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『ステつよ』赤井まつり(原作)×合鴨ひろゆき(原作コミック)インタビュー

『暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが』原作・赤井まつり先生×原作コミック・合鴨ひろゆき先生インタビュー|「自分が読みたい」を詰め込んだ作品。アニメ・小説・漫画を三位一体で楽しんでほしい

 

アニメに感じた“引き算の美学”

──今回のアニメ化にあたって、お二人からアニメの制作サイドにオーダーされたことはありますか?

赤井:小説は見切り発車で書いていたところもあって、羽原監督には「今、書くならこういう伏線がほしい」という部分をお話ししました。実際に送られてきた映像を観ると、私の要望のほとんどをアニメに反映してくださっていたので、とても感謝しています。

合鴨:実は私の方にも「羽原監督とアニメのスタッフにご希望があれば」というお話をいただいていたんです。ただ、赤井先生のオーダーに従っていただくのが一番ですし、いち視聴者として楽しみたいという気持ちも強かったので、「こちらからは何もありません」とお伝えしました。

 

 

──先行上映会で、小説版イラストの東西先生とコミックス版の合鴨先生のエッセンスをシーンごとに使い分けているというお話がありました。

合鴨:絵については、きめ細かく確認の機会をいただきました。最初のラフの段階から後に線が整えられて、監督のこだわりである影が入ったアニメのライン、そして彩色。「いちキャラクターで何段階見せていただけるのだろう」と思うくらい丁寧に進めていただいて。「絵作りのこういうところを汲み取りたい」という熱意が伝わってきました。

チェック用の絵が届いた時に「元絵の雰囲気をいかに少ない線数で表現するか」という“引き算の美学”と言いましょうか。アニメの洗練された絵作りから学ばせていただいた部分もあって、非常に良い経験をさせていただきました。

──赤井先生もアニメに深く関わられたと伺いましたが、どのような形で関わられていたのでしょうか?

赤井:合鴨先生がおっしゃったように、何かあれば「確認お願いします」と言っていただいたので、色々とチェックしました。

私自身はあまり絵を描かないんですけど、美術ボードを確認させていただいた際、小説の1巻に登場するレイティス城の構造やイスの位置、どういう時に使われるのかまで質問されたんです。改めて西洋の城を調べながら書いて渡したものが、アニメでは反映されていると思います。

──アニメ化にあたって、赤井先生も新たに設定したり、調べたりするところが出てきた訳ですね。

赤井:自分は西洋のお城に行ったことがないので写真を見ながら、お城の見取り図とにらめっこしていました。「謁見の間はこんなサイズで、王専用の書斎があって。文官がいるからその人たちが使う蔵書室もあって……」とこねくり回しながら調べたので、一つの城を建てたような気分です(笑)。

 

 

──またお二人とも、収録現場にもいらっしゃっていたと伺いました。

赤井:「アニメってこう作られるんだ」といち視聴者目線で見てしまいました。収録現場には若手の方からベテランの方まで、幅広いキャリアの声優さんがいらっしゃって、いざアフレコが始まるとほとんどリテイクがなく、あっという間に収録が終わるんですよ。スタッフの方から「普通はこんなに早く終わらないです」と教えていただきました。

──原作の先生がいらっしゃるとスタッフやキャストからいろいろ質問されたのではないですか?

赤井:例えば関西弁のキャラクターについて、「今の関西の方はこのイントネーションで言うんですか?」と尋ねられたりして。そういう部分にも監修が入るんだなとビックリしました。他にもいろいろ聞かれましたけど、ほとんど「はい!」と答える感じでした(笑)。

合鴨:私も一度、アフレコ現場を見学させていただきました。

自分は監督やスタッフさんがいるミキサー室で、声優さんがいる録音ブースの様子を見ていたんですけど、テストの段階から「本番テイクなのでは」と思うくらい、すごい迫力で。「ここにこのタイミングで声が入ります」という仮の映像に合わせて収録されているのですが、聴いているだけで作品のシーンが思い浮かぶようでした。「声優さんの声の力やお芝居ってこんなにすごいのか…!」と。固唾をのんで見守りながら、内心はお祭り騒ぎでした(笑)。

また、音響スタッフの皆さんもすごくて。リアルタイムで監督や脚本家、演出家の皆さんから「こういう風にあてはめたい」という指示があれば、すぐに劇伴を合わせたりと即座に対応されていたんです。キャストさんやスタッフさんは忙しい方ばかりなので、アフレコという限られた時間を大切かつ有効に使われていることも知って、とても勉強になりました。

 

アニメ・小説・漫画。三位一体で『ステつよ』を堪能してほしい

──多くの過程に関わられたおふたりですが、完成したアニメの映像をご覧になった感想は?

