
夏アニメ『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』放送直前声優インタビュー|石川界人さん、瀬戸麻沙美さん、雨宮天さん、上田麗奈さんが語る《大学生編》の注目キャラクターは?
ファンと一緒に年を重ねた『青ブタ』という作品の魅力とは!?
――TVシリーズ第1期が2018年ということで、間に劇場版を挟みつつTVに帰ってくるのは7年ぶりになります。再びTVシリーズに帰ってきた感想もお話いただけますでしょうか?
石川:僕の勝手な印象にはなるのですが、一度劇場版をやった作品がもう一度TVシリーズに帰ってくるなんてあまり無いのかなと。『青ブタ』はTVシリーズ第1期の後に3本劇場版をやって、そこから今回の《大学生編》が第2期として作られていますからね。
原作を読んでいると、確かに《大学生編》はTVシリーズじゃないと表現が難しいなと思うんです。ひとつなぎに霧島透子という謎の人物を追いかけるテーマもあるので、どうやって描いていくんだろうと思っていました。だけどTVシリーズでやるというお話をいただいたので、作品の良さを伝えやすい形でみなさんにお届けできる喜びがありました。
だからこそ長期間の放送になるので、1クールという期間を通して霧島透子の未知な存在感を残しつつ、各ヒロインたちの悩みに向き合っていくところの表現に注力して頑張りたいなと思いました。
瀬戸:今はTV放送だけではなく色々な配信形態がありますが、私はアニメを見る人間のひとりとして1週間に1度楽しみにする形が好きなので、またTVシリーズという形になってくれたのもちょっと嬉しいことのひとつでした。
作品にのめりこんでもらえたら、きっと1週間は放送されたばかりのエピソードについて考えたりするじゃないですか。放送日が決まっていると思考する時間を物理的に取れるし、それをコントロールできる。そういうところも《大学生編》にはピッタリだと思います。
後は既に霧島透子さんの歌がYouTubeに出ていたりしますけれど、ああいったギミックもTV放送だからこそなのかなって思いますし、ワクワクしますよね。
雨宮:《高校生編》の卯月はTVシリーズではスイートバレットのメンバーとして本当にちょこっと出る感じで、その後の『おでかけシスターの夢を見ない』でようやく卯月というキャラクターを認識してもらえた流れがあったと思います。ここまでは瞬間的な存在でしたが、《大学生編》では卯月にも時間が発生したといいますか。掘り下げてもらえる時間を与えてもらえたことが、演じさせてもらっている身としては凄く嬉しいところです!
上田:毎回引きがある良さはありますよね。私は最初、この『青春ブタ野郎』というタイトルを見た時にラブコメなのかな?って思っていたのですが、内容を見てみるとラブコメもあるけれど思春期症候群のような不思議な要素やミステリっぽい要素も強いなと思いました。だからこそ、瀬戸さんがおっしゃるように毎回引きがあって考える時間があるのは向いていますよね。
ミニスカサンタは登場してからずっと、ちょこちょこ出てきては誰なんだって思わせてくれると思います。各ヒロインたちの悩みを掘り下げつつ彼女の正体も考えながら見ていくのなら、やっぱりTVシリーズのほうが映えるように思いますし。物語の分量的にもシリーズで描くことで、没入しやすくすっきりする感じになっていると思います。
――そしてアニメ第一期『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』を当時ご覧になられた中高生は、咲太たちと同じ大学生や社会人になっていたりするかもしれません。また、再放送などから新たにファンになってくれた中高生の『青ブタ』ファンもおられます。ぜひこの両者へのコメントもいただけないでしょうか?
石川:既に思春期を乗り越えたみなさんは、ある程度自分の性格や趣味嗜好が固まっていると思いつつ、今回の《大学生編》では自分もこんな時期があったなというふうに思いながらも作中で描かれる悩みを全部通過していることは少ないのではないかと思うので、人それぞれ色々な悩みがあるんだなとキャラクターたちの他人への寄り添い方に注目していただけたらいいのかなと。
今回から初めて『青ブタ』に触れてくださる方たちは、大人って大変なんだなってことを知ってもらえると嬉しいです。やっぱり年齢を重ねると社会が広がって自分と関わる人も増えてきますし、そんな人たちもそれぞれの人生を歩んできています。考え方が近い人もいるとは思いますが、確実に違うところがどこかにはあるので、だからこそ相手をおもんぱかりながら人と接していかなければならない。
そういうところで悩みや軋轢が生じて……なんて現実的な話をすると大人になるのが嫌になるかもしれないのですが、その中で生まれる楽しさみたいなものも確実にあります。この作品でそれが勉強できるかはわかりませんが、そういうところを知っていただきたいです。
瀬戸:もう大人になられた方は、こんなこともあったなって当時を振り返る人もいれば、あの時はわからなかったけどこういう考え方もあったのかな?みたいな気付きがあるかもしれません。それを心のままに実行してみたら、もしかしたら今より優しい人になれるかもしれないですね。
今はまだ咲太たちの年齢じゃない方たちからすると、ちょっといいなって憧れる世界が描かれているんじゃないかなと。悩みにぶつかったとしても、全力でぶつかって泣いてっていうのにも憧れる人がいると思います。
アニメとかを見て学生時代を振り返ると、自分が経験できなかったものが得られると思うので、その中でいいなって思ったものは真似してみたらいいし、大切な言葉にしてもいい。私は『青ブタ』が好きな人とはきっと仲良くなれそうだなって思いますね。
雨宮:今大学生くらいとか社会人になりたての方の中には、周りの人が自分を残して大人になってしまったという感覚がある人もいるんじゃないでしょうか。私もそうだったんですけれど、でもみんなそんなに大丈夫じゃないし、大人に見えているだけで中身はそこまで大人じゃなかったりする。だからそこは安心していいのかなってこの作品を見たら感じるんじゃないかなって。
