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声優・KENNが学生時代から声優に挑戦するまでを振り返る

声優・KENNが声の仕事を意識したのは”サクラ大戦”をプレイした時ーーギターとゲームに夢中だった学生時代から『遊戯王』で声優に挑戦するまでを振り返る【人生における3つの分岐点】

「僕は調子に乗ると転ぶタイプなんです。サボり癖があるというか、自分に甘いので。」

人気声優に「人生の3つの分岐点」を伺い、18回目を迎える本連載。今回は声優としての活動にとどまらず、KENN名義での楽曲リリースや舞台出演、個性的な写真集の発行など幅広く活躍するKENNさんにお話を伺った。

冒頭の言葉は、KENNさんが語った自己評価である。

挙げてくださった3つの分岐点は、バンドでのメジャーデビューを始め、よりよい表現のためにさまざまなことを吸収していった活動初期に集中している。そこで語られるエピソードの数々から、勝手にストイックな印象を抱いていたので、「自分に甘い」という自己分析は少々意外だった。

お話を伺ったのは41歳の誕生日を迎えた3日後。

自分に甘えないための心構えを強く持っていることが伺える一方で、積み重ねた経験からくる、いい意味での気負いのなさも、言葉のはしばしから感じられた。そうした適度なバランスを保った仕事観にたどり着くきっかけにもなった、声優デビュー作である『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』出演時のエピソードも、たっぷりと語ってくださっている。

キャリアの話はもちろん、趣味の話題や、これまた意外な将来の展望まで……KENNさんの多面的な魅力を、じっくりとお楽しみいただければ幸いだ。

分岐点1:すでにデビューしていたバンドThe NaB’sの追加メンバーとしてデビュー

――KENNさんは声優としてはもちろんのこと、音楽活動やミュージカルでも充実した活動を長年継続されています。そうしたさまざまな面をお持ちの方がどんな出来事を「人生の3つの分岐点」に選ばれるのか、気になるところです。

KENNさん(以下、KENN):実は、今挙げてくださったものは、全部繋がっているんですよね。バンドとミュージカルをやっていなかったら、おそらく今、声優として活動していなかったと思います。

――なんと。

KENN:今回お話をいただいて、いろいろ思い返してみて、あらためてそう感じました。それぞれの活動に関連した「分岐点」が、ある短い時期に集中してあったんです。それが結果的に、今の僕のお仕事のスタイルを作ってくれたんですよね。

――では、早速ですがひとつずつ、順番にうかがわせてください。

KENN:まずひとつめの分岐点は、「The NaB’sとしてのデビュー」です。僕がエンターテイメントの世界で、プロとしてお仕事をさせていただく最初のきっかけになった出来事ですね。そこに至るまでにも、紆余曲折はあったのですが……。

――もしよろしければ、「紆余曲折」の部分もお話いただけますか?

KENN:わかりました。では、音楽の道に進みたいと思ったきっかけからお話ししますね。

音楽を仕事にしたいと思ったのは、ギターと出会ってのめりこんだから

KENN:中学生のとき、一学年上の先輩が、家でエレキギターを弾きながらトークしている姿を見て、「カッコいい!」と思ったんです。そこからギターを触らせてもらうようになって、そのうち、自分でも持ちたくなって、親に相談したんです。そうしたら「知り合いから借りてきてあげる」と。

――それは運がいい。

KENN:でも借りてきたのはアコースティックギターだったんですよ(笑)。がっかりしました。もちろん、今ではアコースティックギターも素敵だと思っていますけど、子ども心には「カッコよくないなあ」と。

――子どもの頃はエレキにあこがれる気持ちはわかります(笑)

KENN:でもそれでコードの練習をずっとしていて、「ギターって面白いものだな」と感じたので、高校時代にバイトしてエレキギターを買いました。そのころにはすっかり、「ギタリストになりたい」「音楽をやりたい」と考えるようになっていたんです。

で、音楽の専門学校に入るのですが……ギタリストになる夢を挫折するんです。

――何が原因だったんですか?

KENN:速弾きですね。ギターソロの速弾きで、ある一定のレベルまでは行けたんですけど、そこから先がどうしても見えなくて、「向いてないな」と感じたんです。

それともうひとつ、当時はエレキギターで多彩な音色を作ろうと思うと、今よりもエフェクターまわりの配線が難しかったんです。今は使いやすくて音もいいマルチエフェクターがありますが……当時、僕がやりたかったようなサウンドシステムを組もうと思うと、アンプやエフェクターを複雑に組み合わせる必要があって、さらにそれを演奏時に切り替えるのも大変で。細かく設定を変えたりするのは、機械いじりの好きな人の方が向いているんだなと。冷静に考えると、別にそういうものでもなかった気もしますが、これも速弾きに対して「向いてないな」と感じたのと同じで、勝手に思いこんでしまったんです。

――速弾きということは、メタルがお好きで、目標のギタリストがいたとか?

KENN:「ミュージシャンの誰々さんに憧れていて……」とかではなかったですね。単純に弾くことが好きで、友達の影響で耳にしていた洋楽をコピーしたりするうちに、どこかで壁を感じてしまった。今にして思えば、友達の趣味が偏っていたかもしれないんですけどね。Dream Theater【※】とかを聴いているような友達でしたから。

――テクニック重視の極致、プレグレッシブ・メタル【※】に挑戦されていたんですか。それは壁を感じたもの納得です。

KENN:そういうものばかりが好きだったわけではなく、まんべんなく、勉強のためにヒットチャートのトップ1から20までの曲を全部聴くとか、そういうこともやっていたんですけどね。友達の趣味だけではなく、僕自身もゲームミュージックが好きだったんです。当時のゲームミュージックには、高速ツーバス・ドラムの上に、メロディアスな速弾きのギターが乗っているようなものなど、メタルの要素が強いものもありましたしね。

※Dream Theater……アメリカのプログレッシブ・メタルバンド。米国産プログレッシブ・メタルの草分け的存在として知られる。

※プレグレッシブ・メタル……ロック・ミュージックのジャンルのひとつ。あまり明確な定義はないが、プログレッシブ・ロックとヘヴィメタルの要素を取り入れたサウンドで、1990年代以降にひとつのジャンルとして確立された。

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