
『ちいかわ』の映画がなぜファンの間でこんなにも話題? 「セイレーン編」を簡単に解説
2026年に公開される『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』。その原作となった「セイレーン編」は、2023年に掲載され、大きな話題を呼んだ人気エピソードです。
ちいかわたちが島へ討伐合宿に出かけ、島民とのふれあいや、謎の存在“セイレーン”との出会いを通して、冒険・グルメ・シュールギャグ・謎解きといった盛りだくさんの展開が繰り広げられます。
ファンの間では「映画化するなら絶対これ!」と言われてきた本エピソードには、ハチワレやちいかわの“少年漫画的な活躍”、心揺さぶる葛藤と感情の動き、そしてナガノ先生らしいテンポとセンスがたっぷり詰まっています!
本記事では、そんな「セイレーン編」の魅力を、これから映画を観る人にも分かりやすく解説。新キャラクターや物語の構造、SNSで話題となった理由など、映画をより楽しむための予習としてご活用ください!
※本記事では、ストーリーの根幹的なネタバレは含まれていませんが、登場キャラクターや見どころなどには触れています。
『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』
グルメ! 冒険! 討伐! エンタメ要素満載な「セイレーン編」
劇場版を見据えてX上で連載された『ちいかわ』「セイレーン編」。2023年3月〜11月に渡って描かれた作品最長の物語となった本編。
いつものごとく、広場でくつろぐちいかわとハチワレのもとに、うさぎが持ち込んだのは「島でのカンタンな討伐で、100倍の報酬をもらおう」「限定島ラーメンに限定スイーツ、甘いもの辛いもの全部実質無料」との文言が書かれた怪しいチラシ。「草むしり検定5級」の勉強が頭によぎるちいかわですが、島で勉強もしちゃえ! ということで、島合宿に行くことに。良いロケーションと、いつもにましてうまい飯、そして楽しいひと夏の思い出を求めて、いつものメンバーで島に上陸したのでした。訪れたちいかわ一行は島民の皆様に手厚くもてなされ、のんびりと過ごしますが、島の秘密を少しづつ知ることとなるのです……!
通常通りなのほほんとした雰囲気と、テンションが上ったキャラクターたちの可愛らしさ、ナガノ先生独特のシュールさ、島の秘密を巡るアレコレ。「セイレーン編」は、エンタメ要素が詰め込まれ、これまでの『ちいかわ』とはまた一味違った、いうなれば本来の漫画作品のような王道なノリを纏った作品になっています。X上での連載ということもあり、更新を待つドキドキやハッシュタグ、引用リツイートを使った感想・考察の広がりなど、様々な要因の相乗によって、盛り上がりが作られました。
新キャラクターたちと、島の秘密
「セイレーン編」から登場した新規キャラクターも読者の心を掴み、トレンドを作っていきました。主役とも言えるセイレーンは、ちいかわたちとは違う「でかつよ」側のキャラクター。上半身は猫っぽく、下半身は魚類のような見た目であり、ラッコ先生でも怯むほどの体躯と、言語能力と特殊な歌の力を持っています。「人魚」と呼ばれる仲間を引き連れており、基本的には穏やかな性格で、意思疎通もできるため、可愛らしい見た目と相まって、読者もちいかわたちも感情移入してしまう……。
そして、そんなセイレーンの討伐を依頼する島民たち。中でもメインで描かれる、頭の上に葉っぱがついているふたり。その特徴から「葉っぱちゃん」「一葉」「二葉」などとファンの間で呼ばれています。ある頃から、セイレーンが島民を無差別に襲い味噌漬けして食べたりし始めたので、島外の者たちに助けを求めたのでした。セイレーンほどの相手を「カンタンな討伐」と詐称し半ば騙すような形だとしても、仕方ないほどの緊急事態。しかし、上記の通りセイレーンは基本的に良いやつなので、そんなことをするとは思えません。
— ちいかわ💫アニメ火金 (@ngnchiikawa) March 26, 2023
本作は、「友好的なセイレーンがなぜ島民を襲うのか」「無害にも見える島民たちが一体何をしてしまったのか」という秘密をちいかわたちが徐々に理解していき、葛藤しながらも解決しようとするエピソードでもあります。けしてセイレーンにも島民にもそれぞれ切実な思いや、実害がありそのどちらも理解ができる。シンプルだからこそ回答を出すのが難しいことに挑んでいくわけです。
そこで、登場するのが本作でも屈指の人気キャラクターである「島二郎」! 厳つい見た目と、「〇〇……な!」という口癖がトレードマークの陽気なおじさん。彼はセイレーンらが暮らす島の奥地にて「島二郎」という自身と同じ名前の飲食店を営んでいます。頼りになる仲間として、ちいかわたちと共に行動してくれる島二郎も、本作の人気を押し上げる存在でしょう!
王道な見せ場と、滲み出るナガノ節
最後に言及しておきたいのは、長編として、劇場版としてふさわしい見せ場が数々あること。原作を読んでいた当時には気が付かなかったのですが、読み返してみると実に映画的というか、劇場版として映えるように作られていることがわかります。発売中の『ちいかわ』8巻で、まとまった形で読んでみるとよりわかりやすいと思いますが、いつもの『ちいかわ』をしながらも、要所要所で物語としての山場を複数用意する。そして、これまでの読者なら思わず感動してしまうような、ハチワレ、ちいかわの成長を感じる少年漫画的活躍シーンを良いタイミングで入れていたり。一本通しで見てグッと来る、映画的でオーソドックスな面白さも、『ちいかわ』だからこそ新鮮に感じてしまいますね。
また、筆者がナガノ先生作品で最も好きな要素である、「ナガノ先生らしい言葉選びやセリフ・動き・展開のリズム」もたっぷり楽しむことができる作品です。
— ちいかわ💫アニメ火金 (@ngnchiikawa) June 11, 2023
— ちいかわ💫アニメ火金 (@ngnchiikawa) June 22, 2023
例えば、襲われそうになっているのに「てか、ハモリ凄くね?」と思ってしまうハチワレであったり、「なんか懐いてる鳥」「しょうゆが入っていることに驚くハチワレ」など、シュールなギャグ作家としてのナガノ先生ならではの節・センスが個人的にはおすすめポイント! 筆者は、セイレーン編に関わらずそのセンスにいつも惚れ惚れとしながら作品を楽しんでいます。
とはいえ、楽しみ方は人それぞれ。なぜ読者は「セイレーン編」が好きなのか、映画化にこんなにも心躍ってしまうのか、少しでも伝わっていれば幸いです。連載を追っているファンはもちろんのこと、TVアニメファン、キャラクターとしてのファン、今回の映画で初めて『ちいかわ』に触れてみたい方、どなたが見ても楽しめる作品になっているかと思います!
しかし、SNSなどで「子供に見せて良いのかよ!」みたいな声が上がっているのも事実。少し心配になってしまった方は、アニメイトタイムズにて掲載の関連記事でその辺りに触れているものがありますのでぜひチェックしてみてください……。
























