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『イノセンス 4Kリマスター版』押井守&大塚明夫登壇のトークイベントレポ

映画『イノセンス 4Kリマスター版』押井守監督&大塚明夫さんが公開20周年記念トークイベントに登壇! オフィシャルレポートが到着

映画『イノセンス』公開20周年を記念して、『イノセンス 4Kリマスター版』と『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版』の2作品が、2月28日(金)からTOHOシネマズ日比谷ほかにて2週間限定・同時公開中!

2025年3月2日(日)には、「映画『イノセンス』公開20周年記念トークイベント」が実施されました!

両作品の脚本・監督である押井守監督と、バトー役・大塚明夫さんが登壇した本イベントのオフィシャルレポートをお届けします。

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イノセンス それは、いのち映画「イノセンス」の舞台は、人々が電脳化され、声を出さずとも、コンピューター端末を打たなくとも、ネットワークを通じたデジタルコミュニケーションが可能になる一方、肉体の機械化も進み、人とサイボーグ、ロボットが共存する、2032年の世界。魂が希薄になった時代。決してそう遠くない近未来を舞台に物語の幕が開く。主人公は、続発するテロ犯罪を取り締まる政府直属の機関・公安9課の刑事バトー。バトーは生きた人形(サイボーグ)である。腕も脚も、その身体のすべてが造り物。残されているのはわずかな脳と、一人の女性、素子(もとこ)の記憶だけ。ある日、少女型のロボットが暴走を起こし、所有者を惨殺する事件が発生。「人間のために作られたはずのロボットがなぜ、人間を襲ったのか」。さっそくバトーは、相棒のトグサと共に捜査に向かう。電脳ネットワークを駆使して、自分の「脳」を攻撃する“謎のハッカー”の妨害に苦しみながら、バトーは事件の真相に近づいていく。作品名イノセンス放送形態劇場版アニメシリーズ攻殻機動隊スケジュール2004年3月6日(土)キャストバトー:大塚明夫トグサ:山寺宏一草薙素子:田中敦子荒巻大輔:大木民夫イシカワ:仲野...
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「映画『イノセンス』公開20周年記念トークイベント」オフィシャルレポート

押井守監督の『イノセンス』公開20周年を記念して、3月2日(日)に東京・新宿のTOHOシネマズ 新宿にて、押井監督とバトー役の声優・大塚明夫によるトークイベントが開催。20年前の制作当時の思い出話に加え、シリーズ続編制作への意欲が語られるなど、大きな盛り上がりを見せた。

押井監督と大塚さんは熱烈なファンの温かい拍手に迎えられた。大塚さんは「こんなにたくさんの方が、20年も前の作品を観に集まってくださるということに、胸がいっぱいになります」と感激の面持ち。押井監督も「大きなスクリーンでぜひ堪能していただければ」と笑顔を見せる。

『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』の続編として制作された『イノセンス』。前作の最後で主人公の草薙素子(田中敦子)が姿を消し、残されたバトーが本作の主人公になっているが、大塚さんは『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』からの流れを踏まえつつ、20年前のアフレコ当時を振り返り「僕もどう演じればいいんだろう? と押井さんに質問したんですが『簡単ですよ。バトーの恋の物語ですよ』と言われて『そうだったのか!』とあっという間に映画のつくりが見えてきました」と明かす。

押井監督はその言葉の真意について「素子が去った後のバトーの物語であり、生ける屍みたいになっているバトーが素子と再会する話です。魂の恋愛みたいな話で、遠く離れているんだけど、互いに想い合っているんですね」と改めて説明する。

この日は、作品にちなんだ5つの質問に、押井監督と大塚さんが回答する〇×クイズを実施! 「20年前に戻れるとしたら戻りたい?」「義体化したいか?」という質問に、大塚さんは「条件付きで。中身、経験値はこのままで肉体だけ若くなりたい」と語り、押井監督も「同じです。頭の中身はいまのままで義体化したいです。あの歳(20年前)の自分に戻りたいとは全く思わないです」とうなずく。

