
TVアニメ『勇者パーティーにかわいい子がいたので、告白してみた。』OPテーマ「Lavish!!」吉乃さんインタビュー|“正しい世界”的な展開に捉われない生き方
親にも言えなかった、歌への本音
──歌詞の印象についてはいかがでしょうか。作品とのリンクを感じる部分、あるいは自分自身の考えや想いと重ねられる部分はありますか?
吉乃:yowanecityさんが意図したかどうかはわからないですけど、Dメロの“伝われば「いざ、フィナーレ!」なら 見せたいから、続きの栞を”という歌詞は、物語の展開そのものという感じがしました。初手から告白って結構フィナーレっぽいじゃないですか(笑)。そこから始まっていく物語っていう感じがして。それとラスサビの“「正しい世界」的な展開も素通り くらいの未来が良いんです”も作品に合っているなと思いますし、個人的にもすごく好きですね。私も「そうだな」って思うので。
──というのは?
吉乃:「普通こうだよね」とか「絶対にこうしたほうがいいのに」みたいに言われることってあるじゃないですか。私もこの活動をしているといろんな方とお話しする機会がありますけど、どんなにすごい人が「こうするべき」と言っていても、数年経ってその人たちの言った通りになっているかといったら、むしろ真逆になっていたことも結構あって。その意味で、この歌詞は縛りがなくていいなと思いましたね。
自分的にも「わかってほしい」とか「本質を見てほしい」と思うことがよくありましたけど、でも結局人って、その人が見たいようにしか見ないので、例え私が「違う」と言っても、その人の瞳に映る自分がそうだったら意味がないし、そうなると結局正解とか何もないなって最近は思うんですよね。だったら、私は自分の目に映る綺麗な世界を見ればいいと思うし、私のことを綺麗に映してくれる瞳を持つ人たちと一緒にいればいい。だから、端から見たら「なんてそうするの?」みたいなことがあったとしても、「私はこっちだと思うので、そこは素通りさせてもらいます」みたいな感じでいくのがいいと思うんです。
──「正しさ」というものに対するスタンスの話ですね。
吉乃:「正しさ」って、私は結構しんどいと思っていて。「こうすべきだ」みたいな常識っていっぱいあると思うんですけど、しんどい時もあるじゃん、みたいな(笑)。もちろんやらなきゃいけない時もありますけど、でも、それが全てかと言われたらそうじゃないと思うから。そこを素通りできる余裕というよりか精神的な強さが大切だと思いますね。もちろん人を傷つけてしまうのはダメだけど、でも「正しさ」に縛られたところで、縛った人たちが責任を取ってくれるわけでもないから。私はずっと自由に生きたタイプの人間なので、この歌詞は特にいいなって思います。
──プラスして、この曲の歌詞は“手を伸ばして今 異彩放つ世界へ”というフレーズで結ばれていて、異世界転生ものの主題歌らしさと同時に、周りの窮屈な価値観に捉われず我が道を行こう、というメッセージ性も感じます。その意味で、歌を生業に選んだ吉乃さん自身とも重なる部分があるのではないでしょうか。
吉乃:本当にそうだと思います。私は小学校の卒業文集に「私にはなりたい職業があります。それはまだ言えませんが」って書いていたんですけど(笑)、その時から「歌手になりたい」と思っていたんです。でも、当時は「歌い手」という道があることを知らなくて、歌手になるとしたら、「路上ライブする」「オーディションを受ける」「事務所に所属する」「レーベルに売り込みに行く」くらいの道しか知らなかったので、年齢を重ねていくごとに、自分の中で「歌手」っていう選択肢が消えたんですよね。それで別の道を選んだんですけど、「やっぱり音楽やりたい!」と思ったので、それまでやっていたことは辞めて、親に片言で「音楽、やる」って伝えました(笑)。
──そうだったんですね。自分の気持ちや欲に忠実なところは、やっぱりヨウキに似ているのかもですね。ちなみに楽曲タイトルの「Lavish!!」にはどんな印象をお持ちですか?
