
FMシアター『時をわたる聲(こえ)』田中正彦さん・白倉碧空さんW主演、NHK-FMにて6/28全国放送!
NHK旭川放送局では、6月28日(土)に田中正彦さん・白倉碧空さんW主演のオーディオドラマFMシアター『時をわたる聲(こえ)』を全国放送します。
このラジオドラマが描くのは「三船遭難事件」――終戦直後、日本海側の留萌沖で、樺太からの引き揚げ船3隻がソビエト軍とみられる潜水艦に襲撃され、うち2隻が沈没、1,700人あまりが犠牲になった事件です。
元札幌テレビ放送ディレクター・中尾則幸氏が記したドキュメンタリーノベル『海わたる聲』をベースに脚色して、終戦80年の節目にお届けします。
オーディオドラマFMシアター『時をわたる聲(こえ)』6月28日(土)放送決定!
FMシアター「時をわたる聲(こえ)」
放送予定:2025年6月28日(土)午後10:00~午後10:50 <NHK-FM 全国放送>
※らじる★らじるでリアルタイム・聴き逃し配信予定。
【原作】
中尾則幸
【脚色】
園部漣
【出演者】
田中正彦・白倉碧空
高橋響・西田薫・中田富美子・納谷真大・大橋哲郎・武藤昴・梅原たくと ほか
【制作】
〈NHK旭川放送局〉
制作統括:大隅亮
プロデューサー:堀口航平
技術:清水ひな・横山達夫
音響効果:三村俊之
演出:鈴木彰悟
【ドラマのあらすじ】
鶴川康夫(80) は元・北斗テレビ放送留萌支局の通信員。彼には向き合わなければならない「宿題」があった。
終戦直後、北海道留萌沖で、樺太からの引揚げ船をソビエト軍とみられる潜水艦が砲撃した「三船遭難事件」。
若手記者時代に、その生存者を取材した6ミリテープが、自宅に放置されたままになっていたのだ。思い立った鶴川は、古い機材を引っ張り出し、当時の「聲こえ」に再び耳を傾ける。
そんな鶴川を訪ねたのは、高校2年生の孫娘、美咲(17)。古めかしいテープに興味を持った美咲は、素朴な好奇心から、テープを聴かせてほしいとせがむ。この日の出来事が、当時日の目を見ることのなかったある悲劇を浮き彫りにする。
出演者からのコメント
主人公 鶴川康夫役:田中正彦さん
【プロフィール】
大阪府出身。高校卒業後、舞台俳優としてデビュー。以降、声優としても活躍。代表作に「進撃の巨人」、「シャーマンキング」、「頭文字D」、「はじめの一歩」、「蒼穹のファフナー」など。
【コメント】
──台本を読んで
お恥ずかしながら、この事件のことを知らず、台本を頂いてからいろいろと調べました。そして、現代にも色々な場所で争いがあって…思うところがありました。
私の父も戦争に行った人間でしたが、戦争については一切話しませんでした。父が亡くなった後に荷物を整理していたら、戦友が書いた日記が残されていました。
おそらくコピーを皆に配っていたんだと思います。それをたまに読んでいますが、本当に過酷ですよね。犠牲になった方が大勢いて、すごく辛いです…。
──演じてみて
三船遭難事件の証言者のテープを整理しきれぬまま、50年過ごしてきた、という役柄ですが、その忸怩じくじたる思いを世に出したい、でも出せなかったという罪悪感を引きずっているんですよね。
セリフ一つ一つの意味が深くて…。戦争の体験者ではないので、どのように吐露したらよいのか、罪の重さをどこまで出せるか、が難しかったです。
主人公 中原美咲役:白倉碧空さん
【プロフィール】
白倉碧空(しらくら あおい)は2006年生まれ、大阪府出身。2022年にデビューし、ドラマ日曜劇場『御上先生』や映画『カーリングの神様』などで注目を集める。歌や料理、声真似を得意とし、音楽活動も展開中。
【コメント】
台本をいただいたとき、率直に「こんなことが本当にあったんだ」と驚きました。
私は学生時代、歴史の授業が好きで、先生の話もきちんと聞いていたつもりでした。だからこそ、これほど大きな出来事が教科書にも載っておらず、今まで知らなかったことに衝撃を受けました。
