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『青ブタ』マイスチューデント編:瀬戸麻沙美×小原好美インタビュー

『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』マイスチューデント編瀬戸麻沙美さん×小原好美さん対談|姫路紗良のお芝居は、視聴者の方に「何なんだこの子は!?」って思わせられたら勝ち!?

 

休憩なしで本番収録に移ることもある『青ブタ』の収録現場

──収録現場で印象に残ったエピソードやディレクションもお教えください。

小原:初めて紗良が登場する回でアフレコ現場に行ったのですが、なんだかキャラクターと同じく存在感を放つ役者さんたちが揃っていたので、私も『青ブタ』の世界に入れたんだなぁって思いました。

ただ、それと同時に台本や香盤表からどなたがいらっしゃるか把握していたのに、ちょっと緊張してガタガタ震えるような感覚もあって。もちろんみなさんからプレッシャーを感じることはなくて本当に優しかった。だから、かなり賑やかな現場だなっていう印象は変わらなかったです。むしろ良い現場に自分も携われて良かったなって思ったくらいで。

現場には別室があるのですが、人数が一杯になった時はそちらに移動したり、収録の様子を画面越しに見守れるブースで雑談するでもなくそのまま見守ってくれていたり。関わるひとりひとりがこの作品を大切にしているんだろうなって感じましたね。

 

 
後は、この作品は収録にかかる時間がとにかく短かったことも印象に残っています。それだけ役に寄り添っている方ばかりだからこそスムーズに収録が進むのだろうなと思いましたし、様々な方面のプロが集まっているんだなって改めて感じた瞬間でもありました。

瀬戸:麻衣の出番が以前より少なめなこともあるのですが、本当に《大学生編》はほとんどディレクションがなかったので大丈夫なのかなと心配になったくらいです。

色々な取材でスタッフさんとお話する機会があったのですが、仲良くさせてもらっていることもあってかその時に「麻衣はもう出来上がっているから大丈夫」みたいに言っていただいたことがありました。私自身はおこがましすぎるのでそこまで自信を持てずにいるのですが、私の演じる麻衣が麻衣だとまで言ってくださって……。

とはいえ麻衣というキャラクターとの付き合いも長くなってきたので、彼女ならこう動くだろうなみたいなところを掴んできていることもあり、そこは安心してもらえているんだという嬉しさもありました。

むしろ《大学生編》では新たなヒロインが何人も登場するので、そちらのキャラクター作りや各話の物語の作りに集中できる時間が取れたことが良かったと思います。過去作から出演していたキャストのひとりとしては、ちょっと安心した部分でもあったんです。

大体はテスト収録した後にスタッフさんと話し合う時間が設けられていて、そこからのフィードバックを得てから本番に行くことが多いんです。だけど『青ブタ』は本当に収録のテンポが早いので、話数によってはテスト収録後に休憩なしで本番の収録がはじまることもありました。初めて参加したキャストの方は驚いていたんじゃないかなって。

実は私も、もう始まるんだと思ってビックリしていました。台詞量がお当番回の方は凄く多いですし、そんな早いテンポ感の中に色々な状況のシーンがあると、収録の進み具合によっては大変だろうなと思ったんです。

私自身もそこを整理する時に結構時間がかかってしまうタイプだから、ということもあるのですが……でもみなさんしっかり対応されていたから、流石は選ばれし方たちだなと。

 

 

──小原さんは今回からの参加ですが、そのあたりは大変だったのでしょうか?

小原:他の役者のみなさんの中でも新キャラ以外の方々は、麻衣さんも含めてキャラクターができあがっていました。だけど私はまだ探り探りでやっている部分があったので、そこに追いつくために焦る気持ちがありました。

だけど、収録の軸になってくださっている音響監督の岩浪美和さんには別作品でお世話になっていて、笑顔で「はい、行くよ!」「もういくからね!」と言われることはわかっていました。そうなるともう「はい、わかりました!」って頑張るしかない。

でも変なプレッシャーはなくて、「『青ブタ』はこういうテンポ感で行くからね」「大丈夫? おいで?」みたいな空気感でした。だから焦って転んでしまうようなこともなく、自然とそのノリに「こういう部活なんですね!」みたいな気持ちで乗っかっていくような心境でした。

──紗良に関してディレクションはあったのでしょうか?

