
【作品レビュー】もう俺に『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』を見せないでほしい、あのころの俺に戻ってしまうから
結論、俺が好きなものはそこにあった
突然だが、俺は昔、友達と同人誌を描いていた。俺はイラストが描けないので、友人が作画担当、俺がシナリオ担当となった。
シナリオ作成は俺に合っていたらしく、スルスルと進んでいく。とても楽しいし、妄想も膨らむ。二人の女子がすれ違いがありながらも最終的には仲良くなるというよくあるストーリーだ。
俺は恥ずかしかったが、出来上がったたどたどしいシナリオを友人に見せてみることにした。だが、反応はイマイチ。最初は時間もないし、お互いにやりたいことの折半ということで、そのまま印刷することになったが、やはり友人は不満がありそうだった。
もちろん俺も、少数しか発行しない同人誌だけれども、自分の思う完成形ではない形で世に出てしまうことへの不満は多少なりともあった。
次も作ろうとなったが、徐々に修正、手直し、修正、手直しの数は増えていき、最終的には完成しなくなった。
俺はどうしても、人間の葛藤を描きたかったのだが、友人はパーティのような楽しい作品を望んでいた。今ではどちらの意見も悪くないというのはわかっていたのだが、俺の心には10年以上経った今でもしこりとして残っている。
そんなしこりが『上伊那ぼたん』によってうずいたのだ。あの時、俺が作りたかったものが『上伊那ぼたん』にはある。もちろん、『上伊那ぼたん』と比べるのもおこがましいほど低クオリティで作品とも言えないようなやつだ。
でもあのとき、俺が好きで情熱をかけて書いていたことは本当だった。だからこんなポエムのような文章を臆面もなく書いてしまった。『上伊那ぼたん』があの時の俺を蘇らせてしまった。
「みんなこういうの好きだよね」と今では蔑んでしまっているアイテムやシチュエーションのことを俺も好きだったし、俺も作りたいと思っていた。本当は俺も好きなんだよ、たぶん今でも。
『上伊那ぼたん』が俺を青春時代へ連れて行ってしまう。
だからもう、『上伊那ぼたん』を俺に見せないでくれ。あの、幼い自分に出会うのは勘弁してほしい。もう俺は大人になったんだ。
そう思っても、なぜか、なんとなく、『上伊那ぼたん』に惹かれてしまう。
女の子たちがこんな寮生活するわけない、女の子が友達のスポーツカーを借りてドライブなんてするわけない、お酒にのめり込んでここまでこだわるわけない。
ない、ない、ない。とは思っても、それがあったら楽しいじゃん。フィクションだからそんなの気にしても仕方ないじゃん。俺だってあの頃、現実ではありえないようなものを妄想して、書いて楽しんでたじゃん。
だからこんな世界があってもいいんだよ。俺も、その世界が好きでいいんだよ。
『上伊那ぼたん』を見ていると、そんな青さを出して作品を楽しみたくなる衝動に駆られる。これが、心地いいのだ。
俺は、『上伊那ぼたん』を最後まで見てみることにするよ。
たぶん、昔の俺とは違う感想だけど、それはそれで良いような気がする。
あとそんなカッコつけて書かなくていいよ。単純にさ、上伊那ぼたんと砺波いぶきがさぁ〜どうなるか気になるんだよなぁ〜。
あと! やっぱ郡上かなでは気になりすぎる。誰かあいつを助けてくれる人はいないのか! 作者の塀先生にお願いすればいいのかな……。まぁ作品を見るしかないか。まだ途中だし。と思ったら、3話のエンディングでとんでもないものが流れてきたな……。
といった感じで、いつも俺はこんなことを考えながらアニメを見ている。みなさんがよく読むようなレビューではなかったので、非常に読みにくかったはずだ。ここまで読んでくださってありがとうございます。
ぜひ、ここまで読んだ方は一緒に『上伊那ぼたん』を楽しみましょうね! まだ見ていない方は今からでも十分間に合いますよ! 俺の楽しさや苦しさを一緒に味わってくれ〜〜〜〜!!!
[文/石橋悠]
作品情報
あらすじ
寮のメンバーと訪れた秩父・芝桜まつりのベンチでひとり、お酒を飲む寮長・砺波いぶきを見つける。ぼたんは、ハイボールをあまりに美味しそうに飲むいぶきに惹かれ「私もそれ、飲んでみたいな」と人生で初めてのお酒を口にすることに。そこでお酒の美味しさを知ったぼたんは、一緒に暮らす寮生たちと焼酎・ワイン・ウイスキーなど様々なお酒を楽しみ、関係を深めていく。
一方、過去の苦い経験から“一人飲み”にこだわっていたいぶきも、楽しげで美味しそうにお酒を飲むぼたんと過ごすうちに、一緒にお酒を飲みたいと考えるようになり……。
キャスト
(C)塀(秋田書店)/上伊那ぼたん製作委員会




























