
『ウィッチウォッチ』若月ニコ役・川口莉奈さんインタビュー|「ニコは裏表がなく、純粋な気持ちで行動する子。だからこそ、あまり考えすぎずに、等身大の気持ちで演じています」
「ニコちゃんからすごく良い影響を受けています!」
ーーオーディションに向けて、どのように役作りを考えましたか?
川口:オーディションの段階から、なんとなくベース(となるイメージ)は持っていました。ずっと「こういう元気な女の子を演じてみたい」と思っていたんです。実は今までニコちゃんのようなキャラクターを演じたことがなく、いざ演じるとなると「自分の解釈が正しいのか?」という確信のようなものは全然なくて……。だからこそ、作り込みすぎるのではなく、あまり考えすぎずに、等身大の気持ちで演じてみようと決めました。ニコちゃんはすごく素直な性格なので、自然に演じることを意識して、オーディションに臨ませていただきました。
ーーニコ役を射止めたときのお気持ちはいかがでしたか。
川口:最初は全然信じられませんでした。正直、オーディションのときは手応えがあったというよりも、とにかく必死で、何を言われたかもあまり覚えていないくらいで。だから、まさか受かっているとは思わなくて……。「もしかして夢かも?」と思って一度寝ました(笑)。
ーーそれくらい実感がなかったんですね。
川口:そうなんです。仕事に関する夢をよく見るタイプなので、「これは夢かもしれない」「間違いだったらどうしよう」って不安になってしまいました。合格の知らせをくださったマネージャーさんも、淡々とした感じのテンションだったので余計に実感がわかなくて。「え、本当に?」って、何度も考えちゃいましたね(笑)。それを鮮明に覚えています。
ーー「自分がニコを演じるんだ」と強く実感したのは、どのタイミングでしたか?
川口:正直、第1話の収録時はまだ少しふわふわしていて、あまり実感がなかったんです。特に序盤はニコとモリヒト、あとはモリヒトのお父さんや近所のお友だちが登場するくらいで、大きな掛け合いがなかったので。
でも、第3話あたりでクラスメイトが出てきます。そこでキャスト陣が揃い、大人数での収録になったときに「本当にニコとしてこの作品にいるんだな」と実感しました。今までは(コロナ禍の影響で)分散収録が主流になっていたこともあって、大人数での収録という現場もあまり経験したことがなくて、ほぼ初めてのマイクワークだったんです。マイクの立ち位置を調整しながら、みんなで掛け合いをするのがとても新鮮でした。
ーー実際に演じてみて、川口さんご自身とニコの共通点や違いを感じることはありますか?
川口:根本的な考え方は結構違うなと感じています。ニコはとてもポジティブな女の子ですが、私はどちらかというとネガティブなタイプで、つい考えすぎてしまうことが多いんです。「これがこうなったら、最終的にこうなってしまうんじゃないか……」と、ネガティブな方向に思考が進みがちで。でも、ニコを演じるようになってからは、彼女に感化されて、自分自身も少しずつポジティブになってきた気がします。収録を重ねるうちに、私生活も明るくなったというか、物事を前向きに捉えられるようになったんですよね。なので、ニコちゃんからすごく良い影響を受けています!
ただ、共通点もあって。他のキャストの方に「いろいろなことに興味を持って話を聞いてくれるよね」と言われたことがあって。自分では意識していなかったのですが、探究心が強いところ、好奇心旺盛なところはニコと似ているのかもしれません。それに加えて「ちょっとドジなところも似ているね」なんて言われたりもして(笑)。無意識のうちに、ニコとつながっている部分があるんだなと思うと、なんだか嬉しかったです。
台本が“宝物”のように感じた瞬間
ーーニコとモリヒトの関係性も本作の魅力だと思います。川口さん自身はどう感じましたか?
