
キュロスの決めセリフはあえての“マリー視点”を意識──アニメ『ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される』リレーインタビュー第2回 キュロス役・濱野大輝さん
7月から放送がスタートした『ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される』。アニメイトタイムズではリレーインタビューを実施中! 各キャストさんにキャラクターやストーリーの魅力を語っていただき、本作の面白さを深掘りしていきます。
第2回のゲストは、キュロス役の濱野大輝さん。マリーを溺愛しながらも、なかなか思いが伝わらないキュロスの心情をどのように汲み取り、お芝居に反映しているのか。そして、キュロスとマリーの関係性は今後どうなっていくのか。たっぷり語っていただきました。
濱野さんがキュロスに抱いている印象は?
――原作をご覧になった際の率直な感想はいかがでしたか?
濱野大輝さん(以下、濱野):まず「ずたぼろ令嬢」と「姉の元婚約者に溺愛される」という、インパクトのある組み合わせを見て、「いったいどんな物語なんだろう?」と好奇心をくすぐられました。
実際に小説やコミカライズを読ませていただくと、ラブコメ要素がふんだんに盛り込まれつつも、登場人物一人ひとりのバックグラウンドや心理が丁寧に描かれていて、そのキャラクターの“厚み”に驚きました。セリフの端々からもキャラクターの個性や感情が立ち上がってくるんです。舞台や文化は完全なフィクションですが、どこか現実と地続きに感じられる不思議な親和性がある。そこが大きな魅力ですね。
――キュロスという役についてはいかがですか?
濱野:冷酷な王子様キャラってよく見かけますし、キュロスも表面上はそうなのですが、その“仮面”がすぐに外れるんです。クールなようでいて、実は人懐っこくて幼い部分がある。登場直後から甘さ全開、かわいさ全開の王子様キャラって珍しいですよね。素直な性格、ストレートな物言いも大きな魅力だなと思いました。いつも等身大の人間性を見せてくれるので、リュー・リューやミオが支えたくなるのも納得です。
――共感したポイントはありましたか?
濱野:僕から見ると完璧超人に近い人なので、共感というより、見習いたい人物ですね。僕は「もっと素直に動けていたらな……」と後悔することが多いんです。実直に、素直に動けるキュロスには尊敬に近い感情を抱いてしまいます。
――そんなキュロスも物語序盤では“癖のある男”として描かれ、女性にはなかなかなびかないという雰囲気を出していました。
濱野:キュロスはその出自から差別的な目で見られることがあり、その一方で大貴族という肩書きに目がくらんだ人間が寄ってくるので、他者に対して警戒心が強いんです。それだけに、同じような痛みを抱えるマリーには自然と共感したのかもしれないですね。
――そのキュロスを演じるうえでどんなことを意識されていますか?
濱野:周囲からは「扱いが難しい」と思われつつ、実際は誰に対しても平等で優しいという、そのギャップを大切にしています。芯の強さと柔軟な思考を両立させる人物なので、言葉を発する前に一度噛み砕き、最適な表現を選ぶ思考の早さと知性を声に込めるようにしました。
そして、何より重要なのは常にまっすぐなマリーへの愛情。イケメンかつ大富豪だからこそ、けっして嫌味に聞こえないようあくまでも純粋な気持ちであることを大事にしています。
――セリフもかなり直球ですよね。第2話で「俺はマリーが好きだ」と早々に宣言しています。
濱野:歯が浮くほど甘いセリフが多く、思わず体がむずがゆくなる瞬間もありますが(笑)、それが『ずたぼろ令嬢』の醍醐味なので、ディレクションをいただきつつ四苦八苦しながら演じています。
―― 一方で、ミオにツッコミを入れられて落ち込むなど、コミカルな一面も描かれます。
濱野:むしろ、コミカルなシーンがあることでキャラクターに深みが出るんです。『ずたぼろ令嬢』は暗い展開で感情を掘り下げることもありますが、暗いシーンと明るいシーンの落差でキャラクターを深掘りするところが魅力です。だからこそ顔がデフォルメされるような場面は、見ている方が思わず笑ってしまうくらい弾けるようにしています。スタッフの皆さんも「とびきり明るくいきましょう」とおっしゃってくれました。
――音響監督から何かディレクションはありましたか?
濱野:PVの収録や第1話の段階から「見目麗しい王子様なので、それに違わない爽やかさで」「マリーが思わずときめくようなセリフ回しで」といったディレクションをいただきました。
特に決めセリフのカットは、演出としてもきらりと輝く見せ方になっています。「マリー視点の輝きになっています」とうかがったので、ナチュラルなキュロスと地続きではありつつも、視点が切り替わっていることを意識するようにしました。














































