
「100人いたら100通りの人生があると教えてくれるアニメだと思います」──TVアニメ『NEEDY GIRL OVERDOSE』パープル・ロリポップ役:川口莉奈さん×獄薔薇美血華役:椎名桜月さん×禰󠄀智禍さま役:星希成奏さん「カラマーゾフ」インタビュー
「超てんちゃんは、一人で超てんちゃんの品質を維持している」
──本作のアフレコはいかがでしたか?
川口:画面のカットごとに時空がワープしていたり、さっきのカットまではこういうことをしていたけれど、次のカットでは全然違うことをしていたりと、こちらも「どうしちゃったの!?」と思うシーンがたくさんあって。
──何かを見逃しちゃったのかなと思うシーンもありました。
川口:そうですよね。それぞれ「このシーンではこのセリフを言いたい」「あのシーンではそのセリフを言いたい」という制作側の意図があって、シーンごとに全然違うものがツギハギになって合わさっていて。きっとすべての話数を見たときに、繋がりを実感するパズルのような作品だなと私は思っています。
きっと、だんだんと話数を重ねていくごとに深まっていくといいますか。一話を切り取っただけでは見えないものが繋がって、最終的に見えてくるものがあるんじゃないかなって。すごく深みのある作品だなと思います。
でも、やはり答えを明示してくれるわけではない部分も多いと思うので、そのあたりは視聴者の皆さんの余白に委ねられているのではないかなと。私たちキャストにも「ここは皆さんに委ねます」という部分がありました。そこが面白みのひとつなんじゃないかなと思っています。
星希:人間みたい。
──「人間」ですか。
星希:掻い摘んだだけではその人の人間性ってわからない。そこに至る思考も因果関係を全部見て、ちゃんと見てやっとわかるし、やっぱりわかっていないこともありますから。
──たしかに人間だって、明日突然考えが変わったりしますよね。川口さんはどのようにアフレコに挑戦されたのでしょうか。
川口:語弊があるかもしれませんが「すごく準備した」というよりかは「思うがまま」に演じたといいますか。ロリポップにはロリポップなりの信念がしっかりあって、そういう部分を美血華と禰󠄀智禍もリスペクトをしてくれている。だからこそ、ちょっとポンコツな部分があれども、二人が一緒にいてくれる。ロリポップはそんな女の子だと思っているので、彼女の根底にあるであろうこだわりや信念、強さみたいなものは揺らぐことはないんだろうなと思っていました。
それでいてやっぱり可愛らしい。ドジなところやちょっと抜けているところ、それこそ二人にからかわれるような一面は、可愛らしさを表現をするように色々な声色を使いました。長台詞も多いので、そういうところは「変なところで区切ってみようかな」とか。あるシーンではちょっと面白おかしい声色を使って、次はもっとグッと下げてみようとか……。音楽を奏でているようなニュアンスで演技を考えていました。
──お話を聞いていて「全部が終わったときに改めて全貌が見える」のも、音楽っぽいなと思いました。椎名さんはいかがでしたか?
椎名:美血華はあまり崩れないといいますか。それはロリポップが先陣を切ってくれるから美血華は美血華のままでいられるし、禰󠄀智禍も美血華のことをお姫様のように扱ってくれて。この三人でいるからこそ、美血華の良さやらしさが強く際立っているように感じました。「カラマーゾフ」をすごく信頼しているし尊敬しているからこそ一緒にいるんだと思います。
アフレコのときも本当にお二人が「らしさ」を演じてくれるから、美血華が美血華のままで成り立つんです。(ふたりを見て)本当にいつもありがとうございます。
川口:ありがとうございます……!
