アニメ
『カラオケ行こ!』堀江瞬&小野大輔が「紅」の歌唱シーンを振り返る/インタビュー

聡実と狂児の関係性は、自分の感情を表に出さない「ドライ感」が魅力的。『カラオケ行こ!』堀江瞬さん×小野大輔さんインタビュー|リミッターを外して挑んだ「紅」の歌唱シーン

 

共演する野津山幸宏さんが関西弁をスパルタ指導。大阪出身の堀江さんも苦戦!?

──本作は演技に加えて、関西弁で話すのも大変そうですね。

小野:関西弁ってどうしても温かみ、優しさといった高めの体温がのってしまうんですよね。「これを引き算するのか?」と。それがアクセントやイントネーション以上に初回のアフレコで難しくて。狂児の低い体温をどう表現するのかにとても苦戦しました。

でも二人の関係性の中で、狂児で引いた分を聡実くんが足してくれているんです。狂児と聡実くんでニコイチのセットみたいに感じてもらえたらと。あと「ウェットな感情をのせないで、ドライにしてください」というオーダーもありました。「やばい。ドライはちょっと苦手なんだよなあ」と内心思いましたし、収録のプレッシャーがどんどん大きくなっていきました(笑)。

 

 
堀江:そうだったんですね! 僕は収録が進むにつれてどんどん安心していきました。最初にいただいたメッセージが音に関することで、「もうちょっと高くしてください」だったので、最初はそれを強く心に刻んだり、強く意識していました。でもやっていくうちに、会話の中でどんどん聡実になれていく感覚があって。祭林組の組員・パンチパーマ役で出演している野津山(幸宏)くんが大阪出身ということで、関西弁の監修をしてくれたんですが、ひと言しゃべるたびに直されました。僕は一応大阪出身なんですが、引っ越してしまったこともあって、関西弁が抜けてしまったところで、修正されながらやる大変さはありました。でもそこを超えた時に、声の印象も大事だけど、何よりも一番は狂児との会話の空気感を大事にした結果、声も高い、ティーンの雰囲気になったらいいなと思いながらやっていました。それができたのも小野さんのおかげだと思っています。

『夢中さ、きみに。』と一緒に放送されるということで、(時間としては)1クールまるまる演じたわけでありませんが、1クール演じたくらいの充実感があります。

小野:そうだね。野津山くんが「僕の地域ではこう言います」と言った関西弁が、この作品の関西弁のベースになっています。野津山くんの関西弁監修は容赦がまったくなくて。「違います! 3行目のそこだけ違うので、もう一回やってください」とか。「こちらが思っているよりも厳しいぞ」と(笑)。

でも感情表現の前に関西弁があったわけです。でもゾーンに入れた感じがあったんです。いろいろなものを研ぎ澄ませながら関西弁の音にする作業をした後にはもう、二人の関係性を表現することしか残っていないんですよね。相手のセリフもより聴けるようになったし、「声をもっと低く」とかそんな余計なことを考えずに済むようになって。そのおかげで相手のセリフを聴いて心が動かせたんじゃないかと思っています。

堀江:僕もそう思います。方言をやると、どうしても音ハメゲームみたいに、音にこだわりすぎてしまうあまりに、心がのらなくなりそうですが、この現場では小野さんとの掛け合いの中で、「あっ、やべ! 今音ハメだけに気持ちが偏っちゃってる」と思うことがほとんどなくて。しっかり聡実としていられることができたと思います。

小野:それはお互い様。僕も思ったよ。身も心もこの作品の舞台に入れた気がします。

 

 

──中の人も物語の舞台の住人に(笑)。

小野:そういえば収録のキャストの大半が、大阪出身の方たちだったよね。

堀江:あんなに異様な現場は初めてです(笑)。

小野:「ああやな」とか「そやな」とかずっと言いながらめっちゃ盛り上がっていて。対して僕は「これは違うかな? う~ん」とか「どうすればいいかな?」と悩んでいたし、堀江くんはずっとノド飴なめてるし。

堀江:飴はいいじゃないですか! それこそヤクザの人たちがカラオケで一堂に会しているような。「僕ら間違って組の事務所に来たんじゃないか」と思うくらい、すごい迫力で(笑)。

小野:野津山くんをはじめとして、他のキャストも本当に熱量が高くて良い役者さんたちで。皆さんが『カラオケ行こ!』の空気を作ってくださったので、どっぷり浸れました。

 

祭林組のカラオケシーンの収録では、キャスト陣の努力を感じさせる歌声が響き渡る

──ちなみに、組長が狂児たちを集めてカラオケ大会をするシーンは、皆さん一緒に収録されたんですか?

