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『クラメルカガリ』佐倉綾音(カガリ役)インタビュー

『クラメルカガリ』カガリ役・佐倉綾音さんインタビュー|カガリは素の自分に近いキャラクター。オーディションテープは自宅のクローゼットで収録していた!?

2024年4月12日より全国ロードショウとなる映画『クラユカバ』&『クラメルカガリ』。

2023年ファンタジア国際映画祭長編アニメーション部門の「観客賞・金賞」を受賞した塚原重義さんが原作・脚本・監督を務める『クラユカバ』に加えて、『バッカーノ!』『デュラララ!!』で知られる成田良悟先生が執筆した『クラユカバ』のスピンオフ小説を原案に映像化した『クラメルカガリ』が同時上映されます。

今回はその内、『クラメルカガリ』において主人公・カガリを演じる佐倉綾音さんへのインタビューを掲載。オーディションやアフレコの裏話からカガリを始めとするキャラクターへの印象、作品の魅力までたっぷりと語っていただきました。

※本インタビューは、『クラメルカガリ』の一部ネタバレが含まれますのでご了承ください。

 

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クラメルカガリ
零細採掘業者がひしめく炭砿町…通称“箱庭(はこにわ)”。日々迷宮の如く変化するこの町で地図屋を営む少女ーカガリ。“箱庭”からの脱却を夢想する幼馴染ーユウヤ。昨今この町で頻発する不審な”陥没事故”は、次第にふたりの日常を侵食し始めて・・・果たして、町の命運は、カガリはこの事態を乗り越えられるのか!?困難の先で、少女は今日"ちょっとだけ"大人になるー作品名クラメルカガリ放送形態劇場版アニメスケジュール2024年4月12日(金)キャストカガリ:佐倉綾音ユウヤ:榊原優希伊勢屋:大塚剛央栄和島:細谷佳正シイナ:森なな子飴屋:悠木碧朽縄(くちなわ):寺田農ササラ:川井田夏海スタッフ原作・脚本・監督:塚原重義シナリオ原案:成田良悟キャラクター原案:七原しえ 皆川一徳 キツネイロ作画監督:松田K子 可否特技監督:maxcaffy操画監督:アカツキチョータ美術設定:ぽち美術監督:大貫賢太郎音響監督:前田茜音響効果:中野勝博音響制作:東北新社音楽:アカツキチョータプロダクションプロデュース:EOTAアニメーション制作:チームOneOne配給:東京テアトル ツインエンジン製作:クラガリ映畫協會主題歌「僕らの箱庭」オーイシマサヨシ公開開始年&季節2024アニメ...

 

全てのアニメの収録が本作みたいだったら嬉しい

――まず、本作の第一印象について教えていただけるでしょうか。公式HPなどで、世界観が好みといったコメントもされていました。

佐倉綾音さん(以下、佐倉):まず、オーディションの時にいただいた資料が少し情報量としては少なめで、世界観を表す場面写真みたいなものと、数十秒のシーン3つ分くらいのコンテVTRと原稿、あとはカガリの設定資料とキャラクターデザインくらいだったと記憶しています。

キャラクターデザイン的に引き算のデザインがされているのが個人的にとても好みで。極端な性格なのもあり、めちゃくちゃ書き込みがある絵か、引き算されている絵か、両極端なものが好きなんです。カガリのデザインを見た時、ちょっと片目が隠れていたり、少しミステリアスな雰囲気が読み取れて、この子のことをとても好きになれそうだなと思ったのが第一印象でした。

 

 
もう一つが、作品の世界観全体にずっと茶色のテクスチャーがかかっているというか、紙のような質感みたいなものを感じていて。私は小さい時から絵を描くのが好きだったのですが、デジタルで絵を描くことを覚えてからはずっと紙のテクスチャーを使って絵を描いていたぐらい、ちょっとセピアな質感のある絵が好きだったんです。レトロ的な雰囲気も含めて、自分の人生と重ね合わせて懐かしい気持ちになったのがとても印象的で。この世界に入れたらきっと楽しいだろうなぁと思いながら、自宅でオーディションテープを取りました。

――重ね合わせたというのは、自分の小さい頃の思い出という部分でしょうか?

佐倉:そうですね。自分が子どもの頃にこういう絵を描く人に憧れてこういう絵を描こうとしていたな、という思い出が蘇ってきました。今改めて役者としてそういう世界の中に入れたのは嬉しいですね。

――情報が少なかったというお話もありましたが、その中でどういうふうな演技プランをたてられたのでしょうか。

佐倉:私は演じるキャラクターを構築する上で、まずこのキャラクターが持っている信念や、向かっていきたい方向性や叶えたい夢、人間の原動力になっている部分を見極めようとする癖があるのですが、 最初カガリからはそれがあまり読み取れなかったんです。

それでいて主役なのでどうしたものかなと思っていたのですが、オーディションは限られた情報の中からキャラクターの大事な部分を抜き出してみてください、と挑戦状みたいに出されることも多いんですね。