「自分を動物に例えるなら、やはり犬だと思う?」という問いには、押井監督は「やはり犬ですよね、最近、猫が大好きで、猫の良さがわかってきたけど、最後は犬を選んじゃう。最後に目をつぶる時は犬がそばにいてほしい」と語る。一方の大塚さんは「×」の札を掲げ「犬は好きなんですけど、自分を鑑みるに犬じゃないなと思います」と笑う。

「作品の中で自分に似ていると思うキャラクターがいる?」という問いに対し、意外にも押井監督の答えは「×」。「『攻殻機動隊』シリーズに関して言うといないですね。監督って、だいたい(作品の中に自分を投影したキャラクターが)いるもんなんですけど、この2作に関しては、しいて言うなら荒巻かな…? どこかで眺めてる人間で、行動する人間じゃないんですね。『パトレイバー』なら後藤さんとか。素子とバトーは、どちらも僕と違うタイプの人間です」と語る。一方の大塚さんは「『バトーじゃない』と言うのはないんじゃない(笑)?」とニヤリと笑みを浮かべて、あの渋い声で「バトーです」と語りファンを喜ばせた。

そして、最後の質問「『イノセンス』の続編を作ってほしい? 作りたい?」に対して、押井監督は「条件付き」と断りつつ、共に「〇」の札を掲げ、客席からは期待と喜びの込められた熱い拍手が!

押井監督は「3本目をやりかけたこともあるし 諸事情があって形にならないけど、まだやり残したことがひとつだけあるので、それがやれるなら」と意欲を口にする。ちなみに“諸事情・条件”の詳細に関しては「それを言っちゃうと、なるものならなくなるので…」と言葉を濁したが、大塚さんは押井監督の思いを受け、観客に向けて「みなさん、地元で『続編を観たいよな…』とぜひ伝道師、宣教師として、使命感を持って、これからの日々を生きていってください!」と呼びかけた。

そもそも、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』に続く『イノセンス』はどのような経緯で作られることになったのか? 押井監督は「きっかけ自分の中にあったわけじゃなく、プロダクションI.G.の石川(光久)社長に呼び出されたんです。当時、僕はアニメをやってなくて、アニメはつらいからやめちゃおうかって時期だったんですけど『いま戻ってこないと、誰もあなたとやってくれる人がいなくなるよ。いいかげん、あきらめてスタジオに戻れ』と言われて『そうだな』と思ったんです」と述懐。

その時、石川社長から3本の作品の候補が提示されたが「やるなら『攻殻機動隊』の続編をやってみたいって素直に思いました。終わってないんですよ、どこかで。あの後の素子をもうちょっと見たいというのと、部屋に残ったバトーの思いを引きずってみたいなと。わりとすんなり話ができて、脚本も2週間くらいで書いたので、自分の中で抵抗なくすらすら出てきた作品でした」と明かした。

大塚さんは、続編の制作を聞いた当時の心境について「嬉しくて心臓が止まるかと思いました。『なに? うそ? やれるの?』という感じでした」と喜びを明かした。

制作期間の苦労について、押井監督は「(アニメーションが上がってくるのを)待つつらさがあった」と振り返る。「明夫さん、敦子さんと同じ顔ぶれだったので、イメージはできるけど、最初の『攻殻機動隊』から何年か経っていて、同じじゃない部分があるんです。よく映画などである『そして3年後…』みたいなもので、人間が変わっているはずで、どこがどう変わっているのか確かめたいし、確かめるまで安心できないんです。第一声が入った時、つながった感じがしました。サイボーグであることに変わりはないはずで、サイボーグが歳を取るってどういうことなのか? というのを考えました。素子が義体を持たなくなって、オリジナルの身体がなくなって、いわば魂だけになってしまったんですけど、どういう感情をバトーに持つのか? そこでの再会のセリフが『変わってないわね』なんですけど、『変わってないわね』というセリフは、2人が変わったから言えるんです。その機微を監督は考えるんです。どうやって表現してもらうか? そういうことが、この作品をやったことの意味の全てと言っていいと思います」と『イノセンス』に込めた思いを熱く語った。