おそらく私も、身近に経験者やその出来事を語ってくれる人がいなければ、劇中の美咲と同じように、何も知らないままだったと思います。それが悪いとは思いませんが、知ることで見方が変わり、感じ方も深くなるのだと実感しました。
この作品に関わることができて、本当に多くの学びがありましたし、心から良かったと感じています。
スタッフからのコメント
脚色:園部漣(佐佐木れん)氏
【プロフィール】
北海道札幌市出身。2017年よりフリーランスのシナリオライターとして活動を開始。ゲームのシナリオや、オーディオドラマの脚本を執筆。これまでにFMシアター「シャッター」(第42回BKラジオドラマ脚本賞 佳作一席)、「乾杯ワインは時を超えて」(NHK札幌制作)、「あすかのレトロな冒険」など。
【コメント】
お話をいただき、まず最初に、この事件を知らなかったことに愕然としました。 私の生まれは札幌ですが、父、そして祖父母が留萌出身で、私自身も過去に何度か留萌を訪れたことがあるからです。あれほど悲惨な事件があった海で、幼い私はただ楽しく遊んでいた記憶しかありません。
父は戦後の生まれですが、祖父母はまさに事件当時を見てきた人たちでした。私は父に「二人から当時の話を聞いたことがあるか」と尋ねましたが、「一度もない」と言うのです。そして私も、父から事件について聞いたことがありませんでした。
口にしない理由もできない理由もあったのだろうと思うと、伝えなかったことを責める気持ちにはなれません。けれど一方で、何かできることはなかったのかと言葉にならない思いが込み上げました。それが、今回脚色をお引き受けする動機となりました。事件を知らなかったからこそ、今だからこそ、私にもできることがあると信じたかったのです。
今回、原作著者の中尾さんに直接お会いし、お話を伺う機会を頂きました。何よりも大切な芯となる部分について、直接伺えたことは本当に幸運なことでした。そこだけは決して違えてはならないと、覚悟を新たにする時間でもありました。
三船遭難事件は『1700人余り』が犠牲となった事件です。しかしそれはただの数字ではなく、1人1人であるのだという中尾さんの言葉が深く心に残っています。そしてこうも仰っていました。「大切なのは繋いでいくこと」だと。私も今、強くそう感じています。
最後に、執筆にあたり、中尾さんをはじめご協力いただいたすべての皆様に心より感謝申し上げます。
この作品が、今だからこそ意味のあるものとして、多くの方に届くことを願っています。
演出:鈴木彰悟(NHK旭川放送局 ディレクター)氏
【コメント】
制作にあたり、原作『海わたる聲』から感じた「三船遭難事件の記憶を、次の世代へと託したい」という祈りを、何より大事にしたいと思いました。より10~20代が共感しやすいドラマを目指すには、どうすればよいのか?
悩みに悩んだ結果、原作では脇役の1人だった美咲を、主役に押し上げることにしました。大胆な翻案を了承してくださった中尾則幸先生に、この場を借りて感謝申し上げます。
『海わたる聲』ではコミュニティFMのパーソナリティだった美咲は、『時をわたる聲』では発信の幅を世界に広げ、Vtuberに。2つの声色を使い分ける難しい役どころでしたが、白倉碧空さんが完璧に具現化してくれました。
原作からの主人公・鶴川を演じていただいた田中正彦さんは、出演作『蒼穹のファフナー』でのイメージが今回の役と強く合致したので、お声がけしました。威厳と慈愛に満ちた声で、鶴川が抱く50年という歳月の重みに、有無を言わさぬ説得力を与えていただきました。
過去から現在へ、そして未来へとわたる「聲」の物語。ぜひお聞きください!




















































