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『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』レビュー

人生を楽しく生きられなければゾンビに喰われた方がマシだ!?──『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』レビュー

現在放送中のTVアニメ『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』。入社3年目のブラック企業で身も心もすり減らしながら働く主人公・天道 輝(テンドウアキラ)が突然起きたゾンビ・パンデミックによって会社から解放され、未曽有のパニックに陥った世界を明るく逞しく生きる姿が描かれる作品です。

これまでもゾンビ作品は実写でもアニメでも数多くのものが作られていますが、ホラーが苦手な筆者はそれらのゾンビ作品に触れたことはありませんでした。しかし、本作が面白いという話を聞き、「試しに観てみるか」くらいの軽い気持ちで1話を見たところ、その面白さにハマり、最新話まで一気見してしまいすっかり作品のファンに。

視聴していて感じたのは、非日常的なゾンビ・パンデミックに生きるアキラたちと我々の日常は全く違うもののようで、実は通ずるものがあるということ。そのことが作品をただ愉快な面白さだけではなく、琴線に触れる瞬間のある深い作品に仕上げているのだと感じました。

本レビューでは、私が感じた『ゾン100』の魅力を深掘りするとともに、今後のストーリー展開についても少し考察していきたいと思います。既にファンの方には「そうだそうだ!」と思ってもらえれば、未視聴の方には「観てみたい」と思ってもらえれば嬉しいです。


 

全体的に狂ってる!? 爽やかに頭のネジが飛んでる主人公・アキラ

ある日突然発生したゾンビ・パンデミック。街は混乱し、人々は命の危機を感じて恐怖に震え、絶望。そして多くの人があまりに呆気なくゾンビ化していくなか、ブラック企業から解放されたことにより“生きる屍”からの復活を果たすアキラ……とにかくこの主人公が狂っているんです。

窓を開ければゾンビが徘徊する荒廃した街が広がっているというのに、生気を取り戻したその表情はものすごく晴れやか。そこから繰り出されるポジティブとも能天気ともとれる驚きの行動は挙げればきりがありません。

社畜生活で荒れ果てた部屋を掃除した後、朝から缶ビールをあおり「幸せだ!」と言い切ったり、無くなった缶ビールを買い足しに出かけたり、友達に連絡を取って会いに行ったり、大型テレビを調達しに行ったり……何度も言いますが、外はゾンビだらけです。私なら絶対に家から一歩も出ません。

頭のネジが元々抜けているのか、廃人同然の社畜生活が危機感という感情を破壊してしまったのかは定かではありませんが、後者だとしたら……ブラック企業、恐ろしすぎる。

狂っているので、こんな状況でもモテたい・彼女が欲しいと思っているアキラ。しかしながら、(良いやつなのに)とにかく非モテ男っぽさが随所に感じられるのがとても残念で愛すべきところ。

ゾンビの大群から逃げた先で偶然出会ったCAに「彼氏とかいたりするんですか?」と聞き、「それって……今聞かなきゃいけないことなんですか……?」とドン引きの表情で返され、その白けた空気を盛り上げるために鼻からテキーラを一気飲み……と、やることなすこと“そうじゃない”。残念ながら彼がモテることはこの先しばらくなさそうです。

一連の行動だけを見ると狂っているように見えるアキラなのですが、彼の行動軸にあるのは「ゾンビになるまでにしたい100のこと」と題した1冊のノート。ゾンビとなった社長に辞意を伝え(ここも何かおかしい)晴れて自由の身となり作成したものです。

ブラック企業で身も心もボロボロになりながら3年間働いたアキラは、そこから解放されたことで“やりたいことをやる”大切さに気づきます。それと同時に、「俺たちの命があと……1日だろうが、60年だろうが、やりたいことをやれる時間は、余りにも短い……」ということにも。

彼の狂った行動を笑っていても、作中でアキラが折に触れて口にする台詞「○○できないくらいなら、ゾンビに喰われた方がマシだ!」を聞くとハッとさせられる視聴者も少なくないでしょう。

ポジティブさと思い切りの良い行動で、ゾンビ・パンデミックの渦中でも「ゾンビになるまでにしたい100のこと」を着実に達成していくアキラは、今後とんでもない偉業を成し遂げてくれそうな気さえしてきます。
 

リアルな世界にも通ずる“いかに楽しく生きるか”

アキラたちの暮らしを見ていると、私たちが生きるリアルな社会に比べて、アキラたちが生きる世界はものすごくシンプルだなと感じました。それは、ゾンビ・パンデミックによって秩序の無くなった世界では「生き残る」というタスク以外は全て自由だからです。

食料や水、安全な寝床の確保など必要最低限のことさえできていれば、あとは好きなことをしていていいのですが、普通の人は怯えながら暮らすところをアキラは楽しみながら自分のやりたいことを達成するべく暮らしています。「生き残る」というタスクをこなしているという点においては同じですが、精神的な状況は段違いです。

もちろん、アキラが狂った強メンタルの持ち主であることは間違いないのですが、これは私たちのリアルな世界にも通ずるのではないでしょうか。

生活するためにやらなければならないことは誰しも抱えているもの。それらのタスクを片付けつつも、やりたいことをやれているか、楽しく生きているか……ゾンビ・パンデミック下でも笑って生きるアキラからはそんなメッセージが感じられます。
 

カラーによってポップに仕上がった異色のゾンビ作品

私がホラー色の強いゾンビ作品が苦手な理由は、グロテスクすぎるところ。そのため、ゾンビの血や体液がカラフルな本作は重々しくなくて見やすいのがとてもよかったです。

ゾンビ化の影響で実際に血や体液がカラフルになっているのか、私のような視聴者のためにデフォルメしてくれているのかはわかりませんが、何にせよとてもありがたい。他のゾンビ作品のように赤黒いリアリティのある色味だと観れなかったかもしれません。私と同じようにゾンビ作品に苦手意識を持っている方にもぜひ一度観ていただきたい作品です。
 

現実を知らしめる知人の死

アキラのポジティブさや他のゾンビ作品にないカラー使いによってポップでユニークな作品に仕上がっている本作。しかし、そこにスパイスのように効くのがアキラが出会った知人たちのゾンビ化や死です。

アキラがビールを買い足しに行く際に出会った同じアパートに住む香坂夫妻は、アキラに物資の調達を頼んだものの、彼が戻ったときには夫妻の姿はなく部屋は荒れ果て、血まみれに。さらに、その後出会ったCAのユカリは自分の夢について語った直後にアキラの目の前でゾンビに襲われてしまいます。

さすがのアキラも声を詰まらせたり涙したりと、心に刺さるものがある様子。ゾンビ・パンデミックという現実を視聴者もまざまざと見せつけられます。楽しく暮らすことが難しい状況下ですが、なんとかアキラや仲間たちには愉快に生き延びてほしいものです。
 

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