吉乃:「Lavish」という言葉には“贅沢な”という意味があるんですよね。この楽曲は歌詞に“照らしたい 明日が眩むような”というフレーズがあるように、聴いていてワクワクするし、明日が楽しみになる感じがありますけど、その一方で“この退廃ファンタジーの傍らで”とも歌っている通り、もどかしさやあまり色がないような部分も描かれていて。私は今の世の中ってサブスクもあればコンビニやスーパーもあって、すごく贅沢だなって思うんですけど、そんな贅沢な日常の中でも、嫌なことや異議を唱えたいようなこともあったりする。よく「贅沢な悩み」と言いますけど、明るい曲だけど疑念を抱いている部分もあるのがいいなと思いますね。
──ただ贅沢で賑やかな曲というわけではない。
吉乃:そうですね。作品の主題歌という目線で見たら“もどかしさに溺れる星じゃない それが君の主人公Tune”とかは、ヤキモキしないでとりあえず告白してしまうヨウキっぽさがすごくありますけど、でも作品からひとつ離れて見た時に、ちゃんと悩みが入っている曲だと思います。
──「Lavish」はスラングで“最高にイケてる!”といった意味合いで使われることもありますが、吉乃さんは自分が選んだ今の道を“最高にイケてる!”と感じますか?
吉乃:もちろん最高だぜって思う気持ちもありますし、でももっとやれる、まだまだという気持ちはあるので、自分を信じ続けてやっていきたいなと思っていますね。
──未来に対してどういうビジョンをお持ちなんですか?
吉乃:活動を始めた当初は「ああなりたい」「こうなりたい」というのがいろいろありましたけど、最近はいい意味で視野が広がって、いろんなやり方があると思うんですよね。昔、人から「音楽をやりながら働くのもいいよ」と言われることがあったんですけど、私個人としては音楽1本で勝負したいと思っていましたし、やっぱりステージに立ち続けたい気持ちがずっとあって。私はインターネットを拠点に活動している分、自由度が高くて、ステージへの立ち方もいろいろあると思うんです。それこそ歌い手のGeroさんは自分でフェスを開催されたりもしていますし、私はゲーム実況者さんの配信を観るのが好きなんですけど、今はTOP4の皆さんがゲームのイベントでドームを埋めたりもするので、去年末から新年にかけて「もっと自由に考えていいかも」と思っていて……なんだか漠然としちゃいますけど、なんか「輝いていたい」って思います。
──輝きにもいろいろな種類があると思いますが、吉乃さんは自分らしい輝きについてどうお考えですか?
吉乃:自分らしい輝きかあ……言葉にするのは難しいですけど、人を傷つけたり道徳的にダメなことはしないということは前提の上で、自分が笑ってれば何でもいいかな、とは思いますね。これは去年に開催した1stライブ“逆転劇”で掲げてたことでもありますけど、「私が私でいるだけでいい」っていう。以前から薄々と思ってはいたんですけど、ライブでその確信が持てたので、そこをもっと極めていけたらと思いますね。
2026年は、もっと歌う年に
──前回のインタビュー(https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1761553222)でも、“逆転劇”を経て「吉乃」という存在に成り切った感覚があるとお話ししていましたが、覚悟が決まったことで視界も広がったんでしょうね。
吉乃:ただ、これは極端な言い方かもしれないけど、私が私のまま、自分の思うまま、思う存分やって「勝った」ことがまだないんですよね。自分の中で納得のいく形に収まったことがまだないというか。なんかずっと悔しいんですよ、私は(笑)。「最後に勝って笑うのは私だ!」みたいな考え方がずっとあって。どんなにバカにされたり否定されたりしても、「いや、でも最後に笑うのは私だし」と思い続けてきたし、実際それなりに叶えてきたからこそ、この先もそういう風になれたらいいなって。そういう意味で「勝ちたい」って思います(笑)。
──では、2026年、勝ちにいくためにどんなことをやっていきたいですか?