小原:どうやってあざとくするか、「あぁ……この子、またやりよるわ……」みたいに見せたらいいのか模索していた時期は「ちょっと暗いかもしれない」とか「もうちょっと明るくてもいい」っていうディレクションをもらっていました。

この作品はギャグアニメとかではないので、みなさんとても自然で地声に近いところでお芝居をされている印象があって、自分もその流れに身を任せてお芝居をしようかと思ったんです。

男の子をからかう感じとかもアニメっぽくというより、もうちょっと台詞の中で誇張していいよって言っていただいたりしましたし、それで監督さんたちが求めているのはもうちょっと違う紗良なんだと気付いたので、なんだか導いていただいた印象があります。

 

 

──確かにPVなどでも自然なお芝居ではあるものの、可愛らしさが際立っていました。

小原:ひとつひとつの台詞が「上目遣いで言ってるな、この子」みたいな。そういう感じが出ていたら良いなとは思っていました。

──きっと男性視聴者は虜になるかと思います。

小原:(※紗良みたいな子には)気を付けてくださいね?

──肝に銘じます。また、紗良は思春期症候群の影響で周囲をかき回しているようなところもあるように思います。こういったシーンは演じてみていかがでしたか?

小原:ひとことで言うなら「まったくもう!」ですね。この《大学生編》においては紗良が一番テンション感が高いというか、明るさのポイントがある子だと思っていました。だから、みんなとは逆のところに行かなきゃいけないんだって凄く意識していました。

ただ「男の子はみんなこの子好きだよね」みたいなキャラクター性は私の引き出しの中にはあまりないものだったので、例えば同じ女の子から「えっ、あの子ってさぁ?」「いつも男子と喋ってない?」「でも彼氏がいるらしいよ」みたいに噂されたりする、こういう子いるよなぁっていうところから引っ張ってきています。

そういう、いつか振り返った時に思い出すような子として演じようと考えたんです。多分私の引き出しだけでやったら、岩波さんから絶対に違うって言われただろうなって思います。

──確か同性からは嫌われるんじゃないのかなとは感じました。そんな紗良は咲太にちょっかいをかけてくる訳ですが、瀬戸さん的に紗良が咲太に接近しようとするシーンはどんな視点でご覧になりましたか?

瀬戸:私の目線だと麻衣がいないところも見えているので、咲太が大学で過ごしているところとかを見て、こんな交友関係を作って……みたいに思うところはありました。だけど咲太はいつも麻衣のことを考えている描写があるし、ちゃんと好意を口に出して伝えてくれる人なので、親しくしている女性は多くても咲太なら大丈夫だっていう感じがあります。

 

 
まあ、麻衣からするとやっぱり彼女は自分なので、おそらく面白くないところは少なからずあると思います。だからこそ各キャラクターとの近づき方がそれぞれ違うのかなっていう印象もありますけれど。

広川卯月は独特な子だけど恋愛的に気を引いてやろうとか、奪ってやろうみたいな感じがないので心配していない。赤城郁実は麻衣の知らない時点の咲太、好きな人の過去を知っている部分が気になるけれど、それ以上に思春期症候群で発生する何かが心配。

やっぱり麻衣も年頃の女の子なので、彼氏に近づいてくる女性がいる……ということにちょっと面白くないとは思いつつ、思春期症候群で咲太がまた危ない目に遭うんじゃないかっていう心配のほうが勝っているのかなって思っていますね。

 

瀬戸さん&小原さんはもし紗良と友達になったとしたら、どうする!?

──今回おふたりのキャラクターの接点は咲太みたいなところがありますが、《大学生編》の咲太をおふたりはどのようにみていますか?

瀬戸:大学生になると交友関係が広がるし、飲み会や新歓とかに顔を出すなんてこれまでの咲太だとそういう催しには行かないんじゃないかって思いますよね。少し周りの様子を窺っているのか、新しいことに挑戦しているのかはわからないけれど、ちょっと輪が広がったのは福山拓海の存在が大きいのかなって。

やっぱり咲太は友達が少ないじゃないですか。国見佑真と双葉理央としか付き合わないで良いと思っていたはずだけど、そんな中でちょっと心を許してもいいのかなと思える同性の友達みたいな人に出会えている。ちょっと柔らかく感じるようになったのは、そういうところから感じられるのかなと。

小原:アニメで見てみると喜怒哀楽がそこまで激しくなく、表情もあまり変わらない印象がありました。だから何を考えているのかわからないと思ったのですが、そこが紗良を演じる私からするとミステリアスに見えたんです。やっぱり高校生の紗良からすると、年上の大学生は魅力がマシマシに見えそうだなって。ただ、話が進むと咲太はやっぱり麻衣さん一筋だとわかったので、好感度は上がりました。

個人的にはそういう何を考えているのかわからなそうなキャラクターは気になるので、より紗良の立ち位置を意識できたというか。紗良がこの人をどうにかしたいという気持ちを持ってしまう、紗良にとって咲太が気になる存在になっていくのはちょっと理解できるなと思いました。それが好きとか恋愛感情かと言ったらまた違いますけど。

 

 

──そんな咲太と紗良として掛け合うときはどんなことを意識されていましたか?

