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- 藤崎萌恵
- 数年前にBLと出会い、心に潤いを取り戻しました。BLとブロマンスが癒し。主な記事は『チェリまほ』『陳情令』等。

マミタ先生の大人気BL漫画『40までにしたい10のこと』(月刊マガジンビーボーイ連載/リブレ刊)が実写ドラマ化。風間俊介さん主演&庄司浩平さん共演で、テレ東系ほかにて2025年7月4日(金)より毎週金曜深夜24時12分~好評放送中です。
本作は、恋に臆病な上司と密かに想いを寄せる部下が織りなす年の差オフィスラブストーリー。
10年以上恋人なしで、会社と家を往復するだけの毎日を送る会社員・十条 雀。40歳の誕生日まであと3か月となり、ふと焦りを感じるなか「40までにしたい10のことリスト」を作成します。
誰にも見せるつもりはなかった秘密のそのリストを、10歳年下のイケメン部下・田中慶司に偶然見られてしまい、慶司の提案により2人はそのリストを一緒に叶えていくことになり──。
仕事のできる面倒見の良い上司・雀を演じるのは、高い演技力に定評がある風間さん。“頼れる存在”と“可愛らしさ”に、どこか“哀愁”も宿しています。慶司役の庄司さんは、雀の部下として会社ではクールに接しながらも秘めていた思慕を静かに滲ませており、その繊細かつ含みのある演技で視聴者の心を鷲掴みに。
原作ファンからの支持も厚く、慶司と一緒に過ごしながら雀の日常が彩られていく様子、久しぶりに恋をした大人のトキメキ、2人の関係値の変化にも期待が高まるばかり。ドラマが毎週の楽しみになっていくなかで、原作漫画が気になるという方も多いのではないでしょうか。
本稿では、そんな『40までにしたい10のこと』の魅力をご紹介。原作ファンである筆者が作品に惚れ込んだ理由を綴っていきます。
『40までにしたい10のこと』は累計発行部数75万部を超え、BLアワード2024総合コミック部門で堂々の1位を獲得した人気作品。現在コミックは第2巻まで発売中です。
著者は『なつめさんは開発(ひら)かれたい』(新書館 ディアプラスコミックス)、『ギンモクセイの仕立て屋』(徳間書店 Charaコミックス)などでも知られるマミタ先生。
会社の上司と部下である雀と慶司をめぐる大人のラブストーリーは幅広い層から支持を得ており、実写ドラマ化の情報解禁の際も大きな話題となりました。また、ドラマCD化も果たしており、十条 雀を阿部 敦さん、田中慶司を江口拓也さんが演じています。
マミタ先生のX
ドラマ『40までにしたい10のこと』公式X
ドラマ『40までにしたい10のこと』公式サイト
◆コミック『40までにしたい10のこと』
出版社:リブレ
レーベル:ビーボーイコミックスデラックス
発売日:2023年2月9日
◆コミック『40までにしたい10のこと』②
出版社:リブレ
レーベル:ビーボーイコミックスデラックス
発売日:2025年2月19日
◆ドラマCD『40までにしたい10のこと』
CAST:[十条 雀]阿部 敦 [田中慶司]江口拓也
発売元:Cue Egg Label
発売日:2025年4月12日
「あなたのこと余裕で抱けます」
10年以上恋人なし、恋は諦めている、40歳の誕生日まであと3か月。
「タコパ」「パフェ食べる」「誕生日を恋人と過ごす」
――絶対ひみつの「40までにやりたいことリスト」をよりによって
10歳年下のイケメン部下に見られ一緒にやる羽目になり…!?
リストを作ったことで人生一変!?
