
2025年8月の総括(獅子の子落とし)|青山吉能『みずいろPlace』#101
皆さんこんにちは、元気ですか?
わたしは元気です。
青山吉能です。
先日から指に爆発物を抱えており、タイピングにかなり支障が出ています。
口内炎もそうですが、できてしまってから初めて「無」であるという状態のありがたさが染み渡ります。
失ってからでは遅いのに、ひとはその崖を堕ちきらないと気が付けないこともあるようです。
最近、実家で用事があり熊本に帰省していました。
しかしそれ以外の予定がからっきし無く、地元でまさかの孤独を抱え暇を持て余した結果、せっかくならとサクラマチクマモトに行ってみました。
きっとこれをご覧の皆さんは「サクラマチクマモト」のことを全くご存知ないという方もいらっしゃると思います。簡単にご説明いたしますと、熊本市の中で最も栄えている(個人の感想です)区画の中心部をドカンと再開発して生まれた、ランドマーク的な大型複合商業施設のことです。
そんな都会(当社比)の中心部にかつて存在していた「熊本交通センター」及び「センタープラザ」の方がそれはもう馴染み深い平成一桁ガチ肥後もっこすとしては、知らぬ間にサクラマチとやらに名称を変え小綺麗になったこの造形物のことを、実は、なんとも言いようのない、寂寥感のようなもの、を抱えて見つめていました。
「なんかメッチャ栄えててウケる(笑)昔はさ〜もっとさ〜なんか、像にお賽銭とかさ〜」
な〜んて、こじらせ懐古厨やや嫌われ上京OGの面構えすらしていたかもしれません。(ちなみに観音様はサクラマチでご健在で、そのご尊顔を拝見できるらしい。)
しかし!シネコン併設型複合商業施設と知った途端に、わたくしお得意の手のひら返し。
新しくて綺麗な映画館とかラッキー♩と踊る音符に、ミーハー青山の手のひらがクルクル回るスピード感さながら、あっという間に受付を終わらせ、スナックじゃがを求めて列に並びます。
何を観ようかいくつか迷っていましたが、映画「国宝」を選択しました。
周りの人間が口々に「観ると心がえぐられるから覚悟して観ろ」と言っていており自然と上がっていた期待と、三時間くらい暇をつぶせたらなんでもいいやという浅い欲のふたつが混在を重ねた結果です。
観た感想としてはひとまず確かに、えぐられました。ぶん殴られたに近しいものです。
そういえばもうひとつの前評判で、「現役で芝居を生業にしている人間が観ると、自身の人生観や将来に対して何度も曖昧な問いをしてしまいたくなるから、(観るのを)やめておいたっていい。」と言われたことも、今更になって思い出しました。
なるほどそれもそうだったか。
あくまでもこれも一過性の錯覚かもしれませんが、恐縮にも自分と重なる感情がいくつかあり、そんな偶然芽生えた気持ちをここに書き残しておきたくなりました。
交通センター強火担であったことも、クルクルと鳴る手のひらの揺れも、多少なりある浅はかな自分も、すべてが自分の選択で、苦しみで、それが「芸」になっていくのではないか。
喜久雄のとった小さくも確かな選択が人生を大きく変えていったように、この「国宝」を観るという選択をしたことが、わたし自身を人生のミニミニ分岐点に立たせてくれている気がしてなりませんでした。
「このセリフ・シーンが好き」「俳優さんのここのお芝居が素晴らしい」という具体的な感動はいくつもあるのですが、この映画を映画館で観たという体験そのものが自分の糧になった気がします。
映画を観る、延いては、芸術に触れるという行為は、ヒトそれぞれにその感想の置き所を任されています。同じ気持ちであれば嬉しく、そして衰退し、違う気持ちであれば、理解への一歩が繁栄につながる、とも考えられるなと思っているので、皆さんから観た「国宝」がどんなものに映っているのか、是非ご覧になった方は教えてください。
なんて、普段映画館なんて仕事でしかほとんど訪れない人間がなにか申してますけれども。
この映画が記録的にヒットしていて、わたしが超ミーハーで、良かった!
それではこの辺りで終わります。
さようなら。
・著者近影
青山吉能
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企画協力:81プロデュース
編集担当:川野優希















