小原:多分瀬戸さんもそうだし私もそこは同じなのですが、咲太役の石川界人さんとは作品をご一緒する機会が結構ありまして。だから勝手ながら信頼感をかなり持っているし、初めましてではないので凄く掛け合いがしやすいんです。

どんな温度感で来られるのか隣にいてなんとなく感じられるので、その安心感からあんまりごちゃごちゃした感情はなくて、純粋に石川さん演じる咲太に声をかけるくらいの感覚しかありませんでした。

──ありがとうございます。第10話はこれから放送となりますが、どのような部分が見どころになるのでしょうか?

小原:第10話について紗良の立ち位置で言うなら、思春期症候群を起因とする特殊能力みたいなものを持っていたので、これまでは余裕ぶっているところがありました。それで私にかかればどうとでもなるみたいに思っていたところから、今まで見せてこなかった本当の姿というか紗良の人間らしい部分が見えてきます。その鍵となった麻衣の存在が大きいので、紗良と麻衣のふたりに注目していただけたら嬉しいです。

瀬戸:紗良が今まで出来たことが思うようにいかなくなり、どうしてっていうモヤモヤした感情が生まれます。他人に必要とされている自分……みたいなものが彼女を支えていたようにも思うので、それが失われた時の紗良がどんな表情を見せてくれるのか。そういうところがこのマイスチューデント編の見どころだと思います。ぜひとも紗良を見届けてあげてほしいです。

──ここまでのマイスチューデント編の物語でおふたりが印象に残っているキャラクターもお教えください。

瀬戸:私は加西虎之助と理央の関係性が印象に残っていて好きです。理央は迷惑がっていますけれど、彼女の国見への想いや国見との出来事を知っていると理央も周りの人に魅力的だと思われる素敵な人なんだよって言ってあげたくなります。

理央からすると虎之助は年下の男の子で、しかも自分が教える塾の生徒だから絶対にありえない相手だし迷惑でしかない。だけど、今までずっと彼女のいる親友に切ない片思いをしていた理央を知っているだけに、理央も魅力的で好かれるんだよ、あなたの良さに気付く人がいるんだよって見ているこっちがキュンキュンしちゃうというか。

咲太が余計なことをしているのもいいんですよね。虎之助に入れ知恵をしていて、その犯人が咲太だってわかる理央みたいな親友同士の関係性が見られます。理央はいつも物語の中で大事な言葉を残してくれるし、そういうところに救われることも多いじゃないですか。そんな理央がまた違う表情を見せてくれるのが嬉しかったです!

 

 
小原:自分が関わっているところだと塾のクラスメートとのシーンですね。そんなに多くはないのですが、塾で先生をしている咲太を見ることもできるし、健人とか吉和樹里とかは同級生っていうのもあって学生のリアル感も見られます。このあたりが、男の子からと女の子からとで紗良はこうも見え方が違うんだなって如実に理解できるシーンなんですよ。

だけど健人とか樹里のふたりも、こっちは気付いていないけれどお互いに好意があるの?みたいな。その展開が個人的にはちょっと応援したくなったところでした。

他には「自分が失恋したの?」みたいなことを紗良が言うくだりがあるんです。相手が自分に好意を持っていると思っていたのに、そうじゃないとわかった瞬間嫌いになった……みたいな。その時に、本当にこの子はとんでもないなって思ったんです。

瀬戸:虎之助が紗良の幼馴染なんだよね。それで前はカップルじゃんみたいなことを言われて居心地良く思っていたけれど、蓋をあけたら虎之助は自分じゃない人を好きになっていた。そこで「じゃあいいや」みたいにさらっと終わりにするんだよね。

小原:とんでもない思わせぶりなことをされた……みたいに紗良は言うんだけど、「いや、あなたも中々だよ?」って言うね。味わいたいかどうかは別として、こういうのは紗良にしか出せないのかなって思ったら面白いなって思いました。

──紗良のキャラクター性はかなり個性的というか、強烈なのかもしれませんね。

小原:友達にはなりたくないですよね。

瀬戸:どうなんだろう。友達の彼氏に手を出すって感じではないのかな?

