
みんなの覚悟、向き合わなければいけないものが見えてきている──『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』第4章 古賀 葵さん、関根明良さん、大地 葉さん、影山 灯さん、古木のぞみさんインタビュー【ネタバレあり】
アンジェとドロシーの衝突。決断を迫られる第4章
──ターナー以外のシーンで、印象的だったところはありますか?
影山:Lとノルマンディー公の絡みがすごかったなと思います。
── 一緒に写真を撮っていたシーンですね。
大地:あの写真、欲しい……。
影山:写真を撮るシーンですが、すごく『プリプリ』っぽいなぁと思いました。良いおしゃぐり合いをしているなって。
大地:実はバチバチだもんね。
影山:「今はスミス・カミング文化事業局長だったか」と言うところも、「今は」という言葉が良いですよね。どこまで把握しているんだろうと思うと、怖い。周りに聞かれても良いような、表面上の会話のやり取りが良くて。
関根:ノルマンディー公の「死者に鞭打つ事は私も望まん。彼の名誉の為にもな」は、「そんなこと本当に思ってる?」って思いました(笑)。
湯川チーフプロデューサー:Lはビショップ(第1章に登場)のことを気に入っていたから、それもわかって言っているんです。
大地:怖い大人たちだ……。
古木:ここに来て、Lとノルマンディー公の歴史を感じさせるシーンですよね。ずっと前から知っている2人の間柄がわかるというか。
影山:あと、2人が写真を撮っているときに後ろにあった絵画も気になっているんです。『プリプリ』は、意味のないものは映さないから、何かを示唆しているのかな?と思っているので……誰か考察してください(笑)。
大地:お待ちしています(笑)。
──ノルマンディー公といえば、プリンセスと対峙するシーンもありました。「ウマが合わない」と言われていましたが……。
関根:このシーンは、本当に一緒に録れて良かったなと思います。
土師さんは、収録外では本当に優しく接してくださる方ですが、収録中は演技や声、存在感でもノルマンディー公のような圧を出してくださっていて。その圧に怯まないように、でもちょっと臆してしまいそうな……そんな絶妙な心境を引き出していただいているなと、一緒にお芝居をさせていただくたびに思います。
──第4章は「判断・決断」が重要なポイントかと思います。ノルマンディー公がターナーを不要だとして始末する決断をしたシーンで、「何を守るべきなのか」と、ドロシーとアンジェがぶつかりました。
大地:お互いに譲れないものが明確にあるというか……。ドロシーが考えている仲間の中には、もちろんアンジェもいるわけで。これは本当に、どこが落とし所なのかがわからないなと、いつも思っているんです。スパイとして、誰の意見を優先させるべきなのか……。
そんなとき、どちらかというと人間らしい感情に従うのがドロシーで、アンジェは一度決めたことは必ずやるタイプ。その違いが顕著に出たから生じた、2人のぶつかり合いでした。でもこの難しい状況の中で、チームをまとめられていたのはすごいなと思います。
古賀:確かに、すごい。
大地:最後はドロシーが「最終判断は私が下す」と言っていたので。
関根:ドロシーにアンジェが付いて行くのも、今までの過程を経た結果だなと思います。以前のアンジェだったら、勝手にどこかに行って、ひとりで動いていたと思うので。
大地:アンジェが勝手に動いて、ドロシーに怒られていたこともあったからね(笑)。自分の意見を一度飲めるようになったのは、成長ですよね。
古賀:私としても、この場面は中々言葉にするのが難しいんですよね。アンジェもアンジェで、ターナーが良い人だというのはわかっている……だからこそ自分は「鬼でいないと」と思う。そんな葛藤もあったと思いますが、色々なものが重なりすぎていたので、自分も強く出ないと決意が揺らいでしまう。そんな気持ちとも戦っていたんだろうなと思います。
──アンジェにとって、プリンセスの命が握られている状況は、本当に大きい問題ですからね。
大地:アンジェにとって、絶対に揺らぐことができないことですから。
古賀:人としての感情とスパイとしての感情がぶつかるシーンが多かったなと思います。
