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『キングダム』蒙武(もうぶ)とは?史実も含めて解説

『キングダム』蒙武(もうぶ)とは? 蒙驁(もうごう)将軍の息子で、蒙恬(もうてん)のパパ。王騎(おうき)の死を招いたことにふさぎ込むことなく、”中華最強”を目指して成長中!

『キングダム』は、週刊ヤングジャンプ連載中の原泰久先生の歴史漫画作品です。舞台は、中国 戦国時代末期(紀元前245年頃から)。主人公は、中華統一をめざす若き秦(しん)王 嬴政(えいせい、後の始皇帝)と、下僕から大将軍を目指す信(しん、後に李信)の2人です。
 
ここでは、秦を代表する武将 蒙武(もうぶ)を掘り下げていきます。また、史実の蒙武についても調べましたよ!
 
 

目次

蒙武の家族「蒙家」とは?

 
 
蒙武は、秦国を代表する武将のひとりで、年齢経験ともに秦軍の中堅どころ。戦闘スタイルは、戦局を細かく考えるタイプではなく力で押していくパワー型で、”中華最強”を目指しています。

戦闘スタイルだけを見れば、主人公の信と似ているようにも思えますが、生まれた境遇がまったく異なります。
 
蒙武は信のように下の身分から成り上がったのではなく、名家の生まれです。蒙武は、「白老」と尊称される名将 蒙驁(もうごう)の息子なのです。
ですから信とは異なり、軍でのポジション獲得の機会には恵まれていたと思われます。とはいえ、境遇に甘んじることなく、幼い頃から鍛錬に励んできた努力家です。
 
蒙武には息子が2人いて、長男が蒙恬(もうてん、信の友でありライバル)、次男が蒙毅(もうき)です。蒙恬は蒙家をつぐ武人として成長中、蒙毅は軍師となるべく秦の最高軍師 昌平君(しょうへいくん)の軍師学校で学んでいます。
 

実は成り上がり名家

蒙武の家は名家と述べましたが、家の歴史は浅いです。秦を代表する名家 王家(王騎・王翦ら)が代々の秦王に支えてきたのに対し、蒙家は蒙驁の代に実力で成り上がった家なのです。
 
蒙驁の生まれは、秦国ではなく斉(せい)国。斉王のもとでは武人としての芽が出ず、幼い蒙武を連れて秦に移住。秦でその活躍を王に認められたのでした。
 
この時のエピソードでは、この家族が親子2人だけであることがわかります。蒙驁の妻であり蒙武の母に当たる女性は、蒙武を産んだ後に亡くなっているのでしょうか。作中に登場していません。
また、蒙武の妻(蒙恬と蒙毅の母)も、若くして亡くなっています。
 
物語が進んでも、親戚が登場することはありませんし、女性の影もありません。名家といっても、蒙驁・蒙武・蒙恬・蒙毅の4人家族。臣下の武人はたくさんいますが、先祖代々支えてきた家の者というよりは、蒙驁・蒙武の人柄を慕って従っているという印象です。
 

家族は仲良し

蒙武の描写中に、父や子と一緒に家族団欒といったものはありません。しかし、それぞれがそれぞれを思い合っている家族の絆は、要所に見ることができます。
 
・父 蒙驁の死に対して。
蒙武は、受け持っていた戦場を離れず、蒙驁の最期をみとりませんでした。ただし、父への尊敬と敬愛の気持ちは示しています。
「すさまじい長旅であったな…親父殿…」
蒙武はこう言うと、酒がなみなみと入った大きな盃を空に向かって掲げたのでした。
 
・息子 蒙恬に“親”として。
「函谷関の戦い(合従軍編、秦vs.他6ヶ国)」の時のこと。蒙武は、楚の総大将 汗明(かんめい)の軍に囲まれてしまいます。そんな父の危機を察した息子 蒙恬は、自身の隊を分け駆けつけます。


 
「父が死んだら……… 弟が悲しむからな」
と軽く微笑む蒙恬。その先には、蒙武と汗明との壮絶な一騎打ちが始まっています。
汗明に集中する蒙武を、後ろから突こうとする楚兵がひとり…。駆けつけた蒙恬は、これを阻止。しかし、重症を負ってしまいます。
 
すると、蒙武の顔つきが変貌! 怒りの一撃を汗明へ! 勝敗は決しました。
 
臣下がおろおろしながら、蒙武に、蒙恬への最期の言葉を掛けてくれ、と頼むと蒙武は拒否。
「この蒙武の倅(せがれ)だ その程度で死にはせぬ」
と大声で叫び、周囲に武人としての姿を示し戦闘に戻っていきます。
 
ちなみに、蒙恬はこの言葉のとおり、ちゃんと復活しています。もしかしたら、蒙武の言葉が、蒙恬が三途の川を渡りそうになるのを引き止めたのかもしれませんね。
 
ぶっきらぼうながら、一言ひとことに愛情を感じる蒙家の面々です。
 
 

昌平君との関係

 


