『ようこそ実力至上主義の教室へ 3rd Season』主題歌アーティスト・ZAQさん×ニノミヤユイさん インタビュー後編|EDテーマ「今世大革命」の歌い方が“平坦”な理由とは? 第5話特殊ED「Fixer」についてのお話も
毎週ハラハラドキドキする展開を見せ、大きな注目を集めているTVアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ 3rd Season』。
そんな『よう実』の世界を歌で彩っているアーティスト同士の対談が実現!
これまで全シリーズのOPテーマを担当してきたZAQさんと、3期で初めてEDテーマを担当したニノミヤユイさんに、それぞれどんな思いで楽曲制作をしていったのか伺いました。
後編では、ニノミヤさんによるEDテーマ「今世大革命」と、第5話特殊ED「Fixer」のお話を中心にお届けします。
前編はこちら
「今世大革命」は感情が見えにくい、あえて平坦な歌い方に。2番からは心が乱れていく様子も
――ニノミヤさんのEDテーマ「今世大革命」についてですが、こちらはどんなことを考えて作っていったのですか?
ニノミヤユイさん(以下、ニノミヤ):作品サイドから、「3期はもう少しシリアスになっていきます」という概要を聞かせていただいたので、重い感じの曲になるのかなと想像していたんですが、曲自体の発注としては、「EDだけどあえて終始感を出さずに次回への緊張感が出る、インパクトが残るような曲」っていうオーダーだったんです。
そこから歌詞の原案を書いたんですが、そこでは綾小路と堀北をイメージしました。綾小路は上から静観する冷徹さ。堀北は、櫛田桔梗との関係をどうにかしたいとか、クラス全体をどうにかしたい、自分も上り詰めていきたい。その2人の気持ちを汲み取りながら、『よう実』らしさを抽出できたらいいなと思って、重めの原案を書いて、100回嘔吐さんに提出しました。そうしたら、この曲と歌詞になって返ってきたので、驚いたというか。意外な感じになったと思いました。
――作詞作業は、まず原案を書いていく感じなんですね。
ニノミヤ:そうなんです。共作の場合は、原案を書かせていただいて、そこから組み立ててもらうような感じにしています。なので、言葉は私の言葉だけど、文章の組み立て方に作家さんの個性が出る、という場合が多いです。
ZAQさん(以下、ZAQ):詞先で作っているんだね。
――意外な感じになった、というのは?
ニノミヤ:100回嘔吐さんは、すごく耳に残る、キャッチーな曲も作るんですが、やっぱり“変な曲”を作る方なので、初めて聴いたときは、意外とポップだなって思ったんです。でも何回か繰り返し聴いていくうちに、見え隠れする闇みたいなものがにじみ出てきて、これは噛めば噛むほど系の曲だなと思いました。
――確かに、サビとかはポップですからね。
ニノミヤ:サウンド的には明るいのに、何か病んでいるようにも感じるんですよね。
ZAQ:いや、そこがいいのよ! それもユイちゃんの歌い方なんだと思うんだよなぁ。
ニノミヤ:ボーカルディレクションも100回嘔吐さんがやってくださったので、声質というか、歌い方はこだわりました。「いつもより声質的にはかわいくていいけど、情緒豊かに歌わなくていい」ということをよく言われました。もはやボーカロイドに近いというか。その平坦さが、「何か逆に裏があるのではないか」という感じを掻き立てるのかなって解釈しながら、いつもより甘めに、でも感情を抑えめにして歌っていました。
――そのほうが曲調に合っていますよね。ZAQさんは曲を聴いていかがでしたか?
ZAQ:今、話を聞いて、「そういうことか」と思いました。かわいいけれど、明るくはなくて、まったく笑顔が見えない速さなんです。この速さで、まったく感情の動きが見えないから、「ボカロっぽい」と言われたら、確かにそうなんですよね。実際にそういう風に歌っていたという話を聞いて、腑に落ちたというか。でもめちゃくちゃ耳に残るんですよ。ラップの部分とかも。
私もユイちゃんのボーカルディレクションを一度したことがあるんですが、(声の)マイク乗りがすごく良くて、真っ直ぐマイクに入っていくんです。何も音が散らないというか、すごくクリアな音で歌うから、聴いていてストレートに入ってくるんです。速いけど、すごく入ってくるし、頭の中にメロディが回るのは、そういう歌い方だからなんだと思います。
――2番以降は、かなり変化がありますね。
ニノミヤ:そうですね。2コーラス目からはガラッと変わって、〈どうでもいい どうでもいい…か?〉とか、繰り返しのメロディがきたり、だんだんヤケクソな面も見えてくるんです。感情が乱雑になっていく様、心が乱れる感じが出ていると思うので、2番は結構自分事が多いのかなって思います。
ZAQ:2番のほうが自我が出ることってあるよね。
ニノミヤ:ありますね(笑)。
――同じ作品をテーマにしながら、ここまで違う世界観が生まれてくるのが面白いですね。
ZAQ:私も3曲書いてきましたが、まだまだ『よう実』に関しては書ける気がするので、それだけ特殊な作品なんだと思います。主人公の立ち位置も、他の作品では見ない感じだから書きやすいというか。