大塚さんは、押井さんのそんな言葉に「泣けてくる…!」としみじみ。素子とバトーの再会のやりとりに触れ「あの短いやり取りの中に、どれだけのものが入っていたか――? 大画面で全身を駆使して感じ取ってもらえたら嬉しいです」と感慨深げに語った。

トークでは、草薙素子役の声優で昨年、逝去した田中敦子さんの思い出も語られた。大塚さんは「『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』の頃は、僕も声優を始めていくらも経ってない時で、音響監督の若林(和弘)さんに『素子役、いないんだよねぇ。誰かいない?』と聞かれ、『うちにひとり』と田中敦子氏を推したら、見事に通りまして。そんなことを思い出すと、本当に、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』という作品を通して一緒に歳を取ってきたんだなと思います」と語り、これから『イノセンス』を鑑賞する観客に「在りし日の田中敦子のことを思い出していただければ」と呼びかける。

押井監督は「敦子さんとあまり個人的に話したことはなくて、いつも(アフレコブースの)ガラスの向こう側にいる感じでした。あそこに入ると素子になるんです。廊下で立ち話しても、それは田中敦子という女性であって、マイクの前に立った瞬間から素子なんです。僕にとっては素子そのもの。さっき、3本目(続編)について『条件付き』と言ったのは、そのこと(田中さんの不在)もある。素子をどうするのか? 魂だけの存在ってわけにもいかない。声なしでやるのか…? それもありかもしれない」と改めて素子を演じた田中敦子さんの存在の大きさに言及した。

今回、20年を経て4K リマスター版をスクリーンで堪能することができる貴重な機会となっているが、4K リマスター版ならではの楽しみ方として、押井監督は「公開された時も一瞬、話題になったんですがオープニングで人形がアップになるんですが、目に何かが映っているんですよ。コンマ一秒もないと思いますが、目を皿のようにして、偶然、目と脳が直結して見えたら、何かが映っています」といたずらっぽい笑みを浮かべた。

トークの最後に大塚さんは「20年経ってまたこの作品が劇場にかかる――それは何と言ってもこれが名作だという証だと思います。後世に残る作品として、いま一度胸に刻んでいただければと思います」と観客に向けて語り掛ける。

押井監督は「これが完成した当初は自分でも『これ以上の仕事はできない』と思ったんですが、ある人に『まだまだ若い』と言われまして。20年が経って振り返ると、確かに20年前の自分は、もうひとつわかってなかったなってところがなくはないんですね。でも、20年を経ても、自分の中にある特殊な観念、情緒は変わんないなと思いました。それが何かというと、ある種の切ない部分なんです。それが人形だったり犬だったりするんですが、、人間じゃないものと関わる時に必ず最後に出てくる感情で、ある種の切なさみたいなものなんですね。そこは変わっていないし、その後の仕事でも、そういう部分は引きずってると思います。20年が経って、またスクリーンにかかる映画ってそうそうないので、監督冥利に尽きるというひと言です。映画っていずれ死ぬもの、いずれ寿命が終わるものですけど、この作品はまだ寿命が残ってる気がします。映画を長生きさせるためには光を通すしかないわけで、そういう意味でこうしてたくさんの方に来ていただいて、大変ありがたく思っています」と感謝の思いを口にし、温かい拍手の中でトークイベントは幕を閉じた。

映画『イノセンス』公開20周年記念トークイベント概要

日時:3月2日(日)
会場:TOHO シネマズ新宿 スクリーン 4(新宿区歌舞伎町1-19−1 新宿東宝ビル3階)
登壇者(敬称略):大塚明夫、押井守

『イノセンス』作品情報

イノセンス

公開表記:2月28日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか2週間限定公開
配給:TOHO NEXT

(C)2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD
(C)1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT

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