   
蒙武は物語初登場時、なぜか、呂不韋(りょふい、宰相・相国、政の父??)に従う者として出てきます。
呂不韋は政以上の権力を握っている、いわば政の敵。呂不韋は「呂氏四柱(りょししちゅう)」という、秦で最も実力のある者たちを抱えており、この中に武人 蒙武と軍師 昌平君がいます。
ですから、蒙武は、主人公サイドの敵側として登場していることになるのです。
 

「蒙武と楚子」

作品本編には直接描かれていませんが、原先生がキングダム連載前に書かれた作品「蒙武と楚子」と『キングダム』の世界が繋がっているとするなら、蒙武と昌平君は“ともに育った親友“です。
 
実は、昌平君は、楚の王子で、秦に人質として送られていた身だったのです。彼に気をかけていたのが蒙家で、蒙武と昌平君は一緒に鍛錬に励んだ仲。この日々の中、2人で立てた目標が、”中華最強”になることだったのです。
 
本作品中でも、昌平君が内心で戦場の蒙武に語りかけるなど、2人の絆は所々に表されています。
例えば、蒙武が、昌平君に息子2人を預けていること。蒙恬も蒙毅も、昌平君の元で軍師としての知識を学んでいます。これも、友への信頼と絆の表れでしょう。
(物語開始時、兄の蒙恬は既に卒業済みで、軍師から武人にキャリアチェンジしています)
 
蒙武と昌平君の絆がわかったところですが、もし作品が史実どおりに進むとしたら、後に昌平君は楚に帰り、秦と戦うことに……。2025年6月現在、作品がこの先どうなるかはもちろんわかりませんが、今からドキドキしてしまいます。
 

なぜ呂不韋についていたのか

蒙武が政ではなく呂不韋についていた理由は、作品中では特に述べられていません。その後、呂不韋が失脚したことで、特にお咎めもなく政側についたというか、ふつうに秦の一将となっています。
 
おそらくですが蒙武は、“中華最強”として名を轟かせるためには、現時点での最高権力者に付いたほうがいい、と判断したのではないでしょうか。加えて、昌平君との友情も関係したと思われます。
 
昌平君は、外国人・人質でありながら、呂不韋のおかげで政権中枢に入れたという経緯があります。ですから、当時の昌平君は呂不韋に付かざるを得ない状況だったのです。
昌平君には、「世話になった」と呂不韋に別れを告げる格好いいシーンがありますが、これは後の話です。
 
蒙武の心にあるのは、幼い頃に昌平君と抱いた目標”中華最強”。呂不韋の思想に賛同していたわけではないと思われます。
 
 

武力一辺倒からの成長

 
 
蒙武は“中華最強”を目指しているくらいですから、その武力には自信があるのでしょう。確かに、敵への一撃の時の力や勢いは、初登場時から際立つものがあります。
しかし、戦術面ではあと一歩のところも。この面での失敗が、王騎の死に繋がることになってしまいます。
 

王騎の死

「馬陽の戦い」にて。敵は趙です。
秦軍の中央陣を率いる蒙武は、趙の挑発に引っかかってしまい、前に突っ込こんでしまいます。蒙武は、趙兵の猛攻撃をくらうことに。
 
これを助けるために、後方の本陣で総指揮をとっていた王騎が、前線に出ます。秦は陣形が総崩れ。戦の最終的な勝利を難しくする局面に陥ります。
そして、総大将 王騎が趙の大将 龐煖(ほうけん)と一騎打ちのすえ、致命傷を負い死亡してしまうのです。
 
王騎の死の間際、蒙武は差し迫った顔で王騎に、
「許せ 全て俺の責任だ」
と言います。これに対して王騎は、
「蒙武 あなたの課題は明白です あなたは間違いなくこれから秦国軍の顔になるべき一人です そのことをしっかり自覚してさらなる成長を期待します」
と言い遺したのでした。
 
王騎の死の責任を感じた蒙武は、戦略面を冷静に判断することや、力だけがすべてではないことなど、自分の弱点と向き合うことに。蒙武は、失敗の責任や後悔に押しつぶされることなく、弱点を克服すべくまっすぐに成長していくのです。
 
国の中堅どころであり、2人の子をもつ父である年齢になっても、成長する。
これは、単純なことようでありながら、私たちの現実ではなかなか難しいのではないでしょうか。プライドが邪魔をしたり、今の居場所を捨てられなかったり、と色々ありますよね。
こうした余計なことは考えもしないまっすぐさは、蒙武の魅力のひとつだと思います。
 

その後の活躍と出世

先に述べた「函谷関の戦い(合従軍編)」では、汗明を討ち取り、撤退する合従軍兵を追いかけて打撃を与えました。
この論功行賞で、蒙武は「大将軍」になります。
 
「対魏戦」では、騰(とう、遺された王騎軍を率いる将)軍とともに魏の満羽(まんう)軍に突撃。満羽と一騎打ちになります。とはいえ、一騎打ちの決着がつく前に敵本陣が陥落したため、戦が終了。秦の勝利です。
 
秦王 政は、“論功行賞及び絶えていた「六大将軍」の復活”を発表。
この発表により、蒙武は“新”「六大将軍」第一将になります。

 
 

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