堀江:はい。そこは一緒に。

小野:雰囲気も原作そのままですよ。うるさいし、ガラが悪いし(笑)。

堀江:あるキャストの方……仮にKさんとしますが(笑)、とてもかわいくて。歌の部分だけ飛ばして、最後にまとめて録ったんですが、しきりにみんなをブースから出そうとしていて。「聴かれるのが恥ずかしいから」って(笑)。

小野:「これから録るから出て行きなさい」と(笑)。

堀江:アイドルの曲だったこともあって、見ていてついニヤニヤしてしまいました(笑)。

──皆さん、本息で歌っていたんですか?

小野:そうですよ。Kさんにもう一つ感じたことは「めちゃめちゃ練習してきたな」と。

(全員爆笑)

堀江:それ、わかります!

小野:めっちゃ練習してきた成果を見せようとしたら、たくさんギャラリーがいたので、「やめて! 見ないで! 僕の努力の結晶を!」という気持ちだったのだと思う(笑)。軽くうまくできるんだったら、あんなに緊張しないし、恥ずかしがらないもんね。

堀江:確かに。

 

 

──堀江さんがおっしゃっていたように、「せっかく世に出るのであればうまく歌いたい」という気持ちがあるんじゃないですか?

小野:作中で薄く流れるという感覚すらまったくなかったんじゃないでしょうか?(笑) みんな、ちゃんとヘッドホンを付けて、音も調整して。「次は誰々さん」と呼ばれたら、フェーダーを調整してマイク前に立った瞬間、ピーンと緊張が走るんですよね。でも歌い出したら、みんな、めっちゃ練習して来てるから、キャラも入れつつピッタリなんです。自分が思ったのは……仮にUさんとしておきますが(笑)、彼がうますぎる! 逆に「うますぎるけど、作品的には大丈夫なの?」と心配になるレベルで。

堀江:それだけうまいなら、「その組員さんに教えてもらえばいいじゃん!」ってなりますからね(笑)。

小野:たぶん彼は元々うまい上に練習して来たと思うんです。みんなの本気を感じましたね。

──組員みんなが歌ウマだと、一番下手だった人が組長からヘタクソな入れ墨を彫られるという罰ゲームの意味もわからなくなります。

小野:相当高いレベルで競っていて、90点台ばかりだから、80点台出すと彫られちゃう、とかなんじゃないですか? それはキツいですよね。

──絶対音感を持つらしい組長の審査は加点方式みたいですが、どんな基準なのかも気になりました。

小野:ひどいですよね。なんだったら気分とかなんじゃないですか?(笑)

堀江:残酷……(笑)

小野:でも組長はちゃんと人情がある人っぽいですよね。狂児と出会った経緯とかを見ると。

堀江:しかも舌を出してピースしたり、おちゃめなところもあって。狂児や組長ほか、祭林組の人はみんな、いい人そうに見えます。

 

 
小野:あれはズルいね。あのスナックのシーンが絶妙過ぎて……でもいまだにいい人なのかはわからないな、自分は。狂児に関してもそうで、自分で演じていても「悪いヤツじゃないな」とは思うけど……。

堀江:人を殺していたりするのかな……?

小野:半殺しにはしてるけどね。車のダッシュボードを開けたら、指が入っているし。それを冷静に説明しているし。わかんない。そういうところの行間を読ませて、想像させるのが和山先生の作品の良さかもしれませんね。この作品は人情ものだけど、ホラーでもありますね(笑)。

