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映画『ChaO』シシド・カフカ&梅原裕一郎がお互いのお芝居から感じたこと/インタビュー

映画『ChaO』マイベイ役・シシド・カフカさん&ロベルタ役・梅原裕一郎さんインタビュー|作りこまれた映像を楽しみつつ、深いテーマについても考えさせられる作品。梅原さんが完成映像を観て感じた「声優にはできないお芝居」とは?

 

ステファンとチャオがお互いに歩み寄ろうとする気持ちが伝わってくるデートシーン

──本作の主人公である、ステファンとチャオの印象、そして演じた鈴鹿央士さんと山田杏奈さんのお芝居の感想をお聞かせください。

梅原:ステファンは造船会社に勤めていて、自分の発明が世の中の役に立つと信じてまい進している青年です。純粋で恋愛に奥手な部分があったり、物語の中で悩みが多いキャラですし、ストーリー上でも感情の起伏が激しく、会社員らしいところもあれば、子供っぽいところもあったりと幅広いキャラなので、演じるのが大変だろうなと思いました。鈴鹿さんの演じられた、ステファンの感情が爆発するシーンのお芝居のアプローチがとてもおもしろいなと感じました。

 

 
チャオはかわいらしいキャラで、見た目もキャラクター然としていますし、彼女が動いて表情を変えるだけでも観ていてワクワクします。山田さんは純粋無垢で、素朴に演じられていて、ステファンがひかれるのも、ロベルタやマイベイが応援したくなるのもわかります。

シシド:隣に同じです(笑)。ステファンはスクリューがない船のエアジェットを発明しようとしていますが、私もあったらいいなと思いました。エアジェットを完成させたいという信念で前に突き進んでいく強さがある人だなと。でもチャオが現れた時など、突然の出来事に対して動揺するのは私たちと一緒だなと感じました。

チャオは魚の姿の時、「こんなに表情を動かしていいのかな?」と思うくらい、表情豊かですが、自分の気持ちに素直な子なんだなとわかりました。人魚の姿になった時もかわいくて、表情豊かで愛すべきキャラだなと思いました。マイベイもチャオの一途さにひかれて、背中を押してあげたくなるんでしょうね。

──ステファンとチャオが出会った時は、ステファンは会社員らしい常識人で、チャオは夢見がちなお姫様という印象がありましたが、中盤にかけてチャオがステファンを包み込んでいくようで、逆にステファンのほうが子供っぽく感じました。

シシド:ロベルタは発明家なので、子供心を忘れずに持っている人なのかなと思いました。ステファンも「絶対に実現できるはず」という純粋無垢な気持ちがないと発明できないと思うので、そういう純粋さがいろいろなところで感じられるのではないでしょうか?

 

 

──子供同士だから、ステファンとロベルタは気が合うのかもしれませんね。

梅原:きっと波長が合うのでしょうね。付かず離れずで、いい関係性ですね。

シシド:ステファン、ロベルタ、マイベイは同い年なのかな?

梅原:その可能性もありますよね。でも僕はずっとマイベイが年上だと思っていました(笑)。

──本作の中でお気に入りのシーンを教えてください。

梅原:ステファンとチャオのデートシーンは幸せそうな雰囲気が伝わりますし、流れのままに始まった二人の関係性ですが、お互いに歩み寄ろうとする気持ちが伝わってきました。その後にいろいろな問題が起きてしまうので、このデートシーンがかけがえのない瞬間であり、絆が深まった時間だったなと改めて感じます。物語の主軸に「恋」があることもあって、とても印象深かったです。

シシド:デート中にチャオが人魚になった時の水の描写がとても美しくて、すごく印象に残っています。また、街の雑多さ、色彩が多い感じ、描写の細かさに日本のアニメのおもしろさが詰まっているのかなと思いました。

梅原:あの街の雑多な感じや、街並み一つとっても海外の方にもウケるのではないでしょうか。 街だけでなく、キャラクターたちも人間とは思えない等身の人が普通に出てきたりする、そのカオス感も楽しめる作品だなと思いました。

 

 

──どのシーンを切り取ってもアートみたいな独特な個性が出ていますよね。

梅原:色彩が本当に豊かですよね。7年という長い年月をかけて作られていることを改めて感じさせる、まったく妥協がない映像だなと感じました。

──続いて、ご自身が演じるキャラが登場する中でお気に入りのシーンを教えてください。

梅原:ロベルタとしては、ステファンと殴り合いのケンカをしたシーンです。「ロベルタはここまで人の感情を受け止められる人なんだな」ということは最初に台本を読んだ時から感じていましたが、このシーンでは意外な腕っぷしの強さも感じました。でも最後にケンカの大元になった理由の種明かしがあったので、すごく印象に残っています。

シシド:マイベイとしては、本に読書灯を付けて海岸をぐるぐる回りながら、とつとつと歩いてチャオとステファンの帰りを待っているシーンがお気に入りです。あんな読書灯が欲しいですね。

 

作りこまれた映像を楽しみつつ、深いテーマについても考えさせられる作品。ぜひ“涼”を感じに、劇場へ足を運んでほしい

──本作は人間と人魚が共存した世界が舞台になっていますが、もし自身がそういう世界にいたとしたら、どのように人魚に接しますか?

