
夏アニメ『真夜中ぱんチ』スタッフ&声優インタビュー連載がスタート! 第1回:アニメーションプロデューサー・P.A.WORKS 橋本真英さん|P.A.WORKS“じゃない”方の挑戦的なタイトル。まずは肩の力を抜いて気軽に見てほしい
P.A.WORKSの『パリピ孔明』スタッフが贈る、オリジナルTVアニメーション『真夜中ぱんチ』が2024年7月8日(月)より放送開始!
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そんな本作のスタッフ&キャストの連載インタビューがスタート。記念すべき第1回はアニメーションプロデューサーを務めるP.A.WORKSの橋本真英さんにお話を伺いました。
「YouTubeを題材にした作品をやりたい」けど「真面目なものはやりたくない」
──今回、橋本さんにご登場いただく回は『真夜中ぱんチ』第1回目のインタビューとなります。まずは、貴重なお時間をありがとうございます。
P.A.WORKS 橋本真英さん(以下、橋本):監督を差し置いて、僕が第1回で大丈夫ですかという感じですが(笑)。こちらこそありがとうございます。
──まずは『真夜中ぱんチ』のプロジェクトが始まった経緯を教えていただけますか?
橋本:オリジナル作品の場合、いろいろなきっかけがあると思うんですけど、『真夜中ぱんチ』の場合はプロデューサーの辻(充仁氏/P.A.WORKSプロデューサー)のアイデアがきっかけだったのかな。詳しくは分かりませんが、辻がYouTubeが好きで、「YouTubeを題材にした作品をやりたい」というところから企画がスタートしたと聞いています。当初は人間とヴァンパイアの間に壁がある世界観で、もう少しドラマ・シリアス要素が強めな企画だったとか。
その後本間監督に打診したそうなのですが、監督がアイデアを見て「ちょっとよくわかんない」と(笑)。監督は真面目な話にはしたくなくて、「おもしろいキャラたちが面白おかしく動き回る作品にしたい」という想いが根底にあったようで。そこで大枠が決まったんだと思います。
──そして今回、橋本さんが『真夜中ぱんチ』に加わった経緯というのは?
橋本:それはもう、本間監督のそんな楽しそうな作品ぜひやらせてください!と。嘘です。僕がP.A.WORKSの社員なので……ってそれだと身も蓋もないですね(笑)。そもそも、皆さんからすると、アニメーションプロデューサーって何をしているの?というところがあると思うんです。
──私もそこは気になるところです。
橋本:会社によって異なると思いますが、弊社のアニメーションプロデューサーの場合、企画会議・本読みから参加して、スタッフィング、スケジュール管理、コスト管理、クオリティ管理の大きく4つを担当します。ただ、その4つには収まらないものも多々あるので、タイトルの現場に関わるものを監督と一緒になんでもやります、という感じです。
今回の場合は辻のアイデアが元になっていますが、企画から参加することもあれば、本読みから参加する時もあって、タイミングによってもいろいろですね。『真夜中ぱんチ』は本読みから入りました。監督、シリーズ構成が決まっている段階で、自分は3話前後のシナリオから参加したと思います。
──そのときの橋本さんの作品に対する第一印象はどのようなものでしたか。
橋本:場面がスッと入ってきて、シチュエーションが想像できて笑いました。今回、白坂(英晃)さんがシリーズ構成なのですが、白坂さんは劇団「はらぺこペンギン!」を主宰されていて。実際に観に行かせていただいたのですが、キャラがとにかく立っていて、場面転換とオチがテンポよく面白いんですよね。
オリジナル作品の場合は、当然キャラクターもオリジナルで、そのため最初は「これってどんなキャラなの?」って迷うこともあるんですが、マヨぱんはキャラクターの個性がすぐに伝わってきて、なんだか変なノリで。「ああ、これはおもしろいな」って。なので本読みの段階から楽しかったですよ。(同席していた本間 修監督をチラりと見て)ただ、序盤は楽しいことだけじゃなかったとも聞いています(笑)。
本間監督:まあ、当初は大変ではありました。
橋本:(笑)。そのあたりの裏話は、多分監督がこのあとの連載で話してくださるかと。
スタッフたちのモチベーションの高い作品づくり
──ご本人を目の前にして恐縮ではあるのですが(笑)、橋本さんから見た本間監督のご印象についてもお伺いしたいです。
橋本:いろいろな監督がいらっしゃいますが、その中でも特に本間監督は制作に寄り添ってくださる方なんです。コミュニケーションは本当に大事で、関係が遠い人から「こうしてほしい」と言われてもなかなか気持ちは上がらないですよね。その点、本間監督は制作ブースに遊びに来る感覚で制作進行にも気軽にコミュニケーション取ってくださるので、現場のメンバーはみんな「やるぞ!」っていう雰囲気になってましたね。
──士気が高まっている状態と言いますか。
橋本:かなり高かったと思いますよ。制作が終わった時に社内のアンケートを取るんですけど、そこに「本間監督、好き!」という意見がとても多くて(笑)。
本間監督:(笑)
橋本:ほんとに書いてありましたから(笑)。やっぱり進行って監督と少し距離があるんです。進行からはなかなか近づけない。でも、監督の方から寄り添ってくれるので、楽しかったのではないでしょうか。わきあいあいとした、まさに『真夜中ぱんチ』のようなノリの現場でした。ん? それはダメか(笑)。
──楽しそうな現場ですね。もちろんシビアな局面というのもあるとは思うんですけども。
橋本:シビアな話をすると、本間監督はコロっと違うことを言い出すので、急に変えなければいけないことも。
本間監督:(苦笑)
橋本:でも、作業を始めてから気づくことってあると思うんですよ。そういうことはありつつも「この監督が言うならしょうがない」って周りが思ってしまうような、そんな人柄です。
──そして、皆さん最善のものを作りたいって気持ちは一緒ですもんね。
橋本:そうですね。P.A.WORKSという制作会社で言うと、監督のやりたいことを実現する車のようなものだと自分は思っていて。今回は本間監督に『真夜中ぱんチ』という車を運転してもらって、ちょっと違う方向に行った時に、プロデューサーがコントロールするというイメージなのかなと。
──『真夜中ぱんチ』の車の運転に関しては……。
橋本:楽しいドライブでした。お互いのやりたいこと、向かっているところが近かったからかもしれません。監督はどう思っていたかわからないですけども(笑)。