『ペリリューー楽園のゲルニカー』映画公開記念！　作中屈指の名シーンからリアリティ満載な戦場描写まで、公開前にチェックしておきたい原作の見どころ紹介

「ヤングアニマル」誌（白泉社）にて連載され、第46回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した、武田一義先生による漫画『ペリリューー楽園のゲルニカー』（全11巻/外伝全4巻）。劇場アニメーションとして、終戦80年の節目である2025年12月5日（金）全国公開となります。

太平洋戦争、すでに日本の戦局が悪化していた昭和19年9月15日からはじまった「ペリリュー島の戦い」と、終戦を知らず2年間潜伏し最後まで生き残った34人の兵士たちを描いた本作。心優しい漫画家志望の主人公・田丸均（たまるひとし）を板垣李光人さん、頼れる相棒・吉敷佳助（よしきけいすけ）を中村倫也さんが演じます。

今回は映画公開を記念して、作中屈指の名シーンからリアリティ満載な戦場描写まで、公開前にチェックしておきたい原作の見どころをご紹介しましょう。

仲間の最期を「勇姿」として手紙に書き記す功績係――彼が本当に見たものとは？太平洋戦争末期の昭和19年、南国の美しい島・ペリリュー島。そこに、21歳の日本兵士・田丸はいた。漫画家志望の田丸は、その才を買われ、特別な任務を命じられる。それは亡くなった仲間の最期の勇姿を遺族に向けて書き記す「功績係」という仕事だった。9月15日、米軍におけるペリリュー島攻撃が始まる。襲いかかるのは4万人以上の米軍の精鋭たち。対する日本軍は１万人。繰り返される砲爆撃に鳴りやまない銃声、脳裏にこびりついて離れない兵士たちの悲痛な叫び。隣にいた仲間が一瞬で亡くなり、いつ死ぬかわからない極限状況の中で耐えがたい飢えや渇き、伝染病にも襲われる。日本軍は次第に追い詰められ、玉砕すらも禁じられ、苦し紛れの時間稼ぎで満身創痍のまま持久戦を強いられてゆく――。田丸は仲間の死を、時に嘘を交えて美談に仕立てる。正しいこと、それが何か分からないまま...。そんな彼の支えとなったのは、同期ながら頼れる上等兵・吉敷だった。2人は共に励ましあい、苦悩を分かち合いながら、特別な絆を育んでいく。一人一人それぞれに生活があり、家族がいた。誰一人、死にたくなどなかった。ただ、愛する...

＜以下、公式発表の内容を引用して掲載しています＞

映画公開記念！名シーンから生々しくリアルな戦場描写まで、これまで原作で描かれてきた物語の見どころポイントを一挙ご紹介！

1 気弱で臆病な漫画家志望の青年・田丸均。仲間の最期を“勇姿”で記す功績係として、激戦地における自身だけの任務に歩み出す

まず初めに紹介するのは、主人公の田丸が功績係へ任命され、戦地での自身の役割を見つけ出すシーン。

気弱で臆病、のんびりとした性格で戦闘能力も低く、お世辞にも戦場に適しているとは言い難い一方で、漫画家志望として、絵を描くことや物語を作り出すことには秀でていた。

そんな折、仲間の小山一等兵が不慮の事故で死亡してしまう。そして田丸は島田少尉から呼び出され、自身の持ち合わせた能力を見込んで、戦地で亡くなった仲間の最後の勇姿を手紙にしたためて、家族へ送り届ける功績係へ任命される。

家族のため、そして自国のために命を落としていった仲間のために、必要とあれば嘘をついてでも、最後の勇姿として手紙に書き記さなければならない。

ある種の罪悪感や悔恨の念に駆られながらも、田丸は「ペリリュー島の戦い」で、日本国のためを思い、功績係として激戦の地を生き抜いていくのである。

田丸というキャラクターが、自身だけにしかできない役割を見出し、戸惑い苦しみながらも、厳しい戦況下のなかで一歩歩み出す。少し心苦しさもありつつ、若き青年兵の覚悟を感じさせる生き様に、思わず心振るわせられるシーンだ。

2 軍全体の水の確保のため、重傷者を犠牲にすることも・・・。悲惨な被害を生んだ戦地の描写の数々が、リアリティ満載に観る者の心へ訴えかける

本漫画において、目を瞑りたくなるような戦場の様子がリアリティ満載に描かれていることも忘れてはいけない。

アメリカ軍との兵力、物量などの総合的な戦力差も歴然であるほか、物資の支給なども追いつかず、劣悪な環境で日々飢え、渇き、病気との戦いが続いていく。

アメリカ軍との激戦はもちろんのことだが、今回ピックアップするのは、酷暑の中で日本軍が、今後も続く戦局で水を確保すべく、なんと負傷兵を犠牲に軍の水を確保する作戦に出るシーン。

日々の戦闘、栄養や水分不足などで、日に日に弱り果てていく日本兵たち。水場はアメリカ軍が見張りを立てる危険な場所。その状況を打破する作戦が、負傷した兵士を囮に、水を確保するというもの。

最後の水を与える代わりにその尊い命を犠牲にしてもらい、後の水分などを確保するという、なんとも非情で心が痛む作戦だ。

「ここのみんなは――お国を守るためではなく、水を飲むために死んだ」(田丸)。

作戦決行後に一人取り残された田丸が、悔しさとやるせなさで大声で泣き叫ぶ様子からも、勝利のためなら手段を選ぶことはない戦場での惨さが、一層リアルに観るものの心へ訴えかけるシーンとなっている。

