
2ndアルバム『LANDERBLUE』に刻んだ“25年の軌跡”と“お守り”のような11曲――楠木ともりさんが語る創作の現在地と、声優として迎えた過渡期
楠木ともりさんが、2ndアルバム『LANDERBLUE』を2025年11月26日にリリースする。12月の誕生石であるターコイズをモチーフにした今回のアルバム。新曲が6曲収録されているが、それにどんな想いを込めていったのか、メロディやアレンジをどのように創り上げていったのかを、たっぷり話してもらった。ぜひ、アルバムを聴きながら読んでみてほしい。また、12月22日(月)、彼女の誕生日当日に開催される『TOMORI KUSUNOKI BIRTHDAY LIVE 2025 “LAPIDARIES”』への意気込みも聞いた。
『LANDERBLUE』というタイトルに込めた想い
──劇場版『チェンソーマン レゼ篇』が大ヒットを記録しています。楠木さんが演じているマキマもカッコ良かったです。アニメイトタイムズなので、少し声優の話から入ろうと思っているのですが、最近、お芝居に対しての意識の変化などはありましたか?
楠木ともりさん(以下、楠木):お芝居に関してだと、声を変えようという意識は薄れてきているかも知れないです。声の変化ももちろん大事ですけど、それにとらわれず、演技でちゃんと差別化をする。自分でしっかりと想像を膨らませて、キャラクターの奥行きを出す。それはずっと意識してきたことではあるんですけど、より考えるようになりました。
小さい子どもとか妖精とか、地声から離れている役を頂くことが減ってきたこともあって、より声質ではなく演技でキャラクターに合わせていかないとダメだと感じるようになったというのもあると思います。その分、お芝居で遊べる余白もあるので楽しいですし、自分としても過渡期というか……変化し始めているときなのかなと感じています。
──マキマもそうですが、少し影があったり、怖い役柄も合っているんだなと思いました。
楠木:それこそマキマさんきっかけで、そういう役を頂くというのもあると思うんですけど、最近気付いたのは、とんでもない過去を持っているか、とんでもない未来に向かっているか、どちらかの役が多いんです。バックボーンが重たい子などは感情の振れ幅も大きかったりするし、生き死にが関わるキャラクターも多いかもしれないです。
──しかも、それを表には出さないようなところもありますよね。
楠木:そうなんです。空っぽ感みたいなものを求められることも増えたかもしれない。どちらかというと冷たい寄りの声だとは言われるので、温かいとか明るいというより、この人は何なんだろうと気になるキャラクターが、最近は続いている気もします。
──個人的に、ちょっとドジな感じの役どころも好きなのですが(笑)、ミステリアスというのは声質の持っている魅力かもしれないですね。
楠木:声質の部分は、少しずつ自信というか、これが自分らしさなんだなと思えるようになってきたんです。漫画を読んでいても、この役は自分っぽいとか、自分がやったら広げられるものがありそうと思えるようになったというか。紐解く部分が多いキャラクターは楽しいですよね。理解できなければできないほど楽しいです。
──引き続き、声優での活躍も楽しみにしています! そしてアーティスト楠木ともりとしては、11月26日に、2ndアルバム『LANDERBLUE』がリリースされました。こちらを聴いたとき、シンガーソングライターとして確立したと感じたんです。そのくらいどの曲も、メロディと歌詞が素晴らしかった。今回は作曲で行き詰まったり、苦労したりすることはなかったですか?
楠木:時間がかかったのは「それでも」なんですけど、それ以外は衝動的に作れた感じもするので、自分の中では、懐かしい感じもありました。
──手応えもあったのではないですか?
楠木:確かに、作っているときにピンとくるというか、良いものができたと感じる曲ばかりだったかもしれないです。
──曲調が明るい「Nemesia」があったり、全てが昇華されたような心地良さがある「turquoise blue」があったり。全体的にポップで、わかりやすさは増しているけど、歌詞の重さみたいなものは、しっかり残っていると感じました。
楠木:ありがとうございます。そうですね。そういう自分らしさは入れつつ、曲の奥行きみたいなものは持たせられたらいいなと思いながら作っていました。
──アルバムを作るとなったとき、まずタイトルやコンセプトから考えたのですか?
楠木:最初にコンセプトは決めました。新曲をいっぱい書かないといけないなとなったときに、1stアルバムの『PRESENCE / ABSENCE』のことを思い返したんですけど、ちょっと概念的だったなと思ったんです。モチーフとなるものがなかったのが、それはそれで良さでもあったけど、コンセプトとか世界観を表現するのならば、何か物理的なものがあったほうがいいなと漠然と思っていたんです。
それで、アーティストデビュー5周年で出すアルバムで、アーティストとしての5年を切り取ったものではなく、「楠木ともりが生きてきた25年の中の、アーティストとして存在した5年」という切り取り方をしたいと思ったときに、それに合う物理的なアイテムって何だろうと考えたら、誕生石がすごく良いなと思ったんです。
──ランダーブルーというのも、ターコイズの種類ですからね。
楠木:私自身、ターコイズという石がそもそも好きで、透き通ったきれいさはないけど、傷だったり模様も受け入れた上での価値があるところが美しいと思っていたんです。
それに成功とか繁栄といった石言葉もすごく素敵だし、パワーストーンとしてお守りになる。さらに宝石は自分を着飾るもので、それが自分の自信につながったりすると思ったので、このアルバムが、みなさんにとってのお守りになったり、自分に自信が持てるようになる、宝石のような曲が収録されたものになったらいいなと思ったので、このコンセプトにしました。
──それぞれの曲が、聴いたら力になるようなメッセージを内包しているということですか?
楠木:これまでは広く共感を得られるような曲を書こうとしていたんですけど、『吐露』をリリースしたことで、もっとターゲットを絞った曲を書いてみようと思い始めたんです。
あまりビジネス的なことは考えず、何を歌っているのかわからない人がいるかも知れないけど、その場にいる1人にだけ届けたい!という気持ちで曲を書いてみようと思いました。共感を得られないような気持ちだったりを歌った曲でもいいと思ったんですよね。だからどの曲も、「どんな人に届けたいのか」という部分は明確にして進めていきました。
──それが逆に、ストレートでわかりやすいと感じたのかもしれないです。
楠木:そうですね。ピンときてしまえば、どんなことを伝えたいのかがわかる曲が多い気がします。だから、歌詞がわかりづらいのは「twelve」くらいかもしれない。























































