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『TO BE HERO X』中村悠一が思う応援の効果「やってきたことに対しての返事や答えになる」

『TO BE HERO X』黙殺役・中村悠一さんが思う応援の効果|「自分の力以上のものは出せないけれど、やってきたことに対しての返事や答えになる」

中国を拠点に若者からの絶大な人気があるbilibiliと、数多くの作品を手掛けるアニプレックスが共同製作するオリジナルアニメ『TO BE HERO X』が、毎週日曜朝9時30分~フジテレビほかにて放送中です。

本作の舞台は、「信頼値」がスーパーヒーローを生み出す世界。人々からの「信頼」はデータとして集計され、その数値によってヒーローのランキングが変動。物語は、ランキング上位の10名のトップヒーローを中心に描かれていきます。

アニメイトタイムズでは、本作の物語を振り返る連載インタビューを実施! 今回は、黙殺を演じる中村悠一さんにお話を聞きました。

 

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TO BE HERO X
異彩を放つヒーローたちが喝采を浴びる世界。ここでは、「信頼」がスーパーヒーローを生み出す。人々が「彼は空を飛べる」と信じれば、その男は飛行する能力を手に入れる。逆に特殊な力を持つヒーローでも、信頼を失えば能力もまた失われる。信頼はデータとして集計され、その数値によってヒーローのランキングが変動する。2年に一度、トップランクのヒーローたちが集い繰り広げるヒーロートーナメント。そこでのパフォーマンスによって「信頼値」が更新され、ランキングは再構築される。ランキングの頂点に立つ絶対的なヒーロー、人はそれを「X」と呼ぶ――作品名TOBEHEROX放送形態TVアニメスケジュール2025年4月6日(日)~2025年9月14日(日)フジテレビにて話数全24話キャストX:宮野真守クイーン:花澤香菜梁龍:内山昂輝黙殺:中村悠一リトルジョニー:松岡禎丞ロリ:佐倉綾音ラッキーシアン:水瀬いのりトラ:山寺宏一魂電:島﨑信長ナイス:花江夏樹スタッフ原作・監督:Haolin(リ・ハオリン)メインテーマ:澤野弘之音楽:澤野弘之 KOHTAYAMAMOTO ケンモチヒデフミ DAIKI(AWSM.) 睦月周平 深澤秀行 馬瀬みさき 髙田龍一(MONACA)制作:BeDream製作:bilibili&BeDream,Aniplex...

 

同じ内容を1980年代にやっても伝わりにくかったと思う

──「信頼」がヒーローの力になるという本作。その設定について聞いたときの印象をお聞かせください。

黙殺役・中村悠一さん(以下、中村):SNSが発達した今だからこそ、ヒーローが応援・信頼を力に変えるという発想につながったのかなと思いました。今の時代はSNSによって、世界中どこにいても、別の国の人であっても情報を共有できるし、応援することもできる環境にあります。だから、絵を見るに世界観は近未来だと思いますが、時代感は今に合わせているのかなという印象を受けました。例えば同じ内容を1980年代にやっても伝わりにくかったと思うんですよ。想像がしにくかったんじゃないかなと。

──そんな本作で中村さんはランキング上位のヒーロー・黙殺を演じます。演じるなかで黙殺をどのような人物だと感じていますか?

 

 
中村:最初にいただいた設定には、「信念に縛られて人々と話さないクールな暗殺者。家庭を持つものの、仕事に没頭するあまり妻のもとから離れてしまう」と書かれていたんです。だから、不言実行がカッコいいと思っているヒーローなのかなという想像をしていました。

ただ、実際にいただいた台本を見てみると、幼少期から雑多な環境で育って、いい言葉もあればよくない言葉もあるなかで、だんだんと口を閉じていったという描写があって。そこで、実はネガティブな理由で喋らないことを選んだということが分かりました。しかも、それによって声を出すべきタイミングで出せなくなってしまっているので、すごく悲しい人物だと感じています。

──寡黙な黙殺を演じるうえで、どのようなディレクションがありましたか?

中村:第15話は回想シーンが多かったのですが、回想ってキャラクター本人からすると、振り返りでしかないんですよ。そうなると感情の塩梅が難しくって。というのも、例えば車にはねられそうになったことを振り返るとき、ふつうは感情豊かに演出して言わないじゃないですか。

でも視聴者に見せるからには、彼の気持ちが分かりやすく伝わるように、ドラマチックにしたほうがよくって。それもあって、回想のシーンでは「奥さんとの出会いでは希望を感じられる、ロマンスがあるような言い方にしてください」と言われたり、反対に絶望していくところは「苦しみを表現してください」というディレクションがあったりしましたね。

 

黙殺は“勝手に信頼されている”トップヒーロー

──娘との関係・家族についてなども描かれていますが、黙殺編のストーリーを読んだ印象をお聞かせください。

中村:本作はヒーローが活躍するという話だけではなく、むしろヒーローの内面や起きている出来事などを描いていることが多くて。黙殺の場合は、不器用に娘を見守っている、という話になっているんですよね。ただ、自分では娘を見守っているつもりでもストーカー扱いされてしまったり、変態と言われてしまったり。周りの人たちとの会話もちぐはぐになっています。

黙殺は自分自身で黙る・喋らないという生き方を選んで信頼されるトップヒーローとなりましたが、その結果、伝わらないことも出てきてしまいました。何とも皮肉ですよね。自分のなかに気持ちを収めるだけじゃダメなんだということを伝えてくれるキャラクター・物語になっている気がします。

──寡黙に任務を遂行するヒーローの道を選んだがゆえの苦悩が生まれてしまっている。確かに皮肉ですね。

中村:そうなんですよね。喋らない、多くを語らないというのは彼が選んだ道ではあるのですが、それによって自己主張がなくなり、他者から見た自分しか存在しなくなってしまったわけで。ある人から見たら「あいつは寡黙で仕事を全うしている職人だ」と思われ、また別の人から見たら「黙ってついてくる変態だ」と思われ、またさらに別の人から見たら「はっきりものを言わない人間だ」と思われてしまう。

主張をしないがゆえに相手が思う「この人はこうなんだろう」というのをそのまま当てこまれちゃっていて、本当に皮肉なキャラクターだと思います。

 

 

──当てこまれているけれども、事実・結果としてはそれが彼への信頼につながっている部分もあります。

中村:そう、そうなんです。言い換えると、勝手に信頼されているわけなんですよね、彼は。喋らないから、“黙々と任務を達成する人”という信頼を勝手に得ているんです。

──でも、人間って得てしてそういうものかもしれないなって。

中村:だと思いますね。SNSによって世界中の人が色々な人を応援できるようにはなっていますが、それって、言葉を選ばずに言い換えたら、会ったこともない人を勝手にいい人と想像して、勝手に応援しているという構図でもあって。黙殺はまさにそれを体現している人物でもあるのかなと。

 

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