
『ONE PIECE』の「ゴムゴムの実」、『文豪ストレイドッグス』の「月下獣」から「推し」「界隈」といったオタ活必須用語まで──知れば世界が広がるオタクの英単語帳!
オタクの日常英単語
さまざまな作品の翻訳についてみてみると、当たり前と思っていたことが案外日本らしい背景に基づいていることがわかります。ほかにも、英語を当てはめる工夫から逆に欧米文化が垣間見えることも。
たったひとことでも、訳が違えば行間のニュアンスが違ってきますし、音声のセリフならば会話のリズム感にも影響を与えます。英語字幕や翻訳版が身近になったからこそ、多言語をあてることの大変さや奥深さに改めて気付かされます。
さて、ここからは少し目線を変えて、海外のオタクのみなさんが普段どのような表現や単語を使ってオタ活しているのか、日常的に出てきそうな代表的な単語を例に紹介していきます。
ジャンル ① 漫画 = manga
オタ活している、推しがいると言ってもそのジャンルはさまざま。まずは「漫画」、「アニメ」、「配信」の英語での呼び方を紹介します。
漫画は英語でもそのままmangaと呼びます。英訳のcomicも通じますが、アメコミとの区別をつけるためにもmangaと呼ばれることが多いです。
翻訳版の普及のおかげで少女漫画、少年漫画もshojo-manga、shonen-mangaで通じる場合が多く、いかに海外ファンの間で浸透しているかが伺えます。
少年漫画は、男女問わず人気のジャンルです = Shonen-manga is a popular genre with many male and female fans.
ジャンル② アニメ = anime
日本のアニメもそのままanimeと呼ばれています。ジャンルは例えば、
異世界転生アニメ=isekai anime
恋愛アニメ=romantic anime
ヒーローもの=superhero anime
などと呼び分けられます。
恋愛アニメは心の栄養になる = Romantic anime nourishes the soul.
ジャンル③ 配信 = stream
配信関連の用語はstreamで表現します。例えば、
生配信=live streaming
ネット配信=online streaming
配信プラットホーム=streaming service
などと呼びます。「配信で」はon streamです。
どの配信プラットホームで見れる? = Which streaming service is it available on?
界隈 = fandom
特定の作品や人物、ジャンルが好きな人たちのことを指すのに「界隈」という単語がありますが、英語ではfandomが使われます。
英語のfan。そして王国という意味のkingdomを掛け合わせた秀逸な造語ですね!
日本では、アイドルや漫画雑誌など、大きなくくりで「●●界隈」とすることが多い反面、海外では作品単位でのファンのことを指すほうが多いようです。
オタク界隈の規模でいうと『ONE PIECE』と『NARUTO』どっちが大きいのかな = I don't know which fandom is bigger, "ONE PIECE" or "NARUTO".
推しがいる① = fangirl / fanboy, fan
自分に推しがいることは、英語では「●●のファンです」「●●が好きです」という言い方をします。
では、fangirl / fanboyがなにかというと、主にSNSで使われる言い回しでは例えば
(私は)『進撃の巨人』を推している = an "Attack on Titan" fangirl/fanboy
となります。
さらに、推しがいる状態のことや好きが溢れて七転八倒している状態なら
推しはリヴァイ兵長、リヴァイ兵長が好きすぎて辛い = fangirling over Levi.
と表現します。
ただ注意したい点があって、単語内の"girl"と"boy"には自分の性別を指す場合と推しの性別を指す場合両方で使われます。また、他人のことを指して使っている場合軽蔑的な意味なことが多いので要注意です。
推しがいる② = waifu / husbando
アニメや漫画に数多く登場する魅力的なキャラクターたち。オタ活をするなかで誰もが一度は言葉にしたくなる「おれの嫁」的言い回しも海外に普及しているのをご存知でしょうか。
女性キャラ:waifu
男性キャラ:husbando
日本語のローマ字に由来する造語で、日本語の場合と同じく嫁/旦那にしたいくらい好きな人という意味で使います。
日常会話というよりはSNSで使われる単語で、例えば、
俺の嫁が選べなくて困る。 = It’s impossible to choose my best waifu.
といったような英語表現も可能です。
先生 = sensei
舞台や制作が日本で行われている以上、作品の多くは日本独特の表現や文化が色濃く反映されています。
その代表的なものが先生や先輩といった存在と呼び方ではないでしょうか。
海外、主に欧米文化では先生を「先生」とは呼びません。そこで多くの作品ではそのまま名前で置き換えるほか、“sensei”とそのまま残すことが多く、結果海外ファンにもいち単語として浸透しています。
例えば『呪術廻戦』の五条先生。英語版を確認すると”Gojo sensei” や ”sensei” と表記されています。
senseiは作者に対しても
”Sensei”に関しては作者に対して使われることも普通になっており、
先生、また素晴らしい作品をありがとうございます! = Thank you for another masterpiece, sensei!
