
『ウタヒメドリーム』春の名曲を歌うカバーアルバム「ふれふれ、キミの春」連続インタビュー第2弾「青いベンチ」水月ひかり、HiREN(feat.井上苑子)|大人になって改めて気付いた歌詞に込められた想いを歌で表現。
2023年6月に本格始動した『ウタヒメドリーム』は、声優・舞台女優・歌手などから選ばれたキャストたちが“ウタヒメ”を演じ、昭和・平成・令和の名曲を歌い継ぐプロジェクト。2月24日に豊洲PITで開催された3rdライブで、TVアニメ化も発表されました。
そんな『ウタヒメドリーム』のウタヒメと有名アーティストがコラボし、”3月、卒業や旅立つ人々に寄り添い、応援する”というコンセプトのもと、カバーアルバム『ふれふれ、キミの春』が3月28日にリリース。今回、アニメイトタイムズではその収録現場にお邪魔してインタビューを実施し、ウタヒメとアーティストによる、まさにドリーム対談を実現しました!
インタビューの様子は全6回の連載でお届け。インタビュー第2弾は、サスケの「青いベンチ」を歌った3人。レビューショーを得意とする儚さの舞姫・水月ひかりさん、ひとり泣いている人に寄り添う、失恋ソングシンガー・HiRENさん、そして、神戸出身のシンガーソングライター・井上苑子さん。それぞれが「青いベンチ」の歌唱に込めた思いをたずねていきます。
>>『ふれふれ、キミの春』特設サイト
>>『ウタヒメドリーム』公式サイト
「青いベンチ」の歌詞に込められた、切ない想い
──自己紹介と、新企画「ふれふれ、キミの春」に参加するにあたっての率直な気持ちをお聞かせください。
水月ひかりさん(以下、水月):はじめましての方ははじめまして。いつも応援してくださる方、またお会いできて嬉しいです。ウタヒメドリーム19期生、水月ひかりです。HiRENさんと井上苑子さんと一緒に、この春旅立つみなさんに、応援ソングを歌わせていただきます。曲目は「青いベンチ」です。聴いてくださいね。
HiRENさん(以下、HiREN):こんにちは……。ウタヒメドリーム19期生、HiREN、です。あの……。今回はお誘いくださって、ありがとうございます。……あの。頑張ります。
井上苑子さん(以下、井上):はじめまして。井上苑子です。シンガーソングライターをやっています。歌は11歳からやっていたので、歌の世界に入って16年になるんですけど、そんな私でもまだまだいろんな悩みがあるし、見たい世界もあるので、ウタヒメドリームさんとコラボをするというお話をいただいたときも、とても嬉しかったしワクワクしました。こういう企画に参加するのも初めてなので、すごく楽しみです。
──「青いベンチ」(サスケ)はストリートミュージシャンの中では特に有名な楽曲ですが、歌うと聞いたときは、どう思いましたか?
井上:私は路上ライブを小6から中3までやっていたので、その時に歌っていたりしました。どのくらいお客さんが入ってくれるかもわからなかった中学生のときにワンマンライブをやることになり、この「青いベンチ」を歌おうと思って練習したことを、すごく覚えています。
──では、歌い慣れた曲ではあったんですね?
井上:でも大人になってからは歌っていなかったので、今の自分が歌うとどんな風になるんだろうって思いました。路上で弾き語りで歌っていましたけど、それを録って聴き返すこともなかったので、ちゃんとレコーディングしてみたかったし、聴いてみたいなと思いました。
──改めて歌詞を見て、どんな印象を持ちましたか?
井上:歌うにあたって歌詞を見返したとき、「切ない曲だったんだ!」って思ったんです(笑)。それを初めて知ったくらい、当時は「とにかく歌うことが楽しい!」という思いで活動していたんですよね……。メロディもすごくキャッチーなので、「こんないい曲を歌えるんだ!」っていう喜びはあったんですけど、改めて歌詞を見ると、すごく切ない曲だと痛感したんです。だから、「青いベンチ」をすごく切ない曲だとちゃんと認識して歌ったのは初めてだったかもしれないです(笑)。
──水月さんとHiRENさんは、この曲の歌詞を見たとき、どんなことを思いましたか?