赤井:映像でしかできない表現もありますし、頭の中で「こうなったらいいのにな」と思い描いたものに対して、アニメが答えを出してくれたような感覚になりました。

エフェクトも素晴らしくて、特に第1話ラストの影魔法やサラン団長の光魔法では光と影のコントラストがとてもよく表れていたと感じます。バトルシーンのスピード感と迫力もすごくて、目で追っても追いつけないほどで。「アニメで表現するとこうなるんだな」と随所で驚かされました。

合鴨:絵はもちろん、劇伴もとても素晴らしかったです。監督がおっしゃられていた「コンマ何秒」のこだわりが映像とセリフとBGMの全てで活かされていることにただ感心するばかりでした。先行上映で改めて観ると「わあ、すごい!」とすぐに魅了されて、あっという間に1話が終わっていました。

──今後も放送は続いていきますが、アニメに期待していることや注目してほしいポイントはありますか?

赤井:ちょこちょこありますが、1つ挙げるとすれば第1話で最初に晶たちが召喚された時、教室に魔法陣が展開されたシーンの奥のほうに、クラスメイトたちの戸惑いとはまた違った音声があるんです。そういう細かい部分も楽しんでいただけると嬉しいですね。

また第1話の中には、今後に繋がりそうな伏線がたくさんあるんです。サラン団長のクーデターの話や王様が書斎でしている書きもの、王女に蔵書室への立ち入りを禁じるように言うシーンとか。自分も全ては把握できていない気がします(笑)。配信等もあるので、アニメをリアタイするたびに第1話を振り返って確認するのも楽しいかもしれません。

 

 
合鴨:張り巡らされている謎を考察する楽しみがありますよね。加えて、現実でステータスが可視化されることはあり得ないですけど、「自分の特性を知っていることは果たして幸せなのか」というエピソードが瑞々しく描かれているところも本作の魅力だと思っています。自分たちの能力や境遇をどう受け止めて、どう自分を活かしていけばいいのか。晶とアメリアはそれにどう向き合うのか。或いは異世界に召喚されたクラスメイトのみんな、勇者の司くんは? 毎回、ドキドキわくわくしながら観ていただきたいなと思います。

──最後に、原作や漫画のファンの方、アニメで初めて触れる皆さんへのメッセージをお願いします。

合鴨:純粋にアニメを最後まで楽しんでいただけたらという気持ちでいっぱいです。自分も毎週、放送時間にTVの前で正座待機して視聴すると思います(笑)。一緒に『ステつよ』を楽しみましょう!

赤井:アニメを観てから小説を読んで、キャラクターそれぞれの心情や背景を確認していただくと良いと思います。また、漫画とアニメを比べると違っているシーンも結構あるので、三者三様の良さを楽しんでいただけたら嬉しいです。

 
[インタビュー/永井和幸]

 

作品情報

暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが

あらすじ

クラスメイトと共に異世界に召喚された高校生・織田晶。

召喚によってクラスメイト全員にチート能力が付与される中、彼は生来の影の薄さからか平凡な“暗殺者"の能力を得る。だが、ただの“暗殺者”のはずなのにステータス値が、最強の職業“勇者”すら軽々と凌駕していて――!?

そして、召喚の首謀者である国王の言動に疑念を抱いた晶は、自分の存在をひた隠しその陰謀を暴くも、逆にあらぬ罪を着せられ追われる立場に追い込まれてしまう。

国王への復讐を誓った彼は、逃げ込んだ前人未踏の迷宮深層でエルフの少女アメリアと邂逅を果たす――…。

これは“暗殺者”の能力を得た少年が、エルフの少女と出逢い真の”暗殺者”へと至るまでの物語。


キャスト

織田晶:大塚剛央
アメリア・ローズクォーツ:水野朔
夜:小林沙苗
リア・ラグーン:田村好
クロウ:草尾毅
ラティスネイル:諸星すみれ
キリカ・ローズクォーツ:和氣あず未
佐藤司:森永彩斗
朝比奈京介:水中雅章
アウルム・トレース:堀江瞬
マヒロ・アベ:内山昂輝
グラム・クラスター:間宮康弘
サラン・ミスレイ:諏訪部順一

(C)赤井まつり・オーバーラップ/暗殺者のステータスが勇者よりも強い製作委員会

 

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