 

 
今回はその中でも彼女のマイペースさが押し出されているセリフばかりがオーディションの対象になっていたので、これはかなり緩くキャラクターを構築していいのかもしれない、と感じました。デザインもちょっと垂れ目の印象ですし、コンテVに入っていた塚原監督の声もかなりマイペースな喋り方だったので、きっとそういうことでいいんだろうと思ったんです。

ちょうど自宅でオーディションテープを撮ることを覚えた時期だったこともあって、家にいる時の素に近いゆったり感や、肩の力が抜けている感じをちょっと乗せてみようかなと、背中を丸め、座ってダラッとした状態でテープを吹き込みました。これが普通のアニメーションのようなパキッとした色使いの作品だったら、きっと絵に負けてしまうだろうなと思えるくらいの緩さの発声と滑舌感を意識して録り、ここまで飾らない演技はちょっと新しい挑戦だったなと改めて思います。

――オーディションを受けられたのはカガリ役だけだったのでしょうか。

佐倉:カガリだけですね。今回はある意味声優として培ってきた技術を1回捨てるようなキャラの作り方をしたわけなのですが、いざ本番のアフレコで、仕事で慣れ親しんでいるスタジオのマイクの前に立ってお芝居を始めたところ、「もっとだらりとでもいいかも」という調整が入ったんです。

確かにオーディションテープを録った時はもっと背中を丸めていたし、もっと発声もちゃんとしていなかったかも、と思い出して。実はテープを録ったのは家のクローゼットの中だったのですが(笑)、その時の景色を思い出しながら演じました。

――先ほど、最初にカガリの信念があまり見えなかったとお話しされていましたが、実際に収録されていく中で印象の変化はありましたか?

佐倉:本編中でカガリは何かしら得るものがあっただろうなという印象はあります。 彼女の芯はあまり変わらずふにゃふにゃしたままなのですが、この一作で結構な大冒険をすることになるので、「自分ってこんなに大きい声が出るんだ」みたいな小さなことにはたくさん気付けたのではないかなと。

この先、この経験を経て彼女はさらに成長していくのかなと予感させるような、過程の変化なのではないかと感じています。

 

 
思い返すと“頑固さ”みたいなものは最初からあったのかな、とも思っていて。のんびりとのらりくらりしていたりするのは、あくまで彼女が表面的に出しているもので、彼女の中には「なんかここは譲れない」ものというか、自分の好奇心に対して嘘はつけないところがあるんですよね。地図屋という仕事も含めて、彼女の中にもともとある素質なのかもな、と。

そこが果たして、この経験を経てこの先より強固になっていくのか、もしくは柔軟性を手に入れて、もっと視野の広い大人になっていくのか。何せ本作はマイペースな彼女の冒険譚みたいな面もあると思うので、作中の冒険が成長のきっかけになるんじゃないかなと思います。

――オーディションの段階から好きな世界の雰囲気だったということをおっしゃってましたが、実際に映画をご覧になって、ストーリーだったり世界観だったり映像だったりの印象はいかがでしたか ?

佐倉:音楽と映像が絵にハマった時って、こんなにすごいんだ!と、新鮮に驚きました。

こういう少し薄暗い雰囲気をまとった映像に、独特のテンポ感の転がっていくような音がマッチするというのは意外だったのですが、それがしっかり物語を引っ張っていて、お客さんを飽きさせないようにしているんですよね。

あと、実はアフレコの時、既に音楽が付いていたのが衝撃的で。そういったことは普段の収録ではあまりなくて、このシーンがどういう空気感なのか、基本的にはスタッフさんにヒントをもらいながら手探りで作っていく想像の世界での収録になるのですが、今回は音楽に散りばめられたヒントにとても助けられました。「アニメの収録が全部こうだったらいいのに」と思ったくらい(笑)。

一同:(爆笑)。

 

 
佐倉:あと、私は実際の制作現場の方を見られている訳では無いんですけど、塚原監督の「こうしたい」「こう行きたい」みたいな目標が明確に音楽で示されていたので、そこにも引っ張ってもらった印象もあります。実際映像を見ていても、音楽の力で楽しいと感じられるような雰囲気があって、それはきっと見てくださる方にも感じ取っていただけるんじゃないかなと思っています。

――音楽そのものが魅力的というか。

佐倉:魅力的でしたね。『クラユカバ』の方の主題歌がチャラン・ポ・ランタンさんだと聴いた時に、とても腑に落ちたというか。ああいう音楽のことをなんて言うのか……“ちんどん屋感”と言えばいいんですかね。

PVで使われているメインテーマもそんな感じですし、カランコロンした音が聞こえたり、お祭りみたいな雰囲気があって、ああいうメロディを聞いて楽しいと感じるのは、日本人の遺伝子に組み込まれている感性から来るものなのかもと思いました。私もそれに掻き立てられたうちのひとりです。

 

 

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