音楽
『ずたぼろ令嬢』OPテーマ「月蝕」krageインタビュー

『ずたぼろ令嬢』を彩る壮大なサウンドと歌詞に込めた想いとは? 初のOPテーマに挑んだkrageが語る「月蝕」の魅力

krageが歌う、TVアニメ『ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される』のオープニングテーマ「月蝕」が、8月20日にリリースされた。タイトル曲は、すでにデジタルリリースされているが、パッケージには、カップリング2曲が収録されている。今回はシングルに収録される3曲について、たっぷり語ってもらった。

 

オープニングアニメーションで特に気に入っているところは?

──放送中のTVアニメ『ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される』(以下、『ずたぼろ令嬢』)を観ての感想をお聞かせください。

krageさん(以下、krage):PVを観たときに、ちょっとどろっとした部分があったり、主人公のマリーの自信のなさが結構出ていたんですね。そういう意味で共感する部分も多くて、面白そう!と思いました。

──あれだけ、キュロス(大富豪・グラナド公爵家の一人息子)に溺愛されていても、親に虐げられて育ったので、「自分なんて……」という自信のなさが、なかなかなくならないんですよね。

krage:キュロスといい感じになっても、若干すれ違っているのが面白いですよね(笑)。そこですぐにキラキラした感じになれたら、一気にポジティブな展開になると思うんですけど、それを心のうちに抱えたまま、ゆっくりと進んでいく感じが、私は良いなと思っています。

 

 

──第7話では、謎のキャラクターが出てきて、アニメもさらに面白くなってきたところですが、『ずたぼろ令嬢』のOPテーマ「月蝕」は、どのように制作していったのですか?

krage:物語については私もわかっていたのですが、今回の曲はandropの内澤崇仁さんとご縁がありプロデュースをお願いさせていただきました。基本的に、内澤さんにお任せする形で「月蝕」というタイトルに関しては、「彼女が隠されていた価値に気づき、自らの力で輝きを取り戻していく姿を“月蝕”という現象を通して表現しています」と、内澤さんの楽曲説明のメモにもありすごくグッときました。マリーが逆境から立ち上がるという物語と重ねているんです。

歌詞も、マリーが大好きな絵本『ずたぼろ赤猫ものがたり』から、〈赤猫〉というワードが入っていたり、アニメの世界観をちりばめているものなんです。キュロスの母親の出身地がイプサンドロス共和国という場所で、絵本もイプサンドロスの物語なので、この曲の間奏やアウトロは、イプサンドロスをイメージしたオリエンタルな雰囲気があるんです。こういう前衛的な作りも、作品からアイディアをいただいています。

──確かに、エキゾチックなアレンジですよね。特に2コーラス目以降の展開には、かなり驚かされました。Aメロの入りから全然違っていたので(笑)。

krage:そうですよね(笑)。最初は、アニメサイズの1コーラスだけをいただいていて、サビがキャッチーだし、間奏も面白いと思っていたんですけど、フルコーラスが届いたとき、2番の頭から展開がすごいことになっていて、驚きました。でも、もともと内澤さんって、独特な曲を作る印象があったので、らしいなという気持ちもありました。ものすごく凝った曲を作ってくださったと思っています。

──徐々に盛り上がっていくので、マリーの強さも表れていますね。

krage:メモには「ロックとトルコ、中東的オリエンタル要素を混ぜた感じ」とあったんですけど、すごくロックですよね! 楽器のレコーディングにもお邪魔させてもらっていたんですけど、12弦ギターなど、複数のギターを使って、音を重ねていました。

 

 

──2番のBメロ後の間奏では、特にギターが暴れていますけど、それでもまったく破綻せずにカッコいいところが素晴らしいです。

krage:ギターもだいぶ歪んでいるから、楽器単体で聴いてみると作りが複雑で驚きました。でもそれが混ざると、すごくカッコ良くなるんですよね。それが面白かったです。

──ボーカルは、どのようなアプローチで歌っていったのでしょうか?

krage:サビがキャッチーなので、歌い方としては重くなり過ぎないよう、ちょっとブライトな感じで歌うようにしています。今までの歌い方とは若干変えてます。Aメロは低めの音域なので、男性的な感じではあるんですけど、曲がロックなので、そこに合わせて歌う感じでした。サビの〈繋いで 繋いで 繋いで〉と繰り返すところは、だんだん上がっていく感じで、最後の〈月蝕〉のところは、伴奏もなくなって歌が目立つところなので、ドヤ!という感じで歌っていたりします(笑)。

──2番のサビの入りが、かなり男性的というか。すごく低音から入り、急に声色が変わる感じがしたのですが、これは何か意図があったのでしょうか?

krage:オチサビのところですよね。内澤さんが歌われている仮歌があったんですけど、それが低い声から急に高くなるような感じだったんです。私も音域的に歌いやすかったし、アプローチ的にも面白かったので、そのまま再現することにしました。

──アニメのオープニングアニメーションを観たときはどう思いましたか?

krage:月のモチーフが入っていたりするところがすごく素敵でした! 個人的に好きなところがあって、〈何度でも影を裂いて 私を見つけてほしいの〉のところで、マリーが影から手を伸ばしている演出になっているんです。そこがすごく歌詞と映像がリンクしていて、良いなと思いました。あと、これはあまり作品関係はなく偶然だと思うんですけど、私のテーマカラーが青と緑で、マリーが着ているドレスも青で、全体的に寒色系を多く使ってくださっていたんですね。それが嬉しかったです。

──周りからは、どんな反応がありましたか?

krage:これまでアニメの曲は歌ってきましたけど、OPテーマをするのは初めてだったので、「krageがオープニング!?」みたいな反応はすごく多かったです。EDテーマは、ダークロックや、バラードが多かったんですけど、今回はOPテーマなので、ちゃんと盛り上がる曲プロデュースしてもらいました。自分の曲には、こういう楽曲レパートリーがそこまで多くなかったので、「こういう新しい方向性もあるんだ」みたいな感想もありましたね。これまでの軸から外れずに、ちゃんとkrageらしい、でもOPらしさもあるというのが、新鮮だったみたいです。

 

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