大人になれている人なんて別にいないというか、『青ブタ』に出てくるキャラクターたちの年齢もそうだけど、私の年齢になったってまだ思春期を拗らせているみたいなところがありますし。だからそこは安心して欲しいですし、きっと自分ひとりじゃないって思います。
中高生のみなさんは結局大人にはなれないと悟ってしまうかもしれませんが、この《大学生編》で描かれるように自分が向き合おうとしたら向き合ってくれる。そういう人はきっといると思うんです。だからそういう意味でもリアルだと思うし、咲太みたいに向き合ってくれる人は夢物語じゃないと思うので、そういうところを肯定的に捉えてもらえたら嬉しいです。
上田:雨宮さんがおっしゃるように、大人になっても思春期のあの時の気持ちがずっと残っていて、ふとした時に癖として思考がそっちにいってしまったりすることが、私自身にも覚えがありました。作中で「思春期って年齢でもないだろう」みたいな台詞があってドキッとしたのですが、じゃあ思春期でもない年齢っていくつ?って思ったんです。だから安心していいっていう言葉に今グッときました。
私も大人な上でこの作品を見て救われたところがいっぱいあるし、変わりたいっていう想いに早いも遅くもなくて、きっとその人のタイミングがそうだったというだけ。この作品に触れた時がそのタイミングかもしれないし、そういうところが伝わったら嬉しいです。
私はもっと早くこの作品に出会いたかったなって思ったりしました。タイムリーな内に出会えるならそれはとてもいいことだと思います。この作品を好きだと思ってくれる人はそういうところに響くものがきっとある人たちなのかなって勝手ながら思っているので、私もきっと仲良くなれるかなと。そうだったらいいなと思っています!
――最後に放送を楽しみにしている青ブタファンのみなさんへのメッセージをいただけますか?
石川:《高校生編》から劇場版三作品を経てついに《大学生編》へ突入します。以前からそうでしたが、みなさんの悩みに寄り添いヒントを与えてくれるような作品になっていると思います。
今回改めて咲太を演じて思ったのが、この作品はあらゆる悩みや自己否定といったネガティブな想いを決して否定せず、ただ肯定もしない。ありのままでいいんだという自分の考え方や生きていること自体を肯定してくれるということでした。
ぜひご覧いただいて、自分も前はこういうことを思っていたなと振り返るでもいいですし、悩みがあったらこういう風に考えてみようと参考にしてみたり。あらゆる世代の方に想いを届けられる作品ですので、ぜひとも1クール楽しんでいただけたら嬉しいです!
瀬戸:ずっと『青ブタ』が大好きでいてくれたファンのみなさんへお伝えするとしたら、お待たせしましたということでしょうか。1クールじっくり楽しみつくしてください。私も一緒に楽しもうと思いますという気持ちでいます!
そして放送開始したら、『青ブタ』っていうアニメが始まったけれど、これまでにTVシリーズ第1期と劇場版が三作品もあるなんて見るのが大変そうだなって思っている新規の方が現れるのではないでしょうか。
でもそういう時こそ「大丈夫です!」と布教するチャンスだと思うんです。ぜひこの機会に、『青ブタ』ファンのみなさんには作品の魅力を伝えてどんどん広げていっていただければなと。
ちょっと身内トークになりすぎたかもしれませんが、初めてご覧になる方の目にも絶対に留まるというか、目撃してしまったら絶対に引き留める力が映像にも台詞のひとつひとつにもあるはずです。そこで引っ掛かって『青ブタ』を好きになってくださったら嬉しいなって思います。
雨宮:この《大学生編》の序盤では卯月がかなりメインになってくるのですが、徐々にメインとなるキャラクターが移り変わっていきます。もうずっと面白いままなので、そこは楽しみにしていただきたいです!
今まで出てきたキャラクターたちは凄くいい変わらなさでそこに居てくれるのですが、新たに登場するキャラクターたちの新鮮さもあわさっていて。他にもエンディングがお馴染みになっていた「不可思議のカルテ」から変わったりだとか、色々な部分で新しい要素がいっぱいあります。そんな変わらなさと変わったところを楽しんでいただきたいです。
上田:今回から関わって深く作品のことを知って、色々な要素が心に沁み込んでくるような物語が描かれているなと思いました。愛ってなんだろうって感じですけれど、愛だなぁって思いながら見てしまう作品だとも思いましたし。
ミニスカサンタは自分が霧島透子だと言っているのですが、そんな彼女の謎ももしかしたらわかってくるかもしれません。この《大学生編》からの参加となった私でも、この作品が大好きだって言えるようになりました。自信を持ってみなさんにお届けできる作品になっているので、ぜひ毎週楽しみにしていただけたら嬉しいです!
[文&写真・胃の上心臓]
作品情報
あらすじ
不安定な精神状態によって引き起こされると噂の不思議現象。
高校時代に様々な思春期症候群を発症した少女たちに出会ってきた“梓川咲太”も大学生になった。
国民的人気女優であり、恋人の“桜島麻衣”と共に金沢八景にある大学に進学した彼は、
校内で季節外れのミニスカサンタを見つけた。
驚いた。わたしのこと見えてるんだ。
どこかで聞いたような台詞。
思春期症候群をプレゼントしていると話すミニスカサンタは、咲太に告げる。
……わたしはね、霧島透子って言うの
SNSで流行する予知夢、正体不明のネットシンガー、ポルターガイスト、
謎めく現象と共に、心揺れる少女たちとの不可思議な物語が再び始まる。
思春期は終わらない――
キャスト
(C)2024 鴨志田 一/KADOKAWA/青ブタ Project





















