椎名:(笑)。シーンでちょっと息の音を入れるようなところも、美血華は基本的にクールでポーカーフェイスな感じだからあまり入れていなくて。お二人がキャラクター性を作ってくれるからこそ、美血華ができあがっています。感謝をしながら美血華らしさを崩さないように演じました。
──ありがとうございます。星希さんはいかがでしょうか。
星希:最初のうちは、最初から最後まで物語を繋げなきゃという意識があって。呼吸している、生きているものだと思って演じているので、どんな考えがあってその行動に至ったかなどを深掘りしていくのが仕事の一環だと思っているんです。だから今回のように切って繋ぐものに対して、演技観としてどのように気持ちを持っていくのか、禰󠄀智禍がそこで何を思って発言をしたのか、この距離感でなぜこの音を出したのかを、考え続けなければいけないと思っていたんです。
ただ、そうして考えたものを現場に持って行ったときに、スタッフさんから「繋がらなくていい」というようなことを言われたのが、第3話か4話のときでした。それまではどうやって演じたらいいんだろうと考え続けていて、自分の中の現実との矛盾がかなり大きくて苦戦していた記憶があります。
──ご自身が積み重ねてきたものとのギャップといいますか。
星希:その助言をいただいてからのアフレコは、その場に合った演技観というか、求められているものに対応できたかなと思います。
いわゆる虚像の夢を見せてくれる瞬間……「もう嘘でいいんだ」と思い始めて、演技観を変えたこともありました。賢いですから、禰󠄀智禍さまは。でもその賢さを出さないことも賢さだと思っていて。
──賢さを出さない賢さ。能ある鷹は爪を隠す的な。
星希:あえて自分の能力や考えを誇示しない、行く末を見て自分が助けられるところは助けるし、そうじゃないところは目を伏せる。生き方が賢い子なので、喋り方が賢すぎるとよくない、と意識をしていました。飄々と、淡々と喋ったり、フッと投げる感じのセリフ感で声を出してみたり。助言をいただいてからは、そこでそんな声出さないだろうみたいな雰囲気も逆に意識して、大げさなお芝居をするようになりました。
──皆さんと対峙する超てんちゃんの魅力を教えてください。
川口:魅力は……言葉で言い表すのってすごく難しいですね……。超てんちゃんとあめちゃんは切っても切り離せないので、あめちゃんも絡めてお話しさせていただきますが、あれだけ心に闇を持って、あめちゃんの成り立ちに色々な事情を抱えながら病んで……そこから配信や色々なことをしてでも、絶対に超てんちゃんであることをやめないでいる強さかなと思います。
「やめたい」とか、そういうことをこぼすことってないじゃないですか。例えばリスナーに向けてのヘイトはあるにせよ「配信やめたいな」という言葉が出ないのがすごいなと思っていて。
表に出るという意味で言うと、我々声優も最近は表に出させていただく機会が増えました。その分、心ない言葉を言われる機会もあって。そういうときや日常生活で辛いことがあったとき、超てんちゃんのように100%の純度で配信モードというか、超てんちゃんモードに切り替えられるかというと、私は結構難しいと思うんです。だけどあめちゃんはやっぱり本当にちゃんと病んでいるし(笑)。ある種のプロであることがすごいなと思います。
あとは可愛い。なにより本当に可愛いです。毒舌なのも大好きです。
椎名:超てんちゃんは、一人で超てんちゃんの品質を維持しているんですよね。自分のことを「インターネット・エンジェル」と言って、オタクのみんなを「救ってやるからな」と明言しているじゃないですか。あそこまでキャラをマシマシにして、しかもそれを崩さないでいられるのは本当にすごいなって思います。
ファンの方の「あの子はこうあってほしい」という気持ちの度合いは人によって違うと思うのですが、超てんちゃんはそれをずっと維持させているといいますか。私たちにとっての「こうあってほしい超てんちゃん」はもちろん、そうではなかったときも「あ、これが超てんちゃんなんだ」と思わせる説得力を持っているので、嗅覚の鋭さを感じていて。
超てんちゃんを一人でプロデュースして一人で実行している。その強さしかりすごさは、画面に映っている以上のものがあると感じます。『ニディガ』の世界に生きる方々は、超てんちゃんとしての姿しか知ることができません。でも私たちはあめちゃんとしての姿も知ることができるので、そこがアニメの魅力のひとつかなと思いました。
星希:ちゃんと、一人の人間として愛してもらってるのが超てんちゃんなのかなって。裏や日常生活のあめちゃんが出てくることによって、超てんちゃんとあめちゃんを知っている我々だからこそ「どっちが本人なんだろう」と考えると思うんです。
彼女を真の人間として愛せる、応援できる視点なのはすごく素敵だなと。もちろん超てんちゃんの姿だけを見せることもプロですし、まさに強さではありますが「あれだけ弱い人が、強くあろうとしている人が、超てんちゃんの姿になる」ことが一番の応援のしがいであって、魅力なのかなと思います。彼女が一番人間っぽいなと思いました。
──先ほどのお話にもあったとおり「人間」や「人間らしさ」を感じるところが本作およびキャラクターの魅力であると。
星希:完璧な人はいないですし、それを補い合える力や一人で戦う強さも違う。それぞれが持っているキーワードといいますか、人間が100人いたら100通りの人生があると教えてくれるアニメだと思います。
【インタビュー:逆井マリ 撮影:MoA 編集:西澤駿太郎】
『NEEDY GIRL OVERDOSE』作品情報

本PV
キャスト
超絶最かわてんしちゃん
パープル・ロリポップ:川口莉奈
獄薔薇美血華:椎名桜月
禰󠄀智禍さま:星希成奏
かちぇ:永瀬アンナ
あめちゃん
