──「紅」の他にも、聡実が狂児が歌いやすい曲のリストを作って、それらの曲を歌っているシーンもありました。

小野:あのリストに挙がっていた曲の中に、僕が得意な曲も結構あって。特に「ルビーの指環」は、『デュラララ!!』の時に平和島静雄としても歌っているくらいで、僕の十八番(オハコ)なんです。昔、おやじが歌っていたからかなあ。ずっと耳に染みついていて。あの曲、キーがすごく低いんですよね。なので、あのメモだけ見ても「ああ、わかる!」と。聡実くん自身は声が低くないのに、狂児の声を聴いて、「ここからここまで声が出せる」と判断したり、一番いい声が出せるところも瞬時に理解して、狂児のために選曲してくれたのがすごくわかるんです。なので嬉しくてちょっとほっこりしました。僕もあのリストの曲が全部好きだし、歌えます。

──あの選曲は、かつてのカラオケブームを通ってきた世代にどんぴしゃの曲ばかりですよね。

小野:「か」の部分だけ微妙に見えるところは、たぶん「勝手にしやがれ」だろうなって(笑)。「出て行ってくれ あああ~あああ♪」(と口ずさむ)。

堀江:でもそれを提示できる、聡実の歌の知識量もすごいですよね。

小野:すごいよね。たぶん昭和歌謡をめっちゃ聴いてるはず。誰の影響なんだろう?

堀江:お父さんなのかな?

小野:お父さん、歌がうまいじゃん。

──堀江さんの年代だと普通は知らない曲も多そうですが、キャスト発表時のコメントでおっしゃられていたように、昭和歌謡好きを自負するだけありますね。

堀江:そうですね。でも今はTikTokで昭和歌謡が爆バズりしたり、海外でも意外なきっかけからブームになったりしますから。なので、聡実がこれだけ知っているのも、意外と不思議ではないのかもしれないなと思います。

小野:作中の世界観は何年ぐらいなのかな? 今の都会派のインテリヤクザみたいな感覚があるんだよね。社会的な変化と相まって。でもちょっと昔な感じもして。そこは原作でも明確には描かれていないし、和山先生も言っていないだろうし。旧き良きヤクザの感じと懐かしい選曲が相まって、おじさんにはたまらないですよね。絶対昭和ですよね。

堀江:でも令和かもしれないですよ。組員役のあるキャストさんが最近の曲を歌っていたし……現代だ!

小野:本当だ! いいところに気付いたね。現在なのに、ちょっとレトロ感が入っているんだ! おもろ~。時が止まっているね、ちょっと。そこもいい感じだね。

 

すべての要素が期待以上のものになっているはず。観た後に「カラオケに行こうかな?」と思ってもらえたら嬉しい

──作中で、聡実が狂児や組員の人たちに感想を言っているところで納得できることもあって。印象深かったのは、聡実が狂児の歌を聴いた後に「好きな歌と得意な歌は違うんですから、歌える歌を練習してください」とアドバイスするシーンがありましたが、娯楽として楽しむカラオケは好きな曲を歌うのはいいけど、自分の良さや得意なところをアピールする声優オーディションでも同じようなことを感じました。

小野:確かに、狂児は「紅」は合っていないのに、これでずっと勝負してきたと言っていましたね。

堀江:「好き」と「合うかどうか」は違いますからね。

小野:「自分の歌を録音して、何度も自分の歌を聴いてみてください」とか、いいアドバイスだよね。聡実の言葉がすべて的を射ていましたよ。「カスです」も。

堀江:それもですか? こんなこと言われたら、もう立ち直れないですよ(笑)。

小野:こんなことを言ったら場が荒れるとか、何なら自分に危害が及ぶかもしれないとか、関係ないんですよね。聡実くんにとっては今、歌が自分のアイデンティティだから。歌への想いを隠すことなく、言い切ったその姿は、むしろ男らしささえも感じました。

──聡実は合唱部で悩みを抱えている最中なのに、相手がヤクザでも口出しせずにはいられないほど、歌が好きなんでしょうね。

小野:そういうところに狂児も男として惚れたのかもしれないですね。『カラオケ行こ!』って、行間を読んでいくとこんなにおもしろいんだ! 聡実は「好きな曲よりも得意な曲を歌ったほうがいいですよ」と的を射たアドバイスをしているのに、終盤で組長たちがいるスナックに乗り込んで「紅」を歌った挙句、ノドを痛めちゃって。まったく論理的じゃないよね。

