
冬アニメ『葬送のフリーレン』第2期 新垣樽助さん&上田麗奈さんが振り返る、魔族討伐で滲み出る人間らしさ|感情を出せないゲナウと、素直なメトーデ――ふたりが組む意味【インタビュー】
ゲナウに心を掴まれるエピソード
──第34話からは、ゲナウとメトーデが組んで、魔族討伐の任務に当たる「神技のレヴォルテ編」のエピソードになりました。ストーリーの印象をお聞かせください。
新垣:台本を読み、そして収録で上田さんが演じるメトーデと会話をして、より強く感じたことなんですけど、ゼーリエが、メトーデとコンビを組ませた理由というのがわかった気がしたんです。二人が任務を言い渡されるシーンで、メトーデが握手を求めて、ゲナウはそれを拒否するんですけど、メトーデは手を引っ込めないんですね。そこで完全に主導権を握られている感じがしたんです。
ゲナウが自分自身を否定するのって、僕から見たら少し幼く思えて、成熟しきれていないところが表に出ていると思ったので、それを正してくれる存在というか。途中で、「夜食は不健康だ」とメトーデに怒られるとか言っていましたけど、そういうのを見ると、メトーデのほうが保護者なんだなと思うんです、後輩だけど(笑)。それも、辛い任務をするに当たって、メトーデでなければダメだった理由のひとつなのかもしれないなと思いました。
上田:コンビに関して、今言っていただいて「なるほど」と。メトーデさんが最初に「何故、私なのですか?」とゲナウさんに聞くところがあるんですけど、それに対する答えがあまり煮え切らないまま収録を終えてしまったところがあるんです。もちろん、先程お話したメトーデさんの描き切れていない過去と繋がってくるところもあると思うんですけど、ゲナウさんに対して、どういう感情を抱いているのか、正解がわかり切らない状態でやっていたので、ゲナウさんから見たらそうなのかなって、腑に落ちた部分がありました。
ストーリーに関しては、やっぱりゲナウさんを好きになってしまうというか、ゲナウさんの心の中が描かれているからこそ、一緒に苦しくなったり、どうにか寄り添いたい気持ちにさせてくれるお話だなと思いました。メトーデさんとしては、ゲナウさんと冷静に会話をしなければいけないんですけど、つい気持ちが乗ってしまいそうになることもあったので、ゲナウさんというキャラクターに心を掴まれるエピソードだったと思います。
特に34話でゲナウさんが、幼馴染をおぶって、語りかけながら戻って来るシーンも、それまで冷徹に見えていたゲナウさんの、そうではない部分が溢れ出ていたような気がして、温かみとか、複雑さ、人間っぽいところが見えた気がしたんですよね。そこで目が離せなくなってしまいました。頭ではいろいろ考えているけど、子供を見たら咄嗟に動いて助けようとしてしまうゲナウさんは、やっぱり良い人なんだなと思います。
新垣:それを必死に打ち消して、俺は良い人ではないと言い続けていますからね。
上田:そこもかわいくて、愛おしく感じるんですよね。
新垣:魔族が「まだ幼い息子がいるんです」と嘘をついて逃げようとしていたとき、魔族を倒したあと、一応子供が本当にいないかは確認するからね(笑)。
上田:だから、神技のレヴォルテ編に関しては、ゲナウさんの印象が強かったですね。あとは、フェルンとシュタルクの活躍を信頼して、今回はフリーレンが高みの見物で、あまり手伝わないことで、2人の頼もしさが感じられたのも、すごくカッコ良かったです。
──魔族との戦いは、いかがでしたか?
新垣:戦っているシーンのアクションが、思った以上に動くんですよね。それは、原作にはないところなので、アニメならではの魅力だと思います。ゲナウが戦っているシーンは、ここが初ですけど、めちゃめちゃ動ける奴でした(笑)。
上田:メトーデさんも動きはすごくしなやかなんですよね。それと、笑顔を浮かべながら、「魔法が楽しいものだと彼らは知らないでしょうから」と言いながら戦っているのがすごく印象的で、命のやり取りをしているなか、仲間とも引き離され、追い込まれるような気持ちになってもおかしくないのに、プレッシャーと不安に負けずに楽しいという気持ちのもと、エネルギーを発散させて戦うことができているところに、私は魅力を感じました。ここはメトーデさんが登場する中で一番好きなシーンで、私にはできないメンタルの動きだったので、憧れました。
新垣:なんだかんだ、一度もピンチになっていないもんね。
上田:だから、相当強いんだと思います。
──底が知れないんですよね。魔族を殺すために生涯を捧げるようないかれた一族と同じ戦い方だと言われていましたから、この過去に秘密はありそうです。
上田:その過去は知りたいなぁって、すごく思いました。
──ここでは、どんなディレクションがあったのですか?