水月:一番大切な言葉って、なかなか言えないの。一番側にいる人になら尚更、ね。なんだか照れちゃうし、「言わなくても分かるでしょ?」って雰囲気になるし、そういうこと言わないほうがカッコいいって勘違いすることもあるの。でもね。ちゃんと言わなくちゃ伝わらないの。言わなくちゃ、言えば良かったってずっと後悔することになるわ。だから大切な言葉は、ちゃんと言おうね。
HiREN:スマホや携帯のない時代は、待ち合わせに少しでも遅れたらケンカになったり、恋が終わったり、仕事を失ったりしたそうです。楽曲の中の「青いベンチ」はきっと、たくさんの人生と別れを見届けて、待ち人の来ない孤独な恋人を慰めてくれたのかと思うと、とても……言葉にできない想いが溢れます。
3月という切ない季節、それぞれの思い出
──レコーディングでは、どんなことを意識して歌いましたか?
水月:大切なものを失って初めて、自分にとってどれだけ大きな存在だったかが分かってしまうことってありますよね。そんな胸に空いた穴を埋めるようなイメージで歌ってみようと思いました。私は最後にレコーディングさせていただいたんですけど、サビで三人の声が重なった時には、同じ切ない感情を共有できている気がして、余計切なさが溢れてきました。
HiREN:この曲を聴いてくれた人が、今は喪失感や孤独感を感じていたとしても、「よしっ」って前に進むきっかけになってくれたらいいなって。思いきり「今、私は悲しいんだ。辛いんだ。」ってちゃんと認めて、思いっきり叫んで、歌って。上手く言えないんですけど。心の中の痛みがちょっと動けばいいなって思いながら歌いました。
井上:メロディがキャッチーで耳に残るというのが、この曲の素晴らしいところなのですが、レコーディングでは、温かさを残したいなと思いました。やっぱりギター(アコギ)の音色って独特の温かみがあると思っているので、切ないんだけど、人の温かみが感じられるように歌えたらいいなと考えていたんです。なので、感情をめちゃくちゃ入れて歌うというより、情緒をあまり変えずに歌いました。
──水月さんとHiRENさんの感情を込めたボーカルと、井上さんの歌声が合わさったとき、すごくいい化学反応が生まれていると思いましたが、実際に聴いてみていかがでしたか?
井上:私は最初にレコーディングしたんですけど、逆にこのバランスがいいのかも!って思ってしまいました。お二人の歌から、すごく感情が伝わってきたし、めっちゃきれいな歌声だったんですよね。その中で、私が一番感情を出さずに歌っている。その判断は良かったのかもしれないなって、完成した音源を聴いて思いました。初めて女性シンガーのお二人とコラボさせていただいて、声質の違いというのもすごく感じましたし、刺激をすごくもらいました。本当によく通る歌声で、羨ましいなとも思いました(笑)。
水月:井上さんの歌はまるで喋っているみたいに言葉がすごくスッと入ってくるんです。歌の振り分けで井上さんパートの次に私のパートがくることが多かったんですけど、気持ちのいいバトンパスのおかげで、自然にスッと感情を乗せることができました。サビで三人一緒になったときは、とても瑞々しくて素敵な重なりだなって。
──どこを特に聴いてほしいですか?
井上:メロディがそうさせてくれているんですけど、Dメロがめちゃくちゃグッと来るんです。そこに行くまでに、自然と気持ちを盛り上げてくれるので、自分も曲に引っ張ってもらって、歌もどんどん盛り上げられた気がします。
HiREN:私もDメロから最後のサビにかけて、三人のソロパートから全員になるところ。曲もですけど、気持ちもとっても盛り上がってきて……。是非聴いていただきたいです。
──3月、この季節はそれぞれにとって、どんな季節ですか?