小原:他人のものが良いなってなりそうじゃない?

瀬戸:だとしたら怖いな……(笑)。

小原:仲良くなったら彼氏がいるかどうか話すこともありそうですが、もし紗良に相手の写真を見せたりしたらどんどん近づいている……なんてことになりそうじゃないですか。だからもしそんなことになったら、私が間に入って「あなた手を出すでしょやめて!」「あそこは4年ぐらい付き合ってるんだからな!」って言って止めると思います!

瀬戸:そこまでやるのか!

一同:(笑)。

小原:きっと私は最初「この子、怖い!」って思うんじゃないかなと。自分の演じるキャラクターなので愛さなきゃいけないと思うし、実際大好きなのですが……大好きだからこそ「目を覚ませ!」みたいな(笑)。

瀬戸:私はもし紗良と仲良くなったら、絶対そんなことないと思って近づいて痛い目を見るんだろうなぁ。

小原:改心してくれると嬉しいのですが、紗良も思春期症候群が鍵になっているんですよね。より魅力的な女性になるのかどうなのか、私としても素敵な子になっていたらいいなと願っています。

 

 

──そろそろ終盤に差し掛かりますので、このあとやってくるサンタクロース編の見どころをネタバレにならない範囲でお教えください。

瀬戸:原作をまだ読んでいない方は、まだたくさんの疑問があるんじゃないかと思います。その疑問は最後の最後まで残り続けるのですが、ミニスカサンタは見た目としてかなりインパクトがありますよね。しかもまだ秘密があるような気配がありますし。私たちが考えるミニスカサンタの行動やその理由みたいなもの、その意味合いが物語に含まれていると思います。そういう謎の部分に注目してもらえればと思います。

目先のところで言えば「岩見沢寧々=霧島透子ってどういうことなの?」という部分ですよね。彼女がどんな女性なのか、どうして思春期症候群になってしまったのか。そこに寄り添ってもらえるとこの後の物語も楽しめると思います!

小原:ティザービジュアルで描かれている、上田麗奈さん演じるミニスカサンタの女の子の話に入ってくるので、ここからこの《大学生編》の中でもさらに大事なエピソードが続いていくんだろうなって。原作を知らない方でも、きっとその予感だけはあると思います。

そして、この作品は女の子たちが出てきても可愛いだけではありません。謎めいていて決まった時にしか現れてくれない。逆に現れて欲しい時にはいなくて、予期せぬ瞬間に現れる。探偵ものではないんだけれど、咲太たちがその正体を探っていく感じが『青ブタ』なんだけどちょっと違う視点で楽しめるポイントになっていると思います。

紗良のエピソードとは全然違う意味でソワソワすると思うし、個人的にはワクワクからだんだん怖くなっていきそうだなとも思っています。謎が多すぎるので、そこも含めて楽しんでいただけたら嬉しいです!

 
[文・胃の上心臓]

 

作品情報

青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない

あらすじ

思春期症候群――
不安定な精神状態によって引き起こされると噂の不思議現象。

高校時代に様々な思春期症候群を発症した少女たちに出会ってきた“梓川咲太”も大学生になった。

国民的人気女優であり、恋人の“桜島麻衣”と共に金沢八景にある大学に進学した彼は、
校内で季節外れのミニスカサンタを見つけた。

驚いた。わたしのこと見えてるんだ。

どこかで聞いたような台詞。
思春期症候群をプレゼントしていると話すミニスカサンタは、咲太に告げる。

……わたしはね、霧島透子って言うの

SNSで流行する予知夢、正体不明のネットシンガー、ポルターガイスト、
謎めく現象と共に、心揺れる少女たちとの不可思議な物語が再び始まる。

思春期は終わらない――

キャスト

梓川咲太:石川界人
桜島麻衣:瀬戸麻沙美
広川卯月:雨宮天
赤城郁実:山根綺
姫路紗良:小原好美
美東美織:石見舞菜香
ミニスカサンタ:上田麗奈
古賀朋絵:東山奈央
双葉理央:種﨑敦美
豊浜のどか:内田真礼
梓川花楓:久保ユリカ
牧之原翔子:水瀬いのり

(C)2024 鴨志田 一/KADOKAWA/青ブタ Project

 

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