のように、日本と同じ感覚で先生呼びするメッセージがSNSではよく見受けられます。
先輩 = senpai
先生同様、先輩も特に欧米文化にはない敬称ですが浸透している単語です。
名前で置き換えられる場合もありますが、雰囲気や人物の関係性をわかりやすくするためにも、そのまま残した方が的確な訳になることが多いことは想像しやすいと思います。
先輩より早く行かなきゃ! = I need to arrive before my senpais!
同級生の「さん」は?
同級生や友達は基本呼び捨てがふつうの欧米文化ですが、日本の作品の訳でも、その文化を踏まえてか何も代替え単語を入れない場合もあります。
2023年冬アニメ『久保さんは僕を許さない』のタイトルでは、久保さんの英訳が”Kubo”と呼び捨てになっています。本編で下の名前が出てこない場合、出てきてもストーリーの中で重要性が低い場合など総合的に判断して適切な訳を選ぶ作業が伺えます。
何巻/何話/何編 volume / chapter / arc
作品のファンになると、読むことはもちろん人物の関係性やストーリーの伏線を考察するのが楽しみになるものです。
では、巻数や話数は英語ではどういうのでしょうか。
何巻 = volume
漫画や円盤の巻数は”volume”で表現します。
明日『ヴィンランド・サガ』の最新巻を買うんだ = I’m going to get the latest volume of “Vinland Saga” tomorrow.
何話 = chapter
漫画の「○話」は文書の「章」という意味の”chapter”で表現することが多いです。
漫画1冊にはだいたい7から10話入っている = A volume of manga usually consists of 7 to 10 chapters.
何編 = arc
『ジョジョの奇妙な冒険』や『鬼滅の刃』など、漫画やアニメを●●編ごとに分けて表すこともすっかり定着しました。
「編」は、孤や弓形のものを指す ”arc” を使って表現します。円の一部であることから、一連のストーリーの一部分、というニュアンスで使われるのです。
『ジョジョの奇妙な冒険』の何編が一番好き? = What arc is your favorite in “JoJo's Bizarre Adventure”?
好きな作品について一歩踏み込んだ話が英語でできたら楽しいことでしょう。
何話/何期 = episode / season
同じ話数でも、アニメや映像作品の場合は違う単語で表現します。
何話 = episode
アニメの場合、「○話」は "○ episode" です。
まだアニメの1話観れてない = I still haven’t gotten round to watching the first anime episode.
何期 = season
時間が経っても好きな作品の続編には期待してしまうものです。
「期」は英語で ”season”。日本でも海外ドラマなどをきっかけにおなじみになりましたね。
第2期来週で終わっちゃう! = The second season will be over next week!
巻数や話数の言い方でひとつ注目したいのがそれぞれの単位の数え方です。数字を単語の後ろにつける際は 1, 2, 3…、頭につける場合は first, second, third… を使います。
第2期の5話は多くのファンを涙させた = The fifth episode of season 2 left many fans in tears.
実写版 = live-action
漫画や小説作品が別の媒体で展開する場合、アニメ化だけでなく実写化も数多く出るようになりました。
実写化 = Live-action adaptation
実写化のキャストが発表された。 =The cast for the new live-adaptation series has been released.
映画化/舞台化 = film adaptation / stage play
実写化とひとことにいっても映画、ミュージカル、舞台など形式はさまざまです。
実写映画 = Live-action film adaptation
実写ミュージカル = Live-action musical
実写舞台化 = Live-action stage play
などと表現します。
『SPY×FAMILY』が実写ミュージカル化されるなんて想像もしなかった = I never imagined "Spy x Family" would be made into a live-action musical.
配信プラットフォームの発展で、実写化や舞台化の作品であっても海外から視聴することが可能なものも増えてきているようです。推しの世界の国際化はこれからも加速していきそうですね!
おわりに
ここでは英語を取り上げましたが、今日本の漫画作品やアニメ作品はスペイン語、タイ語など世界各国の言葉で楽しまれています。
翻訳のスピードも日に日にあがって、日本と同時に楽しむことも可能な世の中。例えばSNSで他言語のコメントの意味がわかったり交流できたりすると、より広い楽しみが待っているかもしれません。
世界の共通語ともいわれる英語で、世界に誇れる日本のアニメ/漫画作品たちを布教しちゃいましょう!














