イケメン部下×枯れた上司のリーマンラブ
(公式サイトより引用)
〈プロフィール〉
年齢:39→40歳
身長:170㎝
誕生日:12月24日
部署:マーケティング事業部
職場では頼れる格好良い上司、私生活は10年以上恋人のいないアラフォー男子。家での話し相手は、いつも自分を見守ってくれている雀のぬいぐるみ「すず子」。40歳を目前にして“やりたいことリスト”を作成します。
大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』や『初恋、ざらり』、『それでも俺は、妻としたい』など多くの人気作品に出演しています。
〈プロフィール〉
年齢:29歳
身長:187㎝
誕生日:4月12日
部署:マーケティング事業部
雀の部下で、モテモテな長身イケメン。職場では淡々とした雰囲気ですが、ずっと雀への想いを秘めていました。雀の“やりたいことリスト”を偶然見てしまったことをきっかけに動き始めます。かなり目が悪く、メガネを外すとほとんど見えません。
特撮ドラマ『魔進戦隊キラメイジャー』で俳優デビュー。『君とゆきて咲く〜新選組青春録〜』『「仮面ライダーガヴ』と話題作に続々出演。『40までにしたい10のこと』では、オーディションにて150人以上の応募者の中から選ばれました。
40歳の誕生日まで、あと3ヶ月。恋人が欲しい。誰かに触れられたい──。「40までにしたい10のこと」リストを作成した雀は、そんな切実な想いを抱いていました。しかし、思いがけずリストの項目を部下の慶司と2人でクリアしていくことになり、その中のひとつ“恋人をつくる”ことを早速達成。最後に慶司が書き足した“誕生日を恋人と過ごす”ことも含めて、ひとつひとつ2人で叶えていきます。
慶司に突然抱き締められて、髪の中に手を入れられる何年ぶりかの感触に頬を赤らめる雀。ドキドキしたり振り回されたり、やがて“久しぶりの恋”の感覚が広がっていく。週末に慶司と会う予定があるから仕事を頑張れる。雀は少し戸惑いながらも純粋に楽しんでいて、どうして10個しか書かなかったんだろうと思ってしまうほど慶司と会うのが楽しみになっていきます。
慶司はグイグイと強引にくるし最初は何を考えているのか分からないけど、読み進めるごとに好感度が急上昇していきます。それはきっと、雀に向ける表情も言葉も真っ直ぐで、“好き”が溢れていて、彼は最初からずっと誠実だから。
原作でもドラマでも、慶司の本気度の高い視線にドキっとさせられます。いつも余裕に見えますが、そうじゃないのかもしれないと気づくと途端に愛おしさに襲われるのです。
そして慶司は周りによく気づいて気遣いのできる人。繊細だからこそ雀の表情や返ってくる言葉にも敏感で、きっと心の中で一喜一憂しているはず。強引な面がありつつも距離の縮め方は自分本位ではなく、雀の反応を見ながらゆっくり進めています。
恋人になると、会社の上司と部下の関係では知り得なかったことも知っていく。お互いによく知っているはずなのに、知らない部分があったんだなと気づく。そんな瞬間がひとつひとつ増えていきます。
何度も見てきた仕草なのに、恋人として意識するようになったことでドキッとしてしまうなんて場面も。タコパでの慶司の腕まくりがまさにそうですが、原作同様ドラマでも魅入ってしまったシーンです。
雀にとって慶司の存在がどんどん大きくなるなかで、人を好きになるというのは理屈ではないかもしれないけど説得力があるのも本作の魅力。絆されているようにも見えるけど、ただ流されているだけではなく、ちゃんと慶司のことを見て気持ちが動いていく。その心と連動するように街が煌めいて日常に彩りが生まれていく演出もお見事です。
これまで一緒に仕事をしながら積み重ねてきた慶司への信頼が雀の中にあるのも大事なポイント。上司と部下として過ごしてきた時間が根幹にあり、その上に今の2人の関係が新たに構築されていくのも筆者がこのラブストーリーに惚れ込んだ要因のひとつです。
雀も慶司もゲイであり、慶司は雀がゲイであることを見抜いていましたが、雀は慶司がゲイだとは知りませんでした。慶司は彼女がいるとカモフラージュするほど念入りに隠しているため、雀は全く気づかなかったのです。
慶司は「自分のセクシュアリティを恥じたりしてない」「ただそのことで周りに気を遣わせたくない」と雀に話しています。「雀さんも同じでしょ」と言われて、雀は慶司の過去の言動を振り返るのですが、とある飲み会でプライベートな恋愛観について同僚から絡まれたときに、慶司が助け舟を出してくれたことがあったのです。“偏見があるという自覚のない人”を慶司はたくさん見てきたのかもしれません。
これまで経験した上での教訓なのか、慶司はいろんなことを犠牲にして作り上げてきたものがあります。それが壊れないよう慎重に守っており、そのため雀に好意を寄せながらも遠くから見ているだけでした。そんなふうに生きてきた慶司を揺るがしたのが雀の存在であり、感情のままに動くようになっていく姿は胸に迫るものがあります。第2巻では慶司の変化をさらに感じるので、そのあたりも注目してほしいです。
非常にグッとくるシーンが多い本作ですが、実は筆者が原作を読んでいて特にトキめいたパーツは、“手の指”と“メガネ”。タコパのエピソードで、最後に雀の左手小指の上に慶司が右手小指を重ねているシーンがあるのですが、その後のコマでは数本の指を緩く絡めているんです。何がどうなってそうなったんだ⁉︎ と心で騒ぎながらドキドキしてしまって。“緩く”絡めているのがまたいいですよね。
ドラマでももちろんそのシーンに注目していましたが、雀の小指に慶司の小指と薬指がそっと乗っていて、雀はというと、わずかに薬指を動かして慶司の薬指の先に置くんですよね。ここは思わず声が出てしまったところです。雀の気持ちは私が思っているより動いているのかも……。
それから“メガネ”についてですが、メガネキャラがメガネを外す瞬間の最高峰ではないかと筆者が考える原作シーンがあります。あえてここでは何も言いませんので、これから原作を読まれる方はぜひご期待ください。ドラマではどんなシーンになるのか楽しみですね。

数年前にBLと出会い、心に潤いを取り戻しました。BLとブロマンスを愛し、大好きな作品はたくさんありますが『チェリまほ』が心のよりどころです。そして『魔道祖師』をはじめ中華BLの沼へ。趣味は国内外のBL漫画や小説を読むこと&ドラマ観賞で、これまでに執筆した記事は『チェリまほ』『美しい彼』『魔道祖師』『陳情令』『ENNEAD』など。