吉乃:2026年は「歌ってみた」を含め、もっとたくさん歌っていけたらと思いますし、自分にやれることを一つ一つ丁寧にやっていけたらと思います。最近はアニメのタイアップをたくさん歌わせていただいてますけど、エゴサした時に「最近よくアニメの曲を歌ってる『吉乃』って何者?」みたいな反応を見かけるんですよね。なのでキャッチコピーじゃないですけど、「吉乃ってこういう人なんだ」みたいなわかりやすさを、どんな形であれ、地盤として築いていけたらと思っています。「私は私でいい」と言いつつ、結局、知られていなかったらダメだと思うので、楽曲だけでなく「私」というものをどう周りに認識してもらうか、「吉乃」というコンテンツをどうしていくのかを、裏で自分自身と向き合いながら引き続き模索していきたいです。
──吉乃さんはいつも取材で話していておもしろい方だと感じるので、そういう一面がより広く伝わるといいですよね。
吉乃:ありがとうございます!でも本当に、まずいんですよ。このままいくと歌手じゃなくてネタツイッタラーだと思われちゃうので(笑)。
──アハハ(笑)。そういえばこの間も流行りのネットミーム「うっふ~ん構文」を使ったポスト(https://x.com/yoshino_msc/status/2003110530551312658)がバズっていました。
吉乃:そうなんですよ。あれの影響なのか、なぜか青バッジを剥奪されてしまって(笑)。やっぱりそこが難しいんですよね。自分が歌で表現しているものに対して、おもしろすぎるんですよ、私自身が。
──自分で言いますか(笑)。
吉乃:自分のおもしろさに勝てない!そこが活動初期からの悩みの種なんです。昔から変なツイートばかり人の目に留まってしまうので、「ネタツイで吉乃さんのことを知りました」っていう人もいらっしゃいますし、それきっかけでライブに来てくれた方も結構いるみたいなんですよね。もちろんそれで私の音楽を好きになってくれる人もいるんですけど、そろそろ自分に対して「いい加減にしようか」と思っていて。「音楽をちゃんとやってください!」っていう。いや、もちろん今までもちゃんとやってるんですけど(笑)。
──ネタツイで吉乃さんのことを知った方は、まさか「贄-nie-」(TVアニメ『私を喰べたい、ひとでなし』オープニングテーマ)みたいな曲を歌っているとは思わないかもですよね(笑)。
吉乃:いや、そうなんですよ。私は元々人を笑わせるのが好きだし、笑うのが好きだから、ちょっとその要素が強すぎるのかなって。アーティストってもっとミステリアスだったりすると思うんですけど、私の場合は余白がない!(笑) もちろん曲はいいんですけど、私自身にもっとやれることがあると思うので、そこのイメージのギャップを埋めていきたいですね。いい加減帳尻を合わせないと、アーティストというよりも「おもしろお姉さん」になってしまうので(笑)。
──逆にネタに振り切った曲を作って歌うのもありじゃないですか?
吉乃:確かに。でも「私がやりたい音楽は違うんだよなあ」みたいなところもあるので。それこそキタニタツヤさんも「爆乳の警察」みたいなネタツイでバズっていましたけど(https://x.com/TatsuyaKitani/status/1077157764831404032)、キタニさんの場合はご自身で曲も作る方なので、そういういい意味で尖った部分やひねくれた部分が、ちゃんと曲に昇華されていると思うんですよ。でも私は「歌う人」なので、それが難しい。作詞や作曲は自分でもやってみたいとずっと思っているので、いずれ形にしてちゃんと自己表現できるようになりたいななと思っています(笑)。
[文・北野創]
楽曲情報
「Lavish!!」配信:https://lnk.to/yoshino_lavish
公式サイト:https://yoshino-za.com/
YouTube:https://www.youtube.com/@yoshino_niku
X https://x.com/yoshino_msc
作品情報
あらすじ
やがて魔王城に攻め入る勇者パーティーと対峙したヨウキは……。
「....やべえ、ドストライクだわ」
あろうことか、勇者パーティーの僧侶・セシリアに一目惚れしてしまった!
真剣に挑む顔も、しぐさも、もう全てが可愛い!天使すぎる!
そうして告白を決意したヨウキだが――?
人間と魔族の織り成す異世界一ピュアでちょっと厨二な、”ラブコメ”ファンタジー!
キャスト
(C)水星・海李/双葉社・「ゆうかわ」製作委員会





