堀江:理屈じゃないんでしょうね。

小野:だからこそ、あのシーンはこれほど響くんだね。おもしろいね。『カラオケ行こ!』って深いな。考えれば考えるほど、わからなくなってくる。

堀江:そうなんですよね。すごく余白があるのを感じます。

小野:そこが魅力的で。人って論理的に語れるわけではないから。そういう不条理で、シュールなのが人生なのかもと思います。皆さんもぜひ観て、僕と同じような何とも言えない気分を味わってください(笑)。

 

──では最後に、本作の見どころの紹介と、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

小野:『カラオケ行こ!』のアニメには、歌や関西弁、和山先生のマンガの中にあるシュールさと熱さとスタイリッシュなコマ割りなど、皆さんが期待されるものが多種多様にあると思います。そういった要素すべてを、想像されている以上の素晴らしいクオリティで再現していると僕は確信しています。なので全方向から期待していただいて構いませんし、期待を裏切ることはないと思います。なぜなら僕が今一番早く観たいと思っているから(笑)。とにかく期待だけして待っていてください。よろぴく。

堀江:僕もアフレコ作業を終えているので、原作ファンの方たちと同じような気持ちでオンエアを楽しみにしています。それくらいやり切った感覚があって。

小野:見どころと言われても、「ここを観てください」と抽出するのが難しいくらいの充実感があるよね。

堀江:そうなんですよね。方言を使う作品では「あのイントネーションで大丈夫かな?」とか「エセ●●弁じゃん!」なんて言われないかなという不安が、どれだけ全力でやったとしても、どうしてもつきまとってしまうんです。今回はガチガチに……野津山くんのスパルタ指導であれだけ直されたら、「これ以上どこを直せばいいの?」と逆にお聞きしたいくらいの自信があります(笑)。もちろんキャストの皆さんが素晴らしいお芝居をしてくださったので、胸を張ってお届けできるアニメになりました。

──このアニメを観たら、カラオケをしたくなりました。

堀江:確かに視聴者の方はそうなるかもしれませんね。

小野:したくなるかな? そこは自信を持てません。むしろ怖いです(笑)。でも人はなぜあんなにカラオケに行きたくなるんだろう? 若い人ほど行くのに、おじさんになると行かなくなるのだろう?

──いえいえ、おじさんもスナックやクラブに行って、お姉さんと「銀座の恋の物語」のデュエットとかしますよ。悦に浸りながら(笑)。

小野:「銀恋」ですか?(笑) でも皆さんに「カラオケに行きたいな」と思ってもらえたら最高かもね。

堀江:そうですね。

小野:このアニメは「ここを頑張ったので観てください」というよりも、観終わった後に「カラオケって楽しいな」とか「今度、友達誘って行こうかな」と思ってもらえたら大成功かもしれませんね。……でもそうなる自信しかありません。と堀江くんが言ってました。

堀江:小野さ~ん!(笑)

 
[文・永井和幸]

 

作品情報

カラオケ行こ!

あらすじ

合唱部の部長・岡聡実は、突如現れたヤクザ・成田狂児から声をかけられる――「カラオケ行こ!」。彼の組では恒例のカラオケ大会があり、そこで歌ヘタ王になると組長に微妙な刺青を入れられる掟があった。狂児に歌唱指導を頼まれ、仕方なく練習に付き合わされる聡実。カラオケで繋がった二人の奇妙な関係の行方は……!?

キャスト

岡聡実:堀江瞬
成田狂児:小野大輔
和田:徳留慎乃佑
組長:浦山迅
宇宙人:上田燿司
ヤマハの兄貴:木内秀信
小指:喜山茂雄
パンチパーマ:野津山幸宏
坊主頭:西凜太朗
キティちゃん恐怖症:矢野正明
兄貴分:野瀬育二
面長:峰健一
ジャージ:内田雄馬
Tシャツ:石狩勇気
元塾講師:天田益男
酒アレルギー:武田太一
元4番:梶川翔平
泣きぼくろ:宮園拓夢
グラサン:ソンド

(C)2025 和山やま/KADOKAWA/アニメ「カラオケ行こ!」製作委員会

 

おすすめタグ
あわせて読みたい

関連商品

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2026年冬アニメ一覧 1月放送開始
2026年春アニメ一覧 4月放送開始
2026年夏アニメ一覧 7月放送開始
2025年秋アニメ一覧 10月放送開始
2026冬アニメ何観る
2026冬アニメ最速放送日
2026冬アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング