
『追放者食堂へようこそ!』連載インタビュー第12回:デニス役・武内駿輔さん×アトリエ役・橘 茉莉花さん|美味しい料理で繋がる人と人──「ぜひぜひ、この作品の常連さんになってください!」
2025年7月3日より好評放送中のTVアニメ『追放者食堂へようこそ!』。超一流の冒険者パーティーを追放された料理人・デニス(CV:武内駿輔)が、憧れだった食堂を開店し、看板娘のアトリエ(CV:橘茉莉花)とともに、お客さんに至高の料理を提供するという“新異世界グルメ人情ファンタジー”です。
アニメーション制作をてがけるのはOLM Team Yoshioka。食欲をそそる料理作画に加え、笑いあり、涙ありのストーリー展開がSNSを中心に話題をよび、第1話はXで日本トレンド1位を獲得するなど、“深夜の飯テロ人情アニメ”として注目を集めています!
アニメイトタイムズでは、アニメ放送後に掲載されるインタビュー連載を実施。最終回となる連載第12回はデニス役・武内駿輔さんとアトリエ役・橘 茉莉花さんの対談が実現。アフレコのエピソードから、後半の振り返り、そして最終話についてたっぷり語っていただきました。
「アトリエという相棒に出会えたことが彼にとって救いだったのかな」
──後半の物語を振り返って、印象に残っているエピソードを教えてください。
デニス役・武内駿輔さん(以下、武内):デニスとしては、食堂が火事になったあとの再建が大きな転換点になったと思います。物語の冒頭ではデニスがパーティーから追放されて、個人で食堂を始めるところからスタートしたので、大勢の人に支えられる機会はそれほど多くなかったと思うんです。
お店に来た人にどのような料理を提供するか、パーティーにいるときならば、メンバーに何を作るのか。彼はそれを積み重ねてきただけなのですが、食堂を開いたことで街のみんなを支えていたんですよね。自分がやっていたことが、こんなにも感謝してもらえることだったんだ、こんなにも喜んでくれていたんだと、そこで気が付いたのではないかなと。
──自分がどんなふうに思われているのかも、デニスはあまり考えていなかったのかもしれません。
武内:街のみんなが来てくれた第9話冒頭のシーンは「自分がやってきたことが誰かの支えになれていたんだ」と実感できた場面だったと思います。デニスの考え方もあの時から変わっていったのかなと。
最初は周りより、自分を主に考えていたと思います。後ろ髪を引かれつつパーティーを抜けて、また別のやり方でやり直せるのかなと思ったけど、やっぱりダメだった。そこで自分がどうするかが中心になっていたけれど、本質はそうではなかったんですよね。
──大事なものを手放そうとしていたのは自分だった、と。
武内:意図していなかったことだと思いますが、最初は看板娘として見ていたアトリエに、気が付いたら引っ張られるような瞬間もあったんです。だから、アトリエという相棒に出会えたことが、彼にとっても救いだったのかなとも思っています。でも、アトリエ以外の人もデニスのことを思ってくれていたということがわかった、素敵なシーンだったと思います。
──お二人は、デニスとアトリエの絆がどのように築き上げられていったと思いますか?
武内:アトリエはデニスが思っているより吸収速度が早いんです。自分がしてもらったことをすぐに返してあげることができるキャラクターで、デニスが思っている以上に大人な一面を持っているし、誰かを引っ張っていけるような存在なんですよね。だから後半は特に、何かを一緒にやる相棒という関係値になっていったと思います。
アトリエ役・橘茉莉花さん(以下、橘):第1話などでは「ただあの場から救ってくれた人」という印象でしたが、その後、ヘンリエッタやビビアたちと関わっていくデニスを見て「この人なら信じてもいいのかも」と思い、そこからどんどんデニスとの絆が深まっていったのかなと思います。
──橘さんは、後半のアトリエの成長をどのように見ていましたか?
橘:第1話では「全部を諦めているように演じてください」というディレクションがありましたが、第2話からは自分の感情を言うことも増えてきました。それでも前半は、自分の思っていることは言うけれど、それを押し付けたりはしない子だったんです。
そこから、だんだんと自分の考えを主張するようになっていったのは、デニスとの信頼関係ができたからだと思っています。だからアトリエにとってデニスは親のような感覚というか……。親子だと、自分の言いたいことも言えるじゃないですか。そんな関係になれたのかなと思いました。
武内:アトリエが独り立ちするのも寂しいんですよ(笑)。「ボーイフレンドがいるかもしれない」と、デニスが心配するようなエピソードもありましたからね(第5話)。自分がどんな立ち位置で、寂しい気持ちになっているのかはわからないけれど、あのエピソードはとても面白かったです。
橘:うずうずしていましたよね(笑)。
──ほぼ親の目線でしたね(笑)。第5話はビビアとのコンビ感も垣間見える回でした。
武内:あの2人も良いコンビでしたよね。
橘:私は、ビビアとシンシアのシーンが原作から大好きだったんです。第3話の最後に、ビビアがシンシアのお墓に報告をしに行くじゃないですか。シンシアと触れ合ったのは、あの一瞬だけでしたが、それまで自分本位で生きてきたビビアが変わって。恋心なのか、大切な人なのか、ビビアがシンシアをどう思っていたかはわからないですが、あの変化は素敵だなと思いました。
ビビアにとって大切な存在だからこそ、最後にこれまであったことを伝えたいと思ったんだろうなと思いました。
──ビビア役の伊瀬茉莉也さんをはじめとした素晴らしいキャストが集結した本作ですが、印象に残っているお芝居を教えてください。
武内:伊瀬さんのビビアは本当に素敵でしたね。細かいこだわりを感じましたし、感情の流れなどもディレクターと確認しながら演じられるんです。仕事人としての理想の姿で「伊瀬さんがそのような取り組み方をされているのだったら、自分もこういうことを聞いてみようかな」と思うんです。キャリアだけではなく、お芝居やキャラクターに対する真摯な姿勢に、我々も支えられていたと思います。
橘:(大きく頷いて)
武内:あとは、ジーン役の甲斐田裕子さんとのやり取りも印象的でした。
あともう少しなのに成長し切れないことって、生きていたら誰しもが思い当たることがあると思うんです。ある程度のことはできるようになった気がするけれど、自分の中で何か足りないものがある。自分では、それが何かがもはやわからないというときに、ジーンは「具体的にこうすればいいんだよ」ではなく「自分で気付くまで見守る」んですよね。
師匠と弟子としてのジーンとの対話は、演じる中でとても勉強になりました。基本的に明るい作品ですが、人間が成長するにあたっての大事なメッセージが込められていたし、物語の良いアクセントになっていたと思います。
──第10話のアバンから第11話にかけて、Lv.100になるためのヒントを語るシーンなどもとても印象的でした。
武内:ジーンもとても良いキャラクターですよね。あと、良いキャラクターといえば、下山吉光さんのポルボもですかね(笑)。
橘:最高でした(笑)。
武内:「でゅふふふふ」って笑うのですが、それを受けてみんな笑っていました(笑)。下山さんご本人も「俺(ポルボ)、意外と出てくるな」とおっしゃっていましたが、本当に登場頻度が高いんですよね。しかも変化球キャラかと思ったら意外と良い奴で。
──もしアトリエがポルボの元に行っていても、大切に育てられていたかもしれませんね(笑)。
武内:そうかもしれないですよね(笑)。本当にキャラも濃くて、良いムードメーカーでした。
橘:第12話で、一緒に働いていたグリーン兄弟がポルボに似てくるというシーンがありましたが、本当に面白くて(笑)。収録でも「もうちょっと面白くなるから、面白くしていきましょう!」と言いながらテイクを重ねられていて。実際にどんどん面白くなっていくのが楽しかったです。
武内:そもそも、何なんだグリーン兄弟って!って思うんですけど、すごくキャラが立っているんですよね(笑)。しゃべるたびに毎回持っていかれちゃうんですよ。なんだこいつら!って(笑)。
橘:常連さんですが、時々出てくる気になる存在ですよね。
















































