
春主従の言葉に動かされ、お互いの本音をぶつけ合えた瑠璃とあやめ──「二人の人生の中で、すごく大切な時間になったんじゃないかなと思います」『春夏秋冬代行者 春の舞』葉桜瑠璃役・上坂すみれさん×葉桜あやめ役・馬場蘭子さんインタビュー
お互いのお芝居を聴いて、 “眼鏡が見える”と感動!?
──全体を通して、演じる上で大切にしたことや、スタッフからどのようなディレクションがあったのかをお聞かせください。
上坂:この作品は全体的にシリアスな喋り方のキャラクターが多く、瑠璃もそこにちょっと引っ張られてしまう瞬間があったので「瑠璃は気にせず、明るくやってください」というディレクションをいただくことが一番多かった気がします。
演じる上では「自分は妹で、甘えていいんだ」というような「妹でありたい」という雰囲気を大事にしました。あえてそう振る舞っているところがあるので、感情をちょっと過剰に大きく見せたりするんですが、あやめの前だと嘘をつけなくなって。「対あやめ」とそれ以外の人で、話しているときの印象が変わるといいなと思って、キャラクターを作っていきました。
馬場:あやめも少し似たような意識がありました。第3話の最初の方で春主従とお話しするシーンでは、接客モードというか、キャビンアテンダントさんのような雰囲気を意識したのですが、ドア越しに瑠璃に怒鳴るシーンでは、「もうちょっと遠慮なく、激しく瑠璃に怒鳴ってください」「溜息も、もっと聞かせるくらいで」といったディレクションをいただいて。人によっての接し方の違いを大事に演じました。
──続いて、お互いから見たキャラクターの魅力や、お芝居を聴いて感じたことをお聞かせください。
上坂:あやめは本当にいいお姉ちゃんだなと思います。そもそも馬場さんの声がすごく知的な声質で、めっちゃ「眼鏡キャラ」に合う声だなと感動していました。
馬場:(笑)。
上坂:「すごい! 眼鏡が自然に馴染んでる!」と。私はあまり眼鏡に縁がなかったので。
──コメントでも「眼鏡っ娘の妹」キャラを初めて演じられてうれしい、と仰っていましたね。
上坂:眼鏡っ娘のキャラに憧れがありました。でも「これが真の眼鏡ボイスか……!」と(笑)。
瑠璃は眼鏡っ娘ではありますが、振る舞い的には妹属性が強い印象です。馬場さんが「このお姉ちゃんにならいっぱい甘えても、わがままを言っても受け止めてくれるな」というあやめ像を作ってくださったので、すごく妹の気持ちになれたというか。容赦なく言い合いはするけれど、血がつながっている感じがあるなと思いました。
馬場:瑠璃は原作を読んだときから、特に元気で、はつらつとした印象があったのですが、上坂さんの声には、そこに自然と上品な感じが乗っていて。すごく“眼鏡が見えました”(笑)。
上坂:よかった~!(笑) 自信がなかったので嬉しいです。
馬場:元気なキャラをやるときって知的な部分を出すのが難しいと思うんですが、本当に自然に上品さを乗せられていて。「瑠璃がいる!」といつも現場で感動していました。
初めは一緒に録ることができなかったのですが、後から「あやめのふりをしている瑠璃のシーン」のお声を聴いたりして「すごい、双子な気がする……!」と感動していました。
──オーディオブックで瑠璃の台詞も読まれているからこそ、感じたこともあったのでしょうか?
馬場:私は「元気ではつらつとした女の子」というイメージでやっていたので、どうしても自分の瑠璃には“眼鏡が見えない”というか(笑)。上品さを乗せるのって本当に難しいなと思っていたので、上坂さんの瑠璃を聴いて、「こういうことか!」と感動しました。
上坂:嬉しい……!