水月:私には弟と妹が3人もいるから、毎年大騒ぎなの。学年が変わるから新しい教科書とかノートに名前を書いたり、特に弟は成長期だから体操着や靴がすぐに小さくなっちゃって大変。妹もどんどんおませさんになって、私のアクセサリーを着けて学校に行って怒られちゃったり。でもそういうところが、みんなかわいいんだけどね。ふふ。
HiREN:街に雪が降り積もると、音が消えるんです。聞こえるのは、家人の音だけ……。一つの家が、まるで繭のようになるんです。雪解けと共に繭の糸が解けて、外へ飛び出す人たちはまるで、生まれ変わったように笑うんです。すべてが生まれ変わる……。それが3月だと思います。
井上:私は中学3年生の3月を思い出します。東京の高校に入学することが決まっていたので、私は3月に東京に行ったんですけど、通っていた学校は中・高一貫校だったので、中学3年生は終業式だったんです。
みんなはそのまま高校に進学するけど、私だけ抜けてしまう……。しかも卒業式ではないから、すごくサクッと終わってしまうところだったんです。でもその終業式で、みんなで、竹内まりやさんの「いのちの歌」を歌ったんですよね。これがめちゃめちゃいい歌で! だから3月になったら「いのちの歌」を聴きたくなります。当時は寂しすぎて、歌詞も全部が突き刺さって、最初から最後まで泣いて歌えなかったんですけど、今でも中学時代の友達に会ったら、この曲は絶対に一緒に歌うんです。その頃の友達と今でも仲良くできているし、あの日があったから、もっともっとみんなに会いたいと思うようになったので、3月は寂しい季節ですけど、人の愛を知れる、大事な季節だと思います。
──卒業の季節を迎えるリスナーの皆様の背中を押すようなエールをこめて一言ください。
水月:偉そうな社長さんも、エリートな先輩も、誰だって最初は新人だったの。勿論私も。最初から完璧だった人なんていないわ。だから胸を張って、お互い頑張りましょう!
HiREN:ひとりで旅立つ人たちに、誰かが必ず待っていると伝えたいです。それは故郷で待っている人なのかもしれないし、これから出逢う人かもしれません。だから……ひとりでも大丈夫です。
井上:私は、新しいことを始めるということ、そして続けるということが、人生の醍醐味だと思っているんです。そのくらい、ひとつのことを続けるというのは簡単そうだけど、すごく難しいと思うんですね。順調に行ってても、時に大きな壁が出てきたりする。でもそこで諦めずに、その壁を乗り越えた先を見てみてほしいです。それで何もなかったと思うのならば辞めたらいい。乗り越えないで辞めるのはもったいないのかな?と思うので、もし選択肢がたくさんあったとしたら、自分の心に従って、突き進んでみてください。
[取材・文:塚越淳一/撮影:小川遼]
『ふれふれ、キミの春』プロジェクト
春──誰もが経験する、人生の旅立ちの季節。
進学や就職、友人や家族との別れ。
見知らぬ土地での生活。
様々な変化に直面するキミに、
春風が5つの感情をはらんで吹きつける。
孤独、不安、名残、勇気、そして希望。
キミに吹く風はさまざまだけど、
顔を伏せることなく一歩を踏み出そうとする
キミに寄り添い、応援したい。
大きな声で。
美しい歌声で。
歌姫たちの心からのエールを。
【LINE UP】
○青いベンチ/HiREN,水月ひかり feat.井上苑子
○遥か/真白清美 feat.安月名莉子
○青春フォトグラフ/高木凛 feat.柊優花
○今日もサクラ舞う暁に/桜木舞華 feat.しほ
○光るなら/夢咲いぶき,萩原ひまわり feat.竹澤汀
































