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『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』天内理子役・永瀬アンナインタビュー

未来はないけど前向きな理子を演じた当時。今だから気づいたセリフやシーンの意味ーー『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』天内理子役・永瀬アンナさんインタビュー

『呪術廻戦』が教えてくれた、背負うこと・変わること

ーー新しいTVシリーズの制作も決定していますが、改めて『呪術廻戦』作品全体の印象はいかがですか?

永瀬:『呪術廻戦』は、呪いや人間の負の感情がエネルギーになって、問題を引き起こしているというお話だと思っています。人間の暗かったり、卑しい部分が台詞や絵で表現されていますよね。

私も読みながら、ギャグやコメディな部分はゲラゲラ笑っていますけど、シリアスでテーマの根幹になっている部分を読むとドキッとしてしまいます。キャラクターの台詞が、現実にいる私達のことを言っているような気がして。

これまで読んだ漫画の中でも特殊というか、読んでいる私に向かって指をさしているような感じがありました。だから暗さや、負のイメージが強いですね。

ーー呪霊も負のエネルギーですし、術師が扱う力もそうですね。

永瀬:作品自体の名前は知っていたんですが、オーディションを受けるにあたって読ませていただいたんですね。しかも、『懐玉・玉折』から読みました。

ーーある種、原点のお話なので順番としては良いかもしれないです。

永瀬:せっかく予備知識も先入観も持っていなかったので、理子ちゃんが知っている情報だけで演じたいという気持ちもありました。

それが良かったのかどうかはわからないんですが、キャラクターの心情もストーリーのことも自分で想像して演技に臨んだ結果、出演することができました。

ーー「指を刺されている感覚」とおっしゃっていましたが、それはどこで感じましたか?

永瀬:『懐玉・玉折』の夏油です。弱きを助け、強きをくじくという姿勢を貫こうとする彼ですが、「弱きを助けたところで何になる」という風に思ってしまうというか、そのキリがない感じに気づいちゃうわけじゃないですか。

世の中には良いものも、悪いものも無数にあって、その大きさに疲れてしまうような。先ほども触れましたが、夏油の優しすぎる部分、温かい人柄や周囲に目を配っていて、いろんなことに気づいてしまう感じが、現代の私達に近い感覚なんじゃないかなと思います。

ーーそうですね。絶望感や無力感を抱きやすい時代なのかもしれないです。

永瀬:やっぱり、理不尽なことって誰にでもありますよね。夏油はその理不尽さに納得できないから、行動に移してしまったわけで。

ーー誰もが夏油のような選択をしてしまう可能性がある。

永瀬:ありますよね。その一歩、なにか踏み出すというか、行動するきっかけがあると、どんな道にでも進む可能性があるなと思います。

ーー『呪術廻戦』は永瀬さんのキャリアの中でも、大切な作品になっていると思います。本作に出演して、ご自身の中で変化はありますか?

永瀬:自分に自信を持てるようになって、逆に疑うようにもなりました。

ーー疑いですか。一般的には、永瀬さんの代表作と言っても良い作品だと思いますが。

永瀬:それはもちろんそう思います。出演させていただいて本当に感謝をしていますよ。作品を見てくださった方から「良かったよ!」って声をかけてもらえるんです。それこそ、子安さんと違う現場で一緒になった際に「特に理子が良かったよ〜!」って言ってくださったり。

子安さんだけではなくて、色んな人にそういう言葉をかけてもらえて、自信にも繋がって嬉しかったです。……嬉しい、超嬉しいんです。でも、だからこそ驕ってはいけないし、自分の今の実力とか、そもそも『呪術廻戦』っていう作品の上にあぐらをかいてはいけないですし。

ーーなるほど。

永瀬:今、少しづつ経験を重ねて、自分からも他の方からの信頼を積み上げている途中だから、「これが100点だぜ」とか「私がやっているんだからこれが正解だ」みたいには思いたくない。

ーー『呪術廻戦』以前は、考えるよりも我武者羅な感覚が強かったんですか?

永瀬:『呪術廻戦』に関しては凄く緊張もして、とにかくやらなきゃ!という感じで。あと、私は生意気だったし、すぐ大人に反抗しようとしたりとか……。

ーーいわゆる無敵感を感じることってありますよね。我武者羅に突っ走るような感覚から、自分自身やキャラクターを俯瞰して考えるようになる。

永瀬:わー、(読者に)生意気みたいに思われたくないな……。

ーー(笑)。永瀬さんの言いたいことはしっかり伝わっていると思います。

永瀬:伝わると嬉しいです。先輩方もファンの方も、やっぱり見てくれている人は見てくれると思うので、少しずつでも良いから実力を積み上げていければ良いなと思います。

ーーお話を聞いていて感じたのですが、やはりプレッシャーと言いますか、理子と同様に背負うものも大きいですよね。

永瀬:プレッシャーはあります。それこそ子安さんと同時にキャストが発表されたんですが、私自身はど新人だったので…豪華なキャストが並ぶ中で「この人は誰なんだろう?」と思われていたと思うんです。そんな不安や心配を感じさせたくない、素直に作品を楽しんでほしいと思い、覚悟を持って収録に臨みました。

振り返ったら"青春”になる

ーー本作でも描かれる青春というテーマ、永瀬さんにとってはどのようなものですか?

永瀬:今振り返るから青春なのかなと思います。若かったり、いろんなことをガツガツできる時期って、周りの目とか状況を気にしていないというか、多分ちゃんと考えられてないじゃないですか。

でも、少し大人になってから、そういう時間を俯瞰してみて、「こんなことしてたな」って落ち着いて振り返ることで、自分を形作っていくというか。

私も、高校で演劇をやってたなとか、先生にめっちゃ怒られたなって、思い出すと眩しく見えるし、短く感じます。その時間が、大事だったなと思います。

ーーありがとうございます。素敵な締めくくりになりました! 最後にファンの皆様にメッセージをお願いします。

永瀬:TVシリーズだと、5週に渡ってドキドキしながら見ていた物語が、劇場版総集編として楽しめるということで、その分楽しさや苦しさを一気に味わうことができると思います。もちろん、映画ならではの映像・音楽の迫力も楽しんでいただきたいです。

五条と夏油、そして『呪術廻戦』の始まりの物語と言っても過言ではない本作をぜひ劇場でご覧になってください!

[取材・文/タイラ 撮影/MoA]

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『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』

2025年5月30日(金)公開

<STAFF>
原作:「呪術廻戦」芥見下々(集英社ジャンプコミックス刊)
監督:御所園翔太
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:平松禎史・小磯沙矢香
副監督:愛敬亮太
制作:MAPPA
配給:TOHO NEXT

<CAST>
五条 悟:中村悠一
夏油 傑:櫻井孝宏
家入硝子:遠藤 綾
天内理子:永瀬アンナ
伏黒甚爾:子安武人

<主題歌>
キタニタツヤ「青のすみか (Acoustic ver.)」(Sony Music Labels)

<公式サイト>https://jujutsukaisen.jp/
<公式X>https://x.com/animejujutsu

(C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
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