シシド:聞きたいことがたくさんあるので、友好的に答えてほしいなと思います。それと人魚の世界のしきたりや文化、ルールも知りたいです。あと泳ぎを教えてほしいです。

梅原:常識も習慣も違うと思うので、まずこちらから歩み寄らないといけないでしょうね。そして友好的な関係を築けたらいいですね。でもこの映画でも描かれていましたが、いろいろな問題が起きてしまうのかなとも思います。

 

 

──本作は海や水の描写が多い作品ですが、泳ぐのは好きですか?

梅原・シシド:……。

梅原:僕は泳げないです。

シシド:えっ!? そうなんですか? 私も泳げなくはないですが、海では泳ぎません。海は見ているのが好きです。

梅原:海には仕事で行ったことはありますが、プライベートでは行ったことはあまりないかもしれません。海に行こうと決意したこともなくて。運動神経も悪いですし。

シシド:同じです。

梅原:シシドさんは意外ですね。

シシド:その言葉、そっくりお返しします。

梅原:(笑)。僕はめちゃめちゃインドア派です。

シシド:私も外でスポーツしたりしません。なので、この映画で海や水の気持ちよさを疑似体験している感じです(笑)。水や光のきれいさも感じられる一方、海の怖さも表現されているので、海の持ついろいろな面が見られると思います。

 

 

──この映画の全体的な見どころと、ご自身が演じるキャラの見どころや注目してほしい点のご紹介をお願いします。

梅原:作品全体としては、まず映像がきれいで、チャオがかわいいという印象ですが、「ストーリー的にはもっと深いメッセージがあるのでは?」と感じさせてくれます。人間と人魚がお互いに歩み寄って理解していく様子は、今の世界に横たわる、異なるもの同士の相互理解など深いテーマにつながっているようにも思えて、それぞれの見方によって幅広く楽しめて、考えられる映画だと思います。

ロベルタの登場シーンはそれほど多くありませんが、この街でずっと暮らしてきて、ステファンとの関係性などいろいろ想像できますし、ラストシーンの後も「ロベルタたちはどうなるのかな?」と想像する楽しみがあると思います。

──でもロベルタがいなかったらあのエンディングにはならない可能性もありますよね?

梅原:そうですね(笑)。そういう意味では重要なキャラクターです。

シシド:ステファンとチャオの恋愛が主軸にありますが、種族間の関係やステファンのお父さんが口にしていた言葉など、いろいろなストーリーがこの映画には詰まっています。純粋にストーリーを追いながらも、おもちゃ箱がひっくり返ったようなおもしろさを楽しんだり、美しい景色を鑑賞したりと何度観ても新しい発見がある映画だと思います。

マイベイはステファンとチャオを包み込みたい、二人には絶対にうまくいってほしいという想いと共に、自分自身もステファンとチャオに全力で向き合い、ぶつかっていく魅力的な女性だと思っています。マイベイは周りからは器用に見られるけど、実は不器用なところもかわいいので、そこも感じてもらえたら嬉しいです。

 

 

──ステファンとチャオだけではなく、何組か恋が生まれたり、進行中なのも面白いですよね。

梅原:ロベルタとマイベイの関係や、ステファンを取材するジュノーとか。

シシド:あとは、ステファンのお父さんとお母さんの想いや、チャオのお父さんのネプトゥーヌス国王の気持ちなど、家族愛が描かれているのもいいですね。

──作品の公開を楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします。

シシド:長い年月をかけて作られた美しくて素晴らしい映像に、彩りを加えさせていただけたことをとても光栄に思っています。いろいろな楽しみが詰まった映画なので、この夏のひとときの涼を感じに、劇場へ足を運んでください。

梅原:最初は映像に圧倒されると思いましたが、観終わった後はどこか心が温かくなる作品だと思います。それでいて、いろいろなことを考えさせられます……何も考えずに楽しんでもらってもいいのですが(笑)。皆さんそれぞれ自由に受け止めてもらっていいのですが、「何か深いテーマがあるはず!」と感じさせる緻密な作品だと思います。映像がとにかく細かいので、一回観ただけですべてを追うのはきっと難しいはずです。なので何度でも劇場に足を運んで、新しい発見をしてください。お子さんからお年寄りまで、幅広い年代の方に楽しんでいただけると思うので、好きな方や大切な方と観ていただいて、楽しい夏の思い出作りをしてください。

 
[文・永井和幸]

 

作品情報

ChaO

あらすじ

人間と人魚が共存する未来社会。
船舶をつくる会社で働くサラリーマンのステファンは、ある日突然、人魚王国のお姫さま・チャオに求婚される!!
ステファンは訳も分からないまま、チャオと一緒に生活することに!?
純粋で真っすぐなチャオの愛情を受けて、ステファンは少しずつチャオに惹かれていく――。2人の恋の行方はどうなる!?

キャスト

ステファン:鈴鹿央士
チャオ:山田杏奈
シー社長:山里亮太
マイベイ:シシド・カフカ
ロベルタ:梅原裕一郎
ネプトゥーヌス国王:三宅健太
ジュノー:太田駿静
編集長:土屋アンナ
オメデ大使:くっきー!
ステファンの父:岡野友佑
ステファンの母:川上ひろみ

(C)2025「ChaO」製作委員会

 

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