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『火狩りの王』ワールドガイダンス|世界観、登場人物、用語などを徹底解説

『火狩りの王』ワールドガイダンス|世界観、登場人物、用語などを徹底解説ーー火を失った時代に。少女と少年は運命と邂逅する。

炎のない世界

最終戦争は、戦闘機、ミサイルなど多数の兵器を用いて戦われたが、その中でももっとも世界を破壊したのが、「人体発火病原体」と呼ばれる生物兵器だ。それは疫病のように広がり、人の体の構造を変えてしまう。この病原体に感染した人類は、そばで火が燃えるだけで、体内から人体発火を起こし、死に至る。それは連鎖するため、近くで誰かが燃え上がれば、次々と人が焼け死んでいくことになる。灯子の両親も、森に起こった小さな火の粉が原因で、人体発火を起こして死んだ。

現代的に言うのであれば、それは遺伝子改造されたウイルスとナノマシンの組み合わせによる生物兵器であろう。

人体発火病原体がばらまかれ、体が変化してしまった人類は天然の火から離れて生きるしかなくなった。わずかな火でも、人体発火が誘発され、人は内部から燃え上がって死ぬ。エネルギーを大量消費していた都市は危険な場所に変わり、さらに直接の攻撃を受けて瓦解した。人類は、自然の火がもたらしてきたすべての明るさとエネルギーを失い、人々は黒く深い森の奥、闇の中に息をひそめて生きることになった。

紙漉きの村

灯子の生まれた紙漉きの村は、そんな森の奥にある村のひとつだ。

最終戦争の後、人々は人体発火を恐れ、黒く深い森の奥に村を作って暮らしている。60年ほど前までは、人体発火を引き起こす天然の火を恐れるあまり、赤子の目を潰し、闇の中で働けるようにすることさえ行われていた。

やがて、世界を支配している神族が村に結界の加護を与えた。童様と呼ばれる守護神が祠に住み着き、村を守るのだ。

火の件も改善された。天然の火が使えない代わりに、首都か派遣された火狩りが炎魔を狩り、その体液から生じる火が瓶に入れられて村に渡され、明かりや料理の熱源になった。

炎魔と火狩り

森に棲息する炎魔は、さまざまな動物のような姿をした凶暴な怪物で、村の結界を離れた人々を容赦なく食い殺す。その体内には火が蓄えられており、炎魔を狩り、その体内に宿る体液を得るのが火狩りの仕事だ。

火狩りが使う武器は火の鎌だ。姫神の常花姫(とこはなひめ)が鍛えた、三日月のような金色の刃は炎魔を殺し、その傷口から体液を得る。黄金の体液はとろりとした液状のもので、照明や熱源、動力源となる上、人体発火を引き起こさない。特に、落獣(らくじゅう)と呼ばれる飛行する炎魔の体液は、雷火と呼ばれ、強力な動力源となるために珍重されている。火狩りは狩りの相棒として、犬を連れている。

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