
七色の声で開いた、表現の新たな扉。『週刊ラノベアニメ』のエンディングを彩った「群青と未完の彼方」七瀬彩夏インタビュー
声優・アーティストとして活躍中の七瀬彩夏さんの3rdシングル『群青と未完の彼方」 feat.佐々木”コジロー”貴之が、ABCアニメーションの新レーベルからリリース!
表題曲は『週刊ラノベアニメ』のED主題歌。同作は『ラノベアニメ』として、実力派ラノベ作家と人気イラストレーターがタッグを組み、縦型ショートアニメというSNS時代のトレンドを取り入れた形でスタート。その後、『週刊ラノベアニメ』としてABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネット『ANiMAZiNG!!!』枠にて放送されました。その新風に重なるように響くのが、ギタリスト・佐々木“コジロー”貴之氏との共演によって彩られた「群青と未完の彼方」。圧巻のギターの音色と七瀬さんの伸びやかな歌声が響き合うロックナンバーです。七瀬さん自身のこれまでの物語を振り返りながら、新曲に込めた想いとこれからをうかがいました。
“私”を探している時間が楽しい
──アニメイトタイムズで七瀬さんにソロアーティストとしてインタビューするのは今回が初めてとなるので、これまでのことについてもお伺いできればと思います。まず3rdシングルまでの歩みを振り返ってみて、率直にどのようなお気持ちでしょうか?
七瀬:『ひろがるスカイ!プリキュア』をきっかけに、『プリキュア』シリーズの音楽プロデューサーの井上(洸)さんとご一緒する機会をいただいて、そこから引き続き音楽活動へとつながっていって。まず、アーティストデビュー自体がずっと夢だったので、1stシングルを出せた時点ですごく嬉しかったんです。
実はその時点では先の話をしていたわけではなかったので、「次につなげられるように頑張ろう」と思いながら、一枚一枚を大事に積み重ねてきました。だからこそ、こうして3枚目をリリースできることは本当に素直に嬉しいです。
──そうだったんですね。
七瀬:なので、次が決まるたびに安心と喜びを強く噛みしめてきました。ありがたいという気持ちと同時に……「恩返し」というにはまだまだですが、もっと成果で応えたい、もっと頑張りたいという思いがどんどん大きくなっています。
──デビュー日は2024年7月で、七瀬さんの誕生日前日でしたよね。
七瀬:そうなんです。7月10日に1stシングル『STAR RUSH』でデビューして、翌日の7月11日がちょうど30歳の誕生日でした。20代最後の一日にアーティストとしてのデビューできたこと、そして誕生日を迎える直前に作品という形で残せたことは、自分にとって本当に嬉しいことで。それぞれ大切な節目になりました。それから1年を迎えますが、実際のデビュー日よりもずっと長く活動してきたような感覚があります。というのも、「STAR RUSH」を初めて披露したのは3月の『AnimeJapan 2024』で、その後もリリースイベントなどを通じて皆さんの前に立っていて。そう考えると「まだ1年なんだ」という感覚もありつつ、本当にあっという間で濃い時間でした。
──今まで以上に音楽と向き合う時間も長かったと思います。
七瀬:そうですね。これまでも声優としてキャラクターソングを歌う機会はありましたが、七瀬彩夏として自分自身の言葉や感情で歌うのは、今回が初めての経験です。だからひたすら自分自身との対話というか。アーティストとしての私について、考えることがたくさん増えて、それはそれですごく楽しくて。声優としてキャラクターを演じてきた時とはまったく違う感覚がありました。
それと、これまではファンの皆さんと直接お会いして話す機会ってほぼなかったんです。作品のイベントや仲の良い声優仲間とのトークイベントには出演してきましたが、お渡し会として、直接おひとりおひとりと目を合わせて話すのは初めてだったのですごく嬉しくて。いつも応援してくれている方とお話することができてCDの感想はもちろん、他のアニメ作品についての感想まで伺うことができました。
──文字での感想も嬉しいですが、やはり直接話せるとひとしおですよね。
七瀬:そうなんです! SNSでよくお名前を拝見していた方にお会いしたときは、思わず「あっ! この方が!」って声をあげてしまいました(笑)。お手紙も、SNSでのコメントも大切に読ませていただいているのですが、直接お言葉をいただけることはとても嬉しいです。リリースイベントでの会話には“ライブ感”があって、何が飛び出してくるかわからない面白さがあるんですよね。そういう予想できないやり取りも含めて、私にとってはすごく刺激的です。この“ライブ感”というのが、私のアーティスト活動にとってひとつのキーワードになっているように感じています。
というのも、声優の仕事は台本をもとに準備を重ねてスタジオのマイク前で挑むものです。一方、アーティスト活動はひとりでステージに立って、歌って、喋ってと、まさにライブ感をめいっぱい感じています。
──ひとりでステージに立つことには楽しさもあれば、緊張感もあると思います。そのあたりはいかがですか?
