
劇場版『チェンソーマン レゼ篇』戸谷菊之介さん×楠木ともりさん×坂田将吾さんインタビュー|早川アキの新たな一面とマキマに宿る違和感。映画を通して、デンジが経験した夏を体験してほしい
チェンソーマンとボムの戦闘はド派手&大迫力
ーー今作の見どころのひとつとして、チェンソーマンとボムのバトルは外せないと思います。
戸谷:あれはすご過ぎましたね。1つ1つのシーンを切り取っても1枚のアートとして成立するほどの美しさで。それを連続で繋げていくというのはきっと途方もない、大変な作業だったと思います。
楠木:そもそもマンガの動きをひも解くのも大変だったと思う。インパクトがある絵が続くからその間をどう埋めていくのかも大変でしょうし。正直、1回観ただけでは抱えきれなかった(笑)。
戸谷:本当に。台風の悪魔もいるし、ビームもいる。規模が大きすぎて、見応えがすごかったです。
ーー花江夏樹さん演じるビームや「チェンソーマン」になった後のテンション感が凄まじく、役者さんのすごさを改めて感じました。
戸谷:それに関しては、𠮷原(達矢)監督や音響監督の名倉(靖)さんからディレクションをいただいた部分もあります。「もっと出してください」というディレクションはいろいろなシーンでありましたし、そこは思い切りやりました。
ーー花江さん演じるビームのお芝居に刺激を受ける部分もあるのでは?
戸谷:そうですね。一緒に収録はできませんでしたが、映画を観たらかなり出されていて。この間、別の収録でデンジとビームの掛け合いをやったんですけど、アフレコ前には普通に雑談しているのに、収録が始まった瞬間急にスイッチが入って。一瞬で花江さんが役に入るから、「自分もここまでたどり着かなきゃ」という刺激を受けました。
ーー一方で、マキマやアキの「静」のお芝居を見られるのも『チェンソーマン』の魅力の1つだと感じました。
楠木:私自身も引くところは徹底的に引いて、足すところは徹底的に足すという演出の印象があります。収録中は音など入っていないので、とても静かな中で録っていますが、映画本編を観るとその時の緊張感が崩れないような状態で、そのまま劇伴が入ってくるのも素敵なんです。
坂田:(早川)アキに関しては、今回は意外とデンジと会話をしていないんですよね。
戸谷:ずっと一緒にいるイメージだったけど、意外としゃべってないんだよね。
坂田:車のシーンではデンジも倒れているから会話する感じでもなかったですし、復活した後も車の無線が壊れたシーンのラジオの音量がどれだけの大きさなのかが分からなくて一方的にしゃべっている感じで。どれだけ声を張り上げれば聴こえるのかを想像しながらやっていました。
映画を通して、デンジが経験した“夏”を体験してほしい
ーー前半と後半で雰囲気がガラリと変わる部分も今作ならではだなと。
戸谷:あの切り替わりはホラーっぽいですよね。レゼと学校にいる時に謎の男が出てきたところから演出で音が急になくなったり、画面が暗くなったりして。そこから雰囲気がだいぶ変わった気がします。
楠木:元々怖かったのに、音が付いて更に怖くなったね。
坂田:ぴちゃっぴちゃって水音が聴こえるところとか。でも、レゼが帰ってきた時、レゼがびしょ濡れになっているのに、何でデンジは気付かないのかは不思議だった。
楠木:それはデンジがバカだから……(笑)。
一同:(笑)
戸谷:そう、何も気付いてないんですよね。
坂田:レゼと何するかで頭がいっぱいだったのかもしれません(笑)。
戸谷:もはや何も考えていないのかも。
ーー最後に、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
坂田:この記事を読んでくださっている方の中には、既に映画を観てくださっている方も多いと思います。
僕自身も「最高の映画だな」と思ったし、既に2回目が観たい気持ちになっているので、記事が掲載される頃には2回、いや3回観ているかもしれません。ぜひ何度でも観て楽しんでください。アキを演じる身としては、姫野のことを引きづっているアキが新しいバディとなった天使の悪魔と果たして良い関係を築けるのか。性格が真逆とも言える二人の距離感の変化にも注目してください。
楠木:私自身は試写で観て、自分の中で消化しきれない、抱えきれない気持ちでいっぱいになりました。この映画に心を動かされるどころか、振り回されるような印象があったので、早くご覧になっていただいて、この気持ちを皆さんと共有したいです。
『チェンソーマン』の話題を目にしたり、作品名を聞いたことがあるという方も楽しめますし、ここからさかのぼって原作やTVシリーズを観るのも楽しいと思います。10月4日からはMX4Dや4DX、Dolby Cinemaでの上映も始まりますので、ぜひ劇場に足を運んで観てください。
戸谷:スタッフの皆さんが素晴らしい映像や音を作っていただいて、僕たちキャスト陣も全力でお芝居した結果、こんなに素敵で心を動かされる映画が完成したことに感謝しています。昨年末に「レゼ篇」が劇場版として公開されると発表された時から、「早く皆さんに観てほしい」とずっと思っていました。実際に公開されて、皆さんからどんな反響をいただけるのか、ドキドキしています。
デンジとレゼの物語、思春期の恋のようなドキドキと手に汗握るバトル、そして観終わった時に少し残る切なさをぜひ映画館で体験してください。
[インタビュー/永井和幸 撮影/藤本厚]





















