──その後ターナー亡命作戦が継続されます。敵に追われているときに、撃たれそうになるターナーをベアトリスが庇おうとしました。
影山:ベアトは本当に良い子だから、何かを捨てて何かを取るという決断ができないタイプなんです。「全部救いたい」と思っている子で、何も諦めたくないんですよね。
大地:特に、ターナーの優しさを知っているからね。
関根:ベアトの「姫様は壁にひきさかれた人を救うために命をかけてるんですよ!?」の台詞には本当にプリンセスのことを信じてくれているんだなと感じて、「なんて可愛いんだろう」と。
ベアトはベアトでプリンセスのことを考えていることはわかるけれど、スパイとしても、誰にも言えないプリンセスとの秘密もあるから、アンジェは「知った風な口きかないで!!」と言ってしまう……。これはプリンセスが知り得ないやり取りですが、関根として後ろから見ていて、心が痛くなりました。
影山:ト書きには、「理想論 ベアトリスも、どうしていいかわからない」と書いてありました。本当は誰も傷ついてほしくないんですよね。
──でも、確かに理想論ではありますよね……。
影山:(カーチェイスのシーンで)ターナーが撃たれて気にならないわけがないのに、アンジェは興味がないような雰囲気で前を向くのですが、絶対に辛いだろと。アンジェも本当は優しい子だから。
──ドロシーもベアトリスも、今はターナーを守ろうと必死でしたが、プリンセスの身を案ずる気持ちがアンジェにあり続けて、だからこそ焦っている雰囲気がありましたね。
大地:そうですね。ドロシーらは目の前で起こっていることを必死に対処するけれど、アンジェの場合は絶対的な存在が大きすぎるので、まったくブレないんですよね。
関根:常に深くプリンセスのことを考えてくれていますよね。
──第4章は、派手なアクションはもちろん、このような精神的なやり取りも見応えがありました。そして最後は、ターナーが自分の腕を切るという決断をし、それを自分の命の代わりとして、持ち帰ってほしいと言います。その役はちせが引き受けましたね。
古木:ここは、ちせも私がやるべきだと進んで名乗りを上げたのだと思います。
影山:カッコ良かった。やっぱり決定には従うんだなって。
関根:それに武士や侍どちらが正しいでしょうか?として、介錯をする……。
湯川チーフプロデューサー:覚悟を持った人間を介錯できるのは自分しかいないという気持ちと、彼女自身も父親を手にかけているので、「覚悟」についてもわかっているのでしょう。
大地:言葉は少ないけど、覚悟が伝わってきたなぁ。
古木:クライマックスに差し掛かったあたりから、ちせは全然しゃべっていなくて、ずっと見守っているんです。どうなっていくのかを見ているんだなと思いました。
ちせだけ日本人だし、みんなと国が違う状態での関わりだから、ドロシーとアンジェがぶつかり合っているのも、ちゃんと聞いているんですよね。
影山:そこで口を出さないカッコ良さもあるよね。
大地:決断が出るまで見届けている感じがして。
関根:上の意見を聞いて、それに従うというのもこちらも武士or侍問題という感じがします。だから、ドロシーとアンジェが話し合って決めたことに従うんでしょうね。
古木:すごい女です。ターナーの男気に応えたかったというのもあるのかなと思いました。
──そして第4章のラストでは、いよいよアーカム公が動き出しました。しかもゼルダがアーカム公側についているという衝撃の展開も……。
大地:ちょっと情報が多すぎます。
関根:うわー血だー。お兄様がー!(アーカム公)! え!ついに貴女が!うわ〜っという感じでした。
大地:ついにゼルダさんが動き出すということは、次回以降は大活躍するのではないかと思っています。声を担当している園崎未恵さんも喜んでいるのではないかと。「私、いつ出るの?」とずっと言っていますから(笑)。
古木:台本を読んだとき、びっくりしました。「あのゼルダ?」って。
大地:満を持しての登場だったからね。
影山:あと、「じゃあ始めるとしようか…革命を…」で終わる作品、カッコ良すぎません? 締め方が良すぎる。
──次回への期待も煽りつつ、気持ちも高まるラストでしたね! 関根さんはこの一連のシーンについて、いかがでしたか?