川口:ニコとモリヒトは、すごく正反対の性格ですよね。ニコに足りない部分をモリヒトが補っていて、時には補いすぎているくらいで(笑)。でも実は、モリヒトにも足りない部分があって、それをニコが補っていたりする。そして、両方に足りない部分を乙木家や使い魔たちがそれぞれ補い合いながら、関係性が築かれていきます。みんな違う個性を持っているのに、上手く噛み合っていて、だからこそ面白いエピソードが沢山生まれていく。このバランスも本作の魅力の一つですね。
ーーアフレコ現場での鈴木崚汰さんとのやり取りはいかがでしたか。
川口:最初は本当に緊張していて、全然話しかけられませんでした。何を話せばいいのかも分からないし、「何か聞かれたらなんて答えよう……?」と考えすぎてしまって。というのも、鈴木さんとはアフレコ前に一緒に掛け合いをさせていただいていたんです。その時が天﨑滉平さん演じる風祭監志くんのオーディションで。ニコとモリヒトと一緒にカンシも掛け合って、カンシくん役を決めましょうと。そこで初めて鈴木さんの演技を聞かせていただいたんです。それもあって、特に第1話・第2話の収録の時は「いよいよ始まるんだ……!」という気持ちがすごく強くて、ドキドキしていました。
でも、鈴木さんご本人もおっしゃっていたのですが「人を笑わせるのが好き」な方で、すごく気さくなんです。はじめからすごくラフに接してくださるので、今では気負わずに会話できています(笑)。
ーー鈴木さんとの関係性が変わったきっかけはなんだったのでしょう?
川口:最初のアフレコの帰り道に、鈴木さんが「タメ(口)でいいよ」と言ってくださったことがきっかけでした。ただ、「本当にタメでいいのかな?」か「体裁として言ってくれているだけなのかな?」「織り交ぜていくべきなのか?」とか、いろいろ考えてしまって(笑)。結局、今は敬語で落ち着いていますが、関係性としてはフランクに接することができるようになりました。最近は鈴木さんからも 「俺のことよくイジるようになったじゃん!」と言われて、笑ってくださったので「あ、いいんだ」と思いました(笑)。とてもありがたいと思っています。
ーー収録中に印象的だった出来事を教えて下さい。
川口:第2話の収録で、「じゃあ、ニコ役の川口さん。マイク(の高さを)合わせましょう」と言われたときです。その時は5本マイクが立っていたんですね。第1話はほぼニコとモリヒトしかいなかったので、マイク合わせをする機会も少なかったのですが、主要キャラクターたちが増えてきて、改めて「マイクを合わせます」と言われたときに、「私に合わせてくださるんだ……!」とすごく感動しました。それを調整してもらったとき、「私がニコを演じる」という実感が改めて湧いたかなって。私は特に背が低いので、いつも合わせてくださっています。自分のちょうど良い高さにマイクがあるというのも新鮮です。
また、台本を開いたときに、私の名前が印字されていたことにも感動しました。追加キャストの場合、後から名前を手書きで加えたり、データにいただいたりすることが多いのですが、最初から自分の名前が印字されているのを見たとき、「ああ、本当にニコとしてここにいるんだ」と思えて、台本そのものが宝物のように感じたんです。
ーー台本に自分の名前があるのは、嬉しい反面、プレッシャーにもなるものでしょうか。
川口:めちゃくちゃプレッシャーでした。原作の篠原健太先生にも沢山のファンがいて、本当に多くの方が大切にされている作品です。篠原先生、そしてファンの方々が育ててきた作品の、愛されているキャラクターを演じさせていただくのは、大きな責任を感じます。
でも、それは同時に役者として、とても幸せなことでもあって。アニメになることで、ニコの魅力をさらに引き出したいですし、この作品全体の魅力を届けたいという思いが強くなりました。だからこそ、「自分にできる精一杯の力で応えていきたい!」と思っています。
ーーアフレコでニコとして第一声を発した瞬間のことは覚えていますか?
川口:第1話の冒頭が、子供時代のシーンから始まるんです。実は、そのとき私は緊張で手も声も震えていて……。でも、最初のシーンが泣いているニコの場面だったんです。「ありがたい……!」と。震えが良い意味でマッチしてくれたんです(笑)。
もし最初が「おはよう!」みたいな元気いっぱいのセリフだったら、多分震えがバレていたと思います。でも、泣いているシーンだったおかげで、自然に演じることができました。
ーーアフレコを続けるうえで、大切にしていることは?
川口:やはり「素直に演じること」です。ニコは裏表がなく、純粋な気持ちで行動する子なので、自分の中にできるだけ負の感情を持ち込まずに臨みたいと思っています。そのために、アフレコの前日はしっかり寝るようにして、心身ともに健康な状態で挑むことを心がけています。





















