上田:「この気配、フェルンさんも苦戦しているようですね」って、戦況を分析しながら戦っているときも、「もっと緊張感を忘れていいです」と言っていただきました。
──やはり余裕があったのでしょうね。ゲナウはレヴォルテという、強い魔族との戦いでした。
新垣:ゲナウは、自分の感情を出さないというのがベースのお芝居なんですけど、戦っているときに感情を出したことに対して、NGにならなかった瞬間が何度かあったんです。だから、戦闘狂というか、肉弾戦が好きな彼の一面は出ているのではないかなと、収録が終わったときは思いました。
──好戦的なところを、少し乗せたのですね?
新垣:そうですね。一度レヴォルテにとどめを刺されそうになったとき、「柄でもないことはするものじゃないな…」と言うんですけど、そんなに死を恐れていないというか、しょうがないか、くらいで受け入れているところは、戦い慣れているなと思いました。そのあと「戦いは追い詰められるほど、生き残ったときの感動は大きいぞ」とシュタルクに言うんですけど、そこもすごく楽しそうな気がして、好戦的な奴なんだなと思いました。
上田:好戦的で思い出したんですけど、メトーデさんも「暴れますか」と言うんです。そのあとすぐに「魔法が楽しいもの」と言うんですけど、両方とも楽しんではいるけど、種類が違う感じがしたんです。「暴れますか」は、戦闘民族としての攻撃性みたいなものが出ていた気がしたし、「魔法が楽しいもの」は、色んな経験を経ての楽しい感覚だったのかなと思ったので、同じシーンに、2種類の楽しいがあったように思いました。
──ちなみにメトーデは、戦闘が強いということ以外で、先程話していた「小さくてかわいいもの」が好きな癖がありますが、このメトーデはどう演じたのですか?
上田:猫ちゃんとか、ワンちゃんとか、そういう小さくてかわいいものに対しての「愛おしい!」と思う気持ちと通じるものがあると思ったので、その気持ちを参考にして演じていきました。猫ちゃんとかワンちゃんって、寝てても起きてても、怒っていても笑っていても全部かわいいじゃないですか(笑)。表情がコロコロ変わるのも、「そんな表情を見せてくれるの! 嬉しい!」という感覚でした。
2人が欲しい、くだらない魔法
──お互い掛け合った印象を教えてください。
新垣:ゼーリエにペアを組むよう言われたあとに長く会話をしていたんですけど、そのシーンの距離感が良くて。ゲナウは背を向けたまま話しているんですけど、テストのとき、すごく自然な感じでできたんです。これは良いシーンになるな! 素晴らしい演技をありがとうございます!と思って、本番が楽しくなったのを覚えています。ゲナウの本当の心の内を、感じているんだろうなというお芝居をされていたんですよね。その上で言葉を出してくるので、次の言葉に行きやすかったです。
上田:今の話を聞いて、本番はすごく緊張しちゃったことを思い出しました(笑)。テストは少しリラックスした状態で、いい塩梅でできていたんですけど、本番のやるぞ!っていうときに、世界観に馴染めずに失敗しちゃったような気がするんですよね……。
新垣:全然全然! そんなことなかったですよ(笑)。
上田:本当ですか……! ゲナウさんが、その時その時のメトーデさんにフィットする話し方をされていたので、、本当に救われるような気持ちで毎回演じていました。新垣さんが、ゲナウさんの心の内を感じたくなってしまうようなお芝居をされているから、メトーデさんも「今、こういう気持ちなのかな?」と思った上で言葉を選ぶということができたので、「寄り添いたいけど、フラットに」という塩梅は、ゲナウさんのお芝居があったからこそ出てきたものだったと思います。
──そのお二人のお芝居に画が加わり、名シーンになっていくのだと思います。
新垣:しゃべっていないときの間がすごく良くて。アフレコでは線画が出ていたんですけど、そこですでに表情が変わっていたり、目が何かを語っているんですよね。そこがこの作品の、すごく好きなところだなぁと改めて思いました。
──では最後に、フリーレンは、くだらない魔法を集めるのが趣味ですが、ちょっとくだらないけど欲しい魔法はどんなものですか?
新垣:忘れ物に気づかせてくれる魔法がいいですね。探し物が見つかる魔法って、よくあると思うんですけど、なくしたことにすら気づいてないとか、忘れていることにすら気づいていないことがあまりにも多くて(笑)。スマホを家に置いたまま出てしまうことがあるのですが、そんなときに「忘れてますよ!」と教えてくれる魔法が欲しいです。
上田:私は、夜歯磨きをするときに、一歩も動かないで、洗面所が来てくれる魔法がいいです。皆さん、寝る前に歯を磨くと思うんですけど、磨き終わると目が冷めちゃうときありませんか? そこで、なるべくカロリーを消費せず歯磨きが出たら、すぐに寝れると思うので、そういう魔法が欲しいです(笑)。
[文・塚越淳一]
作品情報
あらすじ
キャスト
(C)山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会



