七瀬:「AnimeJapan 2024」でのお披露目イベントのときはMCの方がいてくださったので心強かったんですけど、CDショップさんでのリリースイベントでは自分ひとりでの進行で、当初は緊張のあまり「歌詞を飛ばさないかな」とか初歩的な心配までしていました。でも回を重ねるうちに少しずつ慣れてきて、今では楽しさも感じられるようになりました。ファンの皆さんが本当に温かくて、ちょっとミスしたり間が空いたりしても笑って受け止めてくださるので、すごく助けられています。
──それは七瀬さんの声の魅力に加えてお人柄の温かさが伝わるからこそなんじゃないかなと……。
七瀬:いやいや、でもそう言っていただけると嬉しいです(笑)。1stの時は表題曲とカップリングの2曲しかなかったんですが、今は3枚目まで出させていただいて、全部で6曲。リリースイベントでも選べる曲が増えて「今日はどれを歌おうかな」と考えるのも楽しいです。ただ、持ち曲が増えた分、自分自身へのプレッシャーも大きくなって、その分、ドキドキも増しましたね。
──先ほど「自分との対話」という言葉が出ましたが、その中でご自身の音楽的な“らしさ”のようなものは見つかってきましたか?
七瀬:自分がステージに立ったとき、いちばん魅力的に見える姿ってなんだろう、どうしたら皆さんが喜んでくれるだろうと、すごく考えるようになりました。もともと普段聴く音楽は激しめのバンドサウンドが多かったのですが、今まで聴かなかったジャンルの音楽にも触れてみたり、いろいろな方のライブ映像を観たり。
歌はもちろんですが、動きやパフォーマンスもすごく重要だと感じています。ダンス経験はほとんどなかったので「この動きいいな」と思ったものを真似して取り入れて、自分の曲に合う形に消化しているところなんです。まだ「これが私」という確立された形はないんですが、逆に、それを探している時間もすごく楽しいですね。
──これまでの楽曲はジャンル的にも幅がひろくて、七瀬さんらしさがどんどんと広がっているようにも感じます。
七瀬:井上プロデューサーが私のことを考えてくださった上で作ってくださったんだと思います。いただいた楽曲には、かわいいもかっこいいもあって、全体を通して“星”や“宇宙”を思わせるモチーフが多いんです。(EDテーマを担当した)『遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!』がそういうイメージだから、というところもあるからかもしれませんが。太陽のようにまぶしく明るい光ではなくて、どちらかというとひっそりと儚くキラキラと輝くようなイメージ……そういう部分が、私が皆さんに向けて発信していく上での魅力につながるのかなと感じるようになりました。最初は漠然とした思いでしたが、少しずつ形が見えてきた気がします。
──“七瀬彩夏らしさ”という意味では、今回の3rdシングルは七瀬さんのバックボーンも感じるロックな作品でした。「セツナフィロソフィー」と同じ布陣の制作でありながら、曲調としてはバンドサウンド、そして作曲・編曲を手掛けているギタリスト・佐々木“コジロー”貴之さんとのコラボレーションで。
七瀬:本当に光栄でした。コジローさんは日本を代表するギタリストのおひとりで、コラボレーションとしてご一緒できると聞いたときは嬉しさと驚きが同時にきました……! しかもMVでもご一緒することができて。
──MVはまるでユニットというか。まさに“ライブ感”溢れる仕上がりでした。
七瀬:スタッフの皆さんも「二人組のユニットみたいだ」って口を揃えて言っていて(笑)。実はMV撮影の時にコジローさんと初めてお会いして、すごく優しくて気さくな方で、音楽の話というより旅行や美味しい食べ物の話で盛り上がったり(笑)。そういう人柄にまず安心しました。
──あの時が初対面だったんですね!
七瀬:コジローさん自身、MV撮影に参加したことはあったそうなのですが「こうして自分が主体で映される形でのMV出演は初めてで緊張する」……といったことをおっしゃっていて、私も驚きました。だからこそ、お互いに新鮮さを持って挑んだ映像になったのかもしれません。コジローさんファンの方も必見の仕上がりになっています!

















