第4話のラストは、瑠璃とあやめの人生の中で、すごく大切な時間になったはず
──第3話で夏離宮を訪れた春主従をあやめが出迎えるわけですが、服装の話題などで、すぐに意気投合したのが印象的でした。
馬場:あやめはそれまで、護衛官として他と切り離されて、ずっと仕事モードで生きてきて。妹もわがままで、ボイコット中というところに春主従が来てくれて、同世代のああいう関わりは初めてだったのかもしれません。普段見られないようなあやめの可愛さが見えるシーンで、演じていてもすごく楽しかったです。
──瑠璃があやめのふりをして、さくらと言葉を交わすシーンも強く印象に残りました。
上坂:あやめになり切りつつ、自分の思っていることも織り交ぜて喋る、というのがすごく瑠璃らしい、素直じゃない振る舞いだなと思いました。さくらがあやめのことをまだそこまで知らないからこそ成立しているモノマネですが、それでもやっぱりあやめになり切るのは難しかったです(笑)。
──瑠璃は現状をすごく客観視できているんだなと思いました。
上坂:瑠璃はすごく頭が良くて冷静で「こうしなきゃいけないんだ」ということはよく理解していて。でも、“妹でいたいから”そうしないんだなと。お姉ちゃんが(自分だけの)お姉ちゃんじゃなくなってしまう、という彼女のわがままの理由が段々見えてくるシーンだったなと思います。
──続く第4話では、回想シーンで二人の幼少期のやり取りも描かれました。このあたりの収録はいかがでしたか?
上坂:夏の代行者と護衛官になることが運命づけられてしまって、それでも瑠璃はどうにか姉妹でいたかったし、あやめはここから出ていきたかった。だけどやっぱり離れられないというのが、全体を通して描かれていたなと思います。
瑠璃のお芝居としては、あやめが苦しくなるような表現というか。回想の瑠璃はとにかくわんわん泣いていて。あやめが一緒にいてくれるから頑張る、だけどそれがなくなったら頑張れないよ、という心からの救いを求める叫びが多かったなと思います。
馬場:幼少期の二人のほんわかした感じが出れば出るほど、瑠璃が代行者に選ばれてしまった残酷さが伝わるんだろうなと思ったので、そういった部分は少し意識しました。
あとは、泣き続ける瑠璃を見て、あやめが当時10歳にも関わらず、護衛官になることを決意したところも大切なシーンで、私も収録のときにすごく気持ちが込められたなと思います。また、瑠璃を鼓舞するために何度も言っていた「瑠璃がくれる夏が好きよ」という台詞も印象に残っています。瑠璃にとっては、それがすがる言葉になっていたという意味でも、すごく大切な台詞だなと思います。
──春主従の言葉に動かされ、ラストシーンでは姉妹がお互いの本音をぶつけ合いました。
上坂:春主従と別れたあと、瑠璃が一気に妹に戻って、本音で喋っていくうちに、お姉ちゃんがいないと頑張れないということを真っすぐ、止めどなく言って。そこに温度の違うあやめのモノローグが入ってくるのが印象的でした。
私は一人っ子で、姉妹や兄弟に憧れがあるんですが、血がつながった存在、特に双子ってどんな気持ちなんだろう?と。自分の半身みたいな存在が追いすがってきたら、離れようとしてもきっと離れられないよな、みたいなことを考えずにはいられませんでした。
瑠璃にあやめを苦しめるつもりはないのですが、結果的に、瑠璃があやめを好きでいればいるほど苦しいということは考えながら演じましたし、春主従とも全然違う、歪な鎖のような絆を感じるラストでした。
馬場:私もラストシーンはすごく思い入れがあります。あやめが結婚して護衛官をやめるということも、瑠璃がずっと神様でい続けるということも、もう変えることはできない。なので自分の気持ちのほうを変えるしかない、というのが本当に辛いなと思いました。
そのことが瑠璃の訴えかけで伝わってきて、それに対してどうしてあげることもできないあやめの気持ちも切なかったです。でもその気持ちをぶつけ合うことで、二人の中でちょっと消化できたんじゃないかなと。二人の人生の中で、すごく大切な時間になったのではないかなと思います。
──あやめが瑠璃をどう思っていたのか、最後のモノローグでようやく見えた気がします。
馬場:あやめはずっと蓋をしていましたし、瑠璃のほうからあんなに気持ちを直接伝えられたこともなかったのかなと思います。それぐらい大きな気持ちを瑠璃が言おうと思ったきっかけは春主従の言葉ですし、あやめも春主従がお互いへ思いやりのある言葉を投げかける姿を見て、「瑠璃に向き合おう」という気持ちになったと思うので、本当に二人が来てくれて良かったなと思います。
































