
のび太たちの勇気が「僕も頑張ったら何かできるかもしれない」と気づかせてくれるーー『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』エル役・千葉翔也さんインタビュー
のび太たちと親しくなっていく過程を大切に演じたい
ーーのび太たちとの出会いによって、エルの中にも徐々に変化が生まれていきます。
千葉:最初の段階では、エル自身の実感と教えられてきたことがごちゃまぜになっている状態なんだろうなと。「なぜのび太たちに用心深く接するのか」を理路整然と説明できたとしても、実感から来る憎しみはなくて。脚本を読んでいても、のび太たちを不快にさせるための言葉は使わない人だったので、“陸上人”という大きな括りへの反発心を紐解いていく変化は丁寧に演じたいと思いました。
面白いと思ったのは「じゃあ、今から仲間ね」「ここから友達ね」みたいな明確な約束を交わす訳ではなく、徐々に絆が深まっていく様子が丁寧に表現されていることです。子供だけが持っている「いつの間にか友達になっている」「よく会う人のことを好きになっている」みたいな感覚。そこを自分もキャッチしたいと思ったし、とりこぼさないようにしたかった。
また、僕が普段キャラクターを演じる時は「この言葉で価値観が変わった」というポイントを明確に決めるのですが、エルに関しては、きっかけはのび太たちの言動でも、自分の心に落とし込むのは彼自身のタイミングであることが多くて。理知的に考えて心に落とし込むまでの時間がある人物だったので、僕自身の感情の動きとして、ちゃんと納得してやれたと感じています。
ーードラえもん役の水田わさびさんをはじめとした、レギュラーキャストの皆さんとはお話されましたか?
千葉:収録は別々だったのですが、皆さんにご挨拶させていただきました。
水田さんはとても優しくて、謙虚な方で、誰もが知っているキャラクターを演じてらっしゃるのに、作り手の皆さんへのリスペクトにあふれていて。目上の方にも後輩やスタッフさんに対しても分け隔てなく接していて、「こういう方だからドラえもんを演じられるのだろうな」と思いました。また(しずか役の)かかずゆみさんとは以前、別の現場でご一緒させていただいたこともあって、「映画ドラえもん」でまたご一緒できて嬉しかったです。
皆さんのセリフからはウソが全く感じられないし、スケールもとても大きい。そのうえで「こういう方向に持っていくぞ」という作為的なものさえ感じないんです。「自分も余計なものはそぎ落とさなければ」と思わされるほど、自然でピュアなお芝居に感動しました。
ーー映像をご覧になった感想はいかがでしたか?
千葉:のび太たちが住んでいる街から飛び出した時のスケール感がしっかり表現されていて、カメラワークや海の描き方ひとつとっても、ものすごく力を感じました。ただ海をリアルで描いただけでは「自分もここに行ってみたい」というワクワク感は生まれないと思うんです。それでいて、ドラえもんたちのポップなキャラクターデザインとも調和していたので、「すごい!」とただただ感心するばかりでした。
のび太たちが勇気を出して立ち向かう姿を見れば、大人も「僕も頑張ったら何かできるかもしれない」というパワーをもらえると思います。
ーー脈々と続く想いに最新技術が融合した作品と言いますか。
千葉:そうですね。キャラクター一人ひとりが全く違う動きをしているからこそ、それぞれの命を感じられると思うんです。それを何気なく見せるというのは本当にすごいことで。今回はsumikaさんが主題歌「Honto」を歌われているのですが、曲を聴いた時、「これが言いたい映画なんだよな」と思わされたんです。映像と音楽、両方に圧倒されてしまいました。
千葉さんが欲しかったひみつ道具は?
ーードラえもんのひみつ道具の中で一番欲しいものを教えてください。
千葉:皆さんそうだと思いますが「どこでもドア」ですね。「どこでもドア」の調子が悪くなって、元の場所に戻れなくなるシーンが大好きでした。絶対的なピンチ感というか(笑)。
今なら「ほんやくコンニャク」も欲しいです。最近は海外のイベントに出演する機会も増えているので、「もし「ほんやくコンニャク」があればファンの方々の気持ちを直接受け取れるのに」と思うことがあります。
ーー改めてこの映画の見どころの紹介をお願いします。
千葉:「周りの人が言っているから仲良くするのはやめよう」「皆そうだから自分もそうしなくてはいけない」という価値観になりやすい世の中だと思いますが、のび太たちは自分の目や耳で見たもの、感じたものを基準に行動します。そんなのび太たちに触発されたエルの考えや感情が変わっていく過程にも注目していただけたら嬉しいです。
ーー最後に「映画ドラえもん」を楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします。
千葉:「映画ドラえもん」の作品ごとの良さや大切にしているものに、僕自身も改めて気付かされました。そして、そんな素晴らしい映画が毎年1本作られることのすごさも感じています。
最近、映画は家やPCでしか観ていないという方も、フラッと劇場に足を運んで観てみると、今や昔の自分がどれほど『ドラえもん』が好きなのか、アニメの純粋な楽しさを思い出すはずです。ぜひ劇場でご覧ください。
[インタビュー/永井和幸]
『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』作品概要
2月27日(金)誰も知らない海の底で、かつてない大冒険が幕を開ける!
スタッフ
■原作:藤子・F・不二雄
■監督:矢嶋哲生
■脚本:村山 功
キャスト
ドラえもん:水田わさび
のび太:大原めぐみ
しずか:かかずゆみ
ジャイアン:木村 昴
スネ夫:関 智一
エル:千葉翔也
水中バギー:広橋 涼
兵士:平子祐希(アルコ&ピース)
兵士:酒井健太(アルコ&ピース)
兵士:平 愛梨
主題歌
sumika「Honto」(ソニー・ミュージックレーベルズ)






































