
『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和GO』大地丙太郎監督インタビュー with クマ吉くん|これまでの制作秘話から新作の見どころ、大スベリ(!?)した思い出まで、根掘り葉掘り聞いちゃいました
“全くウケなかった”ジャンフェス。隣の席には増田先生も……!?
ーーお話に挙がっていたグルーヴを優先する制作方法になったきっかけは何だったのでしょうか?
大地:「ジャンプフェスタ2002」の時に、アニメプロトタイプを観客の前で披露した事があったんです。その時には「寒サイン会」というエピソードを作ったんじゃないかな。その時は考えすぎたというか、探り過ぎちゃったんですよ。気合を入れすぎて、簡単に言うと……めちゃくちゃスベった(苦笑)。
ーーそんなことが……。
大地:大失敗作だと思っています。それが自分の中で強く記憶に残っているんです。その後、実際にTVアニメの放送が決まったという報告があって、「同じことは絶対にやらない」と決めました(笑)。失敗した要因は分かっていたので、それと全く正反対のことをして『ギャグマンガ日和』のアニメ第1弾を作ったんです。
ーーその要因というのは?
大地:気合を入れすぎて演出も少し派手でしたし、それこそオリジナル要素も入れてしまった。それが全部いらなかったんです。
ーーあまり想像できないですが、イベント会場で一切笑いがなかったということですよね……?
大地:「ジャンフェスはもう忘れろ」と思うくらい一切笑ってなかったです(笑)。本当にトラウマ級のスベリ方ですよ。
名古屋の会場だったと思うんですけど、当時は増田こうすけ先生もいらしたんです。私の隣の席で観ていたんですが、会場全然ウケていない。内心「ヤバい」って思っていました。
ーー『ギャグマンガ日和』に出てきそうなエピソードです。
大地:そうですよね。そこからはすぐ反省モードに入って、余計なことは絶対にしないぞと。それを経てのTVアニメだったんです。
ーーギャグアニメの制作者として、「ウケない」というのは相当ショックですよね。
大地:物凄く後悔しました。お客さんの反応がすぐに分かる環境で「ウケない」のは地獄ですよ。TVアニメだと視聴者の反応を直接確認できないので、ある程度満足のいく作品ができれば良いんですけど(笑)。
ーーそれが「原作通り」「今まで通り」という考え方に繋がっていくんですね。ところで、アニメシリーズ第1期の第8話「どっこいおむすび君」(『ギャグマンガ日和』5巻収録)というエピソードを覚えていらっしゃいますか?
大地:もちろん。
ーーあの回では、原作には無い効果音やカウントダウンの音声などが入っていますよね。原作ではゆる〜い4コマ漫画だったはずなのに、アニメの唐突さと勢いで大爆笑した記憶があります。
大地:あれは音響監督がやったんじゃないかな(笑)。その場の雰囲気で、音とカウントダウンを入れたんだと思います。私たちもすごく笑ったんですよ。「うまい手法があるもんだなあ」って。
ーー時にはその場の空気感でやってみるケースもあるんですね。
大地:オチに向かってカウントダウンしていく……というより、例えオチていなくても「ジャーン」ですから(笑)。あれは天才的な音の付け方でした。
アニメ化するエピソードはどうやって選んでいる?
ーー原作者・増田こうすけ先生のギャグやお笑いの感覚をどう捉えていますか?
大地:『ギャグマンガ日和』自体が増田こうすけ先生のセンスの塊というか。唯一無二ですし、似たような作品はないですよね。
絵柄もそうだし、笑いの感覚も全部そう。似たものがないというのは、一番凄いことじゃないかなと。「この“唯一無二感”を崩さないようにしなくては」とアニメを作っていても思います。
そのうえ、何年経っても変わらず面白いんですよね。以前、前田(剛)くんが先生に「どうやってギャグを考えるんですか?」って質問したことがあるらしくて。彼は未だにその話をよくするんですけど、先生は「仕事ですから……」とおっしゃった(笑)。本当に謎が多い方です。
ーー原作には、そんな増田先生のセンスで描かれた数多くのエピソードがあります。その中で、どのようにアニメ化するお話は選んでいるのでしょう?
大地:最初に原作の編集者さんも含めて、スタッフ陣で相談してエピソードを決めていきます。それぞれエピソードを出して、ファンの皆さんの人気が高いものも出して。そこからだんだん絞っていく感じです。簡単に言えば、こちら側が面白いと思うもの、読者人気の高いものから選んだエピソードになっています。
ーー『増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和GO』のキービジュアルにも人気キャラクターたちが描かれていて、ファンの間で話題になっていましたよね。折角なので、キャラクターたちの印象や新作の見どころをそれぞれ伺いたいと思います。
クマ吉:(無言)
大地:最初は、彼にしたほうが良さそうですね(笑)。今回、「名探偵うさみちゃん」シリーズには、新しい手法が入っていたと思います。クマ吉くんも「いつの間にそんなキャラになっていたんだ?」と(笑)。あれウケますかね……?
ーー個人的には、すごく面白かったです。やっぱりうさみちゃん含めて、作品の看板キャラクターだなと。監督自身もクマ吉くんがお好きなのでしょうか?
大地:僕は過去のDVD特典のクマ吉くん座布団を自転車につけて走っていますからね。逮捕されるんじゃないかと心配しながら(笑)。
ーー(笑)。「聖徳太子」シリーズはいかがですか?
大地:相変わらずのふたりです。やっぱり鉄板のコンビネーションですよ。
ーーふたりの掛け合いが進化しているように感じました。特に竹本英史さんのツッコミは漫才のようで。
大地:たけぽん(竹本さん)のツッコミって、普通じゃないんです。型にはまったツッコミじゃないので、こちらも驚かされます。彼だけの味がありますから、楽しみにしていただけると嬉しいですね。
ーーコンビネーションといえば、「奥の細道」シリーズの芭蕉さんと曽良くんも。
大地:今回は随分と俳句を読んでいたような気がします(笑)。新キャラクターの立花北枝(CV:小野賢章)が良い味を出してくれました。徐々に狂気になっていく演技が最高で。芭蕉と曽良の関係性に北枝が加わって、新鮮な感じになっていると思います。
ーーまた、お馴染みのキャラクターたちに加えて、新たなエピソードも放送されます。
大地:麻雀牌がキービジュアルに描かれていて、ファンの皆さんがざわついていましたね(笑)。やっぱりあの回は人気なんだなと。
ーー監督にとっても、「麻雀」のエピソードと、牛山サキ(CV:名塚佳織)が登場するエピソードは挑戦だったとか。
大地:偶然ですが、実は両方とも、私の近しい人のお気に入りの回だったんです。好きなエピソードだと聞いた時には、新作が決まっていたので、これは面白いものを作らなければと。両方ともファンの人気が高いですし、内容もハードじゃないですか。麻雀の本当のルールなんて私も良く知らないし……(笑)。
ーー麻雀を知らないのは、逆に丁度良いですね(笑)。
大地:そういう意味で、身近に顔のわかるファンがいて、その人のようなファンのためにも大事に『ギャグマンガ日和』を作るという新しい挑戦でした。













