3 やっぱりずっと絵を描いていたい――。終わることのない戦場の中で、田丸は改めて絵を描くことで生きていく希望を見出す

アメリカ軍との戦況が落ち着き、海沿いの広い洞窟を新たなる拠点として引越し作業に励む日本軍。

大きな戦闘が起こることもなく、無事に引っ越しが完了し、居心地が良くなった環境で皆が思い思いにリラックスして過ごす様子が描かれる中、田丸は自身の画才の高さから、周りの仲間たちから花札の絵を描くことを依頼される。

特段断る理由もなく、粛々と仲間たちの娯楽のために絵を描き続ける田丸。1枚1枚丁寧に描いていく中で田丸は、改めて絵を描くことが自身の好きなことであり、漫画家という夢であること、そして何よりこの戦場を生きて帰る希望になることを実感するのである。

激しい戦闘と過酷な環境下で、日々戦況は悪化していく中をなんとか生き抜いてきた田丸たち。好きなことや将来の夢、そして家族愛など、それぞれが必ず生きて帰る意思と希望を見出してくれるようなどこか心温まる名場面の１つだ。

4 生きて一緒に日本へ帰る――。田丸と吉敷、決死の投降作戦においてもその固い友情と絆が、感動を呼ぶ

最後に紹介するのは、田丸と吉敷が共にアメリカ軍へ投降することを決意するシーン。

日本国政府が降伏宣言し、日本国内は終戦を迎えていた。アメリカ軍基地での新聞などで、ペリリュー島で徹底持久する日本兵にもその情報が入ってはいたものの、正式な知らせとして届かない以上、田丸たちは現地に潜伏するまま年月が過ぎ去っていくのであった。

米軍の包囲が解かれることはなく、そして伝染病が変わらず兵士を苦しめるなど、戦いは終わりが見えぬ状況が続いていく。

そんな中、吉敷は島に残った日本兵士たちとともに無事に国へ帰るために、アメリカ軍への投降を心に決め、田丸と自身の隊に所属する入来へその内容を打ち明ける。

入来には反対として踵を返されてしまったものの、田丸はこれまでも幾多の激戦を乗り切ってきた信頼し合える仲間であり友として、共に行動することを決意。

「僕ら、一緒に日本に帰ろうって約束しただろっ」。

単体で敵陣営に乗り込み投降することは、2人とも恐怖であり、無理をした行為である。しかしそうだからこそ、2人で一緒に行動し、そして皆で日本へ生きて帰る。

まさしく田丸と吉敷の“戦火の友情”がはっきり見て取れるシーンであり、観る者を感動の境地に誘う名場面となっている。

戦場下を自分なりに生き抜く姿、リアリティ満載な戦場描写、心温まる戦火の友情。

これまでにない多様な見どころが詰まった唯一無二の戦争漫画の劇場アニメーションをお楽しみにお待ちください！

劇場長編アニメーション『ペリリューー楽園のゲルニカー』は、12月5日（金）全国公開！

映画『ペリリューー楽園のゲルニカー』作品情報

2025年12月5日（金）全国公開！

あらすじ

仲間の最期を「勇姿」として手紙に書き記す功績係――彼が本当に見たものとは？

太平洋戦争末期の昭和19年、南国の美しい島・ペリリュー島。そこに、21歳の日本兵士・田丸はいた。漫画家志望の田丸は、その才を買われ、特別な任務を命じられる。それは亡くなった仲間の最期の勇姿を遺族に向けて書き記す「功績係」という仕事だった。

9月15日、米軍におけるペリリュー島攻撃が始まる。襲いかかるのは4万人以上の米軍の精鋭たち。対する日本軍は１万人。繰り返される砲爆撃に鳴りやまない銃声、脳裏にこびりついて離れない兵士たちの悲痛な叫び。隣にいた仲間が一瞬で亡くなり、いつ死ぬかわからない極限状況の中で耐えがたい飢えや渇き、伝染病にも襲われる。日本軍は次第に追い詰められ、玉砕すらも禁じられ、苦し紛れの時間稼ぎで満身創痍のまま持久戦を強いられてゆく――。

田丸は仲間の死を、時に嘘を交えて美談に仕立てる。正しいこと、それが何か分からないまま...。そんな彼の支えとなったのは、同期ながら頼れる上等兵・吉敷だった。2人は共に励ましあい、苦悩を分かち合いながら、特別な絆を育んでいく。

一人一人それぞれに生活があり、家族がいた。誰一人、死にたくなどなかった。ただ、愛する者たちの元へ帰りたかった。最後まで生き残った日本兵はわずか34人。過酷で残酷な世界でなんとか懸命に生きようとした田丸と吉敷。若き兵士2人が狂気の戦場で見たものとは――。

スタッフ

原作:武田一義「ペリリュー ―楽園のゲルニカ―」(白泉社・ヤングアニマルコミックス)
監督:久慈悟郎
脚本:西村ジュンジ・武田一義
キャラクターデザイン・総作画監督:中森良治
プロップデザイン:岩畑剛一鈴木典孝
メカニックデザイン:神菊薫
美術設定:中島美佳猿谷勝己(スタジオMAO)
コンセプトボード:益城貴昌・竹田悠介(Bamboo)　
美術監督:岩谷邦子加藤浩・坂上裕文(ととにゃん)
色彩設計:渡辺亜紀・長谷川一美(スタジオ・トイズ)
撮影監督:五十嵐慎一(スタジオトゥインクル)
3DCG監督:中野哲也(GEMBA)　髙橋慎一郎(STUDIOカチューシャ)
編集:小島俊彦(岡安プロモーション)
考証:鈴木貴昭
音響監督:横田知加子
音響制作:HALF H•P STUDIO
音楽:川井憲次
制作:シンエイ動画 × 冨嶽
配給:東映