関根:本当に申し訳ないんですけど……アーカム公が隊長に助けられるシーンのト書きの「仔犬のように格子に飛びつくアーカム公」に、星マークを付けていました(笑)。
一同:(爆笑)
大地:アーカム公推しとしては、見逃せないワードだもんね(笑)。
関根:「もー、忘れられてるんじゃないかと思ったよー」というアーカム公のセリフにも、関根がキュンと来ていたんだと思います。大好きなシーンです……!
大地:私は怖かったけどね(笑)。
──本当に数え切れないほど、必見のシーンが盛り込まれていますね。それでは最後にひと言ずつ、ファンへのメッセージをお願いします。
古木:一度観ただけではわからないところもあると思います。『プリプリ』は劇場で観る価値がある作品だと思いますので、何度も観ていただきたいです。物語的には、大変不穏な空気になってきていますが、このあとどうなっていくのか、私たちも気になっています!
影山:第4章は、重いけど面白いシーンが散りばめられていて……やっぱり『プリプリ』って良いですよね。今回は、ターナーのカッコ良さやベアトとの関わりなど、見どころがいっぱいありますので、ぜひたくさん楽しんでください!
大地:第4章ともなると、「次回もお楽しみに!」と、気軽に言うのを躊躇するような展開になってきつつあるなと感じています。みなさんも続きを見るのが怖いというフェーズに入っていると思いますが、我々もそうです。兎にも角にも、第6章まで、5人が無事に生き残ることを強く願っています。
毎回、前回を超える面白さで、今回も本当に面白かったので、この調子で突っ走っていけるよう、応援していただければと思います。
関根:第4章で改めて決めたプリンセスですが、(以前、命を狙われた)ゼルダさんの登場によって、断頭台フラグがまた見え隠れし始めたことに関根としてはドキドキしております。まだまだ怖い状況が続きますが、たいちょーも言っていたように、第5章、第6章とみんなで生き抜いて、カサブランカにある白い家に行けるよう願っています。
また第4章でも音楽が本当に素敵で! 音楽を聴いているだけで鳥肌が立つシーンもたくさんあったので、ぜひ映画館の良い音響で楽しんでいただければと思っています。
古賀:第4章まで来ました。こんな展開になるんだー!という気持ちもありましたし、特に心がざわざわする内容で……次が怖いですね。この先、誰がどのように動いていくのか、最後のアーカム公の登場でさらにわからなくなりました。
とにかく、とにかく全員が無事でいてほしいという気持ちと、ターナーさんの人間力があって、今回は上手く収まりました。ですがアンジェとしては、もうはち切れそうなので、次の章でこれ以上のことがあったらどうなってしまうのか、今から恐ろしいです。
みんなの覚悟、向き合わなければいけないものが見えてきているので、みなさんも覚悟を持って見届けていただけたらと思っています。
【インタビュー・文:塚越淳一 編集:西澤駿太郎】
『プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第4章』作品概要
あらすじ
彼女たちが共和国のスパイであると知ったノルマンディー公は王国と共和国の二重スパイになるよう命じ、 プリンセスだけはノルマンディー公の管理下に置き、4人は常に監視をされながら一時解放されることとなった。
一方、この事件を契機にチーム白鳩は共和国から二重スパイになったのではと疑われることになり、その真偽を確かめるべくコントロールから新たな任務が下った。
それはある男への接触だった。アンジェ、ドロシー、ベアトリス、ちせはとある工場への潜入を始める。その男こそ共和国の経済を揺るがす、重要な人物であった。
王国と共和国の狭間で揺れるチーム白鳩の命脈が
徐々に追い込まれていくことになる――
キャスト
(C)Princess Principal Film Project




































