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『追放者食堂へようこそ!』監督・志村錠児インタビュー【連載第5回】

『追放者食堂へようこそ!』連載インタビュー第5回:志村錠児監督|食堂という空間が良い雰囲気になるように──「そこにいる全員を魅力的に描ければと思っていました」

アトリエ全押しのEDアニメは「自分と自分以外の人」をテーマに

──君川先生も「大事にしていた」と話す第3話について教えてください。

志村:良い感じになって良かったです。作っているうちに、シンシアってすごく良い子だなぁと気持ちが入ってしまったといいますか。第3話でのビビアとシンシアのやり取りが、とても良いんですよね。2人の掛け合いが自然に聞こえると良いな、その自然さが最後のシーンにつながればいいなと考えていました。

──「自然さ」ですか。

志村:あの場にシンシアがいたら、勘のいい人は「もしかしたら……」と思うかもしれませんが、基本的にビビアと同じように「たまたまあそこで居合わせただけ」で、死んでいると思わせたくなかったんです。ここは本当にお二人がとても良いお芝居をしてくれました。

──最後にビビアを止めようとする手がすり抜けるあたりで真相がわかる、と。

志村:そうですね。なので、あそこでビビアが飛び出したあと、シンシアは出てきてないんです。そこもいろいろと考えながら作っていました。

──最後にお墓でビビアが泣くシーンも感動的でした。そしてそこでまたシンシアを描く演出も良かったです。

志村:これは原作コミックスにもあったんですけど、なるべく丁寧に描きたいと思っていました。イヤリングに関しては、アニメで勝手にやったことなのですが……。

──あのイヤリングの演出は、どのような意図で?

志村:ゴブリンに襲われそうになるビビアを助けるきっかけになればいいなと思ったんです。そしてそれが最後、お墓のシーンでビビアが振り向くきっかけにもなる。音ともリンクして、一瞬、何かに気づいたのかな?となりますが、それはシンシアのイヤリングの音だった……と、なればいいなと思って演出しました。

──それが魔法であり奇跡なのですね。また個人的に、デニスとアトリエのグータッチが、ハーモニー処理になっているのもお気に入りでした。

志村:自分もあのグータッチが印象深いなと、コミックスを読んだときに思ったんです。なのですごく印象的な良いものにしたいと思いました。優しく、良い空気が出せていたら良いなと思います。

──続く第4話はバチェルのお話でしたが、アトリエとのやり取りが印象的でした。

志村:第4話で気をつけていたのは、バチェルが本当は能力があるのに「夜の霧団」に否定されているということです。できない子が「ちゃんとやれ!」と言われているのではなく、能力があるのに認められないニュアンスにしたいと思い、注意して描いていきました。

アトリエとバチェルのやり取りは、アトリエらしさが出る重要なシーンだったので、アフレコでも演技に関してお願いをした記憶があります。

──演技に関するお願い?

志村:アトリエには奴隷という背景があるので、厳しい気持ちもわかっている。なので、バチェルに寄り添うのではなく、かと言って突き放すのでもない……少し客観的ではあるものの、距離を保ちながら「こうしたほうがいいよ」と伝えたほうが、あのシーンの雰囲気に合っているのかなと思いました。あまり言い過ぎないというか。

──アトリエと会話したあとのバチェルは、少しすっきりした表情をしていましたね。

志村:あのとき、バチェル自身がどこまですっきりしたのかはわからないですが、ひとつの区切りになっていたのかもしれませんね。あのアトリエの言葉で楽になって、ご飯も食べられた。彼女はこれから少しずつ回復していくと思いますから、ほんの少しでも希望が見えたことを表現できたらいいなと思っていました。

──ちょっとした目の動きなど、キャラクターの心情に合わせた細かい絵の芝居が印象的です。作画による芝居について意識したことを教えてください。

志村:なるべくコンテの段階でニュアンスは入れていったつもりです。コミックスもあるので、そのあたりを理解して原画を描いてもらったので、その演出の意図を汲んでくれた作画スタッフさん、作画監督さんの力が大きかったと思います。上がってきたものに、それほど修正した記憶がないので、皆さんが良い感じに描いてくれました。

──放送されたばかりの第5話についてはいかがでしょうか。 

志村:キャラクターの心が少し動くようなシーンもありますよね。アトリエに対するデニスの感情が見えたり、逆にアトリエがデニスに対して考えていることがわかったり。これまでより一歩進んだ雰囲気のあるエピソードだったと思います。このあとには大きな展開もあるので、その前のギャグ回という意味もありますね。

