍してきた世紀の大泥棒にも、まだ青い「少年時代」があった……。

『LUPIN ZERO』は、ベールに包まれた彼のビギニングをついに描き出す。舞台は、原作連載当初の昭和30年(1960年)代。まだ何者でもない「少年ルパン」が、高度経済成長期の日本を駆け巡る!

原作でも描かれている「少年ルパン」編からヒントを得つつ、懐かしくも新しいオリジナルストーリーが展開される。制作スタジオは、多くの『ルパン三世』シリーズを手掛けるテレコム・アニメーションフィルム。レトロでユニークな世界観を現代に蘇らせる。音楽は、大友良英(『あまちゃん』『犬王』)。『ルパン三世PART1』を手掛けた山下毅雄の楽曲アレンジも含め、劇伴音楽を担当する。

少年が登る、悪党への階段。彼は一体、何を思い、どんな一歩を踏み出したのか?

これは、誰もが知っている大泥棒の、誰も知らない「はじまり」の物語。<全6話>

スタッフ

原作:モンキー・パンチ
監督:酒向⼤輔
シリーズ構成:⼤河内⼀楼
設定考証:⽩⼟晴⼀
キャラクターデザイン:⽥⼝⿇美
美術監督:清⽔哲弘、⼩崎弘貴
⾊彩設計:岡亮⼦
撮影監督:千葉洋之
編集:柳⽥美和
⾳響監督:丹下雄⼆
⾳響効果:倉橋裕宗
⾳楽:⼤友良英
メインテーマ:「AFRO"LUPIN'68"」 作曲:⼭下毅雄 編曲:⼤友良英
エンディングテーマ:「ルパン三世主題歌Ⅱ」 歌:七尾旅⼈ 作曲:⼭下毅雄 編曲:⼤友良英
劇中歌:「かわいい男の⼦」 歌:SARM 作詞・作曲:荒波健三
アニメーション制作:テレコム・アニメーションフィルム
製作:トムス・エンタテインメント

キャスト

ルパン:畠中祐
次元:武内駿輔
洋子:早見沙織
しのぶ:行成とあ
ルパン一世:安原義人
ルパン二世:古川登志夫

公式サイト
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