──そして第5話ではヘンリエッタも活躍しました。

志村:ヘンリエッタの二面性が見えましたね。食堂では天真爛漫な一面が見えますが、バトルになると人格が変わるところも魅力なんです。そのシーンでは技名を言いますが、たしか君川先生から「もっとカッコよく」のようなご指摘をいただいた記憶があります(笑)。ヘンリエッタは、ああいうときにスイッチが入る子なんですね。

──そんな本編を彩るOP・EDテーマの楽曲とアニメーションについて、監督から出した要望などを教えてください。

志村:どちらも「どういうふうに作ればいいですか?」と方向性を聞いてくれました。OPテーマ「ユニーク」を作ってくれたDannie Mayさんからも「入れたいセリフはありますか?」と、とても前向きに向き合ってくださったので、イメージをお伝えしました。

EDテーマも雰囲気を聞かれたので、当初考えていた「女の子4人で街に買い物に行くようなイメージ」を伝えました。超ときめき♡宣伝部さんが「お弁当」などの言葉を歌詞に入れてくださって、前向きな楽曲を作ってくださいました。すごく良い曲です。

OPのアニメーションは別の方が、EDアニメーションを自分が作ったのですが、制作中に自分の気持ちが変わってしまいまして……(笑)。アトリエがとてもかわいいと思いながら作りましたので、アトリエ全押しになってしまったんですよね(笑)。

──確かにアトリエ中心ですね(笑)。最初にアトリエがデニスのズボンなど、何かを掴む手を描いているのが印象的でした。

志村:本編でもデニスのズボンを掴んだり、自分のスカートを掴んだりするところがありますが、その仕草がとてもアトリエっぽいと思ったんです。

EDアニメーションには「自分と自分以外の人」というテーマもありました。特にデニスを掴むというのは彼への信頼の表れだから、大事な絵です。言葉数が少ないアトリエですが、あのようなシーンで気持ちが出たりするんですよね。

──ペイントしていくような演出については、いかがですか?

志村:背景がないほうがいいなと思っていたのと、もともとライブペイントの動画を見るのが好きなので……ただそのような雰囲気を作れたらと。でも最終的にアトリエの気持ちとリンクするような感じになってしまいました。自分の思惑とは違いましたが、意味合いも付いて、良い雰囲気になったなと思っています(笑)。

──実際「まごころ My Heart」の楽曲からは、切なさも感じました。

志村:そうですね。それでいてちょっと懐かしい感じもありました。

──OPアニメーションに関してはいかがですか?

志村:テンポも良くて楽しい雰囲気になっていたので、とても良かったなと思います。

先日、Dannie Mayさんのライブに招待いただいて行ったんですが、めっちゃ良くてファンになりました(笑)。ライブ後、控え室でご挨拶もさせていただいたんですが、マサさんが原作を読んでファンだったらしく、最後はどの辺りまでやるんですか?って聞かれて(笑)。こっそり話しちゃいました。

──(笑)。ちなみに、監督はアトリエ推しなのですか?

志村:全然そんなことはなくて、最初はヘンリエッタが好きだったのですが、作っているうちに、誰というのもなくなってしまったんです。なので視聴者の皆さんが、みんなを好きになってくれたら嬉しいなと思っています。

最初に話した通り、食堂という空間が良い雰囲気になるようにできたらいいなと思っていたので、ツッコミ役がいてボケ役がいて、そこにいる全員を魅力的に描ければいいなと。

──第5話までで、すでに繁盛して愛されているお店であることが描かれていたので、このあとの食堂を守るという展開の説得力にも繋がっていますよね。

志村:そうですね。実際、そこがしっかり描かれていないといけないと思ったんです。ここまでで、冒険者食堂に感情移入してもらえるような作りにしたいと考えていたので、そうなっていれば嬉しいです。

──ちなみに、監督がこの食堂で食べてみたい料理はなんですか?

志村:ヴリトラカツ丼もいいですけど、今食べたいのは炒飯ですね。僕の中でイメージしている炒飯が食べたいです。

──では最後に、今後、楽しみにしてほしいところを教えてください。

志村:食堂の人たちだけでなく、デニスとヴィゴーの関係も今後見えてきます。ぜひ楽しみにしていてほしいです!

また、音楽の甲田さんの楽曲にも注目してほしいです。とてもいい曲を作っていただきました。第1話のアトリエの泣くシーンも甲田さんの曲があったからこそアトリエに寄り添うようなシーンになれたのでは無いかと思います。

【インタビュー・文:塚越淳一 編集:西澤駿太郎】

『追放者食堂へようこそ!』作品情報

放送情報

2025年7月3日(木)よりTOKYO MX 、CBC 、BS11、AT-X にてTVアニメ放送開始!!

TOKYO MX:7月3日から毎週木曜24:00~
CBC:7月3日から毎週木曜26:08~
BS11:7月3日から毎週木曜24:30~
AT-X:7月3日から毎週木曜22:00~
※AT-X リピート放送:毎週月曜10:00~/毎週水曜 16:00~
※放送日時は変更になる場合がございます

配信情報

アニメタイムズ、Lemino、dアニメストアにて見放題最速配信!

先行配信

7月3日(木)22:30~配信開始

・アニメタイムズ
・Lemino
・dアニメストア

見放題配信

7月6日(日)22:30~順次配信開始

・Hulu
・ニコニコチャンネル
・ニコニコ生放送
・U-NEXT
・アニメ放題
・DMM TV
・AnimeFesta
・ABEMA
・Prime Video
・バンダイチャンネル
・FOD
・J:COM STREAM
・TELASA
・milplus

レンタル配信

7月6日(日)22:30~順次配信開始

・Rakuten TV
・ニコニコチャンネル
・HAPPY!動画
・バンダイチャンネル
・J:COM STREAM
・TELASA
・milplus

最終話放送後~順次配信(予定)

・カンテレドーガ
・music.jp
・ビデオマーケット
・MOVIE FULL

※配信開始日時はサービスによって異なる場合がございます。詳しくは各配信サービスにてご確認ください。
※配信時間は変更になる可能性がございます。

イントロダクション

シリーズ累計100万部突破!!

心もお腹も満たされる“新異世界グルメ人情ファンタジー”!!

「小説家になろう」での連載開始から多くの読者を魅了し、書籍化・コミカライズ化と超スピードで展開を続けた「追放者食堂へようこそ!」がついに2025年7月TVアニメ化!!

アニメーション制作は、食欲を超絶刺激する作画で評判の「OLM Team Yoshioka」が担当する!

超一流冒険者パーティーを追放されたデニス。

だが、落ち込んでいる暇はない──むしろこれはチャンス!?

憧れだった“自分のお店を開く”という夢を叶え、看板娘のアトリエとともに、

思わず「ウマッ!!」が飛び出す“至高の料理”をお届け!

次々と巻き起こるトラブルは...まさかの“最強の料理スキル”で解決!?

世間から弾きだされた冒険者が不思議と集う、人情食堂がついに開店!!

人生ウマくいかなくても、飯はウマい!!

ストーリー

超一流冒険者パーティーを追放されたデニスは、元奴隷の美少女アトリエと出会い、

夢であった自分の食堂を開店することに。

しかし、その扉を叩くのはなぜか問題を抱えたクセ者ばかりだった!

お人好しのデニスは、“至高の料理”でお客の腹を満たし、

“最強の料理スキル”で彼らの抱える問題の解決に挑むのだが......。

肉切り包丁で悪党をなぎ倒し、中華鍋で仲間を守る !?

ここは、心もお腹も満たされる場所──『冒険者食堂』!!

スタッフ

原作:君川優樹(オーバーラップノベルス刊)
原作コミック:つむみ(「コミックガルド」連載)
監督:志村錠児
シリーズ構成:赤尾でこ
キャラクターデザイン:大和葵
プロップデザイン:大河しのぶ/東海林康和
美術監督:加藤賢司
色彩設計:佐藤直
撮影監督:佐藤敦(Studio Shamrock)
編集:渡辺直樹
音響監督:小沼則義
音楽:甲田雅人
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
制作:OLM Team Yoshioka
オープニングテーマ:Dannie May「ユニーク」
エンディングテーマ:超ときめき♡宣伝部「まごころ My Heart」

キャスト

デニス:武内駿輔
アトリエ:橘茉莉花
ヘンリエッタ:鈴代紗弓
ビビア:伊瀬茉莉也
バチェル:松田颯水
ヴィゴー:鈴木崚汰
ケイティ:安済知佳 ほか


公式HP
公式YouTube
公式 X

(C)君川優樹・オーバーラップ/「追放者食堂へようこそ!」製作委員会
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